最高裁昭和33年5月1日判決
それじゃ、今日の一発目ね!
張り切っていきましょうっ!
頑張った人には、ネージュ・ブロンシュで、つかさちゃんが買ってきてくれたシュークリームを御進呈致しまぁ〜す。
つかさちゃんも、せっかく来てくれているから判例再現に協力してね。

それじゃ、原告の1人、郵政事務官Aを、サル。
同じく、郵政事務官Bを、ナカちゃん。
つかさちゃんは、裁判所を。
私は、ナレーター役
で。

それじゃ、始めて、始めて。
よし。竹中くん。
お互い従業員組合の支部長同士、ここは組合が推薦する、来る参議院選挙の推薦候補者のために、一肌脱ごうじゃないか!

郵政事務官A
わかったです!
私も支部長を務める身です!
推薦候補の人には、是非とも当選してもらいたいです!
一緒に選挙運動をするです!

郵政事務官B
うんうん。
今回は選挙運動のために、トラックも用意しているからね。
一緒に、そのトラックに乗って、投票を呼びかけようじゃないか。

郵政事務官A
  わかったです!
一緒にトラックに乗って応援するです!

郵政事務官B

ナレーター
郵政事務官を務める2人は、昭和28年4月24日に施行された参議院議員通常選挙に立候補した、全逓信従業員組合が推薦する候補者のために、こうして、 応援活動に出かけました。
  街頭の皆さぁ〜ん!
次の選挙では、是非、この人に投票してくださいねぇー! 

郵政事務官A
  よろしくです!
よろしくです!

郵政事務官B

ナレーター
ところが、2人のこの行動は、国家公務員法110条1項19号、同102条1項、人事院規則14−7第5項1号、同6項8号違反にあたることから、逮捕・起訴されることとなってしまいました。
いやいやいや、なんでだよ!
大体、公務員だからって選挙運動しちゃならないなんて法律は、おかしいやないか!
人事院規則違反
せやったら、その人事院規則14−7とやらが、そもそも憲法の保障する国民の基本的人権を、法律を無視して制限しとる不当なものっちゅうことやないんかい!
そんなもの無効や、無効っ!! 

郵政事務官A
  そうです!
そうです! 

郵政事務官B

裁判所(一審)
そんな主張は認めません
罰金刑に服しなさい。
 
  こりゃ、あかんわ。
仕方ない。
控訴しちゃるわい!!

郵政事務官A

裁判所(二審)
公務員は全体の奉仕者であるから、一般国民に比べその政治的活動につき制約を受ける場合のあることも憲法が予期するところである。

 国公法(=国家公務員法の略)102条1項は、公務員の「政治的行為」を一切禁止する趣旨ではないが、人事院規則で定め得べき「政治的行為」は同条に例示的に定められた程度に一定の限界があり、その程度の定めは、全体の奉仕者である国家公務員の中立性維持からいってやむを得ない制限である。

 さらに、人事院規則14−7をみれば、裁判所法52条のような抽象的規定をおかず、特定の「政治的目的」・「政治的行為」を列挙しており、これらを禁止することは公務員の中立性保持および公共の福祉を満足するに最小限のものと認められるから、同規則の規定は、いずれも国公法102条1項の精神に合致し、何ら授権の範囲を逸脱していないといえる。』 
なんや、二審もあかんやないか!
しゃぁーない。
こうなったら上告やっ!
最高裁で争っちゃるわい! 

郵政事務官A
  そうです!
そうです!
最高裁で戦うです!

郵政事務官B
 






そこまで・・・かな。
公務員に関する論点については、まだ勉強していないから、また改めてってことにしようと思っているんだけど。
まぁ、ここでの検討テーマは、委任の範囲ってことだからね。
そこに絞って、検討することにするから、そのつもりでね。  
  シュークリーム頂戴っ!
まだ判例の事案再現をしただけじゃないのよ。
どんだけガッツくのよ、あんた。 
 
  頑張ったら、くれる・・・って光ちゃん言ったのになぁ。
騙されたんだ・・・あたし。 
ちょっと、そんな言い方するのはズルいわよ!
じゃあ、1個だけね。
ちゃんと、判例検討もするのよ? 
 
  わぁーいっ!
シュークリームだぁっ!! 
(サルがお菓子ばかり食べてて勉強会に集中しないからって、ナカちゃんが、シュークリームでコントロールすればいいんじゃないかって言うから試しにやってみたんだけど、あんまり変わらないような気がするなぁ。)

じゃあ、まずは、この事案の争点からね。

本件で争われている人事院規則14−7は、国家公務員法102条1項委任に基づいて制定されているんだけど、原告は、この人事院規則14−7が、法である国家公務員法委任の範囲を逸脱する違法なものだって主張しているわけね。

判例の検討の前にも話したけれど、委任命令は認められてはいるんだけど、それは法律による具体的な委任でなければならないわけよね。
つまり、原告らの主張は、国家公務員法102条1項委任は、包括的な委任なのではないか、というものなの。
投票の勧誘くらいは認めて欲しい気もするです・・・。
最高裁の判断を見ましょうか。

所論
人事院規則14−7は、国家公務員法102条1項の委任に基き制定せられたものであり、そして国家公務員法102条憲法14条又は28条に違反するものでないことは当裁判所の判例とするものであるところ(昭和三一年(あ)六三五号、同三三、三、一二大法廷判決、昭和三一年(あ)六三四号、同三三、四、一六大法廷判決)、前記人事院規則は、右国家公務員法102条1項に基き、一般職に属する国家公務員の職責に照らして必要と認められる政治的行為の制限を規定したものであるから、前記大法廷判決の趣旨に照らし、実質的に何ら違法、違憲の点は認められないばかりでなく、右人事院規則には国家公務員法の規定によつて委任された範囲を逸脱した点も何ら認められず、形式的にも違法ではないから、憲法31条違反の主張はその前提を欠くものというべきである。

としているわね。
厳しいです・・・。
憲法学者は、違憲だっていう見解をとっている先生が多いわね。
つまり、委任の範囲をこえているのではないか、と考えてみえるってことよね。

ただ、この事件で出てくる人事院規則14−7は、また後々検討しようと思っている猿払(サルフツ)事件にも出てくる、憲法ではお馴染みな規則なんだけど。
最高裁は、一貫して人事院規則14−7は、委任の範囲を超えていないっていう判断を下しているのよね。

まぁ、猿払事件の検討は、公務員の労働基本権のところで勉強しようと思っているけどね。
  そんなことに一貫性は要らないです。
  え?
ナカたんは要らないの?
じゃあ、あたしがナカたんの分のシュークリームも貰っていいの?
・・・ナニ聞いてたの?
木下さん? 
 
  ・・・。
(ヤバイお・・・。
 この物言いは、明らかに静かな怒りを感じるお・・・。)
  いやぁ、やっぱり具体的な委任じゃないとダメだってことなんだよね〜、うんうん。
なんか必至に取り繕うとしているみたいだけど、この事件では、包括的な委任ではないか、とされるような委任が適法って判断されているのよ? 
木下さんの意見は、少なくとも、この事案の感想としてはどうなの? 
違う、違う!
だからこその、この感想なんじゃないの!
そんな指摘をされてしまうような委任ではダメだってことを言っているんじゃないの!
いやぁ、やっぱり具体的な委任じゃないとダメだってことを再確認できたね、うんうん。そうそう。
・・・次のシュークリームは、判例検討を聞いてから、後渡しってことにさせてもらうわね。   
  えぇぇ〜。
まだ1個しか貰ってないってのに、なんて仕打ち!?
あ、じゃあ、みんなも食べて、食べて。
サルしか食べてないもんね。
はい、ナカちゃん。
はい、つかさちゃん。 
 
  ありがとうございます。
あ、私もいいんですか?
ありがとうございます。
実は、お遣いの際に、1つお店で食べて来ちゃったんですけどね。
このお店のシュークリーム美味しいから、正直幾つでも食べられちゃいそうですよね。 
  えへへへ。
ワクワク、ワクワク。
あんたのは、さっき渡したんだから、お預けよ?   
  ・・・マヂでか!?

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