それじゃ、今日は予告通り、即時取得の要件と効果について学ぶわね。 まずは条文の確認からね。 六法で、民法192条を確認してくれる? |
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民法第192条。 『(即時取得) 第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。』 |
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即時取得の要件については、答案勉強会第2回でチイちゃんが挙げてくれているわよね。 即時取得の要件は、 @動産であること A有効な取引行為による取得であること B相手方に処分権限がないこと C平穏・公然・善意・無過失に占有を取得したこと D占有を始めたこと の5つの要件だったわよね。 今日の勉強会では、この5つの要件を1つずつ抑えていくことにするわね。 |
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い、い、5つも・・・今日だけでやってまうわけなんだ・・・。 なかなかにハードな進行っぷりだね。 優しい気持ちを大事にしようか、ね? ね? |
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1つずつ抑えていくから、ワカラナイ時は、その都度聴いてくれればいいから。 それじゃ、まず1つ目。 @動産であること ね。 前回の勉強会で学んだように、動産については、真の権利者を犠牲にして、取引の安全を優先させるという動的安全の保護から、公信の原則がとられているわ。 即時取得は、この要請による制度であるため、静的安全を重視する不動産に対しては適用されないってことだったわよね。 |
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うんうん。ソコまでは確かに前回聴いたね。 問題ないね。はいはい。 |
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あら、問題ないって、そんなに簡単に言っちゃっていいの? じゃあ、質問しちゃうからね。 質問! 自動車は即時取得できるでしょうか? |
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チイ、自動車って、動産だよね? | ||
そうだよ。 | ||
はい! 自動車は動産なので、要件を満たすから、即時取得できまーす! 超簡単じゃないの!! |
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え? できるとは言い切れないよ。 だって、自動車には登録制度があるんだよ? だから、登録していない(=未登録)自動車だったら、動産として即時取得できるけれど、登録自動車については、登録という公示方法がある以上、それによって取引の安全を図ることが出来るんだから、 その自動車を占有していることへの信頼を保護する必要はないことになるからね。 だから、登録自動車については即時取得の適用はないよ。 |
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そうよね。 流石、チイちゃんっ! 確かに自動車は動産だけれど、一部の動産については、登記・登録制度が存在するわ。具体的には自動車や、一定トン数以上の船舶や飛行機等が、その対象なのね。 これらの自動車等は、登録制度が整備されており、公示されうる動産であることから、今、チイちゃんの言ってくれた理由を根拠に判例は、即時取得の適用を認めていないわ。 (判例:最判昭和62年4月24日 登録自動車についての即時取得の適用を否定) |
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べ、べ、別に、未登録の自動車なら、即時取得できるんでしょ? だ、だったら、あ、あ、あたしの答えは間違っていないしぃ〜。 |
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別に間違えたっていいじゃないの。 勉強なんだから、今、理解してくれればいいだけじゃない。 |
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・・・チェっ。大体チイも悪いんだよなぁ。 質問は聴いているんだから、最初っから分けて教えてくれればいいのにさぁ。 |
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オネーちゃんの質問は、自動車が動産かって質問だったから、そうだよ、としか答えようがなかったよっ! チイ、悪くないもんっ!! |
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チイちゃんは悪くないわよねぇ〜。 はい、それじゃ、要件はまだまだ残っているので次にいくわね。 次は2つ目の要件。 A有効な取引行為による取得であること ね。 条文上は『取引行為によって』としかないんだけれど、ここにいう『取引行為』とは、有効な『取引行為』であることが必要とされているわ。 そもそも、即時取得を規定した民法192条は、取引の安全を保護するためのものよね。 そうであれば、その『取引行為』とは有効な『取引行為』であると考えるべきじゃないかしら。 |
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こくこく(相槌) |
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ん? 有効じゃない『取引行為』って、例えば、どんなの? | ||
その質問は、民法総則を学んでおいて、どうなのかしら。 売買契約が、後から無効になったり、取り消されたりすることはあるじゃない。 例えば、答案勉強会2回の事案のような、制限行為能力者からの取消だってあるだろうし、答案勉強会4回の事案のような、詐欺を理由とする取消だって考えられるでしょ? そして、取り消された法律行為は、初めから無効だったことになるわよね(民法121条)。 |
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あぁ〜。 言われてみれば、やったねぇ〜。 |
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リアクション悪ぅ〜い。 例えば、こんな事案を考えてみてよ。 私がサルに騙されて、売買契約を結んで、宝石を売ったんだけど、後から騙されたことを知った私が、このサルとの間の売買契約を取消した。 そうなると、取り消された法律行為は、最初から無効だったってことになるから、私はサルに対して売った宝石の返還を請求できる・・・ってことになるわけよね。 この場合、サルが、即時取得の他の要件については充足していると仮定した場合に、『取引行為』による取得なんだから、即時取得が成立するという主張ができるのか? ってことを考えて欲しいわ。 |
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うーん、流石にあたしも、ソレはできないだろうって思うかな。 | ||
そうよね。 今の事案のような場合に、即時取得を認めてしまうと、制限行為能力者制度や、錯誤や、詐欺について定めた規定が、意味をなさなくなってしまうものね。 だから当然、事案のサルのような場合には、192条は適用されないわ。 私の詐欺取消がある以上、私とサルとの間の売買契約自体が有効な取引契約とは言えないわけでしょ。 そうであれば、A有効な取引行為によって、という要件は満たさないわ。 じゃあ、どういう場合に、A有効な取引行為といえるのか、って話なんだけれど、コレは、例えば答案勉強会2回の事案の、つかさちゃんを思い出して欲しいわ。 あの事案の場合に当てはめると、ナカちゃんはチイちゃんから売買契約を取り消されているわけなんだから、192条は適用されないわ。 ただ、ナカちゃんと、つかさちゃんとの間の売買契約自体は有効に行われているわけよね。 ここで、3つ目の要件。 B相手方に処分権限がないこと が重要となってくるわけ。 ナカちゃんと、つかさちゃんとの間の売買契約自体が有効であったとしても、ナカちゃんがチイちゃんの取消によって、取引時点から無権利者となり、その結果、つかさちゃんがナカちゃんから所有権を取得できないということになってしまうわ・・・そのような場合に、つかさちゃんを保護しようというのが即時取得制度なの。 だから、この場合の、つかさちゃんは、AとBの要件を満たすことから、まさに192条の適用が考えられる、ということになるわ。 |
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まぁ実際、あの事例問題でも、即時取得を適用していたもんね。 はいはい、あの時の勉強会の話が、やっと来たってことね。 |
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やっと、じゃないわよ。 前回の勉強会から、ずっと即時取得の話はしているじゃないの。 それじゃ、次は4つ目の要件。 C平穏・公然・善意・無過失に占有を取得したこと ね。 この点については、民法186条1項があるんだったわよね。 一応、ここでしっかり確認しておく意味で条文も見ておきましょうか。 |
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民法第186条1項。 『(占有の態様等に関する推定) 第186条 1項 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。』 |
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答案勉強会でも話したように『平穏に、かつ、公然と』という点については、法律上の推定が働くわ。 だから、この点については、実際に問題になることはないわけよね。 そして『善意であり、かつ、過失がないときは』と192条が求めている要件のうち『善意』についても、同様に推定が働くわけよね。 『過失がないとき』すなわち無過失についてのみ186条の推定が働かないということになるわけだけど、ここで、188条を見てくれるかしら? |
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民法第188条。 『(占有物について行使する権利の適法の推定) 第188条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。』 |
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188条は、占有者の占有については『適法に有するものと推定する』としているわ。そうであれば、即時取得は、この『適法に有するものと推定』される前主の占有を信じて取引をしたことを前提とするのだから、その結果として、無過失も推定される・・・と判例も考えているわけね。 (判例:最判昭和41年6月9日) |
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ふぅ〜ん。 即時取得については、無過失も推定されるわけかぁ。 ん!? ちょっと、いいかな? ナカたん、あたしの大好きな取得時効について定めた条文・・・ちょっと何条か忘れちゃったけど、あの条文、六法で見てくれない? |
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民法第162条 『(所有権の取得時効) 第162条 1項 二十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その所有権を取得する。 2項 十年間、所有の意思をもって、平穏に、かつ、公然と他人の物を占有した者は、その占有の開始の時に、善意であり、かつ、過失がなかったときは、その所有権を取得する。』 |
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そうそう、コレコレ! 162条2項は、善意取得を定めていたよね。 この条文って、即時取得の条文の192条と、よく似ているじゃない。 『(即時取得) 第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。』 ってことは、162条2項の善意取得の場合の無過失についても、推定されそうって思えるんだけど、確か、取得時効の勉強会では、162条2項の無過失については立証しなければダメって話だったよね? コレって、なんで? いや、即時取得とは関係ないかも知れないけど、時効取得は、あたしにとって人生がかかっている極めて重要な条文だからさ。 ココは、多少関係なくとも是非知っておきたいんだよね! |
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関係ないことはないわよっ! 即時取得の無過失と、取得時効についての162条2項の無過失とは区別して抑えておくところだから、いい質問だと思うわ。 たしか、あの時の勉強会でも2014年の新司の択一を素材に、この問題については説明したと思うけれど、判例は、取得時効の162条2項の無過失については、 『民法162条2項の10年の取得時効を主張するものは、その不動産を自己の所有と信じたことにつき無過失であったことの立証責任を負うものである』 (最判昭和46年11月11日) とし、無過失についての立証責任はあるとしているわけよね。 この違いについては・・・えーっと、私ばかり話しているのもアレだし、ちょっと、つかさちゃんに説明してもらってもいいかしら? |
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はい、喜んで。 例えば、私が光ちゃんから、ある物・・・。 あ、この物についても、即時取得と異なり、時効取得の場合は、動産に限られませんから、動産でも不動産でもいいわけですが。 このある物を買い受けて、占有移転を受けたのですが、その売買契約が無効であったとしますよね。 そのような場合でも、私が、その物の占有開始当時、その無効原因を知らず、かつ、知らないことについて過失がなかった場合には、10年の占有で、そのある物を時効取得できるわけです(162条2項)。 但し、取得時効では無過失は推定されません。 占有の態様に関する要件については、確かに、192条と162条2項は共通しています。 でも、即時取得の対象は、取引行為によって占有を開始した動産に限られますが、取得時効は、それ以外についても成立します。 つまり、動産であっても、占有取得の原因が取引行為でない物でもいいわけですし、不動産であってもいいわけですよね。 即時取得は、動産取引の安全を厚く保護しようとする制度です。 これに対して、時効取得は、時効制度の趣旨である継続した事実状態の維持による法律関係の安定から求められた制度です。 取引保護の観点から即時取得では、真の所有者の権利よりも動産取引の保護を重視して、無過失の推定が働くことを認めているわけですが、有効な取引行為だけではなく、また動産に限られず不動産についても適用される取得時効については、真の所有者の権利を重視する静的安全の保護の要請が強いことから、無過失についての立証責任を求める、という考え方がとられているわけです。 |
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成程ねぇ〜。 (なんだよぉ。 取得時効についても無過失を推定してくれればいいのになぁ。 まぁ、あたしの沖縄別荘計画は、善意取得は考えにくいから、あんまり関係ないと言えば、関係ないけどさぁ。) |
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民法総則の復習は不十分かと思っていたけど、そんな質問が咄嗟に出てくるとこ見ると、しっかり復習は出来ているみたいね。 | ||
えへへへ。 まぁねまぁね。あたしも沖縄に別荘欲しいもん。 |
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法曹として頑張って働いて、沖縄に別荘を建てるのね! いいじゃない、サルの夢なんだ。 |
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え? 法曹がナニ? いや、前提はよくワカラナイけど、あたしの夢ってことは、そうだね。 |
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素敵な夢じゃない。 その為にも、一緒に頑張りましょうね! えーっと、次は最後の5つ目の要件。 D占有を始めたこと ね。 動産の占有を始めるというのは、現に占有する者から引渡しを受けるということなんだけど、ここにいう『引渡し』に、「現実の引渡し」以外の『引渡し』が含まれるのか、ということについて問題があるのよね。 特に問題となるのは、占有改定なのよ。 『引渡し』についての勉強会でも学んだ占有改定は、物理的には占有移転は行われず、その『引渡し』は外から見えないにもかかわらず、178条の対抗要件としての『引渡し』には、あたる、という占有移転の形態だったわよね。 だから、占有改定によって対抗要件を取得した第一譲受人は、外部からは認識できない占有移転であるにもかかわらず、それ以降に同じ動産を譲り受けた者には対抗できる、ということになるわけ。 譲渡担保において特に問題になることが多いんだけれど、まだ譲渡担保の勉強はしていないから、その点については、また改めて勉強したいと思うんだけれどね。 |
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あの・・・光ちゃん。 話が脱線しています。即時取得をするために必要な5つ目の要件である『占有を始めた』という要件において、占有改定でもいいのか、という問題についての話だったはずですのに、占有改定の説明で終わってしまっていますよ。 |
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あ、そうね。 つかさちゃん、ナイスツッコミ。 えーっと、即時取得をするための『引渡し』も占有改定でいい、ということになると、二重、三重に占有改定が行われた場合に、後に占有改定を受けた者が最優先される、ということになってしまう・・・いわゆる「遅い者勝ち」という状況になってしまうのよね。 先の説明にもあるように、本来、対抗要件レベルでは、一番初めに占有改定によって『引渡し』を受けた者が最優先されるはずよね。 でも、即時取得の『引渡し』に占有改定を認めてしまうと、逆に、後から占有改定による『引渡し』を受けた者が、最優先するということになってしまうの。 192条の文言からは、この点をどう考えるべきかについては明確ではないので、解釈論に委ねるということになるわけなんだけど。 学説にも対立があって、即時取得の要件にいう『占有を始めた』ということに占有改定が含まれるのか、という点については、肯定説、否定説、折衷説とあるのよね。 |
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で、判例はなんて? | ||
ナニよ、その姿勢は・・・。 まぁ、ちょっと今日の勉強会も随分長引いてしまっているから、ココはあっさりまとめておこうかと思ってはいたんだけど、なんか気に入らないわね。 判例は、否定説の立場をとっているわね。 つまり、即時取得をするためには、占有改定ではダメってことになるわ。 『無権利者から動産の譲渡を受けた場合において、譲受人が民法192条によりその所有権を取得しうるためには、一般外観上従来の占有状態に変更を生ずるがごとき占有を取得することを要し、かかる状態に一般外観上変更を来たさないいわゆる占有改定の方法による取得をもっては足らないものといわなければならない』 と最高裁は述べているわね。 (最判昭和35年2月11日 百選T 6版66事件 7版65事件) |
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えーーーっ! 判例あるんだから判例検討したかったよっ! | ||
こくこく(相槌) | ||
ゴメンね。 えーっと、コレで即時取得の5つの要件については抑えたわけになるのかな。 要件ときたら、次は効果よね。 即時取得の効果は、条文から『即時にその動産について行使する権利を取得する』ってことよね。 ここにいう『即時に』とは、取得時効のように一定の占有期間を必要としない、ということね。 『その動産について行使する権利』とは、実際上は、所有権か質権であるんだけれど、動産先取特権の一部については319条は、即時取得の規定を準用しているわ。 まだ先取特権についての勉強をしていないから予習ってことになっちゃうけれど、先取特権は法定担保物権と呼ばれる担保物権なのよね。 だから、本来は、取引行為によって設定されるものではないので、即時取得の問題にはならないはずなんだけれど、民法が特に準用という形で、先取特権についても即時取得の規定による権利の成立を認めているってことになるわ。 先取特権の勉強もしていないのに説明を続けるというのも、少し申し訳なく思うんだけれど、また先取特権の勉強をしたら復習しといてくれるといいから、ここで説明をしちゃうわね。 例えば、旅館の主人は、宿泊客が、その旅館に持ち込んだ宿泊客の手荷物について、宿泊代金のために先取特権を有するのよね(民法317条)。 でも、その手荷物が宿泊客の所有物ではなかった場合でも、その手荷物を宿泊客の所有物だと信じた場合には、先取特権が認められる(民法319条)、ということになるわけ。 コレは、先取特権についても即時取得の規定が準用されているからなのよね。 |
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ふむふむ・・・。 なんのことかサッパリ、ワカランが、とにかく知らん顔してもらっとけばええってことだと認識したお。 |
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違うよ!!! | ||
違わないでしょ。 お客さんの持っている荷物は、すべからくお客さんの物だって思っておけば大丈夫ってことなんでしょ? ちょっとくらい「アレ?」って思うことあっても、知らん顔しとけば大丈夫ってことじゃない? |
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「アレ?」って思うことがあったのならダメじゃないの。 ちゃんと確認するなり、然るべき報告をするなりの対応をとりなさいよ。 |
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大丈夫、大丈夫。 善意については、法律上の推定が働くんでしょ。 平気、平気っ! |
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・・・。 (・・・勉強を進めるごとに、藤先輩がダメになっていくです・・・。 藤先輩は、一体ドコに向かっているのか心配でならないです・・・。) |