「委任命令の限界」に関する判例 | ||
さぁ。 じゃあ今日は予告通り、委任命令に関する判例を検討していくことにするわね! |
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ウホホーイ! それじゃ、早速、勉強会の場所を「ネージュ・ブロンシュ」に移して・・・って話だね。 行こう、行こう、さぁ、行こう! |
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藤先輩、大丈夫です。 お店に行かなくっても、糖分補給はできる方法があるです。 |
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あ、お待たせしました。 コレ、頼まれていた「ネージュ・ブロンシュ」のシュークリームです。 えーっと、コレ、領収書です。 |
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つかさちゃん、ゴメンね。 いくらお店が、つかさちゃん家から大学の通り道にあるからって、お遣い頼んじゃって。 |
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全然気にしないで下さい。 むしろ、いつも憲法の勉強会に呼んでくれないことの方を気にして欲しいです! |
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・・・。 (さり気なく勉強会に参加されてみえないことを怒ってみえるです・・・。) |
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うーん、憲法の勉強会は、基礎的な話が多いから、ちょっと退屈じゃないかなぁ、って思って。 あ、じゃあ、判例検討の際には声かけるようにするわね。 |
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約束ですよ? |
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ちょい、ちょい、ちょいっ! まさか、あたしのお目当ての糖分というのは、ソコの箱のシュークリーム分しか用意していないわけ? |
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大丈夫よ。 シュークリーム20個も用意したんだからね! |
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・・・足りねぇお。 20個『も』じゃなくって、20個『しか』の間違いじゃないの? |
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言っておくけど、コレ全部、あんたの分じゃないからね? ナニ、20個が、さも自分の分っていうのを大前提にしてんのよ! |
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藤さん、私は1個頂ければ十分ですから、心配されなくってもいいですよ? | ||
ふぅ〜ん。 1個は貰う気なんだ・・・。 |
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あぁぁっ! す、す、すみません。 藤さんが、そこまで楽しみにしてみえるとは知らず・・・。 いいです、いいです。 私、要りませんからっ! |
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ちょっとっ!! ナニ、つかさちゃんの分のシュークリームまで取り上げようとしてくれちゃってるのよ!! 最初に言っておくけれど、今日のシュークリームは判例検討頑張った人に上げるんだからね! いつもみたいな調子だと、あんたの分なんて1個もないかもよ? |
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ひぃぃぃぃっ!! そ、そ、そんなご無体なぁ・・・。 |
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・・・・。 (一番ご無体なのは、黒田先輩にシュークリーム1個さえ渡そうとされなかった藤先輩の方です。) |
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大丈夫よ。 20個もあるんだから、ちゃんと頑張ればサルの分もあるわよ。 はい。 それじゃ、そろそろ勉強会に入るわね。 憲法41条は、 『国会は、国権の最高機関であって、国の唯一の立法機関である。』 と定めているわね。 ここにいう『唯一の立法機関』という言葉の意味するところには、 @国会中心立法の原則 と A国会単独立法の原則 とがあるって話はしたわよね。 @国会中心立法の原則とは、国会が立法権を独占し、国会以外の機関による立法を認めないことをいうものよね。 事実、現行憲法は、立法権を国会に専属させ、行政機関による立法は、一部の例外を除いて、執行命令と委任命令だけに限定しているわ。 ただ、委任命令(委任立法)が認められているとはいえ、包括的・一般的な、いわゆる「白紙委任」は認められていないって言ったと思うんだけれど、その理由は・・・ちゃんと憶えてる? |
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憲法41条から導かれる国会中心立法の原則から、立法権が国会に委ねられている以上、包括的・一般的な白紙委任は、その趣旨に反するものといえるからです。 | ||
そうね。 だから、委任命令については、法律による具体的な委任でなければならない、ってことになるわけよね。 さぁ、じゃあ、今日はここまでの理解を前提として、委任の範囲が問題となった事案を判例検討の形で見ていくことにしましょ。 まずは、百選U掲載の212事件からね。 (最高裁昭和33年5月1日) |
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やっぱり美味しいですね。 ネージュ・ブロンシュのシュークリームは。 あ、これ、インスタントですけどコーヒーです。よろしかったら。 |
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ちょい、ちょい、ちょいっ! 早く、次の判例検討やろうよ! シュークリームとコーヒーで、まったりしている場合じゃないでしょ! |
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あ、すみません。 藤さんの勉強のお邪魔をしてしまって。 そうですよね、今は勉強会の最中でしたものね。 |
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いいわよ、つかさちゃん、気にしなくって。 どうせ、次の判例検討終わるまで、シュークリームが貰えないと思って急かしてるだけなんだから。 |
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あ・・・ 今の言い方、傷ついたなぁ。 あたしの向学心に対して、そんな見方しか出来ないんだ・・・。 |
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そうですよね。 今の発言は、藤さんに対して、あまりにあまりですよね。 |
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だよね・・・。 正直、今、あたし泣きそうだよ。 |
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・・・。 (・・・藤先輩には申し訳ないですが、心底信じ難いです。) |
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はいはい。 わかった、わかった、わかりました。 それじゃ、早速、次の判例検討に行きましょうか。 次も、委任の範囲が問題となった事案ね。 児童扶養手当法施行令事件を見てみることにしましょ。 百選Uの213事件ね。 (最高裁平成14年1月31日判決) |
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うまぁーいっ!! うまぁーーーっいっ!! |
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次の判例の検討をする前に、ちょっと説明をしておくわね。 委任の中には、再委任という委任のされ方があるの。 再委任というのは、法律の委任により定められた政令等が、当該委任事項を、さらに府令・省令または行政官庁の告示に委任することをいうのね。 この再委任については、法律に再委任を認める旨の明文の規定がない場合であっても、 @やむを得ない合理的な理由があって A受任者の実質的裁量の余地が厳しく限定されていれば 憲法上許される、とする考え方が通説的理解とされているわ。 今から検討する判例は、この再委任が問題となった事案なの。 |
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うんうん。 早く、早く。 早くやろうよ! |
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藤さんは、やる気一杯ですね。 流石ですっ!! |
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やる気・・・なのかなぁ? なにか違う気がしちゃうのは、私だけかなぁ? それじゃいくわね。 次の判例は、百選U掲載のA10事件ね。 (最高裁昭和33年7月9日大法廷判決) |
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うーん、ちょっと物足りないんだけど、まぁ、我慢も大事だよね。 | ||
あんたがナニを一体我慢したって言うのよ! もうっ!! バカっ!! |
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・・・私の提案した作戦は、失敗みたいです。 少しずつ、シュークリームを渡すことで、藤先輩の集中力を持続させようって思ったのですが。 |
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いやぁ、あんなちょっとずつ食べてたら、逆効果だからね。 食べるときは、もうガンガンいかないとさぁ。やっぱり。 |
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勉強会をするのに、あんたが糖分摂取が効果的だって言うからこそのお菓子なのよ! ナニ、完全に食事MODE全開って話にしちゃってるのよ! |
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明智先輩・・・。 お察しするです・・・。 |
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じゃあ、もうシュークリームはないけれど、最後にもう一つ判例検討して終わりにしましょうか。 医薬品インターネット販売事件(最判平成25年1月11日)の検討なんだけど・・・。 |
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あっ!! ソレは確か、かつて行政法の勉強会でやろうとした、例の判例じゃないの? じょ、じょ、冗談じゃないお!! |
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ひ、ひ、光ちゃんっ!! あたし、もう今日は帰らないと! |
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ナニ言ってるのよ! あんた、みんなの分のシュークリームまで食べておいて、そんな身勝手通るとでも思ってんの!? |
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ばいばいき〜んっ!!! | ||
バイキンマンの逃げ台詞をつかわれたところに、自分が悪だという認識を感じました・・・ 藤先輩の見せた、小さな良心だと思います・・・。 |
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医薬品インターネット販売事件は、一体いつ検討する日が来るんでしょう? 光ちゃんや藤さんは、検討済みだと思うのですが、私はまだ未検討なので、やって欲しいとは思っているんですけどね。 |
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あうあうあうあう。 同感です。 |
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ぶっちゃけ管理人だって面倒で検討してないんだお! あたしのせいにしたいだけなんだお! |
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※ サルは、とんでもないことを申しておりますが、百選UA11末尾にありますように、演習素材として検討されることの多い判例ですので、正直、ここでの掲載は早いかなぁ、と思ったためです。行政法においても同様の判断をした結果です。 また行政法において当該判例について「需要があれば」と記載しましたが、更新日から相当期間が経過しておりますが、特に需要もなかったため未掲載としております。御興味のある方は、百選UA11事件を御確認下さい。 |