代表民主制、選挙権 | ||
昨日は、サルが珍しく私のオゴりの誘いを断ったから、雪が降るかと思っちゃった。 あ、そう言えばナカちゃんが、憲法の統治行為論は苦手だから、時々顔出していいかって聞いてきたから、いいよって答えたけど、もちろんOKだよね? |
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もちのロンのド高目デバサイだお! (※「もちろん」の「論」と麻雀の「ロン」をかけています。 その上に、アがった際に、最も点数が高くなる当り牌である「ド高目」と、かてて加えて、狙っている人からの当り牌が出るという出場所最高、出場所万歳の略語「デバサイ」まで付け加えるというハイグレードに頭の悪い返しです) |
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そうだよね。 ナカちゃんが来たいって言うなら断る理由ないもんね。 それじゃ、始めちゃおっか。 日本国憲法は、間接民主制を前提としているの。 このことは、憲法前文1項、41条、43条1項が根拠とされているわね。 但し、例外的に直接民主制を採用しているところもあるわよ。 例えば、憲法改正承認の国民投票(憲法96条)。 最高裁判所裁判官の国民審査(憲法79条2項)。 地方特別法の住民投票(憲法95条)等がそうよね。 |
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最高裁判所裁判官の国民審査は選挙の際に、一緒にやったことあるよ。 | ||
無記入と×以外は無効票になるのよね。 裏を返せば、ナニも書かなければ有効票扱いだし、そもそも選挙と比べると、意識してる人も少ないから、実質的な意義は低いとも言われているわね。 |
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実際に、この国民審査を受けて罷免された最高裁判所の裁判官っているの? | ||
まだみえないわね・・・。 ただ、そのことが実効性の有無と関係あるのかは難しいところよね、実際に罷免するに足る人がいなかっただけかもだし。 |
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○を記入しなかったら、「罷免を可とする票」扱いにしたらいいんじゃない? | ||
あんた、思いつきでしゃべるのやめなさいよ。 | ||
あ・・・ もう始めてたんですね・・・ |
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あら、ナカちゃん。 いらっしゃい。 まだ始めたばっかりだから、全然問題ないわよ? |
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ナカたん、おつんこ、おつんこ。 憲法も勉強したいなんて、どんだけ真面目なの? |
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あんたはナカちゃんの爪の垢でも煎じて呑めばいいのよ! | ||
お邪魔にならないようにしますから、宜しくお願いします。 | ||
せっかく一緒に勉強するんだから、遠慮なんていらないからね。 ワカラナイことあったら、ドンドン聞いちゃって! ところで、日本国憲法が間接民主制(代表民主制)を前提としているのは何故だと思う? 民主主義であるならば、直接民主制こそが、治める者と治められる者とが、必然的に同じになるから理想的って思わない?。 |
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投票率の低下が叫ばれる昨今において、日本国民全員で国政の審議・決定をして、全員で統治をするなんて有り得ないです。 | ||
ニコ生配信とかすれば、国民総参加も夢じゃないお! | ||
たしかに、ネットとかを利用すれば国民総参加での、国政の審議・決定も不可能とは言えないわよね。 ただ、それが可能であったとしても、果たして全国民に自ら国政を審議・処理する時間の余裕があるか、また、それだけの政治的素養があるかは別問題よね。 |
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だから、私たち国民は、国政を任せるにふさわしい人を、私たちの代表者として選んで、私たちに代わって国政を担当してもらっているんですよね。 | ||
そうね。 それが、代表民主制、間接民主制ってよばれる制度なの。 そうなると次に大事なのは、その国民が主権者として政治に参加する権利、すなわち参政権よね! その中でも、今話していた代表者を決める権利を選挙権と呼ぶのよ。 六法で憲法15条1項をひいてみて。 |
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15条1項ね。 『第15条【公務員選定罷免権】 1項 公務員を選定し、及びこれを罷免することは、国民固有の権利である。』 これが選挙権かぁ。ふむふむ。 |
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選挙権の法的性質についても抑えておいてね。 権利説 ・・・選挙権を純粋に個人の権利とするもの 公務説 ・・・選挙は団体の行為であり、選挙における個人の個別的行為は公の職務の遂行にすぎないというもの 権限説 ・・・選挙は選挙人団という国家機関による選任行為であり、その権限に伴う個々の選挙人の個人的請求権が選挙権であるとするもの 二元説(権利公務二元説) ・・・選挙権を個人的権利としながら、その公務的性格を認めるもの 通説的理解は、二元説(権利公務二元説)とされているわ。 抑えた? 抑えた? |
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無理やろ? 急かしすぎやろ? |
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じゃあ質問。 上記の4説の中で、もっともプープル主権と結びつきやすい説は、どれだと思う? |
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プープル主権ってなんだったっけ? | ||
あんた、どこまで遡るつもりよ? 時々、勉強の中で、思い出すように聞くよって言ったんだから、答えて欲しかったなぁ。 権利説の考え方が、プープル主権と結びつきやすいと言えるわね。 |
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こくこく(相槌) | ||
そう言えば、さっきナカちゃんが投票率の低下が問題となっているって言ったよね。コレは、つまり選挙権の棄権ってことになるんだけど。 この棄権の自由をどのように考えるか、っという問題に対して、通説である二元説であれば、公務説程の強制力は働かないといえそうよね。 |
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私、身体が弱いから、投票日に行けないことがあったらいけないと思って、いつも期日前投票にしています。 | ||
流石ナカちゃん! 意識高いよね。 じゃあ、次は選挙の原則について、まとめるね。 普通選挙(憲法15条3項) これは制限選挙に対立する概念ね。男女参政権が例になるわ。 平等選挙 一人一票の原則、投票価値の平等があげられるわね。 自由選挙 立候補の自由、投票行動の自由があたるわね。 秘密選挙(憲法15条4項) 自由な選挙を確保するために投票について秘密が保障された選挙のことね。 これらの選挙の原則については、抑えておいてね。 判例では、これらの原則が問題となったものもあるから、それは、これから見ていきましょ。 |
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・・・プープル主権ってなんだったっけなぁ・・・ (憲法総論 国民主権参照) |
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いつまで呆けているのよ! 先行くよ? 選挙権関連の判例は多いんだけど、まずは秘密選挙において投票の秘密の侵害となるかが争われた事案を検討するわね。 百選掲載の判例もあるけれど、個人的には、最高裁平成9年3月28日判決での、福田博裁判官の補足意見が、すごく説得力あって共感してるから、コレを紹介するわね。 あ、事案説明はすっごくザックリにしちゃうけど許してね。 中核派に近い政治的立場をとる立候補者の当選を画策した中核派の構成員らの集団が、1986年の市議会議員選挙で、その市に居住してないのに転入届を出して、実際に投票までしちゃったの。 この行為に対して警察は詐偽投票罪の疑いがあるとして、当該立候補者に投票された用紙を全部差押えて、中核派の構成員らの指紋と照合を行ったの。 この警察の捜査に対して、この選挙に投票した第三者が、本件差押えは投票の秘密(憲法15条4項)に反するとして訴えたという事案ね。 最高裁平成9年3月28日判決での、福田博裁判官の補足意見 (※ 段落ちは管理人編集) 『投票の秘密の保障は、選挙権のない無資格者のした投票にも及ぶと解するのが妥当である。 けだし、無資格者は秘密投票をする権利を有するとは直ちにはいえないが、無資格者の投票については公権力により投票内容の探索が自由にできると解した場合、選挙において必要とされる自由な雰囲気が圧迫され、また、正当な選挙人の投票の秘密まで危険にさらす事態が引き起こされる可能性があるからである。』 あ、この「けだし」っていうのは「なぜならば」って意味ね。 難しい日本語使うよね・・・。 不正投票者の投票の秘密を直接的に保障しているわけではなく、正規の投票者に対する萎縮効果を避けるために不正投票者の投票の秘密も保障する必要があると述べているのよね。 『他方、憲法前文は『正当に選挙された国会における代表者を通じて行動し』と代表民主制をうたっているが、選挙において買収、詐欺投票等の不正が行われるならば、選挙人の自由な意思が選挙の結果に正しく反映されることは期待し難いことになるのであり、正当な選挙の実施のためには、選挙の公正の維持、確保が必要不可欠である。 そのため、公職選挙法には詐欺投票罪等の各種の罰則規定が置かれているのであり、このような選挙犯罪の捜査、検挙を通じて選挙の公正の維持、確保を図ることも、憲法上の要請というべきである。』 としてるわね。 因みに「要請」は「そうしろ!」って意味で、「許容」は「どっちでもいいよ」って意味だから、ここで憲法上の要請と言っているのは、強制が働くっていう強い意味になるわね。 『投票の秘密といえども絶対無制限に保障されるものではなく、犯罪捜査の必要等他の利益のため、一定の制約を受けることがあり得るところである。 本件の場合は、いずれも憲法上の要請である『選挙の公正の確保』と『投票の秘密の保障』という二つの利益が対立しているのであり、このような場合、両者の間では投票の秘密の保障が必ず優越し、およそ投票の秘密を侵害するような捜査が許されないとすることは適切ではないと考えられる。』 強制の働く2つの利益がぶつかっている本件において、いずれの利益をとるべきかを一義的に画すことは妥当ではないとした上で、次に続くんだけど。 『投票の秘密は、憲法において明文で保障されている制度であって、選挙人の自由な意思による投票の確保を目的とし、代表民主制を直接支えるものであるのに対し、選挙犯罪の捜査は、選挙犯罪を取り締まることによって将来同じような不正が行われることを抑止し、もって選挙の公正の確保を図ることを本来の目的とするものであって、代表民主制を支える役割はより間接的なものであるから、投票の秘密の保持の要請の方が選挙犯罪の捜査の要請より一般的には優越した価値を有するというべきである。 しかも、選挙犯罪の捜査は投票内容の探索に必然的に結びつくものではなく、投票の秘密を侵害しない方法により捜査することが可能な場合も多いと考えられること、捜査の必要性といっても事案によって軽重があることなどからすると、選挙犯罪の捜査において投票の秘密を侵害するような捜査方法を採ることが許されるのは極めて例外的な場合に限られるというべきであって、@当該選挙犯罪が選挙の公正を実質的に損なう重大なものである場合において、A投票の秘密を侵害するような捜査方法を採らなければ当該犯罪の立証が不可能ないし著しく困難であるという高度な捜査の必要性があり、かつ、B投票の秘密を侵害する程度の最も少ない捜査方法が採られるときに限って、これが許されると解すべきである。』 あ、本文中の@〜Bは、私が入れたものなんだけど。 「投票の秘密の保持」の要請の方が「選挙犯罪の捜査」の要請より一般的には優越した価値を有するとしながらも、 @選挙犯罪が選挙の公正を実質的に損なう重大な場合を前提として。 A投票の秘密を侵害するような捜査方法でなければ、選挙犯罪の立証が不可能なような高度な捜査の必要性が認められる場合であり、 かつ Bその捜査方法が投票の秘密を侵害する程度の最も少ない方法で行われる場合 は、@〜Bの要件が満たされるような極めて例外的な場合には、選挙犯罪の捜査において、投票の秘密を侵害するような捜査方法を採ることが許されるとしているのよ。 |
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光ちゃん、いいかな? ・・・・なっげぇよっ!! 聞いてて意識飛びそぉになったお!! こちとらプープル主権で思考停滞してんだお! 空気読めおっ! アスぺか? アスぺなのか? おいっ!! |
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ナニよ! その言い方はっ!! サルにも見て欲しいなって思えばこそ引用紹介してるってのに、なんでそんな言い方されないといけないのよ!! きぃぃぃぃぃっ!! あ、投票の秘密の侵害となるかが争われた事案として百選に掲載されているのは、最高裁昭和25年11月9日判決(百選U 164事件)ね。 判旨では『選挙権のない者又はいわゆる代理投票をした者の投票についても、その投票が何人に対しなされたかは、議員の当選の効力を定める手続において、取り調べてはならない』としているわね。 |
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みじかっ!! 事案もなしに判決文の判旨だけって、どんだけぇーーっ! |
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長いのはイヤなんでしょ!? あんたには、コレで十分なんでしょ!? 文句言うなら、自分で原判決でもなんでも漁ればいいじゃないの! あ、被選挙権についても、まとめちゃうからね! 最高裁は、『立候補の自由は、選挙権の自由な行使と表裏の関係にあ』ると述べて、これは憲法15条1項に保障される重要な基本的人権の一つとして位置付けているわね(三井美唄炭鉱事件 最高裁昭和43年12月4日判決 百選U 149事件)。 |
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早い、早いっ! 加速装置でもつけてんの? ジョーっ!! |
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ジョー? 誰よ、それ? あ、美唄炭鉱事件は、重要判例だから、また後々しっかり検討するつもりだから、ここでは被選挙権についての部分の引用にしただけだから、心配しなくっていいよ? 因みに、美唄は「ビバイ」って読むんだよ。まぁ、知らなくて困ることは多くないと思うけど、一応ね。 |
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島村ジョーも知らなくても困ることは多くないと思うけど、一応教えておくと、009メンバーのリーダーで、加速装置もってて・・・ | ||
聞いてないしっ!! 聞きたくもないしっ!! 選挙権関連の判例としては、やっぱり一番大きな論点となるのは、議員定数不均衡および選挙区割りに関する判決よね。 百選掲載の判例も相当数あるところだし、ここはシッカリ抑えておきたいところね・・・ ちょっと時間かかるところだし、今回はここで終わって次回に廻すわね・・・私も、ちょっとイライラしちゃってるし・・・ |
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光ちゃんは、ナカたんが参加してもいいって言ったのに、なんで怒ってるんだろうね? ねぇ? ナカたん? |
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え? え? 私のせいだったんですか? |
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いいよ、いいよ。 後から、あたしがフォローしておくからさ。 |
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ナニ、ナカちゃんが悪いみたいな空気にしてんのよ! あんたよ、あんたっ!! あんたが私を怒らせてんのよ! |
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まぁ、そういうことにしておくからさ。 ナカたんは気にしなくっていいからね? |
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あうあう・・・ ありがとうございます。 |
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だから違うしぃぃぃっ! サルぅぅぅぅっ!! |
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あ、ホラ? 光ちゃんが御乱心だよ? ナカたん、ここはあたしに任せて今日はもう帰った方がいいよ? |
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ナカちゃん、違う違う! 私、ナカちゃんに怒ってるんじゃないわよ! ちょ、ちょ、あ・・・ 逃げてっちゃった・・・ |
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あぁ〜あ。 ナカたん、可哀相ぉ〜。 光ちゃん、ひでぇ〜お。 |
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やってくれるじゃないの? 私1人を悪者に仕立てて御満足? |
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ウキっ! (・・・ 調子ノッてて今気付いたんだけど・・・ コレ、逃げないといけないのは、あたしだったんじゃね?) |
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謝るなら今よ? 今なら許してあげるわよ? |
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(ひょっこり) あ・・・明智先輩。 ごめんなさい・・・。 |
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だから、ナカちゃんがナニを謝るっていうのよ・・・ もう・・・私が泣きたくなってきちゃった・・・ |
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まぁまぁ。 一件落着ってことで。 じゃあ、あたし、帰るからね! おつんこ、おつんこ! |
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ちょっ! あんたが帰るのは許さないわよ! 謝って行きなさいよ! コラ! サルっ!! |
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明智先輩、藤先輩とケンカしないでください・・・ | ||
え? あ、そっか・・・ ナカちゃんも、私とサルがケンカしてたら勉強できないもんね。 ゴメンね・・・私も大人げなかったよね。 |
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御ふたりが仲がいいのは見てて羨ましいです・・・ でも、ケンカはちょっと怖いからイヤです・・・ |
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そうだね。 じゃあ、ナカちゃんと約束するね。 明日からは、仲良く勉強するね! コレでいい? |
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はい。 私も仲良く勉強するって約束します! |
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ありがとうね。 ナカちゃん。 今日の勉強会で質問あったら、これから少しお茶しながら聞こうか? |
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はい。 喜んで。 |
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(帰宅中) いやぁ、危ない。危ない。ナカたん来てくれてマヂ助かったお。 さてと、今日もモヤシ炒めにしちゃおっかな。 うーん、豪勢に5袋いっちゃう? モヤシのお浸しも作っちゃおっかな? |