司法権の限界D 
それじゃ、今日の勉強会では、引き続き司法権の限界という問題について学ぶことにするわね。大分、勉強会の回を割いたけれど、司法権の限界の問題については、今日が最後になるわ。
今日も検討判例は多いけれど、最後ってことで気を引き締めて頑張りましょ!

司法権の限界
C団体内部事項に関する行為に対する限界

を、

@宗教問題と裁判所の審判権に関わる訴訟
A部分社会の法理


つに分けて見ていくってことだったわね。
今日は、このA部分社会の法理の適用される場面について見ていきたいと思うわ。
  こくこく(相づち)。
まず、この部分社会の法理という考え方を抑えて欲しいわ。
この法理は、判例によって確立された判例法理だわ。

部分社会の法理については
自律的法規範をもつ社会ないし団体内部の紛争に関しては、その内部規律の問題にとどまる限りその自治的措置に任せ、それについては司法審査が及ばないという考え方があり、『部分社会の法理』と一般に呼ばれている
『憲法T・U 第5版 野中俊彦、中村睦男、高橋和之、高見勝利』 有斐閣 234頁
と説かれるわね。

今日の勉強会では、この部分社会の法理が適用される自律的法規範をもつ社会ないし団体とは、具体的にどのようなものをいうのか、という点について見ていこうと思うわ。 
共産党袴田事件最判昭和63年12月20日 百選U 189事件)は、以前やったけど、あの判例の見解からすれば、少なくとも政党については、自律的法規範が認められるってことだよね。
そうね。
政党については、部分社会の法理が適用されるってことになるわね。
ホントは政党については、日本新党繰上当選事件第一審東京高裁平成6年11月29日)を検討しておこうかと思ったけれど、それじゃ割愛しちゃうわね。
ええーーっ!!
オネーちゃん、余計なこと言わないでよぉ!
チイは、一杯一杯判例検討したいのにぃっ!
なんたるエゴイスト!!
自分の欲望のために、他人を非難するとは・・・我が妹ながら、げに恐ろしや。
まぁまぁ、チイちゃん。
今日は、他にも検討したい判例があるから。

それじゃ、百選掲載判例でもあるし、地方議会の議員への懲罰に、司法審査が及ぶのか、という問題を扱った最高裁昭和35年10月19日大法廷判決を見ることにするわね。
百選U 187事件) 
はい。
判例検討から戻ったばかりだけど、この流れでいっちゃうわね。

ここでは、大学の内部紛争について司法審査権は及ぶのか、という視点も大事にしてね。

それじゃ、次の検討判例は、富山大学事件ね。
最判昭和52年3月15日 百選U 188事件
部分社会の法理が適用される場面として、政党地方議会大学・・・と見たわけだね。 
そうね。

ただ、部分社会の法理が全面的に支持されているというわけではなく、この法理に対する批判・指摘もなされているわ。

例えば、
第一に、多様な中間団体についてそれぞれ司法権の介入が抑制されるべき理由は異なっているはずであり、それを一括して部分社会の法理を説くことは、問題の解明にさして資するものとはいえない。
 〜中略〜真理の探求を理念とする大学の自律性が尊重されるべき理由や、高い職業倫理の維持を目的とする法曹団体の自律性が尊重される理由も、それぞれ別個に論じられる必要がある。

 第二に、中間団体の自律性を尊重することは、その反面で、各団体内部の少数者の権利を裁判所は原則として保護しないということであり、それが憲法を支える個人の尊重という理念と整合するか否かという疑問を生む。
 しかし、団体が団体として活動するには、構成員に共通する特定の目的のために構成員の活動を統制・調整する必要があることは確かである。
 多様な団体の自律性を認めることは、それらに属する諸個人に多様な生き方を選択する余地を与えることにもつながる。団体内少数派の権利を裁判所がどこまで保護すべきかは、各団体の自律性を保護すべき理由の他に、当該団体への加入・退出がどこまで自由か、団体構成員としての地位が(裏から言えばそれを失うことが)一般社会の視点から見ていかなる意義を有するか、団体としての意思決定に個々の構成員がどこまで関与しうるか等の諸点に依存するであろう


といった指摘もなされているわね。
長谷部恭男『憲法【第6版】』新世社 2014年 404頁) 
第二の問題については、また判例検討という形で考える機会がありますよね。
南九州税理士会事件や、群馬司法書士会事件などが、この問題について考える事案になるわよね。 
あ、ソレ、チイも知っているよ!
今やろう、今やろうっ!!
チイ。
お楽しみは、後にとっておくと、さらにお楽しみになるじゃないの。
なんでも、すぐにやろうとしちゃダメだよ?
わわわわわっ!!
流石、オネーちゃんだよ!!
まだまだ楽しみがあるんだって思ったら、なんだかチイ、急にすっごくワクワクしてきちゃったよ!!
スゴい、スゴぉーーいっ!!
流石、藤さんです!
いつも、そんな気持ちで勉強に励まれているんですね!
確かに、何かを知る喜びというのは、素晴らしいものですものね。
勉強になります! 
だおだお。
(・・・なわきゃあるかお。
 こんなお楽しみなら、いっそ来世まで、とっといてもいいくらいだお。)
・・・。
(・・・ダメだ、こいつ。
 なんとかしないと・・・です。)

新着情報