代表民主制の構造 全国民の代表 | ||
いやぁ、この前の山菜パーティーは楽しかったねぇ。 ね、ね、ナカたん! |
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この前・・・って言いますけど、あの山菜パーティーは5月の話ですよ? 今はもう10月も終わりになるのですけど、それでも「この前」でしょうか? |
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どうして、そういうこと言うかなぁ。 言わなきゃワカラナイのに、もうこのチビっ子ときたら・・・。 |
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あら。 なんだか随分御無沙汰な感じしちゃうわね。 気のせいよね? |
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気のせい、気のせいっ! 約5ヶ月ぶりなんて、そんなことはない、ないっ!! |
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そうよね! それじゃ、何事もなかったかのように、今日のテーマについて話すことにしちゃうわね。 今日から学ぶテーマは、国会ね。 まずは、復習がてら、代表民主制の構造から話すことにするわね。 日本国憲法は、代表民主制を採用しているわ。 代表民主制については、以前の勉強会で話したから大丈夫よね? |
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流石、光ちゃんっ! 何事もなかったかのように勉強会突入っ! すばらっ! マヂすばらっ!! |
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これだけ長いこと放置しておいて、その説明もなしなんて、ちょっとヒドい気がするです・・・。 | ||
まぁまぁ。 それじゃ、代表民主制の構造についての理解からね。 代表民主制の構造には、次のような枠組みがあるとされているわ。 まずは、 純粋代表制。 これは、諸々の代表機関が、国民の名で主権を行使し、国民は単に代表者を選出するにとどまり、しかも代表者は、代表者を被代表者の拘束の下に置く命令的委任や、国民の一般意思の直接的表明を可能にするとう直接民主制的制度とは、まったく馴染まない統治形態ね。 次に 半代表制。 これは、国民は直接決定を下すことはないが、代表者に事実上もしくは政治上の影響を与えることができるというものね。 つまり、そこでは、代表者は、選挙人の多数によって表明された実際の国民意思をできるかぎり正確に表現することが要請されることになるの。 次は 半直接制。 これは、半代表制と、次に説明する直接制との間に位置づけられる統治形態をいうわ。 決定権は、国民と代表者に分配され、しかも代表者はかなりの程度において選挙人団の監督に服するとされるわ。また、それのみならず、法律は依然として基本的には代表者会議によってつくられるんだけど、一定の重要な問題に関しては、国民が議会の外で自らの意思を直接表明し、決定することができるとされるものなのね。 最後に 直接制。 この直接制とは、国民は仲介者を介することなしに全ての法律を採択し、もし可能であれば、他のあらゆる国家的決定をも行うこととなるわ。 この構造下においては、議会は存在しないか、少なくとも、原理上は必要とされないことになるわね。 |
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いやいや、最後の直接制は無理があるでしょ。 | ||
まぁそうよね。 直接制は、ちょっと事実上不可能といえるわよね。 議会の存在を否定しちゃってるわけだからね。 まぁ、代表民主制の構造を考える上での枠組みだから、現実問題としての肯否までは考えなくてもいいとは思うけれどね。 じゃあ、上記の説明を受けて、幾つか質問をして、理解を促すことにするわね。 質問! 上記枠組みの中では、日本は、学説上、どの枠組みだと思う? |
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直接制はないっ! ホラ、ナカたん、あとは3択だよ? 適当答えても、33%で当たる楽な質問だよ? |
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ナニよ、その誘導は。 適当に答えるんじゃなくって、ちゃんと、それぞれの枠組みから考えて答えてよね! |
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半代表制か、半直接制かと思うのですが・・・そこからは判断つかないです。 | ||
うんうん。いいところまで来てるわ。 答えとしては、この枠組みの中では、日本は、学説上、半直接制とされているわね。 『国民により選出された国会は原則として立法権を行使するが(憲法41条以下)、国会の議決した憲法改正案について必ず国民表決の手続きを経ることが求められ、しかも、その単なる過半数によって国会両議院の特別多数決で決定した意思をも覆すことができる、と定められているから(憲法96条)』と説明されるわね。 (大石眞『憲法講義T 第2版』有斐閣 2009年 75頁) |
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ナカたん、33%どころか50%だったら、もう当てないとぉ〜。 | ||
じゃあ、あんたが見本を見せてみなさいよ! 質問! 上記構造の枠組みの中で、もっともナシオン的といえるものは、どの枠組みか答えて下さい! |
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ナシオン? ( 憲法総論 国民主権参照) |
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あんた、この質問するたんびに同じ返しをしてくれてるけど、復習って概念はないわけ? | ||
間が、これだけ空いたせいだよ! あたしだって、ちゃんと勉強していれば、ナシオンくらいすぐにワカッタよ! |
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・・・。 (さっきは間が空いたことは言うなって言ったのに、藤先輩は自分に都合のいいことばかり言ってるです!) |
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まぁ、ナシオン主権と、最も結びつきやすいといえる枠組みは、純粋代表制になるわね。 もっとも、純粋代表制も、直接制と同じく、学術用語としての枠組みといえるもので、現実にあるのか? って言われると、ちょっと考えられない代表民主制の構造といえるけれどね。 |
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現実問題ないんだったら、質問で聞く必要もないんじゃない? | ||
憲法の新司法試験の択一では、学説も問われるからね。 どのような枠組みがあるのかっていう理解も求められている以上、その反論はナンセンスよ? じゃあ、次の論点の話をする前に、まず憲法43条をみてくれる? |
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日本国憲法第43条。 『第43条【両議院の組織・代表】 1項 両議院は、全国民を代表する選挙された議員でこれを組織する。 2項 両議院の議員の定数は、法律でこれを定める。』 |
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ここにいう『全国民を代表』という言葉の意味が問題となるのよね。 政治的代表という考え方と、社会学的代表という考え方があるわ。 政治的代表 という考え方は、国民は、選挙を通じて自らの代表を選出し、指導者を選択するにとどまらず「世論」という形での国民意思の形成に参加することによって、国会や内閣を通しての統治に恒常的に、その影響力を行使するの。 これに対して、議会は、自らの政治的信念に基づいて、国会で発言を行い、表決に加わり、それを通して「全国民」のために行動し、また、国会ないし統治機関全体として、国民意思や世論に応答する、というものなの。 他方、社会学的代表 という考え方は、国民主権原理に基づく統治制度の下において、「代表」とは、選挙により表明される国民の多元的な意思、社会の実勢力が国会にできるだけ忠実に反映されることを意味する、と考えるの。 したがって、そこでは、例えば、選挙制度を考える場合でも、社会構造の複雑・多様性に伴って社会の中に多元的に存在する国民意思が国会に可能な限り公正かつ正確に反映するように構想しなければならないとし、憲法43条の「代表」も、この意味を含む概念として理解すべきだとしているわね。 通説的理解としては、政治的代表の考え方で、この憲法43条の『全国民を代表』を理解するのが一般的とされているわね。 |
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へぇ。 ってことは、選挙の際に、立候補者の人がよく口にする「地元愛をもって頑張ります」なんて発言は、ダメなんじゃないの? だって、当選した議員は「全国民を代表」するんでしょ? 地元愛で頑張るなんて、「全国民を代表」しといてどうなの、って話になるんじゃないの? |
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まぁ、憲法的に捉えるならば微妙な発言とは言えるわね。 国会議員は、確かに、あんたが言うように『全国民を代表』する以上は、地元愛でやられてはねぇ。 でも、「地元愛」をもってやることが、直ちに、地元のために頑張ることを意味するわけじゃないからね。胸中に、地元愛をもっているってだけなら、それは自由なんじゃない? 憲法43条の『全国民を代表』の意味については、次の理解がワカリやすいんじゃないのかな? 『憲法43条の『全国民を代表する』とは次の2つのことを意味する。 それは、第一に、どのような選挙方法で選ばれようとも、議員は、すべての国民を代表する者であり、自らの選挙区の選挙人、自らが所属する政党や団体の代表者でなく、倫理的・道義的に、いかなる場合にも、全国民のために活動することが要請されていること、 第二に、選挙区民が求める個々の具体的な指示に法的に拘束されることなく、議員は、自らの良心に基づいて自由に意見を表明し、表決を行う権利を有することを意味する』 (高見勝利ほか『憲法U 第5版』(有斐閣 2012年 62頁) どう? |
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光ちゃんの返しは、なんか、いかにも政治家じみた屁理屈にも聞こえるなぁ。 | ||
別に、私だって微妙な発言だな、って言ってるじゃないのよ。 ただ、こういう切り返しも出来るよねって話よ。 |
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2枚舌、2枚舌ぁ〜っ! | ||
なんで、私が責められないといけないのよ! そんなことはどうでもいいから、次の論点いくわよ? 比例代表と党籍の変動って話ね。 つまり、政党名簿によって選出された議員が、後に、党籍変更等によって当該政党に所属しなくなった場合、どうすべきか、という問題ね。 この問題については、2つの考え方があるわ。 議席喪失説 と 議席保有説 ね。 議席喪失説は 比例選挙は、政党中心の選挙であり、政党を基礎に、その得票数に比例して議席配分を行うものであるから、当選人として議員の身分を取得したときに保持していた党籍を失った者は、当然に議員資格を喪失する、と考えるの。 これに対して、議席保有説は、 比例選挙の下では、たしかに、政党に所属し、当選人となることによって議員資格を獲得しうるが、しかし、いったん選任された以上は、その選出方法のいかんにかかわらず、議員は全て『全国民を代表する』ものと解すべきであり、したがって、後にその党籍を失ったとしても、議員たる身分に変動は生じない、と考えるの。 ちなみに、通説的理解としては、この議席保有説とされるわね。 |
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議席保有説が通説? それ、ホント? だって、少なくとも現行の法制度は、そんなことになってなくない? |
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珍しくいい指摘してくれるじゃないの。 それじゃ、せっかくだし、公職選挙法99条の2を見てみてよ。 |
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・・・ナカたん、よろ。 | ||
・・・っ! あ、ポケット六法には、公職選挙法がないんですね。 スマホで見てみるです! 公職選挙法第99条の2 第1項。 『(衆議院比例代表選出議員又は参議院比例代表選出議員の選挙における所属政党等の移動による当選人の失格) 第99条の2 1項 衆議院(比例代表選出)議員の選挙における当選人(第96条、第97条の2第1項又は第112条第2項の規定により当選人と定められた者を除く。以下この項から第4項までにおいて同じ。)は、その選挙の期日以後において、当該当選人が衆議院名簿登載者であつた衆議院名簿届出政党等以外の政党その他の政治団体で、当該選挙における衆議院名簿届出政党等であるもの(当該当選人が衆議院名簿登載者であつた衆議院名簿届出政党等(当該衆議院名簿届出政党等に係る合併又は分割(2以上の政党その他の政治団体の設立を目的として一の政党その他の政治団体が解散し、当該2以上の政党その他の政治団体が設立されることをいう。)が行われた場合における当該合併後に存続する政党その他の政治団体若しくは当該合併により設立された政党その他の政治団体又は当該分割により設立された政党その他の政治団体を含む。)を含む2以上の政党その他の政治団体の合併により当該合併後に存続するものを除く。第4項において「他の衆議院名簿届出政党等」という。)に所属する者となつたときは、当選を失う。』 |
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国民感情に照らせば、比例で当選した議員が、その後に党籍移動するなんて、ちょっと微妙・・・って気持ちになるのもワカルわ。 事実、法制度自体は、サルが指摘してくれたように、通説的理解である議席保有説とは異なるものとなっているのよね。 ただ、ここで大事な視点は、現実問題がどうか、という視点ではなくって、憲法はどう考えるのか?って視点をもって理解することだと思うわけ。 私自身は、通説的理解である議席保有説の考え方が、憲法の考え方に妥当する考えだと思っているけどね。 まぁ、サルがどう考えるのか、というのは、サルの理解でいいと思うし、そのことについてまでは、こうしなさい、なんてことは言わないわ。 |
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成程、成程。 憲法は、どう考えるのか・・・って視点ねぇ。 その視点は、確かに憲法の勉強をするのなら大事にしないといけないよねぇ。 |
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因みにだけど、芦部先生は、次のような考え方を示してみえるわね。 『議席保有説を基礎に、議員の自発的な党籍変更、党籍離脱に限っては、議員としての身分を喪失させる規定を設けても、「自由委任」の原則に反しないのではないか』 (芦部信喜『人権と議会政』(有斐閣 1996年 344頁以下) 芦部先生って、いずれかの説を採択するのではなくって、こういった折衷案的な捉え方をされること多いわよね。 |
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うんうん。 (同意求められても、そんなこと知らんがなっ!) |
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・・・・・。 (だったら、生返事なんかされずに、素直に知らないって言えばいいです! 思っているだけじゃ伝わらないです!) |
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オマエモナー | ||
え? ・・・あれ・・・私、口に出していたですか? |
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ううん。 でも、なんか言いたそうな顔してたもんだから、カマかけてみただけ。 |
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違うです、違うです。 別に、藤先輩の悪口なんて言っていないです! ただ、思っていることは言わないとワカラナイって思っただけです。 |
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思ってること全部、口にしたら、あたしと光ちゃんのケンカが、今の5倍くらいになっちゃうじゃないの・・・。 | ||
ちょっと、それどういう意味よ? あんた、いつも私に対してナ二考えているわけ? |
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いつも、あたしに勉強を教えてくれる素敵な親友だなって。 (金だけ出してりゃいいのに、口まで出す、うるさい金満豚って思っているんだお。) |
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え・・・そこまで? やだぁ。 |
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・・・。 (ヒドイ2枚舌です・・・。) |