東京地裁昭和37年1月22日判決 〜第一次国会乱闘事件〜 |
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国家議員の議会での暴行事件を扱った事案なのよね。 まぁ、あまり当時の人を特定するというのも意味のないことだし、少しザックリとした事案再現ってことで、いいわよね。 それじゃ配役ね。 暴行を働いた参議院議員ら(複数)を、まとめてサルが。 暴行の被害に遭った運営委員会委員長と衛視を、ナカちゃん。 私は、ナレーター役で。 |
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ナレーター |
昭和30年7月30日。 参議院議院運営委員会が行われていました。 |
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ほうほう。 なるほど、なるほど。 |
暴行を働いた議員 |
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被害にあった委員長 |
カクカクシカジカです! |
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ふむふむ。 マルマルウマウマ・・・ |
暴行を働いた議員 |
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・・・って、ナニ言うとるんだお! この野郎だおっ!! |
暴行を働いた議員 |
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被害にあった委員長 |
ひぃぃぃぃっ! です! | |
この野郎! この野郎! ゆっくりちねっ!! |
暴行を働いた議員 |
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被害にあった衛視 |
そのような行為は認められないです! 直ちにやめて下さいです! |
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うるさいんだお! 衛視は、アッチ行ってろだお! |
暴行を働いた議員 |
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被害にあった衛視 |
あうあうあうです! 痛いです! |
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ナレーター |
委員会に主席していた委員の1人と、傍聴していた2人の参議院議員らの暴行によって、委員長は全治3ヶ月の傷害を、止めに入った衛視は全治1週間の傷害を、それぞれ負うこととなりました。 3人の参議院議員は、いずれも公務執行妨害及び傷害の罪で起訴されました。 |
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むしゃくしゃしてやった、反省はしていない。 ・・・じゃない。じゃない。 参議院の規律に関することに、行政庁である検察庁が介入することは、国権の最高機関性、そして、議院自律権を犯すものである! 議院内部の問題は、先ずもって国会に先議権があるべきであり、裁判所は議院の告発なくして介入することは認められないっ! 要は、お前らは黙ってろっていう! でっていう! |
暴行を働いた議員 |
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ちょっとっ!! やるならやるで、ちゃんとやってよね!! ふざけて事案再現しちゃうと、事案の流れがよくワカラなくなっちゃうじゃないのよ! |
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光ちゃんが「少しザックリした」再現でいいって言ったからさぁ。 | ||
「少し」ねっ!! あんたのは「少し」ってレベルじゃないじゃないの! |
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暴行の頭突きの痛さは「少し」なんてものじゃなかったです! | ||
全治3ヶ月の怪我だかんね! そこは、あくまでもリアリスティックを追求したわけだお。 |
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ナニ、自分に都合のいいところだけ真面目に再現しました! みたいに言ってるのよ! そういうところこそ、振りでいいのよ、バカっ! |
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・・・一生懸命、再現に努められた藤さんをバカ呼ばわりされるなんてヒドいですよ。 | ||
クロちゃん。 ありがと。 あたし、1人でも、あたしのことをワカッテくれる人がいるなら、それでいいよ。 |
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やりたい放題やっておいて、まさかの被害者面です。 | ||
話進まないから、事案の争点を、まとめるわね? この判例から学びたいのは、免責特権の趣旨・目的。 そして、免責特権の及ぶ範囲についてね。 あとはそうね。 議員の職務付随行為を起訴するには、議院の告発が必要となるのか? という点についても、この判決では述べているから、その問題についても確認して欲しいわね。 原文がとにかく長いから、この事件を扱った判例百選でも、相当判決文を削って、間間に、言葉を補って判旨を掲載しているわね。 まぁ、下級審は事実審だから、どうしても事実認定に文章量を割く必要があるから仕方ないのかもね。 というわけで、判決文は、ちょっと言葉足らずな印象を受けるかもだけど、全文掲載できない理由は察して欲しいわ。 |
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おひょ。 ということは短めの判決文になるってことじゃまいか? うひょひょひょひょ。 |
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元々が相当長いって言っていますから過度な期待はされない方がいいんじゃないでしょうか? | ||
それじゃ、判決文の判旨を紹介するわね。 憲法41条の『『国会の最高機関性』という意味を弁護人の説くような意味で国会が他の2機関(内閣と裁判所)に対して法的に絶対的優位にあるものと解することは正当ではない』。 『民主主義にとっては社会の健全な発達をもたらすために言論の自由を確保することが必要不可欠の要件である。 このことは一般国民の間においてもそうであるが、直接国家意思の形成にあたる議員の議会における発言は一般国民に比してより一層の自由が確保されなければならない。 国会では行政、司法等に対する徹底的な批判が行わなければならず、そのため往々にして個人の名誉、社会の治安を害することがありうるのであり、通常の場合には尊重さるべき個人、社会等の反対利益も譲歩を余儀なくされざるを得ないのであって、もしこれにかかずらっているときは言論を萎縮させ、また場合によってはこれを抑圧することになりかねないのである。 本条において議員の院内の言論について院外における責任免除の特権を認めたのはこのような政策的考慮から処分を免除し、発言の自由を保障し、もって国会の機能を遺憾なく発揮せしめんことを企図したものである』。 『本条の免責特権が』『法の目的および趣旨によって国会議員に付与されたものであることに鑑みるときは、その特権の対象たる行為は同条に列挙された演説、討論または表決等の本来の行為そのものに限定せらるべきものではなく、議員の国会における意見の表明とみられる行為にまで拡大されるべき』であり、『議員の職務行為に付随した行為にもこれが及ぶという考えも一概にこれを排斥することはできない』。 『議員の院内活動についても議院の告発を起訴条件とするときは職務行為に無関係な犯罪行為』『についても検察庁はこれを起訴し得ないこととなり、場合によっては多数派の考え方次第で普通の犯罪が隠蔽されるおそれを生ずる』。 また、『議員の議事活動に付随して発生した犯罪について職務行為の範囲内外を審理決定する権限は現行法上国会に与えられていない』。 と述べているわね。 |
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短いぃ〜。 | ||
第一声の感想は、ソレですか。 | ||
ホントよね。 そんなこと誰も聞いてないわよ! この判決文から、免責特権の趣旨・目的がワカルわよね。 免責特権を国会議員に与えた目的は、『国会の機能を遺憾なく発揮せしめんことを企図したもの』なのよね。 そして、その趣旨は『直接国家意思の形成にあたる議員の議会における発言は一般国民に比してより一層の自由が確保されなければならない』から目的達成のために『政策的考慮から処分を免除し、発言の自由を保障』するものと位置づけているわけね。 そして、免責特権の及ぶ範囲については『その特権の対象たる行為は同条に列挙された演説、討論または表決等の本来の行為そのものに限定せらるべきものではなく、議員の国会における意見の表明とみられる行為にまで拡大されるべき』であり、『議員の職務行為に付随した行為にもこれが及ぶという考えも一概にこれを排斥することはできない』として、広く見よう、と述べているわ。 但し、『議員の院内活動についても議院の告発を起訴条件とするときは職務行為に無関係な犯罪行為』『についても検察庁はこれを起訴し得ないこととなり、場合によっては多数派の考え方次第で普通の犯罪が隠蔽されるおそれを生ずる』ことから、『議員の議事活動に付随して発生した犯罪について職務行為の範囲内外を審理決定する権限は現行法上国会に与えられていない』としているわね。 つまり、議員の職務付随行為についても免責特権は認めるとしながらも、議院の告発は不要であるとしているわけ。 |
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ほむほむ・・・。 ところで、この事件。 あたしの演じた暴行を働いた国会議員は、どうなったんだお? |
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ちょっと! 食いつくのはソコ? 暴行を働いた参議院議員らの主張自体は退けられたんだけど。 暴行を働いた参議院議員の2人については証拠不十分。 あと1人については、構成要件には該当するものの刑法上の違法性を欠くってことで、結論としては全員無罪になっているわね。 まぁ、憲法の勉強会には関係ない話にはなっちゃうけれど。 |
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頭突きされた私としては、なんだか釈然としないです。 | ||
国会の機能を担保するためには、国会議員にもある程度の特権は必要だからね! 時には、荒業も辞さない気持ちも大事ってことだよね! |
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その理解は間違っているわ。 本件が無罪とされたのは、あくまでも証拠不十分や、実質的違法性を欠くからであって、免責特権は、本件の暴行に及ばないんだからね! ザックリ言うなら、私語や、野次。 もちろん本件のような暴行行為、これらについては免責特権の対象にはならないって理解だからね。 ナニが荒業も辞さないよ、あんた、どんだけ野蛮なのよ! |
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ですよね! 藤先輩みたいな人が居ては、まともな議論もできないですものね。 |
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・・・。 (チビっ子め・・・。 反抗期なのかお? あたしに対する風当たり強くないかお?) |
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理路整然と話をされる藤さんとの議論ができないというのであれば、それは相手方に問題があるように思うのですが。 | ||
つかさちゃんは、つかさちゃんで悪い意味でブレないわねぇ。 どうしてそんな結論になるのか、レポート用紙3枚で提出してもらいたいくらいだわ。 |
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私の藤さんへの思いの丈を綴るだけで序論でレポート用紙なら最低10枚は見て頂きたいところですが。 | ||
っ!!! ・・・じょ、じょ、冗談だから。 そ、そんな怖い顔しないでよね。 |