選挙権に関するその他の判例 | ||
うまいっ! ナカたん、この天麩羅うますぐるお! |
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昨日摘みたての山菜ばかりですからね。 しかも、この季節は旬なので、美味しいはずですよ。 |
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あたしの実家でも、よくこの季節は山菜採っていたんだよねぇ。 やっぱり山菜は天麩羅に限るよね。うーん、いい匂い・・・味見のつもりだったのに止まんね! |
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藤先輩の、このモヤシ料理も美味しそうです。 こんなに沢山モヤシ料理のレパートリーがあるんですね。 |
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こんばんはぁ〜。 |
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あ、クロちゃん来たよ! | ||
今日はお招き頂いて・・・ | ||
いいから、いいから! そんな面倒くさい挨拶いらないから、あたしの胃袋は今か、今かとリミットブレイク寸前なんだから、早く座って、座って! |
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黒田先輩、こんばんはです。 | ||
いい匂いっ! 山菜の天麩羅料理ですか? 美味しそうですね! |
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絶対美味しいはずです。 ウチの民宿の自慢の山菜料理ですから。 |
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ご飯20合で足りるかなぁ。 一応、冷凍庫にオニギリにしたご飯もあるから、足りなくなったら、ソレ出せばいいかなぁ。 |
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私、1合も食べないですから、そんなに一杯ご飯いらないと思いますよ? | ||
あ、竹中さん、その心配は違うわ。 藤さんは、普段から5合単位で召し上がるんですよね? |
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こんな美味そうな山菜だったら、10合は楽勝だお! 20合だって、あたし1人で食べられるね! |
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10合!? 20合!? |
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あたしは幸せだなぁ。 今日は、こんなに美味しいご馳走が食べられるなんて。 |
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私もホントに嬉しいです。 まさか、藤さんがいきなり御夕食に呼んで下さるなんて。 |
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ナカたんが、せっかくだから黒田先輩をお誘いしたらどうですか?って言ったからね。 | ||
ウチの山菜は、是非食べて頂きたかったので、来て頂けて嬉しいです。 | ||
あれ? そう言えば、明智さんがいないようですけど? 今日は、なにか御用事でも? |
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あの金満女の話題は今日は禁則事項でお願いしまぁーす。 | ||
うう・・・ うう・・・・。 |
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あ・・・そうなんですか? よく解りませんが、そういうことでしたら。 あ、今日はどんな勉強をされてみえたんですか? |
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憲法の選挙権について判例を検討していました。 立法不作為を、しっかり勉強できました。 |
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立法不作為を、裁判所のところじゃなくって、選挙権のところで勉強したんだ。へぇ〜。 なんか聞きたかったなぁ、私も。 |
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クロちゃん、憲法も得意なんでしょ? せっかくだし、なんか憲法の選挙権関連の判例でも話してよ! |
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え? でも私の理解では、藤さんの満足されるような話なんて期待されても・・・ |
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まぁまぁ。 食事の話題的な感じで、軽くでいいからさ。 そんなに気張らなくっていいから。 お願いします! ホラ、ナカたんからも頼んじゃって! |
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宜しくお願いします。 | ||
それじゃ、「政経タイムス事件」なんてどうですか? (最高裁昭和54年12月20日 百選U 171事件) 公職選挙法による選挙報道の規制と、表現の自由・報道の自由とが問題になった事案なんですけどね。 |
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はいはい。 「せいけいタイムス事件」ね。 あれね? あれ。 (ナニ、それ?) |
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選挙運動での文書等の頒布については公選法で規制されている(公選法142条以下)じゃないですか。 でも、だからって言って選挙運動中の、新聞雑誌の報道の自由(憲法21条1項 表現の自由)はあるわけですよね。 そうなると、表現の自由という憲法上守られた権利を侵害・規制するような公選法が違憲ではないか? ってことが問題になったわけですよね。 |
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そう、そう。 そうなんだよね。 あ、ご飯オカワリする人いる? (へぇ〜。そうなんだ。) |
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あ、私話してばかりで、箸が進んでいないですね。 ・・・美味しっ! こ、こ、コレはなんですか? |
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コゴミの天麩羅です。 あ、コッチは、私のコゴミと、藤先輩のモヤシを一緒にして作ったナムルです。 コッチも美味しいと思いますよ。 黒田先輩、ソレで話の続きをどうなったんですか? |
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え? あ、政経タイムス事件で最高裁は、こう言っているわね。 公職選挙法148条3項は、いわゆる選挙目当ての新聞紙・雑誌が選挙の公正を害し特定の候補者と結びつく弊害を除去するためやむをえず設けられた規定であって、公正な選挙を確保するために脱法行為を防止する趣旨のものである、と。 この立法趣旨等からすると、同項が罰則対象とする選挙に関する報道又は評論とは、当該選挙に関する一切の報道・評論を指すのではなく、特定の候補者の得票について有利又は不利に働くおそれがある報道・評論をいうものと解するってね。 ここでは、要件の限定がなされているわよね。 選挙に関する一切の報道・評論ではなくって、特定の候補者の得票に有利・不利に働くおそれのある報道が、公選法148条3項の罰則対象になるという限定解釈だよね。 そして、この立法趣旨に即して考え、構成要件に形式的に該当する場合であっても、もしその新聞紙・雑誌が真に公正な報道・評論を掲載したものであれば、その行為の違法性が阻却されるものと解すべきである(刑法35条)としているわね。 そして、そう解する以上、公選法148条は、憲法21条、14条に違反しないと結論づけているんです。 |
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なんでもかんでも規制していいってことになっちゃうと、表現の自由への侵害になってまうもんね! ホントに、報道内容が公正なもんだったら処罰しないってことにすればいいって考えたわけだよね? |
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でも、『真に公正な報道・評論を掲載したものであれば、その行為の違法性が阻却される』って言われても、規制があると報道する側としては、罰則あるかもって考えたら、萎縮しちゃいますよね。 | ||
そうですよね。 確かに、過度の規制とも考えられると思うわ。 選挙の公正確保という目的は解るけれど、その目的だけで規制を正当化できるか、ということよね。 |
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ぺるそなぁあぁぁっっ!! | ||
ど、ど、どうされたんですか? 藤さんっ!? |
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奇声! 規制とかけてみたんだけど、どうどう? |
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ふ、ふ、藤先輩・・・ 落ち着いて食事して下さい。 |
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食べてる、食べてる! あたしより、みんなこそ大丈夫? 遠慮しなくっていいよ! ご飯オカワリあるからさ! |
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まだ大丈夫です。 あ、この天麩羅はなんですか? |
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タラの芽です。 お塩で頂くと、ほのかな苦みがより楽しめるかと思います。 どうぞ。 |
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美味しい、美味しいっ! 追加して、もうちょっと天麩羅にしちゃお! |
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藤さん見てると、ホント美味しそうに食べるから、なんだかコッチまで嬉しくなってきちゃいます。 | ||
惚れた? | ||
惚れましたっ!! | ||
いやいや。 ソコはない、ないって否定してくんなきゃ。 あたし、ソッチの趣味ないし。 |
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自分からフッておいて冷たいんですね・・・。 あ、そう言えば。 同性愛の活動家の方の政見放送での差別用語使用部分の削除が争われた判例がありますよね。 雑民党事件でしたっけ? (最高裁平成2年4月17日 百選U 172事件) |
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あ、あれね。うんうん。 (ナニ、それ? 面白そう。 早く、早く頂戴っ!) |
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「伝説のオカマ」として有名な東郷健さんが、マイノリティの方の権利擁護のために結成された雑民党という政治団体がありましたよね。 1983年の参議院議員選挙のときに、東郷健さんは、NHKで政見放送の録画をしたんですけど、この録画の際に、「めかんち、ちんばの切符なんか、だれも買うかいな」という発言をしたのです。 そのため、NHKは、この発言が差別用語であるということで、自治省(現在の総務省)に照会して、当該部分を削除して政見放送を行ったんですね。 でも、東郷健さんの、この発言は、自らが実際に受けた差別的中傷を政見放送で伝えるためのものであって、誰かを差別する意図のものではなかったんですよね。 にもかかわらず、NHKが削除したというのは、政見をそのまま放送する義務(公選法150条1項)に違反するものであり、表現の自由を侵害するものであるとして訴えた、という事件ですよね。 |
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ソレって、検閲にあたるんじゃないですか? | ||
「検閲」は、憲法21条2項で禁止されているからね。 憲法21条2項『検閲は、これをしてはならない。通信の秘密は、これを侵してはならない。』って明文規定もあるからね。 ただ、検閲の意義は明文上定義されていないけれど、最高裁は、この検閲は行う主体が行政権でなければならないとしているわ。 となると、NHKは、行政機関ではないから、NHKによる削除は、事前に自治省(現 総務省)に照会しているとはいえ、独自の判断に基づいて削除したものである以上、憲法21条2項前段にいう「検閲」にはならないわね。 |
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でもでも、政見放送では、そのまま放送することが望ましいと思います。 勝手に削除したことは、よくないと思います。 |
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まぁまぁ。アツくならないで。 この天麩羅、お酒にもめっちゃ合うよ! なんかあたし1人で呑んでるみたいだけど、みんなもどうどう? |
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竹中さんのその主張に対しては、最高裁はこう言っているわ。 『本件削除部分は、多くの視聴者が注目するテレビジョン放送において、その使用が社会的に許容されないことが広く認識されていた身体障害者に対する卑俗かつ侮蔑的表現であるいわゆる差別用語を使用した点で、他人の名誉を傷つけ善良な風俗を害する等政見放送としての品位を損なう言動を禁止した公職選挙法150条の2の規定に違反するものである。 そして、右規定は、テレビジョン放送による政見放送が直接かつ即時に全国の視聴者に到達して強い影響力を有していることにかんがみ、そのような言動が放送されることによる弊害を防止する目的で政見放送の品位を損なう言動を禁止したものであるから、右規定に違反する言動がそのまま放送される利益は、法的に保護された利益とはいえず、したがって、右言動がそのまま放送されなかったとしても、不法行為上、法的利益の侵害があったとはいえないと解すべきである』とね。 |
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うめぇ〜っ! 天麩羅もお酒も最高ぉ〜っ! |
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そのまま放送するべきでした・・・ 意図することを伝えるために、そのような言葉を敢えて使ったのであれば、聞く側だって解ります! |
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うん・・・ 竹中さん、私じゃないからね。 判例の判断を伝えてるだけだから、私が削除したわけじゃないからね。 |
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まぁまぁ。 ケンちゃんも、NHKちゃんも呑んで、呑んで。 |
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ドッチがケンちゃんで、ドッチがNHKちゃんなんですか? | ||
まぁまぁ、判例の話はそれくらいにして。 頂きましょ。 あ、藤さん、ご飯オカワリ頂いてもいいですか? |
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いつまでもあると思うな 金と飯・・・ |
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ソレ、親と金・・・ですよね? え? まさか、それって、もうご飯ないってことなんですか? |
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ないから、あたし、今はお酒呑んで誤魔化しているかんね! | ||
ふ、ふ、藤先輩・・・ 20合炊いてみえましたよね? |
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3人いるんだよ? 足りるわけないじゃん。 |
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藤さんの御言葉ですけど、私、このご飯が、まだお茶碗1杯目です・・・ | ||
私も、同じです・・・ | ||
ん〜・・・ ご飯は、ドコに消えたんだお? |