あ、藤先輩! 黒田先輩っ! 早く、早くです! |
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ん? どったの? |
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私、遅刻じゃないですよね? 藤さんと一緒に来たので、大丈夫だと思ってましたが、遅れてました? |
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あ、違います、違います。 御2人が来られるのを待っていたので、つい急かしてしまっただけです。 |
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なんか後ろに隠してるみたいだけど、また、例によって謎の小道具かお? まだ、あたし、今日ナニもしてないと思うんで勘弁して欲しいんだけど。 |
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あうあうあう。 違うです、違うです。 先日、私の誕生会を盛大に祝って下さった御礼を持ってきたんです。 コレなんですが、よろしければ。 |
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ナニこれ? 開けてもいい? |
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どうぞどうぞです。 |
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あ、マグカップですよ! | ||
ソレも、カープ坊やのマグカップじゃないの! ワーイ、ありがとうっ! |
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自習室でも、御自宅でも、お好きな場所で使って下さい。 | ||
藤さんとお揃いなんて嬉しいです。 一緒に自習室で使いませんか? |
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あたしは家で、ありがたく使わせてもらうよ。 学校だと、使った後に毎回、給湯室で洗わないといけないから面倒だしね。 |
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そうですか・・・。 それじゃ、残念ですが、私も自宅で使うことにしますね。 |
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喜んでいただけたみたいで何よりです。 | ||
誕生日プレゼントにお返しなんて、いらないですよ。 竹中さんは、ホント義理堅いんですね。 なんか逆に気を遣わせてしまったみたいで、すみません。 ありがとうございました。 |
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先日の誕生会は、ホント嬉しかったので、私も何か、この感謝の気持ちを形にして伝えたかったんです。 | ||
ありがとね。 ナカたん。 このマグカップ大事にするね! |
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はいです。 私の方こそ、ホントありがとうございましたです! |
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ゴメン、ゴメン。 ちょっと遅れちゃったわね。 あ、ナカちゃん、ちょっと勉強会終わった後、時間ある? |
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はい。 特に後ろに予定はないです。 |
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そう? 良かった。 それじゃ、今日の勉強会始めるわね。 ホラ、そこのマグカップ大事そうに持ってる2人っ! 始めるから、席について、ついてっ! 今日、学ぶ論点は、除斥期間についてね。 除斥期間とは、一定の権利につき定められた存続期間をいうの。 |
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なんか唐突に勉強会始まっちゃったねぇ。 ちょっと、除斥期間って、いきなり言われても、よくワカラナイんだけど、ソレって時効とは、どう違うの? |
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除斥期間というのは、権利自体の存続期間なのね。 時効との関係では、次のような特徴があるわ。 @時効のような『中断』がない。 A時効のような『当事者の援用』を必要としない。 B除斥期間の起算点は、権利発生時である。 C除斥期間の効果は遡及しない。 D除斥期間は『放棄』できない。 この特徴について、1つずつ見ていくことにするわね。 |
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こくこく(相槌) | ||
@時効のような『中断』がないという点については、そのまんまだから説明は飛ばすわね。 A時効のような『当事者の援用』を必要としないという点なんだけど、除斥期間は、時効と異なり、期間経過後には、権利は当然に、かつ、絶対的に消滅することから、当事者が援用するまでもなく、この事実を基礎に裁判をしなければならない、とされているわ。 (判例:最判平成10年6月12日) |
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おおう。 ソレは時効とは違うねぇ。 援用しなくても、権利が当然に、かつ、絶対的に消滅って、すっごい強力なんだね。 |
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珍しく、いい反応してるじゃない。 次は、B除斥期間の起算点は、権利発生時である点についてだけど、違いを確認する意味で、民法166条1項を確認してくれる? |
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えへへへへ。 コレ、先日、黒田先輩に頂いた、おニュウの六法です。 今日からは、この六法を使って条文をひくです! あうあうあう。民法166条でしたね。 『(消滅時効の進行等) 第166条 1項 消滅時効は、権利を行使することができる時から進行する。 2項 前項の規定は、始期付権利又は停止条件付権利の目的物を占有する第三者のために、その占有の開始の時から取得時効が進行することを妨げない。ただし、権利者は、その時効を中断するため、いつでも占有者の承認を求めることができる。』 |
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早速、使ってくださって私も嬉しいです。 そうですね。 時効(消滅時効)の起算点が、権利の行使できる時(166条1項)であるのに対し、除斥期間の起算点は、権利発生時、という違いがあるんですよね。 |
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時効の効果については、遡及する(=遡及効・民法144条)ってことは、時効の最初の勉強会で話したわよね(時効@参照)。 これに対して、C除斥期間の効果は遡及しない、という違いがあるわ。 そして、こちらも勉強済みなんだけれど、時効については、その利益を放棄することができるわ(民法146条)(時効B参照)。 これに対して、D除斥期間は『放棄』できない、という違いがあるの。 除斥期間の制度趣旨は、時効と似通った部分もあるわね。 つまり、権利関係を画一的かつ絶対的に安定させるという公益的要請の下、権利行使しない状態が継続したという事実があるのであれば、その権利を消滅させる、という事実状態の尊重に基礎をおくものなの。 時効との一番大きな違いは、やっぱり何と言っても、中断がないということよね。 除斥期間経過後には、その権利は、当然に、かつ、絶対的に消滅してしまうものである以上、この期間制限については要注意よね。 実は、除斥期間を扱う条文は、総則の分野ではあまり多くないのよね。 むしろ、これから勉強する物権や、債権の分野での条文で散見されるものなんだけど、ここで抑えておくべき大事な論点と言えるわ。 一応、総則で扱った条文で、除斥期間とされる条文を確認しておきましょうか。 民法126条を確認してくれる? |
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民法第126条。 『(取消権の期間の制限) 第126条 取消権は、追認をすることができる時から5年間行使しないときは、時効によって消滅する。行為の時から20年を経過したときも、同様とする。』 |
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今日は、ナカちゃん嬉しそうに条文ひいているわね。 えーっと、126条後段にいう『20年』という期間については除斥期間と解されているわね。 ただ、126条前段にいう『5年間』という期間についても、近時の多数説は除斥期間とみる、という考え方もあるところだから、そのへんは、除斥期間という期間制限規定をどう捉えるのか、という問題になるかな。 かつては、除斥期間については『時効によって』という法文の文言となっているかどうか、という区別があったんだけれど、現在は、権利の性質や、趣旨等から実質的に判断すべきと考えられているみたいだからね。 少し、このあたりは難しいところだから、理解が深まってからでもいいと思うわ。 |
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こくこく(相槌) | ||
と、ここまでかな。 あ、ナカちゃん、いい? |
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私も明智先輩に用があったです。 コレ、先日のお誕生会の御礼です。貰って下さいです。 |
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え? 私に? 私、プレゼントも渡してないのに、逆に申し訳ないんだけど。 |
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いつもお世話になっているので、そんなのいらないです。 先日は、私のために、ありがとうございました。 |
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そんなぁ。 なんだろ、見ちゃっていい? |
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はいです。 | ||
あ!! 可愛いぃぃぃっ!!! |
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っ!!! 驚かさないでよ、つかさちゃん。 |
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あ、キティちゃんのジャイアンツver.のぬいぐるみじゃない。 ありがとう。 |
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いいな、いいな! 光ちゃん、いいなっ!! |
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黒田先輩、ネコがお好きですものね。 私も、広島カープのキティちゃんを御用意すれば、よかったですね。 |
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そ、そ、そんなのあるんですか!? 大丈夫です。 ソレは私が自分で買いますから! |
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いらないでしょ。 ヌコと広島カープなんて関係ないじゃないの。 あ、でも犬なら、広島カープにはミッキーがいたっけなぁ。今は死んじゃったから居ないんだけど。 |
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あ、そうだ。 コレは、私からナカちゃんに。 誕生日おめでとう。 渡すの遅れちゃって、ゴメンね。 |
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ホントによかったですのに。 ・・・ん? 引換券? |
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私からの贈り物は、ちょっとかさ張るから、自宅に送らせて頂く事にしたの。 ナカちゃんの御自宅知らないから、その配送会社に連絡して、受け取ってね。 |
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うっわぁぁぁ。 なんだろ、明智財閥のお嬢様の贈り物って・・・。 めっちゃ気になるぅぅぅ。 (ってか、ぶっちゃけ欲すぅいぃぃぃっ!) |
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ナニが届くのかドキドキです。 明智先輩、ありがとうございます。 |
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私こそ、ぬいぐるみ、ありがとうね。 自習室の私の机に飾らせてもらうわね。 |
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光ちゃんのド痛い趣味が、周囲にもバレてまうのに、ええの? | ||
イタイ趣味って? | ||
金満球団ファンという恥ずかしい事実に決まってんじゃないの。 | ||
赤貧球団ファンという事実より遥かにマシだと思っているから心配しなくって結構よ。 | ||
・・・・。 ・・・・。 |
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でも、結局プレゼント交換会みたいになってしまいましたね。 竹中さんは、誕生日だったんですから、お返しなんてホントは要らなかったんですよ? |
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あの日は、ホントに嬉しかったので、私も皆さんに何か御礼がしたかったんです。 私も、皆さんへのプレゼントはナニがいいかなって考えている時間は、とっても楽しかったです! |
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ナニよ? やんのかお? |