過剰避難 誤想避難 誤想過剰避難
今日の勉強会では、過剰避難、誤想避難、誤想過剰避難、これらを全部見ることにするわね。

それじゃ、条文の確認ね。
刑法37条1項を見てくれる?
刑法第37条1項

『(緊急避難) 第37条
1項 自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。
正当防衛のときは、過剰防衛誤想防衛は、一緒にやったけど、誤想過剰防衛は、別の回にしてなかった?
ちゃんと理由があるの。

過剰避難とは、避難の程度を超えた場合をいい、このような場合においては、刑の任意的減免が認められるわ(刑法37条1項但書き)。

だけど、この過剰避難については、過剰防衛とパラレルに考えることができる点が多いのよね。

例えば、刑の任意的減免が認められる根拠としては、違法性減少説責任減少説違法性・責任減少説があるわけだけど、これらの学説の考え方については、過剰防衛のところで勉強したわよね。
だから、ここで新たに抑える必要がないわけ。
マヂで?
じゃあ、ナニ?
今日の勉強会は、ほとんど理解するとこなしってこと?
そんなわけないじゃないの。

例えば、過剰避難は、避難の程度を超えた場合をいうわけなんだけど、この避難の程度を超えた場合には、補充性の原則に反した場合と、法益権衡の原則に反した場合つの場合があるわね。

これは、補充性要件や、法益権衡要件のない過剰防衛にはない話だから、別途、抑えておいてくれないとダメよ? 
そんなこと、正当防衛と、緊急避難が別モノなんだから、当たり前じゃないかお。
ホント、光ちゃん、ゆとりだよなぁ。
お、お、同い年なのに、まさかの発言ですっ!!!
・・・もう一度言ってみなさいよ。  
・・・な、な、ナニを怒っているんだお・・・。
「ホント、光ちゃんの言(ゆ)うとーりだよなぁ」
って相槌打っただけだお・・・。

ガクガクブルブル) 
  わ、私も、そう聞こえました。 
そうかしら。
つかさちゃん、基本、サルのフォローに廻るから、にわかには信じ難いところあるんだけどなぁ。 

まぁ、こんなことで争っていても仕方ないし、過剰避難について扱った判例検討をしましょうか。
百選T 30事件東京高判昭和57年11月29日)を見てみましょうか。
使わなかったけど、また使う機会あるかも知れないし、鎌は綺麗に拭いてしまっとこっと。
(フキフキッ) 
なんのために、大学に、そんな物持ち込んでんのよ、あんたは。

過剰避難を扱った判例は、沢山あるから、また必要があれば再度検討することにしてもいいわね。
過剰避難成立を認めた判例と、成立を否定した判例とを見比べるという検討もいいと思うしね。

自動車を運転中に、娘が高熱を出したために、救急車を呼ぶことも考えられたが、かかりつけの病院がさほど遠くないことから、そこに急行するために速度違反を犯した行為について過剰避難の成立を認めた判例もあるわ。
堺簡判昭和61年8月27日

他方、妊娠した中国人女性の密入国に対して、緊急避難も過剰避難も認められない、とした判例もあるわ。
広島高松江支判平成13年10月17日

成立の肯否を扱った判例を見比べることは、大事なことだからね。
過剰避難が終わった・・・ってことは、後まだ、誤想避難と、誤想過剰避難が残ってるってことだよね・・・。 
なんて顔してんのよ。
まぁでも心配御無用じゃないかしら。

誤想避難というのは、緊急避難にあたる事実が存在するものと誤信して、避難行為を行うことをいうのね。

これには、
@現在の危難が存在しないのにあると誤信して避難行為を行った場合
狭義の誤想避難
  と
A現在の危難に対して、不相当な避難行為を相当な避難行為と誤信して行った場合
過失の過剰避難

とがあるんだけれど、その取扱いについては、誤想防衛の場合と同様なのよね。
おおっ!!
ココで来るわけだ。
最初に言ってた、新たに抑える必要がないって話が! 
そういうこと。

次に、誤想過剰避難だけど。
誤想過剰避難とは、『現在の危難が存在するものと誤信して、避難行動を行ったが、法益権衡の原則、または、補充の原則に反した場合をいうのね。

そして、これには 
@避難行為の過剰性の認識がある「故意の誤想過剰避難」
狭義の誤想過剰避難
  と
Aその認識がない「過失の誤想過剰避難」
二重の誤想避難

とがあるんだけれど、その取扱いについては、誤想過剰防衛の場合と同様なのよね。
はいはい。
全く憶えていないけれど、同じってことね。
了解、了解。 
ちょっとっ!
ナニ、スルーできないこと言ってくれてるのよ!  
藤先輩は、どこまで冗談なのかワカラナイから困るです・・・。 
違法性阻却事由については、今日で最後だから、これまで勉強してきた正当防衛緊急避難異同について、まとめておくわね。

下の図を見てくれるかしら。 
 
正当防衛 緊急避難 異同通説による)
侵害の急迫性 危難の現在性 同じ意味
不正の侵害 危難 正当防衛では人の侵害に限定
緊急避難では自然現象等も含む
自己又は他人の権利 自己又は他人の生命〜 同じ意味
防衛の意思 避難の意思 いずれも必要
やむを得ずにした やむを得ずにした 正当防衛では、必要性相当性で足りる
緊急避難では、補充性法益権衡が必要
防衛行為 避難行為 正当防衛は「」対「不正
緊急避難は「」対「」 
侵害者に
 対する損害賠償責任
第三者に
 対する損害賠償責任
正当防衛・・・負わない
緊急避難・・・負う
 
あくまでも通説的理解による異同ということなんですね。
そうね。   
ぶっちゃけ、この表だけで良かったんじゃね? 
あんた、私が最後に良かれと思って、まとめの表入れると、毎回同じようなツッコミ入れてきてるわよ?
まぁまぁ。
それじゃ、違法性阻却事由については終わったってことで、区切りもついたわけだし、久し振りに「ネージュ・ブロンシュ」に行こうじゃまいか。 
そうね。
聞きたいことあるなら、喫茶店でお茶しながらでもいいしね。  
  私も一緒に行っていいですか? 
うんうん。
みんなで行きましょ。
 
  ワーイ!
ワーイ!
提案した、あたしへの感謝を忘れないでよ? 

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