ふ〜ん。
ホイップクリームって、そうやって作るんだねぇ。
憶えておこっと。
ケーキのデコレーションに使って、余ったら、コーヒーに入れて、ウインナーコーヒーにしませんか?
きっと美味しいと思いますよ。 
へぇ〜。
コーヒーにホイップクリーム入れるんだぁ。
あたし、ソレ知らないけど美味しそうだね。
じゃあ、それ、やろうやろう。
藤さん、色々ご存知なのに、案外みんなが当たり前に知ってることは知らないんですね。
意外です。  
みんなが当たり前に知ってることは、あたしが知らなくても、みんなが教えてくれるから、それでいいよね。
おっしゃるとおりです。
流石、藤さんは無駄がないですね。
 
ではでは・・・
クリームも完成したようですので、ここで満を持して、ケーキ様の御降臨でぇ〜す!
ケーキ様のごこぉ〜りぃ〜ん!
それじゃ、張り切ってデコレーションさせて頂きますね! 
  ワクワク!
ワクワクっ!!
クリームたっぷりでしたよね?
それじゃ、ココにも・・・
ココにも・・・っと。
えーっと、最後にコレを乗せて・・・っと。  
 
ピンポォ〜ン
 
  アレ?
誰だお?
あ、私、私。
もう大丈夫?
 
お邪魔しますです。  
  ・・・どったお?
  (小声で)

藤さん、藤さん。
大丈夫ですよ? 
竹中さんには内緒にしていますから。
(小声で)

ん? ん?
ぶっちゃけ、あたしもイミフなんだけど?
あたしにも内緒になってない? 
(小声で)

今日の勉強会での光ちゃんの店員さんから聞いた話で、私は全部謎が解けてしまったんですよね。

あの日、藤さんがホールケーキを沢山持って帰られたこと。
そして、そのケーキがバースデー用の物だったこと。
店員さんがデコレートすると申し出たのを断られたこと。
そして、今日、私にデコレートをお願いされたこと。

これらの事実から推認される真実は・・・

9月27日の竹中さんの誕生日に、バースデーケーキを御用意されようと、優しい藤さんは思いつかれた。
でも、藤さんは御菓子つくりの経験がないので、生地であるスポンジからのケーキ作りは、勉強の時間も必要なことから断念された。
でも、やっぱり竹中さんのことを思われて、せめてデコレーションくらいは自分でやってあげたいと考えられて、店員さんのデコレートは断られた。
その後、試行錯誤されてデコレートに取り組まれるも、うまくいかず気付けば4つあったケーキは最後の1個を残すだけになってしまった。
そこで、藤さんは、自身でのデコレートを諦められて、私に白羽の矢を立てて、デコレートを手伝ってもらうことにされた。

全ては、竹中さんの誕生日を祝おうと思ってのことだったんですね!
藤さん!
優し過ぎますよ!!

でも!
私には全部お見通しですからね!
・・・。

(このメガネ、マヂで読みが悪過ぎんだろ、常考っ!
 眼鏡の度がズレてんじゃねぇのか? おいっ!!
 何一つとして、推理当たってないじゃないの!
 見た目はメガネ、頭脳までメガネなのか? オイっ!!
 そのメガネ、曇ってんぞ! マヂでっ!! 

 ホールケーキ沢山持って帰ったのは、食いでがありそうなケーキが欲しかっただけだお。
 バースデー用でもあるけれど、パーティー用でもあるんだお。
 店員のデコレート断ったのは、巨人が優勝してまう前に店を出たかったのに、時間かかるって言ったからだお。
 メガネにデコレート頼んだのは、最後の1個は、あたしがホイップクリーム一杯で食べたかったからだお。

 そもそも、あたし、チビっ子の誕生日が9月27日だってことさえ知らないんだけど・・・。)
(小声で)

サル?
つかさちゃんから全部聞いたわよ。
なんか、今日は勉強会で、謝れなんて責めちゃって、ゴメンね?
いいとこあるじゃないの! 
・・・うんうん。

(あ・・・アカン。
 あたしの楽しみにしていたケーキが75%OFFになろうとしている・・・。)
  それじゃ、いっちゃいましょうか。 
いっちゃいましょ?  
  な、な、ナニをいくです?

ナカちゃん。
お誕生日おめでとぉ! 
  おめ、おめ。
  あ・・・
あ・・・ 
  あうあうあうあうあう。
う、う、嬉しいです。
嬉しいです。
ジャァーン!
ナカちゃんのために用意した特製バースデーケーキでぇーす!  
あ・・・。
私は、実はさっき、つかさちゃんから聞くまで、今日がナカちゃんの誕生日って知らなかったから、プレゼントがなくって・・・。
また改めて渡すことにさせて貰うわね。ゴメンね?  
そんなのいいです。
いいです。
私の誕生日にケーキまで用意して頂けて、こうして皆さんに祝って貰えただけで十分です!
そうはいかないわよ。
サルや、つかさちゃんが、こんな素敵なケーキをプレゼントしてるって言うのに、私は何も無しって言うんじゃ格好つかないもの。
遅れた分は、しっかり期待してて欲しいかな。  
ホントにホントに、お気持ちだけで嬉しいです。
まさか、私の誕生日を、皆さんがご存知だったなんて、ビックリです。
ありがとうございます。
御礼を言うなら、藤さんですよ?
私も、実は藤さんからケーキのデコレートって聞いて、あ、そう言えばって思い出した口なんですから。
いつも、しょうもないことしか憶えてないなぁ、なんて思っていたけれど、ホント、ゴメンね?
サル、見直したよ!  
  あうあうあうあう。
藤先輩が・・・そんな・・・。
ありがとうございます。
  ・・・あ、あんまり言わないでよ。
・・・うん、ホント、ホント。
あ、サルのくせに照れてる。   
藤さん、こう見えて照れ屋なとこありますからね。
  いたた、いたたた。

(良心の呵責が・・・!!)
ありがとうございます。
いつも厭味言われたり、意地悪されたり、ツネられたり・・・って。
でもホントは、一番優しい先輩なんです!
  いたたたたた!!!
いたたたたたたた!!!

(良心の呵責がっ!!!)
それじゃ、頂いちゃいましょうか。
実は・・・
頑張って、チョコレートのネームプレートも作っちゃったんですよねぇ。
まぁ、名前を入れただけなんですけど。 
  わーあ!
(パチパチパチパチ!)
あ、コレは私からの誕生日プレゼントです。
藤さんの特製ケーキには敵いませんけど、ポケット六法平成27年版です。
あぁ〜。先越されちゃったぁ。
六法の新しいのが出る季節だもんねぇ。
新しい六法は、出たら買うから、ナカちゃんへのプレゼントって聞いて、私も真っ先に、そのプレゼントが浮かんだからなぁ。  
・・・。

(こいつら、揃いも揃ってアホなのかお!
 なんつぅ〜嬉しくないプレゼントを渡すつもりなんだお!)
わぁー。
新しい六法です!
もう出てるんですね。
早速、帰ったら付箋をつける作業して、引きやすくしないと!
黒田先輩、ありがとうございます!
  ・・・。

(嘘やん。喜んどるやん。)
竹中さんは通学だから、軽い六法の方がいいかなぁ、って思って。
ポケット六法は、少し物足りないところもあるかも知れませんけど、判例は勉強会で、検討しているから大丈夫ですよね?
はいです!
新しい六法を手にすると、なんだかワクワクしてきちゃうです!
あ、ソレわかる、わかる。
今まで使ってきた六法とは、条文の場所が違ったりして、最初は戸惑うんだけど、ソレがまた新鮮って言うか。
新たにマーカーで線を引いたりするときに、また再確認できることがあったりするんだよね。  
  ・・・・。

(ミリ単位でも共感できなひ。)
こんな素敵な誕生会だけではなく、誕生日プレゼントまで頂いてしまって、ホントにありがとうございます! 
  ・・・ケーキ食べようか。
ね?
あんたは、いつまで照れてんのよ。
そんなキャラじゃないでしょ? 
 
あ、そうだ。
コーヒーですけど、ホイップクリームを少し残しておいたので、ウインナーコーヒーも出来ますよ?
欲しい方は言って下さいね。
じゃあ、あたし、そのナントカコーヒーで。 
あ、私もウインナーコーヒーをお願いするです。
私はブラックでいいわ。   
光ちゃん、別に太ってないよ?
気にせず、クリーム入れてもらえばいいと思うよ? 
ケーキのクリームに、コーヒーにまでクリームじゃ、普通は気になるわよ。
太ってからじゃ遅いんだからね!  
光ちゃんの体型で気にされていたら、私なんか、何も喉を通らなくなっちゃいそうです。
ん?
んんん?

(こ、こ、これは、もしかしてチャンス到来なのか?
 75%カットからの回復チャンス到来なのか?)
だったらさぁ。
ケーキのカットを、4分の1ずつじゃなくって、8カットにして、光ちゃんとつかさちゃんは、その8分の1にすればいいんじゃない? 
でもでも、やっぱり目の前に、美味しそうなケーキがあったら食べたくなるじゃない。
だからこそのブラックコーヒーって選択なのよね。 
  (クッ! て、て、手ごわいっ!)
あっ!
でも、実は、冷蔵庫には、さらにカタラーナちゃんもいたりして!
カタラーナちゃんも光ちゃんに食べて欲しいって思ってるんだよねぇ。
えぇぇ〜。
いくら甘い物は別腹って言っても流石に、ちょっと食べ過ぎよねぇ。  
でも、せっかくの藤先輩からのケーキなんですから、みんなで仲良く4等分にしたいです!
(ところがドッコイっ!
 当の藤先輩は、仲良く4等分にしたくないんだお。
 竹中くん。)
うーん、それじゃ、私はカタラーナちゃんのことも考えて、ケーキは8分の1にしちゃおうかなぁ。
あ、それじゃ、クロちゃんの分は、あたしが引き受けたげるね!
あ、それじゃお願いしますね。
それじゃ、私の分は、さらに半分にカットして・・・っと。
つかさちゃん、ケーキカット上手ね。断面が、すっごく綺麗。
うーん、つかさちゃんと半分こって言うのもいいかもね。
私も、8分の1にしとこっかな。  
  おひょひょひょひょひょ!
なになに?
なんで急に笑い出したの? 
 
ううん。
ナカたんの誕生日、おめでたいなぁ、って。
そんだけ。

(ウキっ! コレで50%OFFにまで回復したお! もうけ、もうけっ!)
  美味しいですっ!
ケーキ自体は、ネージュ・ブロンシェのケーキですからね。
味がいいのは当然だと思いますよ。
違うです、違うです。
皆さんの気持ちがこもっているからこその美味しさです。
とっても美味しいです! 
(まぁ、ぶっちゃけ、あたしの怨念とか未練とかがこもっているからなぁ。
 気持ちがこもっているのは、あながち間違っては、ないよなぁ。)
サル、良かったね?
ナカちゃん、あんなに喜んでくれているわよ。  
うんうん。
まぁ、結果オーライってことにしとくお。
あたしも50%OFFなら、納得できるしね。
ごじゅっ?
ナニ言っているのか、よくワカラナイんだけど、結果オーライなら良かったんだよね?  
  うんめぇぇぇーーーっ!!
このケーキ、うんめぇぇーっ! 
  美味しいですね。 
ホント美味しいわね。   
  美味しいです!
美味しいです!
今日は、本当に嬉しいです!
ありがとうございました!! 
(こんなことなら、4個あるときにメガネに来て貰えば良かったなぁ。 やっぱりケーキは、クリーム一杯で食べると満足感が違うんだなぁ。
 勢いで3個食べたことは返す返すも惜しいことをしたお。
 それもこれも、冷蔵庫が小さいのがダメなんだお。
 まぁ、みんな喜んどるみたいだし、いっか。モグモグモグモグ。)

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