さぁ、それじゃ今日の勉強会からは質権(シチケン)に入るわね。 | ||
『カイザード アルザード キ・スク・ハンセ グロス・シルク! 灰燼と化せ 冥界の賢者 七つの鍵を持て 開け地獄の門! 』 |
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あぁぁぁぁっ!! ナ、ナカちゃん、逃げてぇーーっ!! |
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ふえ? | ||
『七鍵守護神(ハーロ・イーン)!!』 | ||
痛いですぅぅぅっ!! | ||
ちょっと、あんたノッケからナニしてくれてんのよ!! | ||
『七鍵守護神(ハーロ・イーン)』だお。 『ダーク・シュナイダー』の必殺魔法なんだお。 漢字で書くと『七鍵守護神』って表記されっから「シチケンシュゴシン」って読むんだお。 |
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誰も聞いていないのに、なに長々と誰も求めていない説明してんのよ。 まさか「シチケン」繋がりだから・・・なんてこと言うんじゃないでしょうね? |
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オネーちゃん、漫画やアニメの影響受けやすいから、派手な技や魔法見ると、すぐ真似したがるんだよぉ・・・。 | ||
魔法かっけぇーおっ!! | ||
・・・この傍迷惑なアホウが。 | ||
とんでもないオネーさんが、またきたです・・・。 あうあうあうあう。 |
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えーっと、頭っから脱線するとは思わなかったけれど、今日の勉強会からは質権について学ぶことになるわ。 今日は最初の回ってことで、質権とは、どのようなものか、という点について学ぶことにするわね。 まずは、質権についての条文の確認からね。 民法342条を見てくれる? |
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民法第342条。 『(質権の内容) 第342条 質権者は、その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し、かつ、その物について他の債権者に先立って自己の債権の弁済を受ける権利を有する。』 |
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質権とは、債権者が『その債権の担保として債務者又は第三者から受け取った物を占有し』、債権の弁済がなされないときは『その物』から『他の債権者に先立って』優先弁済を『受ける』ことのできる『権利』をいうわ。 質権(動産質権)の成立要件は、 ①質権設定の合意 ②目的物の引渡し の2要件となるわ。 この要件の1つである、当事者の合意を基礎として成立するという点で、今日までの勉強会で学んできた担保物権である留置権・先取特権とは異なることになるわ。 |
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留置権と先取特権は、法律上当然に成立する担保物権だもんね! | ||
そうね。 留置権と先取特権は、その性質から法定担保物権と呼ばれるわ。 今日から学ぶ質権、そして、この後の勉強会で学ぶ抵当権は、約定担保物権と呼ばれるわ。 それは、今述べたように、当事者間の合意を基礎として成立するためよね。 そして、質権成立の要件の②目的物の引渡し、という点で、質権と抵当権とは異なることになるわ。 つまり、その設定に際して、目的物の占有が債権者に移転させられる(=質権)か、させられない(=抵当権)か、という点で、両者は異なるわけね。 |
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引渡ししなくてもいいっていうのは、正直めっちゃ便利そうだね。 | ||
そうね。 この機能の有無が、同じ約定担保物権である質権と抵当権とを大きく隔たるものとしているわ。 つまり、質権・抵当権は、共に物権であり、他の債権者などに対する優先的効力をもつ、ここまでは変わるところはないわ。 ただ、それ故、両者は他の債権者らに対して、公示を求めるものであるわ。 この点、質権の公示方法である目的物の占有移転は、これによって、債務者に心理的圧迫を加えて、弁済を促そうとする作用を営むと同時に、広く動産をも債権担保の目的物としているわ。 これに対して、抵当権は、占有移転という公示方法をとらず、登記という公示方法をとっているわ。 その結果、登記制度に親しみうる不動産(および一定の不動産用益物権)しか、その目的物となりえない、という違いがあるわ。 |
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登記とか面倒な公示方法があるんだって聞くと、なんか今度は逆に質権の方が便利って印象も受けちゃうんだけど・・・。 | ||
ただ、質権は、設定者は目的物の占有が債権者に奪われることになるわ。 民法344条、一緒に345条を見てくれる? |
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民法第344条。 『(質権の設定) 第344条 質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる。』 民法第345条。 『(質権設定者による代理占有の禁止) 第345条 質権者は、質権設定者に、自己に代わって質物の占有をさせることができない。』 |
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『質権の設定は、債権者にその目的物を引き渡すことによって、その効力を生ずる』ものであり、また、その引渡しには占有改定による占有移転は認められない(民法345条)とあることから、質権設定者は、自分で利用し続けたい、または利用を続ける必要がある物については質権を設定することが出来ない、ということになるわ。 例えば、生産活動に必要な資金を得るために、生産活動に必要な機械などを債権者に引き渡して質権を設定する、といったことは不可能ってことになるわけよね。 |
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ふむふむ。 そりゃ、生産活動に必要なお金を得られても、その生産活動に必要な機械が、手元になくなっては本末転倒だもんね。 |
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そういうことね。 だから、質権は、このような、いわゆる生産信用のためには機能しえない、という結論になるわ。 この点、抵当権には、そのような制約がないの。 だからこそ、抵当権は、まさに生産信用を支える近代担保制度の花形として発展を遂げてきたわけね。 |
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うーん、でも花形って言っても、動産には抵当権はつかえないわけでしょ? ぶっちゃけ、圧倒的に動産の方が多いのに、その動産を目的にできない抵当権は、ちょっと使えない子って印象受けてまうけどなぁ。 |
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そうですよね。 抵当権は、動産を、その目的とし得ない、というのはネックですよね。 そして、さっき光ちゃんが例に挙げられたように、機械のような動産について、占有を移転せずに担保権を設定して、融資を得ることが出来れば・・・という要請自体はあったわけです。 しかし、そのような要請があっても、民法には、そのような制度がない・・・。 このような取引界での要請に応える形で、民法に規定のない譲渡担保という担保手段が取引界で慣行化し、それを判例が認めるという形で、この要請をクリアした、という経緯があるんですね。 |
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いやいやいや、譲渡担保? ソレじゃなくっても、抵当権が設定できる動産があるって話じゃなかったっけ? |
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あら、よく憶えていてくれたわね。 確かに、その通りね。 一部の動産については、立法によって抵当権の設定が認められているものがあるわ。 例えば、あの時の勉強会では、自動車(自動車低当法)、航空機(航空機抵当法)、建設機械(建設機械抵当法)等を挙げたかしらね。 |
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うんにゃ。 建設機械は言ってないね。 |
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あら、そうだったかしら。 えーっと、でもまぁ、これらは、いずれも登記や登録制度によって、公示の機能を果たすことが可能であることから抵当権の設定が可能とされているわ。 このような抵当権の設定が認められる動産を、動産抵当と呼ぶわ。 ところで、どうして、質権のところで、動産抵当について長々と説明しているの? って思うかしら? |
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いや、その思いについては、毎回の勉強会で、いっつもコイツは話なげぇーなぁーって思っているから、いちいち聞かなくて大丈夫! | ||
ちょっとっ!! なんてこと言ってくれるの、あんたっ!! |
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まぁまぁ、光ちゃん。 藤さんには、勉強会のレベルなんて低過ぎて退屈されてみえるんですよ。 でも、こうして来て頂けるだけで、私は嬉しく思っているんですよね。 |
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・・・誰のための勉強会だと思っているのかしら、このサル。 | ||
あ、先程の光ちゃんの話ですが、途中になってしまいましたので、私から続きを述べさせて頂きますが・・・。 質権は動産を、その目的物とするところに特徴があると言えるわけですが、今、説明にあがった動産抵当の目的物にされるような物については、質権の設定は禁止されているんですよね(自動車低当法20条、航空機抵当法212条、建設機械抵当法25条等)。 |
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むむ? なんでだろ? | ||
これらの物については、立法政策上も、そのような物は、その利用を設定者のもとに留めたまま、担保権を設定することが好ましいという配慮から立法がなされたわけですから、質権の設定を禁止している、と理解されていますね。 でも、こんなこと、藤さんには『釈迦に説法』ですよね。 |
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いやいや。 基本は、基礎的な理解の反復だからね。 (へぇ~。成程ねぇ~。知らんかった!) |
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どんだけ知ったかしてくれてんのよ、このサルはっ!! ついでに話しておくと、以前の勉強会で触れた動産債権譲渡特例法の制定によって、動産譲渡ファイルの制度が設けられて、動産の譲渡担保も容易なものとなったわね。 |
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なんかアレだね。 最後の方、質権の話じゃなくって、質権以外の話ばっかになっとるね。 ネタ切れなら、もう終わろうじゃまいか。 |
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あ、終わるなら最後に大事なことを言わせて欲しいわ。 この他に、債権や、無体財産など、財産的価値は大きいんだけれど、抵当権の目的となしえない権利を担保にして融資を受けるために、質権は、実は重要な機能を果たすわ。 いわゆる権利質と呼ばれるものね。 次回からの勉強会では、 質権制度の中核をなす動産質。 有名無実な感のある不動産質。 そして忘れちゃいけない権利質。 の3本をこなしていくことにするわね! |
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・・・サザエさんみたいな終わり方だお。 『来週もまた見てくださいねー ジャンケン・・・』 |
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『グー!!!』 |
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そ、そ、それ、サザエさんじゃないです・・・ ゴンさんです・・・。 |
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えーん、えーーんっ!! 痛いよぉぉぉぉっ!!! |
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『もうこれで終わってもいい』 | ||
・・・あんた、妹のチイちゃん泣かせて終わろうとしてんじゃないわよ! | ||
ウキっ! |