国民主権 | ||
サルっ! 今日は、早速質問から始めるわよ! 質問! 日本国憲法の3大基本原理を言ってみて。 |
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努力っ! 友情っ! 勝利っ! |
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ナニ、それ? |
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週刊少年ジャンプのアツいメッセージっ! | ||
それって、マンガじゃないの。 もう真面目に答えてよね! 国民主権 基本的人権の尊重 平和主義 でしょ! これぐらいスラスラ言ってよね。 この日本国憲法の基本原理は、憲法の前文に明確に示されているのよ。ちょっと長いから、引用はしないけど、しっかり六法でひいて目を通しておいてね。 憲法の前文は、項建てはされていないけど、段落ちによって、1項〜4項に分けられているの。 1項は、国民主権の原理および国民の憲法制定の意思 2項は、平和主義への希求 3項は、国家の独善性の否定(政治道徳の法則の確認) 4項は、憲法の崇高な理想と目的の達成 を、それぞれ明記しているのよ。 |
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スッゴいいいこと書いてあるね。 ジャンプ並にアツいメッセージだよ、この前文っ! |
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それは、憲法前文に失礼極まりない発言だと思うけど・・・。 じゃあ、ここで憲法前文について質問するね。 憲法前文の法的性質を考えてみて欲しいんだけど。 憲法前文に裁判規範性はあるか? あ、裁判規範性って言葉の説明が必要よね。 裁判規範とは、裁判所が具体的な争訟を裁判する際に判断基準として用いることのできる法規範(広義の裁判規範性)って意味と、当該規定を直接根拠として裁判所に救済を求めることのできる法規範(狭義の裁判規範性)って意味とがあるの。 この説明を踏まえて、質問を改めるわね。 憲法前文を直接の根拠として、裁判所に救済を求めることはできるか? つまり、憲法前文に狭義の裁判規範性はあるといえるか? って質問に置き換えてもらってもいいわよ。 |
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ぐぬぬぬぬ。 質問に質問したくなるぐらい意味ワカンナイ・・・ |
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ちょっと難しかったわね。 でも、大事な論点だから考えてみて欲しかったの。 憲法前文は、憲法の一部をなすものであることから、本文と同じ法的性質を持つものとされているわ。憲法改正に対しても、前文の規定は法的限界を画すものであって、憲法改正権を法的に拘束する規範であるとされているの。つまり、憲法前文に法規範性は認められているといえるわ。 ただ、私の質問は、憲法前文に狭義の裁判規範性はあるか? って問いだったわよね。 通説的理解では、ない、というのが答えよ。 その理由としては、前文の内容は一般条項的なものであることや、前文の内容は各条文において具体化されているので、裁判所の判断の基礎となるのは、その具体化された条文によるべきであること、等があげられるわ。 質問はしていないけど、広義の裁判規範性についても、前文の内容は一般条項的なものであって抽象的なものであることを理由として、なし、って考えるのが通説の立場よ。 |
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(憲法前文に)法規範性は認められるけど、裁判規範性は、広義、狭義ドッチもないってことなんだね・・・ 正直、モヤァっとしてるから、後から復習しとくお。 |
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じゃあ次は、日本国憲法の基本原理のひとつである国民主権について、まとめるわね。 国民主権の原理は、絶対主義時代の君主の専制制支配に対抗して、国民こそが政治の主役であると主張する場合に、その理論的支柱とされた観念で、近代市民革命の成立以降、国家統治の基本原理として、近代立憲主義憲法において広く採用された原理なの。 この国民主権にいう「主権」の意味は3つあるとされているわ。 このあたりは、択一とかでたまに聞かれるから、抑えておいてね。 @国家権力そのもの(統治権) A国家権力の属性としての最高独立性 B国政についての最高の決定権 それぞれの意味の主権を示すものを例示すると・・・ @を示すものとして、ポツダム宣言第8項の「日本国の主権は、本州、北海道、九州及び四国並に吾等の決定する諸小島に局限せらるべし」として、統治権の及ぶ範囲が明らかとされていることが、それにあたるわ。 Aを示すものとしては、日本国憲法前文第3項の「自国の主権を維持し、他国との対等関係に立たうとする各国の責務」が、対内的最高性及び対外的独立性を明らかにしているといえるわ。 Bの意味するところは、「国の政治のあり方を最終的に決定する力(または権威)」ってことなんだけど。この国政についての最高決定権としての意味の主権は、憲法前文第1項「ここに主権が国民に存することを宣言し」とか、日本国憲法第1条「主権の存する日本国民の総意」といった文言から、読み取れるわよね。 |
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そんな主権の意味なんてとこまで理解する必要あるの? | ||
まるで、私が薀蓄(ウンチク)をサルに披露しているみたいな言い方はやめてよね! 択一でも聞かれるところって、さっき言ったじゃない。。 じゃあ、上の説明を理解できたか質問してあげるわ。 質問。 ポツダム宣言8項には、「日本国ノ主権ハ本州、北海道、九州及四国並二吾等ノ決定スル諸小島二局限セラルべシ」とあるが、ここにいう「主権」は日本国憲法1条にいう「主権」の意味とは異なる(新司平18年問)。 ○ か × か? |
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うんとね・・・○っ! | ||
ちょっと、理由も言わずに○×答えたら、小学生だって5割で正解出せるじゃないの! 正解なのが、また妙に腹立たしいわねー。 ポツダム宣言8項にいう「主権」とは「統治権」という意味での「主権」を述べているので、「国政の最高決定権」としての「主権」を述べている憲法1条にいう「主権」とは、その意味が異なることになるからね。 正解は、○ でいいわね。 主権の意味について、まとめたから、次は、国民主権の意味についてまとめるわね。 |
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国民主権の意味・・・国民主権の主体は誰か? という問題。 @全国民主体説・・・主権者を「全国民」と解する A有権者主体説・・・主権者を「有権者」と解する この主権を誰とみるかという命題に対して、2つの考え方が重要。 正当性の契機 国家の権力行使を正当づける究極的な権威は国民に存するという考え方 権力的契機 国の政治のあり方を最終的に決定する権力を国民自身が行使するという考え方 主権者を「全国民」と考えると、正当性の契機と結びつきやすくなる。 主権者を「有権者」と考えると、権力的契機と結びつきやすくなる。 この命題に対して、主権者は「全国民」であると同時に、「有権者」が国のあり方を最終的に 決定する権力性を有しているという側面もあるとするB折衷説(芦部信喜)もあるので注意。 |
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上のまとめとの関連で、知っておいた方がいい概念があるから、ここで一緒に紹介しちゃうね。 ナシオン(nation)主権 と プープル(peuple)主権 あまり耳覚えのない言葉だと思うから、一度聞けば残りやすいとは思うけど、フランスの主権論だから、英語圏の私たちにとっては、少し変わった言葉に聞こえちゃうよね。 上で説明した全国民主体説や有権者主体説とも、異なる主権論なので、混同せずに別個の対立概念として理解してね。 |
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ナシオン? メギドラオンとか、マハラギオンみたいなヤツ? あ、名前的には、ムドオンとか、ハマオンに近いね! |
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何語なのよ、それは・・・。 ナシオン(nation)主権とは、観念的統一体としての国民を想定しているの。そして、授権によってのみ、その権力を行使しうる、と考えるの。そのため、ナシオン主権では、専ら代表制が念頭にくるのよ。 これに対して、プープル(peuple)主権では、具体的に把握しうる諸個人の集合体としての国民を想定しているの。そして、国民が直接権力行使を行う、と考えるの。このため、プープル主権では、直接民主制こそが最も徹底した形態とされるのよ。 先の説明とリンクさせると、 ナシオン主権は、正当性の契機と関連付けられるわ。 こちらは、自由委任を前提としている主権体制をとっているわ。 プープル主権は、権力的契機と関連付けられるわね。 こちらは、命令委任を前提とする主権体制をとっているわ。 容易に理解することは難しいと思うので、このあたりはまた憲法総論を勉強していく中で、質問の形でちょこちょこ聞いてあげるわよ。 |
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・・・・・・よくワカンネ。 | ||
ナシオンや、プープル主権についても、択一で過去に出ているからねぇ。 答えられる程度には抑えておかないとダメよ? |
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マヂで? あたしは、また光ちゃんが薀蓄言ってんのかと思ってたよ。 |
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いつ、私がそんなことしたって言うのよ。 「また」って言われると、まるで私が、ウンチクをサルに言ったことがあるみたいじゃないのよ! |
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この前、新入生歓迎の呑み会のとき、あたし延々、巨人の選手について光ちゃんの御高説を賜ったんだけどね・・・ | ||
え? やだぁ。そんなことあったんだ。私、お酒あんまり強くないから、ちょっと浮かれちゃってたのかもね。 |
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アレは、とんでもないアルハラだったよ・・・ あたし、「巨人ハラスメント」、略して「巨ハラ」って命名したもん。 |
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まぁ、巨人の現役監督は、原監督だから、「巨原」って言葉もなくはないから、いいんじゃない? | ||
・・・・。 (この女、謝る気ないでぇ〜) |