構成要件要素・D過失ーA 予見可能性 | ||
前回は、上の図のDの部分。 D故意・過失のうち、過失についての勉強を始めたわよね。 新過失論の考え方からは 過失とは、注意義務に違反した不適切な行為、と定義できるわよね。 そして、この注意義務の内容としては 第一次的には、結果回避義務違反。 その前提として、結果予見可能性、って話をしたわよね。 |
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注意義務の内容なんて、勉強したっけ? | ||
弥彦神社の判例を丁寧に検討して、抑えたところじゃないのよ! | ||
あ・・・例の分身した判例か。 アレ、殆ど聞いてなかったから、全然記憶に残ってないなぁ。 |
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ふ、ふ、藤先輩・・・。 |
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あぁ、そう言えば、あんた判例と関係ないことで、やたら騒いでいたもんね・・・ 勉強に対する姿勢が悪いこと自覚しなさいよね。 まぁ、弥彦神社事件では、注意義務の内容としては 第一次的には、結果回避義務違反。 その前提として、結果予見可能性、って話をしたのよ! で、今日は、この予見可能性について学ぶってことなのね。 |
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注意義務の内容が定かでない、あたしに予見可能性やっちゃうわけ? | ||
前回の勉強会の復習は、サルの自己責任だからね! 教科書読んで、理解できないとこあったら、聞いてくれれば教えてあげるから、反省方々自分でやっときなさいよ! それじゃ、予見可能性について、まとめるわよ? まずは、軽く質問してみようかしら。 予見可能性(結果の発生を予見することができたかどうか)は、誰を標準として、考えるべきだと思う? もう少し質問を具体的にすると、予見可能性は、行為者を基準に考えるべきことなのか、一般人を基準にして考えるべきことなのか? という質問ね。 どうかしら? |
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そりゃ、当然行為者を基準にすべきじゃないの? | ||
私は、一般人を基準にして考えるべきだと思います。 その理由は、人間は、個人個人に、その性格が異なるからです。 過失が「うっかり」であるとするならば、藤先輩のような方ですと、普段からうっかり者なので、予見可能性についての認定が甘くなってしまいそうです。 |
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ちょっと、ちょっと。さり気に、あたしをディスるのは、やめてくれない? | ||
サルの考え方は、行為者標準説。 ナカちゃんの考え方は、一般人標準説と呼ばれる考え方ね。 行為者標準説に対しては、確かに、ナカちゃんのような考え方が、同説に対する批判としてあるわね。 でも、こう考えると、どうかしら? 例えば、サルは視力がすっごくいいわよね? それに対して、私の視力は裸眼だと0.1くらいなのよね。 そんな私が裸眼だったときに、視力1.5の人のように気を付けていれば・・・なんて言って過失を認定するというのは酷じゃないかしら? |
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ってことは、あたしの言った行為者標準説が、妥当ってことになるんじゃない? | ||
車の運転の際等は、視力の低い方にはメガネの着用が義務付けられていますから、メガネをされていなくって、見えなかった・・・なんて場合は、メガネをかけ忘れていた、という行為に過失が認定されるだけじゃないでしょうか? | ||
車の運転の際等は、法令によって、メガネの着用が義務付けられているんだから、ナカちゃんの指摘する通りよね。 でも、常時メガネの着用は義務付けられているわけじゃないんだから、車の運転に場面を限定して否定するのは、ちょっと無理があるんじゃない? |
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チビッ子、諦めるんだな! 行為者標準説が妥当だと、光先生は、伝えて下さっているんだよ! そうですよね? 光先生! |
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そんなこと言ってないわよ! 大体、自分に都合のいいときだけ、人を先生呼ばわりするの、やめてよね! 行為者標準説では、ナカちゃんの言ってくれた批判に対しては苦しいところなのよね。 あんたみたいな、普段からうっかり者みたいな場合、過失が認定されなくなってしまうわけだからね。 そこで、通説的な理解は、次のように考えるわけ。 身体的・生理的能力については行為者標準。 倫理的・規範的能力については一般人標準。 そうすれば、行為者にとって身体的に無理なことを求めることはないわけだし、一般人であれば予見しえたと言える事情については、その一般人を標準に判断することとなるわけ。 この考え方を、能力二分説というのよ。 予見可能性については、この能力二分説で、抑えておいてもらいたいかな。 |
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私の考え方も、藤先輩の考え方も、ドチラも汲みいれているんですね。 | ||
うんうん。 チビッ子も、よくガンバっていたよね。 |
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ナニ目線よ、ソレは。 むしろ、ナカちゃんの方が、理由付けもしっかりしてて、いい検討だったわよ? |
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私、藤先輩に負けたくないから、刑法得意になれるよう頑張っています! | ||
あたしは年上のうえロー生なんだから、素直に負けといてよ、ソコは! | ||
ナニ言ってるのよ! だったら、サルだって負けないように頑張ればいいだけじゃないのよ! 予見可能性の内容については、旧過失論、新過失論のいずれも、「結果および因果関係の基本的部分についての予見」とするのが大勢と言えるし、判例においても主流ね。 でも、ココで、ちょっと見ておきたい判例があるから、一緒に検討することにしましょ。 |
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あ、今回も判例検討入るんだ。 ナカちゃんが、判例検討面倒だなぁ、って、この前コボしてたよ? |
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言ってないです! 私、そんなこと言わないです! |
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いちいち反応せずに、無視しちゃっていいから。 ナカちゃんが、そんなこと言わない子だってことは、私は知ってるから大丈夫よ? それじゃ、判例検討にいくわよ? 百選掲載の判例じゃないんだけど、森永ドライミルク事件を見ることにするわね。 (徳島地判昭和48年11月28日) |
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光ちゃん! 早く次の論点いこ! そんでサッサと終わらせて、カタラーナ食べに行こ! |
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後ろは余計だから。 言わなくっていいから。 |
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ナニ言ってんの! 後ろこそメインでしょ!? だからさ。早く刑法なんて終わらせちゃおうよ! |
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じゃあ、ここでの判例検討は、次の判例で終わりにして、ネージュ・ブロンシュに場所移して、続きをやるっていうことにしてあげるわね。 ホントだったら、頑張らない人にはご馳走する気はなかったんだけど、気も漫ろ(ソゾろ)じゃ勉強にも身が入らないしね。 次の検討判例は、荷台事件ね。 (最決平成元年3月14日 百選T 51事件) |
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カタラーナ、ゲットだぜっ! | ||
うんうん。 サルも頑張っていたもんね。 それじゃ、勉強会の続きは、お店に移動してするってことで。 ひとまず、ここまでで。 |
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え? ガンバっていたって認めてくれてんのに、まだ続きするの? |
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せっかく、こうしてみんな揃っているんだし、いい検討出来ているんだから、やらないのは勿体無いわよ。 | ||
私もまだまだ勉強したいです! | ||
私も、お友達とケーキ食べながらの、勉強会なんて、すっごく楽しみです。 | ||
・・・なんだろ、正直付き合いきれないのは、あたしだけなのかなぁ。 | ||
っ!! (耳っ! つかさちゃんに猫の耳が見えるっ!! なんで? なんで? 私だけっ!?) |