今日は、藤さんが担当の勉強会ですね! 私、楽しみで今日1時間も前から来ちゃってます! |
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つかさちゃんには負けるけれど、私も楽しみなのよね。 あのサルが、どんな勉強会をするのかなぁ、って。 しかも、表見代理だもんね。 ちょっと難しかったかなぁ。 |
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藤先輩スゴいです! 私も、勉強会の担当を任せてもらえるように頑張るです! あ、藤先輩みえたです! |
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あ、みんなもう揃ってるね。 なんで、今日はこんなにみんな集まりいいの? |
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だって、今日は藤さん担当の勉強会じゃないですか! 私、すっごく楽しみにしてるんですよ! |
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・・・え・・・ 普通、こういう話のオチって、次回には持ち越さないっていうのがお約束じゃないの? 前回の話、今回に持ち越さないでしょ、常識的に考えて。 |
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そんなこと言わずに、やりなさいよ! みんなも楽しみにしてるんだから早く、早くっ! |
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えぇ〜・・・ 無茶ぶりにも程があるよねぇ。 まぁ、あたしも一応最悪の状況を想定して、それなりの対策は考えてきたんだけど・・・ね。 出来るかなぁ? |
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藤先輩、ファイトです!! |
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よしっ! それなら、赤ヘル魂を見せてやんよ! まずは、今日勉強する表見代理! はい。 では、まずこの表見代理の定義と制度趣旨について答えてもらうね! じゃあ、そこのお洒落で綺麗なオネーさん。 |
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ちょ・・・コッチ見て言わないでよ? 恥ずかしいじゃないの! え? なに? 表見代理の定義と、その制度趣旨? 表見代理は、無権代理であっても、相手方が代理人につき代理権があると信じたことが、もっともだと思われるような客観的事情が存在する場合には、代理関係があったものと同様の扱いをすることで、本人に効果を帰属させ、相手方を保護しようとする制度をいうものと定義されるわね。 その制度趣旨は、定義からもワカルかと思うけれど、相手方保護。 それも、代理権を信じた相手方の保護であることから、権利外観保護法理に求められるものよね。 |
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(権利外観保護法理・・・? なんか前に聞いたなぁ、ソレ・・・。 まぁ、いいや。コレ質問にしちゃえ!) はい。 では、表見代理の制度趣旨である権利外観保護法理とは、なんでしたっけ? 質問だよ。 やったからワカルよね? じゃあ、そこのいつも真面目に頑張るツインテールの可愛いお嬢さん。 |
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初めて、藤先輩が私の髪型を褒めてくれたです!! 嬉しいです!! え? 権利外観保護法理ですか? 通謀虚偽表示の勉強の際にやりました。 外観法理とは、作出された虚偽の外観を信頼した善意の第三者を保護しよう、という考え方です。 権利外観保護法理(=表見代理)が認められるための要件は、 @外観の存在 A本人の帰責性(=外観作出への関与) B相手方の信頼(善意・無過失) でした。 |
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(あ、そだった、そだった。 やるなぁ、チビっ子。 ) うん、そうだね。 じゃあ、そろそろ表見代理の中身を勉強するね。 表見代理には、具体的にどんなものがあるのか? まぁ、簡単だとは思うけれど、これは、眼鏡の似合うクールビューティーさんに答えてもらおうかな? |
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えぇぇぇっ!? そ、そ、それって、まさか私のことを言ってくれているんですか? でも、眼鏡しているのは私だけですし・・・ あ・・あわ・・・あわわわ。 ちょっと質問自体ぶっ飛んでしまいそうなくらいです! 表見代理の内容でしたっけ? 表見代理は、どのような外観に対する、どのような関与かによって3つの類型に分類されます。 代理権授与の表示による表見代理(民法109条) 代理権踰越(ユエツ)の表見代理(民法110条) 代理権消滅後の表見代理(民法112条) の3類型です。 |
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そうだね。 あ、そう言えば、表見代理と無権代理の関係だけど、表見代理っていうのは無権代理の一種だからね。 無権代理責任(=117条責任)と、表見代理責任の両者が成立する場合、この両者の関係が問題となるんだけど、判例は、両者は別個独立の制度であることから、相手方において選択適用することを認めているんだよね。 ここは、大事だから、ちゃんと抑えといてね! (って、ちょっと前の勉強会のときに、メガネが言ってたっけ。 合ってんだろうなぁ、メガネの理解・・・。) |
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いいまとめをするじゃない。 そうね。判例・多数説は、両者が成立する場合は、相手方は表見代理を主張して本人の責任を問うことも、無権代理を主張して無権代理人の責任を問うことも選択できるとする「自由選択説」の立場だもんね。 (判例:最判昭和62年7月7日 百選T 34事件) |
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うんうん。 それじゃ、表見代理についての定義、制度趣旨、要件ときたら、次は、効果だね。 効果は、今日もゴスロリファッションの似合っているポニーテールの美人さんに聞いちゃおっかな? |
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やだぁっ! そんなに似合ってる? 効果? 表見代理の効果は、定義からもワカルと思うけれど、表見代理制度は、本来はなかった代理権をあったものと扱うことで、本人に効果帰属させる制度でしょ? つまり、効果は、本人に契約の効果・責任が帰属する、という効果が生じるものよね。 これ以外の効果としては、前々回勉強した無権代理の相手方の採り得る手段として挙げられた取消権(115条)の行使や、本人が表見代理を、追認(113条)によって完全な有権代理とすることなどがあるわね。 |
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(なんだよ・・・効果は、めっちゃ簡単だったじゃないの! 適当に言っても、言えそうな内容だったなぁ。 なんか聞いて損しちゃったよ! ) えーっと、これで表見代理の概念と、その効果についての勉強会は終わりだね。 じゃあ、今日はこれで解散かな? |
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藤さん、藤さん。 まだ始まったばかりです。 せめて、もう少し続けませんか? 表見代理の中身について、やれるところまでやるというのでは、いかがでしょう? |
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(くぅぅぅぅ。 この空気読めないメガネは、ホントに・・・。 うまく切り抜けられたから、これでミッションクリアーって思っていたってのに、相変わらず使えない子だなぁ。) じゃあ、中身の1つ目やっちゃう? 代理権授与表示による表見代理だったっけ? 民法109条ってことだから、六法で確認してみてよ。 |
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民法第109条。 『(代理権授与の表示による表見代理) 第109条 第三者に対して他人に代理権を与えた旨を表示した者は、その代理権の範囲内においてその他人が第三者との間でした行為について、その責任を負う。ただし、第三者が、その他人が代理権を与えられていないことを知り、又は過失によって知らなかったときは、この限りでない。』 |
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えーっと・・・つまり、代理権授与の表示による表見代理っていうのは、本人が第三者に対して、他人に代理権を与えた旨を表示したときは、ホントは代理権を与えていなかったとしても、その代理権の範囲内において、他人が第三者と行った法律行為について責任を負うってことだね。 (まぁ、条文を読んでるだけなんだけどね、ぶっちゃけ。) |
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そうよね。 その定義から導かれる代理権授与の表示による表見代理(109条)の成立要件は、次の3つよね。 @代理権授与の表示 (=真実は他人に代理権を与えていないのに、その他人に代理権を与えた旨を表示したこと) A代理権を授与された旨を表示された者が、表示を受けた第三者と、表示された代理権の範囲内で代理行為をしたこと B代理権のないことにつき、相手方が善意・無過失であること よね。 |
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(・・・んみゅ? 代理権をホントは与えていないのに、代理権を与えた旨を表示? 意味がわからない・・・ 与えていない代理権を、どうやって表示できるっていうの? ヤベ・・・ちょっと、そこんとこ詳しく言って、マヂで、マヂで!) |
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代理権授与の表示による表見代理の、具体例を教えて欲しいです。 ちょっと、具体的なイメージがワカラナイです。 |
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(ナイス! チビっ子っ!) なるほど、なるほど。 それじゃ、具体例を質問しちゃおっかな。 はい。知的な雰囲気漂う黒髪美人の、そこの彼女。 109条の適用場面の具体例を挙げてくれる? |
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そ、そ、それも私のことなんでしょうかっ!? し、し、質問なんでしたっけ? え? 109条の適用場面の具体例ですか?! そうですね。 典型的には、本当は代理権を与えていないのに、委任状を渡してしまったような場合ですよね。 ただ実際によく問題となるのは、いわゆる白紙委任状ですよね。 |
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聞いてばかりで、すみませんが「白紙委任状」も、よくわからないです。 ソレはなんでしょうか? |
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(こ、こらっ! コッチ見て聞くんじゃないの!!) あ、じゃあ、ついでに教えてあげてくれる? |
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はい! 「白紙委任状」というのは、委任状に記載すべき事項(代理人・受任者の氏名と、委任事項の全部又は一部)が空白となっている委任状をいいますね。 代理人を信頼する本人が、適正に委任状が使用されるであろうことを期待して、取引において便宜を図るという意図で、このような白紙委任状を代理人に対して交付することがあるのですが、この白紙委任状が濫用されてしまった場合に、どう扱うのかが問題となるということです。 |
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(へぇ、なるほど、なるほど。 まぁ、どうせ、いつもの原則、例外があるっぽいなぁ。 ついでだし、言ってもらうか。) じゃあ、原則的な取り扱いと、例外的な取り扱いについても一緒に説明してあげてくれる? |
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ええ、わかりました。 白紙委任状には、大別すると2種類あるんですよね。 いわゆる転々予定型と、非転々予定型の2種類です。 転々予定型というのは、委任状を正当に取得した者であれば、誰が行使しても差し支えないという趣旨で交付された委任状で。 非転々予定型というのは、委任状の代理人(=受任者)も、相手方もある程度限定する趣旨で交付された委任状をいいます。 転々予定型の委任状の交付は、代理権の授与そのものと言えますから、この場合は、109条の表見代理は問題になりません。 適正な代理権に基づく代理行為と言えますからね。 問題になるのは、非転々予定型の白紙委任状の場合です。 本来は限定する趣旨の下に交付された白紙委任状なのに、その空白(=白地)を濫用(=勝手に補充)することは、まさに無権代理といえ、この場合は表見代理の問題となりますね。 そして、この非転々予定型の白紙委任状の場合において、その空白の濫用の度合いにおいて、処理が異なることとなります。 |
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うんうん、そうだね、そうだね。 その通りだね。 ってことは、次は、その空白の濫用の度合いの違いが問題になるわけだね。 (だよね? そりゃ、普通そうだよね?) |
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そうね。 まずは、代理人濫用型と呼ばれる濫用があるわよね。 但し、この場合においても、違いがあるわ。 つまり、委任事項を濫用した委任事項濫用型と、それがない非委任事項濫用型の2類型ね。 非委任事項濫用型というのは、被交付者が、何らかの理由で本人から代理権を与えられていたのだけれど、相手方欄の空白を濫用して、予定されていない相手方と取引しちゃった場合よね。 相手方欄の白地をいいことに、予定されていない相手方の者と取引をしたわけなんだけど、取引内容自体は、委任された内容なのよね。 この場合は、本人の利益の害された程度は、すごく甚大というわけではないことから、109条を適用した表見代理の成立が認められるわ。 これに対して委任事項濫用型。 つまり、委任事項の空白を濫用して、本人が予定していない取引を委任状をもつ代理人がしてしまったような場合ね。 委任状がある以上、基本代理権は原則的にはあるといえるんだけれど、その行為内容が、権限を越えるものである以上、これは権限外の行為の表見代理といえるから110条の問題になるわね。 109条と110条の重畳適用の話になるから、これは、そこで改めて検討した方がいいと思うんだけど・・・どうかな? サル? |
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(んみゅ!? 途中から、なんかよくワカンネ・・・ ナニ言ってるの? この金満女・・・) え? 110条? それはやっぱり次回だね、うん、次回次回。 あ、ちょっと待って? 代理人濫用型があるってことは、代理人じゃない人の濫用するパターンもあるってことだよね? |
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その場合は、ちょっと複雑なのよね。 白紙委任状の転得者が、白紙委任状であることをいいことに、勝手に空欄を補充して取引をしてしまった場合よね。 代理人ないし相手方の空欄を濫用したにとどまる場合(非委任事項濫用型)には、授権表示が認められると判例(最判昭和42年11月10日)もしているわね。 この場合は、空白の濫用があっても、その濫用が顕著ではないと言えることから、109条の適用が肯定されることになるわ。 つまり、流通した白紙委任状による表見代理が成立するってことね。 他方、委任事項も濫用されたような場合(=委任事項濫用型)には、あまりにも本人の利益を害するとして、授権表示を否定した判例(最判昭和39年5月23日 百選T 27事件)があるわね。 |
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(おおっ! 百選掲載判例っ!? これはチャンス! なんせ百選掲載判例なら、百選読むだけだからね! よし、知ってるアピールできるよ!!) そうだね、その事案については判例もあるよね。 最高裁(最判昭和39年5月23日 百選T 27事件)は、次のように述べているよね。 『不動産登記手続に要する前記の書類は、これを交付した者よりさらに第三者に交付され、転々流通することを常態とするものではないから、不動産所有者は、前記の書類を直接交付を受けた者において濫用した場合や、とくに前記の書類を何人において行使しても差し支えない趣旨で交付した場合は格別、右書類中の委任状の受任者名義が白地であるからといって、当然にその者よりさらに交付を受けた第三者がこれを濫用した場合にまで民法109条に該当するものとして、濫用者による契約の効果を甘受しなければならないものではない。』 って言ってるからね。 (・・・読んだだけじゃ、よくワカラン・・・。 よし、ここはメガネを召喚しとくか・・・。) つまり、この判例の言っていることを、端的にまとめると・・・ あ、その役は、眼鏡のよく似合う黒田さんが適任かな? |
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黒田さんなんて他人行儀な言い方は止めてください。 でも、眼鏡褒めてくれたの初めてですよね? ありがとうございます。 えーっと、この判例の事案では、本人は自分の12万円の債務の担保のための抵当権設定を受けようとして、委任状を出したのですけれど、それが白紙委任状だったがために濫用されてしまって、他人の極度額100万円の債務の担保の根抵当権の設定という事態を招いてしまっているんですよね。 転得者による委任事項の濫用型の場合は、このように本人のまったくあずかり知らない予想外の責任が本人に降りかかってくる場合があるんです。 ただ、このような場合にまで表見代理の成立を認めてしまうと、表見代理の効果は、法律行為の効果が本人に帰属するものですから、本人が責任を負うこととなってしまいます。 でも、それは本人にとっても、あまりに酷ですよね。 ですから、このような場合にまで広く表見代理の成立を認めるべきではないという一定の歯止めが必要になるということです。 |
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(へぇ〜。なるほどねぇ。) うんうん、その理解なら大丈夫かな? でも、あれだよね。 白紙委任状って、要は、肝心の部分が空欄なわけでしょ? コレ、流石に「はい、委任状です」って言って、空欄を埋めないまま、相手方に呈示しちゃった場合には、特定の代理権を授与する旨の表示とは認められないよね? |
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なによ! その質問は。 私達を試しているつもり? 確かに、まっさらな白紙委任状を呈示しただけでは、原則として、本人が誰に対して、どんな代理権を授与しようとしたのかワカラナイんだから、109条の代理権授与表示があったとは言えないわ。 でも、原則にはつきものの例外が、ここでもあるわ。 この場合、代理行為者が、白紙委任状だけじゃなくって、権利証や実印等、自己に特定の代理権が授与されたことを推測させるに足る事情がある場合には、109条の代理権授与表示があったとされるわね。 実際、受任者・年月日の各欄が白地だった白紙委任状の他に、権利証、印鑑証明書、一部白地の売渡証明書の交付・呈示したという事案に対して、代理権授与表示があったと認定して、表見代理(109条と110条の重畳適用による表見代理)を成立させた判例(最判昭和45年7月28日 百選T 32事件)もあるからね。 どうどう? あんたのミスリードになんか引っ掛からないからね! |
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(マヂで? なにソレ・・・白紙委任状の空欄埋めてなくっても、代理権授与表示になる場合があるわけ・・・ありえないっしょ? 別に、ミスリード誘う気なんて微塵もなく、まとめのつもりで言ったのになぁ。恐ろしすぐる・・・ヘタなこと、マヂ言えないよ。) い、い、いやぁ、やるねぇ、光ちゃん。 あ・・・えーっと、こんなところでいいかな? |
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あ、待って。 一応、109条の適用範囲の論点が残ってない? 代理権授与の表示による表見代理は、法定代理においても適用されるのか、っていう論点よ。 |
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簡単な論点だから、はしょったんじゃないでしょうか? 任意代理に限られ、法定代理には適用される余地がないですよね。 理由は、条文にもあるように109条は、本人の授権行為を前提とするものである以上、法定代理は、法律によって定められた代理人なのですから、授権行為を必要としませんからね。 |
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そうなんだ。 でも、はしょっていい論点じゃないと思うんだけどなぁ。 |
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(黙れ!! 金満豚っ! そもそも、そんな論点なんて、あたしが知るわけないだろが、常考っ!) えーっと、じゃあ、こんなところでいいかな? いやぁ、なかなかみんな真面目に聞いててくれて、助かっちゃった。 じゃあ、今日はこれで御仕舞いってことでいいよね? |
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藤先輩が、いつの間にか、すごいお出来になっていたのが、ちょっとショックです・・・。 | ||
ま、ま、まぁね。 (なってない。 なってないよぉ? チビっ子!) |
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次回も、次回もっ! 次回も是非、藤さんにお願いしたいです! |
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(コラっ! このKYメガネは、ナニ無茶苦茶言っているの!) いやぁ、次回は、光ちゃんでいいんじゃない? |
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せっかくだし、表見代理は、全部サルにお願いしたいな! 今日の勉強会を聞いてる限りだと、問題なく担当任せていいって思えたし、私からもお願いっ! |
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私も藤先輩にやって欲しいです! | ||
うえぇぇ〜。 圧倒的多数をもって、あたしにやれってか・・・。 じゃあ、やるよぉ、やればいいんでしょ? でも、難しいところだし、あまり過度な期待は厳禁だからね! (ボスケテっ!!) |