国会議員の特権A 免責特権 | ||
えへへへ。 えへへへ。 昨日のお寿司は美味しかったなぁ。 なんか思い出し笑いしちゃうくらいだお。やっぱり美味しいモノ食べられるのは幸せだよねぇ。 |
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藤さん、あんなに食べても太らないなんて凄いですよね。 やっぱり、日頃から頭をよく使われてみえるからなんでしょうか。 |
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・・・。 (その理屈だと、今頃藤先輩は、百貫デブになってしまうことになりそうです。) |
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ただ、出来れば廻らないお寿司屋さんで食べてみたかったかなぁ。 正直、まだあたしの人生で、廻らないお寿司屋さんとの遭遇はないんだよねぇ。 |
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ごめんなさぁーい。 ちょっと遅刻しちゃったわね。 お昼休みの購買込んでいて、レジで並んでいたら遅れちゃったわ。 |
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罰金っ! 罰金っ!! 遅刻の罰として、廻らないお寿司屋さんでのゴチを求めるお! |
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3分も遅れていないのに、あまりに不当な罰です・・・。 比例原則違反も、甚だしいです。 |
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カウンターのお寿司屋さんだと、横一列になっちゃうから、みんなで会話ができないじゃないのよ。 まぁ、御座敷で食べればいいかもだけど、サルのペースが尋常じゃないから、沢山ネタの廻っている回転寿司で良かったと思うんだけど。 |
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あまりに久し振りの御寿司が美味し過ぎて、流石に、昨日はあたしも食べ過ぎたって思ったからなぁ。 何皿食べたんだろ・・・ちょっと憶えてないなぁ。 |
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とぼけちゃダメです! 55皿です・・・。 |
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そっか・・・。 きっと、敬遠とかがあって超えられなかったんだろうなぁ。 真っ向勝負して欲しかったなぁ。若菜めぇ。 |
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あれだけ好き放題に食べておいて、今更なんの真っ向勝負よ! 王さんの偉大なるHR記録と、あんたの回転寿司の食べた皿の数とを、無理矢理シンクロさせるのはやめてくれない? 大体、王さんの55本のHR記録は、ヤクルトのバレンティンが60本で塗り替えているじゃないのよ。 |
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それじゃ、あたしは次は61皿を狙ってみるお! よしっ! 早速、今夜にもリベンジと行くしかないね! これは! |
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リベンジしたいのなら勝手に行きなさいよ。 2晩続けて御寿司なんてイヤよ? 私は。 はい、それじゃ国会議員の地位というテーマから、国会議員の有する特権について学ぶことにするからね! 前回、この特権のうち、@不逮捕特権、B歳費請求権については学んだから、今日は、 A免責特権について学ぶことにするわね。 六法で、憲法51条を確認してくれる? |
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憲法第51条。 『第51条 【議員の発言・表決の無責任】 両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。』 |
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このA免責特権の趣旨は、民意を代表する議員(特に少数派議員)が、国会で職務を全うするために他の国家機関や他の議員(多数派議員)らから自由に発言・行動することを保障するものと解すべき、とされているわね。 この免責特権の、免責の範囲について学説上の争いがあるの。 免責の範囲を狭く解するのか、それとも広く解するのか、という違いから、次の2つの考え方があるわ。 国会議員限定説 と 国務大臣包含説 ね。 まぁ、名前からもワカルと思うけれど、免責の範囲が狭いのは前者で、広いのは後者になるわね。 国会議員限定説は、免責特権が、不文の議院自律権に由来し、国会議員の職務遂行の保障に仕えるものであることを、その根拠にしているわ。 これに対して、国務大臣包含説は、憲法上、内閣を組織する内閣総理大臣その他の国務大臣は『何時でも議案について発言するため議院に出席することができる』(憲法63条)ことを根拠に、国務大臣も、国会議員と同じ特権を保持する、としているのよね。 |
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判例の立場を、ここで説明しないといけませんよね!? | ||
ん? (あ、そっか・・・。 判例検討ないと来ちゃダメだって思っているからか。 別に、そんなこと気にせず来ればいいのに。 律儀な眼鏡だなぁ。) |
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まぁ、検討しないといけない判例ってわけでもないから、軽く説明するくらいでいいと思っていたんだけどね。 判例の立場は、国会議員限定説とされているわね。 この問題を扱った判例としては、 東京高裁昭和34年12月26日判決があるわ。 『議員の院内における発言を証拠としてその議員の院外における犯罪行為を処罰することまでも禁止したものと解することができないばかりでなく、右参議院の会議録に顕われた被告人の発言は、国務大臣としての発言と解せられ、参議院議員としての発言とは認められないものであるから、検事の右行為を目して同条に違反するものということはできない。』 判決文からもワカルように、判例は国会議員限定説の立場といえるわね。 |
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あぁ・・・。 アッサリとした紹介だけで終わっちゃうんですね。 |
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百選掲載判例ってわけでもないしね。 あ、でも次の判例は、しっかり検討するつもりだから、そんな残念そうな顔しないでよ、つかさちゃん。 免責の範囲が、国会議員に限定されるものであるとした上で尚、問題は残っているわ。 どのような行為が、免責行為とされるのか、という問題よね。 免責行為の対象を、法的平等の見地から、国会議員が「議院で行った演説、討論又は表決」に狭く限定する考え方と、国会議員の職務遂行に付随する行為をも当然に含むものとして広く捉える説とがあるわ。 さて。 この問題を判例は、どのように考えているのか、ということで、つかさちゃんお待ちかねの判例検討ってことで、いいかしら? |
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はい! 百選U 175事件。 第一次国会乱闘事件(東京地裁昭和37年1月22日判決)ですよね! 早速、検討することにしましょう! |
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この事件って、「第一次」ってなってるってことは、「第二次」とか、その後もあるのかな? | ||
あんた、ホントどうでもいい質問ばっかりね。 一応、「第二次国会乱闘事件」はあるわね。 まぁ、論点自体は被っているから判例検討はしないけれど。 |
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じゃあ、スパロボの勝ちだね! スパロボは、第5次までやってるからね! |
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第5次(『スパロボF』)は、イデオン参戦のアツい戦いでした。 | ||
2人揃って、どうでもいい質問から、どうでもいい話題にシフトしないでくれるかしら。 免責特権の範囲についての判例の立場は理解できた? それじゃ、次の論点にいくわね。 憲法51条は 『両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。』 としているわよね。 ここにいう『責任』とは、一般国民であれば負うべき法的責任のことをいうの。 具体的には、損害賠償や名誉毀損といった民事および刑事上の責任のことね。 つまり、国会議員は、免責特権があるから、名誉毀損があっても免責されるってことになるわ。 でも、国民の名誉やプライバシー侵害をしておいて、免責特権があるから損害賠償責任はありません、ってどうなの? って思う気持ちはあるわよね。 この免責特権と、国民の名誉・プライバシーとの関係において学説は2つに分かれているわ。 @絶対的免責特権説 憲法51条は、議員の自由な言論によってあるいは侵害されるかもしれない個人の利益と、それが国民全体にもたらす利益を比較衡量して、後者をとり、議員に絶対的免責特権を与えたものと理解されるべきである、とする考え方。 A相対的免責特権説 議員による明らかな名誉毀損・プライバシー侵害行為を一律に適法としてしまうことは、人権が原則として内在的制約にのみ服するとする憲法原理と抵触するものといえ、憲法自体が明文上そうした政策的制約を容認しているのであれば別段、そうでない限りは、人権規制に関する一般法理が妥当すると考えるべきである、という考え方。 とがあるのね。 @の考え方だと、基本的には、どんな法的責任も免除されるってことになるわ。 これに対してAの考え方だと、国家賠償くらいなら認められるかなぁ、ってことになるわね。 |
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では、この問題について、どう考えるのか? ということに応える判例を検討するって流れでいいですよね。 免責特権と国民の名誉・プライバシー。 この問題を考える上で、検討する判例は百選U 176事件。 最高裁平成9年9月9日判決ですね。 |
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・・・。 (喰い気味にカットインしてきよったお。) |
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そうね・・・。 見ておくべき判例よね・・・。 事案の再現には、少し不向きな内容だから、口頭で事案説明をすることにさせてもらうわね。 昭和60年11月21日の衆議院社会労働委員会において、ある衆議院議員が、札幌市にある病院の問題を質疑したわ。 その際に、その病院の院長が女性患者に対して破廉恥な行為をした、院長は通常の精神状態ではない、といった発言をしたのね。 その翌日、その質疑で取り沙汰された院長は『死をもって抗議する』という旨の遺書を残して自殺したわ。 この院長の自殺を受けて、院長の妻は、国と質疑をした衆議院議員を相手取り、損害賠償請求を提起した、という事件なのよ。 |
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ある衆議院議員って言っておいてリンク張ったら・・・。 ん? デジャヴかな? |
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争点は、ワカルわよね。 この事案の争点は、国会内で発言した国会議員に対する訴えは、免責特権(憲法51条)によって保護されるのか? ということよね。 因みに、この判決では、国会議員の発言が、国家賠償責任の対象となるのは、どのような場合か、という点についても言及しているから、その点についても見ることにしましょうか。 |
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お医者さんが自殺されているなんて可哀想な事件です・・・。 | ||
最高裁は、次のような判断を下したわね。 『本件発言は、国会議員である被上告人によって、国会議員としての職務を行うにつきされたものであることが明らかである。 そうすると、仮に本件発言が被上告人の故意又は過失による違法な行為であるとしても、被上告人国が賠償責任を負うことがあるのは格別、公務員である被上告人個人は、上告人に対してその責任を負わないと解すべきである。 したがって、本件発言が憲法51条に規定する『演説、討論又は表決』に該当するかどうかを論ずるまでもなく、上告人の被上告人に対する本訴請求は理由がない。』 『国会は、国権の最高機関であり、憲法改正の発議・提案、立法、条約締結の承認、内閣総理大臣の指名、弾劾裁判所の設置、財政の監督など、国政の根幹にかかわる広範な権能を有しているのであるが、憲法の採用する議会制民主主義の下においては、国会は、国民の間に存する多元的な意見及び諸々の利益を、その構成員である国会議員の自由な討論を通して調整し、究極的には多数決原理によって統一的な国家意思を形成すべき役割を担うものであり、国会がこれらの権能を有効、適切に行使するために、国会議員は、多様な国民の意向をくみつつ、国民全体の福祉の実現を目指して行動することが要請されているのである。 そして、国会議員は、立法に関しては、原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うものではなく、国会議員の立法行為そのものは、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法行為を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法上の違法の評価は受けないというべきである』。 『国会議員が、立法、条約締結の承認、財政の監督等の審議や国政に関する調査の過程で行う質疑、演説、討論等(以下「質疑等」という。)は、多数決原理により国家意思を形成する行為そのものではなく、国家意思の形成に向けられた行為である。 もとより、国家意思の形成の過程には国民の間に存する多元的な意見及び諸々の利益が反映されるべきであるから、右のような質疑等においても、現実社会に生起する広範な問題が取上げられることになり、中には具体的事例に関する、あるいは、具体的事例を交えた質疑等であるがゆえに、質疑等の内容が個別の国民の権利等に直接かかわることも起こり得る。 したがって、質疑等の場面においては、国会議員が個別の国民の権利に対応した関係での法的義務を負うこともあり得ないではない。 しかしながら、質疑等は、多数決原理による統一的な国家意思の形成に密接に関連し、これに影響を及ぼすべきものであり、国民の間に存する多元的な意見及び諸々の利益を反映させるべく、あらゆる面から質疑等を尽くすことも国会議員の職務ないし使命に属するものであるから、質疑等においてどのような問題を取り上げ、どのような形でこれを行うかは、国会議員の政治的判断を含む広範な裁量にゆだねられている事柄とみるべきであって、たとえ質疑等によって結果的に個別の国民の権利等が侵害されることになったとしても、直ちに当該国会議員がその職務上の法的義務に違背したとはいえないと解すべきである。 憲法51条は、『両議院の議員は、議院で行つた演説、討論又は表決について、院外で責任を問はれない。』と規定し、国会議員の発言、表決につきその法的責任を免除しているが、このことも、一面では国会議員の職務行為についての広い裁量の必要性を裏付けているということができる。 もっとも、国会議員に右のような広範な裁量が認められるのは、その職権の行使を十全ならしめるという要請に基づくものであるから、職務とは無関係に個別の国民の権利を侵害することを目的とするような行為が許されないことはもちろんであり、また、あえて虚偽の事実を摘示して個別の国民の名誉を毀損するような行為は、国会議員の裁量に属する正当な職務行為とはいえないというべきである。 以上によれば、国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とすると解するのが相当である。』 としているわね。 |
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え? じゃあナニ? ちょっと聞いてて、よくワカラナかったんだけど、結局、免責特権(憲法51条)によって保護されるって言ってるわけ? そうじゃないって言ってるわけ? |
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免責特権の保障については触れていないのよね・・・。この判決。 だから「肩すかし判決」ってことで批判も強いわ。 ただ考え方としては、学説にいう相対的免責特権説の考え方に近いって言えるのじゃないかしら。 ただ、この事件は、結論としては国家賠償責任の成立を否定しているのよね。 判決文にもあるように 『国会議員が国会で行った質疑等において、個別の国民の名誉や信用を低下させる発言があったとしても、これによって当然に国家賠償法1条1項の規定にいう違法な行為があったものとして国の損害賠償責任が生ずるものではなく、右責任が肯定されるためには、当該国会議員が、その職務とはかかわりなく違法又は不当な目的をもって事実を摘示し、あるいは、虚偽であることを知りながらあえてその事実を摘示するなど、国会議員がその付与された権限の趣旨に明らかに背いてこれを行使したものと認め得るような特別の事情があることを必要とする』 としているわけなんで、国会議員の発言が、国家賠償法上の違法と認められるのは、極めて例外的な場合と言えそうよね。 |
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ちょっと想定できないです。 これでは、あんまりです。 |
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そうよね。 あ、ちょっと空気が重たくなっちゃったわね。 じゃあ、最後に復習がてら質問をして終わりにしましょうか。 質問! ナシオン主権(=国民主権)から考えると、免責特権は、重視されるべき、それとも例外的・限定的に捉えるべき? ドッチだと思う? |
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ナシオン? (憲法総論 国民主権参照) |
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それもう御約束になってない? | ||
違いますよ、藤さんは私に回答する機会を下さっているんですよね? ナシオン主権原理から考えれば、純粋代表制を前提(=議員の選挙民からの法的独立が保障)とするわけですから、免責特権は重視されるといえますよね。 |
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そう考えられるわよね。 | ||
だおだお。 | ||
ナニが「だおだお」よっ! あんたは、首かしげていただけじゃないのよ! |
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だって、今更じゃない? あたしに、そんなレベルの質問なんて、正直答える気にもなれないってところあるからねぇ。 |
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ワカリます、ワカリます! | ||
やっぱワカる人には、ワカッちゃう? そういうの。 うんうん。 じゃあ、違いのワカるクロちゃんには、あたしが今晩は手料理を御馳走してあげるお! |
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あ、つかさちゃん。 断っといた方がいいわよ? サルの家の晩御飯は、ホント、モヤシしか出てこないから! |
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私、藤さんのモヤシ料理大好きだから大丈夫です! | ||
う〜ん! 違いのワカる女は、やっぱり味の違いもワカッているねぇ! いいね、いいねぇ! |
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可哀想に・・・ 既に、モヤシ教の教祖様に洗脳されちゃってるのね。 |
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モヤシ教はさておき、黒田先輩が藤先輩を過剰に評価していることは、最早、洗脳と言っても差し支えないレベルだと私も思うです・・・。 |