議院の権能@ 議院自律権 | ||||||||||||
前回は、国会議員の権能、国会の権能と見てきたわよね。 今回と次回とで2回に分けて、議院の権能を勉強するわね。 あ、その前に軽く質問から入ろうかな。 質問! 国会と議院とは、どう違うかワカル? |
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国会っていえば、それは衆議院と参議院の両者を意味します。 これに対して、議院といったら、それは衆議院か、参議院のいずれかということになります。 |
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あ、そうなんだ。 へぇ〜。 ナカたん物知りだねぇ。 |
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物知りだねぇ・・・じゃないわよ! あんたも、ちゃんと言葉の定義くらいは知っておきなさいよ! そうね。議院は、衆議院 or 参議院 ってことになるわよね。 今回と次回とで学ぶ議院自律権とは、各議院が、内閣・裁判所などの国家機関や他の議院から監督や干渉を受けることなく、その内部組織および運営等に関し、自主的に決定できる権能のことをいうの。 ちょっと下の図を見てくれる? |
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議院自律権は、自主組織権と自主運営権とに大別されるわ。 そして、それぞれの中身については、上の表の通りになるわね。 今日の勉強会では、この中身について見ていくことにするわ。 それじゃ、まずは自主組織権の中身からね。 1つ目にある議員の資格争訟裁判権ね。 六法で、憲法55条を見てくれる? |
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憲法55条。 『第55条【資格争訟の裁判】 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。』 |
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議員の選挙に関する争訟の裁判は、現行法制上、裁判所の権限に属するわ。 でも、議員の資格に関する争訟の裁判は、憲法により、議院の自律性を尊重し、とくに当該議員の所属する議院が自ら行うべきものとされているの。 これが議員の資格争訟裁判権なのね。 ちなみに、憲法55条にいう『資格』についてだけど。 これについては、まず六法で、憲法44条を見てくれる? |
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憲法44条。 『第44条【議員及び選挙人の資格】 両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める。但し、人種、信条、性別、社会的身分、門地、教育、財産又は収入によつて差別してはならない。』 |
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憲法44条は、『両議院の議員及びその選挙人の資格は、法律でこれを定める』としているわよね。 従って、ここにいう『資格』には法律の定めから、 @被選挙権を保持すること(公職選挙法10条、11条)。 A議員との兼職が禁じられている職務についていないこと(国会法39条) が要件とされているわ。 役員選任権については、条文のとおりね。 憲法58条1項に『両議院は、各々その議長その他の役員を選任する。』と定めがあることから、この権利を有するわけ。 そして、議員の逮捕の許諾及び釈放要求権利については、議員の不逮捕特権で勉強したから、ここでの説明は省略するわね。 怪しいなぁ、って思うんだったら、ちゃんと復習しておいてね。 |
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はいはぁ〜い。 |
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・・・。 (まさに『生返事』です!) |
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それじゃ、次は、自主運営権の中身についてね。 1つ目は、議院規則制定権。 六法で、憲法58条2項を見てくれる? |
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憲法58条2項。 『第58条【議院規則・懲罰】 2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。』 |
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『議院規則は、一般的には、法律よりも下位の国法を指し、81条所定の違憲審査の対象たる規則の一つと考えられている。 しかし、議院の懲罰権や議事手続などに司法審査は及ばないとするのが通説・判例でありながら、同じ自律権として扱う議院規則を司法審査の対象とすることに対しては異論がある』 (大隈義和編『憲法U』法律文化社 164頁) という指摘もあるわね。 この議院規則制定権と法律との関係が問題となるわ。 議院規則制定権と、法律(特に国会法)、そのいずれの効力を優位なものとして扱うべきか、という問題ね。 排他的議院規則説という国会法の規定は両議院の「紳士協定」以上の意味を持たず、規則を有効とする・・・という考え方もあるんだけれど。 一般的には、競合的所轄事項説の立場から、法律優位説、あるいは、規則優位説の考え方が有力ね。 法律優位説によれば、国会法の効力が議院規則に優位する、という結論になるわ。 この考え方は、規則が一院だけで制定されうるところ、両議院の意思の合致により制定される法律たる国会法を規則で変更することは認められないことを、その理由としているわね。 規則優位説によれば、議院規則の効力が国会法に優位する、という結論になるわ。 この考え方は、議院の自律権を重視する立場に立っているわけね。 |
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ドッチを抑えておけばいいの? | ||||||||||||
ナニが? | ||||||||||||
法律優位説と規則優位説で、2つ言ったじゃない。 で、ドッチを抑えとけばいいの? って聞いてるの。 |
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判例があるところじゃないからね。 まぁ、2つ共、抑えておくべきじゃない? |
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うえぇぇ〜っ!! 聞くんじゃなかったぁ。 |
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ホントは、もっと細かく分かれるところなのよ? この問題に、衆議院の優越って問題を考えると、余計にややこしくなるところだし、でも、そこまで問われることもないと思うし、まぁ、この2説を抑えておけばいいかな、って。 じゃあ、次の議員懲罰権(憲法58条2項)にいくわね。 条文は、さっきナカちゃんが読んでくれたとおりよね。 この議員の懲罰の内容には、国会法122条から @公開議場における戒告 A公開議場における陳謝 B一定期間の登院の停止 C除名 の4種類があるわ。 このうちCについては、憲法58条2項但書きもあるわね。 |
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辞職勧告決議は、入らないの? | ||||||||||||
辞職の勧告だからね・・・。 法的拘束力がないものだから妥当であるとする見解と、辞職勧告決議は、事実上、政治的圧力をかけて辞職を迫るものなのだから、過半数の決議で成立してしまうことは除名(出席議員の3分の2以上の議決を必要)の手続きと比較して均衡を失するものではないか、とする見解とがあるわね。 |
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ぶっちゃけ辞職勧告なんて、議員を辞めろって言ってるんだから、除名と一緒だと思うなぁ。 | ||||||||||||
そのあたりは価値判断だからね。 サルが、そう思うのなら、今説明した見解の後者の立場からの論旨展開をするようにすればいいと思うわ。 うーん、議院自律権については、こんなところかな。 国政調査権も一緒にやって国会については終わりにしようかとも思ったんだけれど、少し検討判例もあったから、1回で終わらせるにはボリュームが多いかな、って思ったのよね。 というわけで、少し短い気もするけれど、今日はここまでかな。 |
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なんか学説とか条文ばっかりだと聞いてて、あまり面白くないんだよねぇ。 | ||||||||||||
あんた、判例検討したらしたで、判決文が長いだの、事案再現が面倒だのって文句言うじゃないのよ。 | ||||||||||||
今、気付いたんだけど・・・。 あたし、勉強自体が苦手なのかも知れない・・・。 |
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・・・。 (大丈夫です。 その事実は、藤先輩以外、みんな知ってました。) |
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受身の姿勢に問題があるのかもね。 もっと積極的に考えることを大事にしたら、どうかしら。 |
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あっ! いいことを思いついたです! 民法の代理の勉強会のときのように、藤先輩が教える側にまわれば、いいんじゃないでしょうか? |
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成程っ! 受身という参加姿勢に問題があるのなら、教える側にまわることで、その問題は解決するってことだね! |
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そうです、そうです! 藤先輩、これでバッチリです! |
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『だが断る』 | ||||||||||||
・・・・。 | ||||||||||||
・・・・。 | ||||||||||||
ナカちゃん。 オネーさんと一緒に、帰りに喫茶店でも行かない? |
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こくこく(相槌) | ||||||||||||
喫茶店行くの? あたしも行く! 行く! |
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あんたはソコで反省でもしてなさいよ! 親身に相談にのった私達の気持ち裏切るような人には、飲ませるお茶なんてないわよ! |
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しょぼぉ〜ん。 |