行政行為に関する判例
  前回学んだ行政行為は、一応、定義としては「行政庁が、法律に基づき、権力的に、かつ具体的に、国民の権利義務の変動を及ぼす行為」である、という基準から解釈されるものではあるのだけれど、現実問題として、その判断は簡単なものではないのよね。

今までに勉強した内容を例にとっても、例えば「通達」。
内部効果のみか、外部効果があると言えるのか、ということから、行政行為(行政処分)と言えるのか、どうか、という視点は必要になってくるわ。

行政行為(行政処分)の処分性については、また後に詳しく学ぶ予定にしているんだけれど、ここで、一応簡単なメルクマールを述べておくと・・・。

@行政機関が、法律または条令の個別の根拠規定に基づき、国民に対して、一方的に、具体的にい法効果を発生させる行為。

A法律上、違反行為に対して、行政上の強制措置・違反に対する罰則・撤回権や取消権などが付されているかどうか。

B法律が、争訟手段として不服申立てや、取消訴訟を予定しているかどうか。


といった目安は、一応あるとされているわね。
行政行為(行政処分)かどうかの判断要素として、これらの観点からの検討によって判断することが出来るということね。

少し難しい議論だから、今は、予習がてら抑えておくくらいでいいわ。
また、後でしっかりこの論点については勉強するからね!
  ・・・だったら今言わなくってもいいじゃない。
そうですよね。
処分性なんて大論点を、今さら言うなんて、藤さんに失礼ですよね。
んみゅ?
なんか意思疎通に齟齬があるように思うのは、気のせい?
・・・。
(気のせいではないです。
 微妙に食い違う御二方の思いを感じます。)
それじゃ、前回の予告通り、行政行為に関する判例を検討することにするわね。

検討判例の1つ目は、ストロングライフ事件にしましょ。
最判昭和56年2月26日 百選T 63事件

一審、二審、最高裁・・・と判例を見ていこうと思うから、少し長めになることは先に言っておくわね。
・・・特にサル! あんたにね。
やり過ぎだおぉぉ。
ゼッタイやり過ぎだおぉ。
痛くって目ぇ開かないんだもん!
 
あぁぁ。
藤さん、大丈夫ですか?
ハンカチを水で濡らして来ましたから、これで拭って下さい!
 
ヒドいよ、ヒドいよぉ。
寄ってたかって、ここまですることないと思うんだおぉ。
なんか一方的に被害者ぶっているみたいだけど、私だって、オデコにタンコブ出来てるんだからね!
オアイコでしょ?  
藤先輩の頭は、やたら固いので、あの頭突きは、とんでもなく痛いんです!
これに懲りて、もうしないで下さい!
(くぅぅぅぅ。
 このチビッ子めぇっ!
 木下頭突きを上回る、究極奥義・木下大頭突きを編み出してくれるわぁぁっ!
 覚えとくんだおっ!)
それじゃ、次の判例検討いくわよ?

この判例検討では、本件で適用された車両制限令上の『認定』という行政行為が、講学上の、いずれの性質を有するものかを、実際の判例の事案から判断してみて欲しいの。

事案と、車両制限令上の『認定』について気を付けて読んでみてね。
それじゃ、検討判例を見るわね。
中野区マンション建設用特殊車両通行認定留保事件ね。
最判昭和57年4月23日 百選T 131事件
よくワカッタです。
ただ、個人的には、5ヶ月にも及ぶ認定留保には、国家賠償を認めて欲しかったと思いました。
判例の結論には、必ずしも納得いくものばかりではないからね。
でも、藤さんも無事に目が治ったことですし、良かったですよね。 
完治したからと言って、全てを水に流していいわけじゃないかんね!
賠償として、カタラーナのゴチを激しく要求するお!
 
嫌よ!
タンコブ作らされて、カタラーナをご馳走するなんて、どんな罰ゲームよ!
あんたの目は完治したかも知れないけど、私のタンコブは、まだ腫れたままなんだからね!

あんたの、しょうもない要求に付き合ってる時間が惜しいから、本日、最後の判例検討しちゃうわよ?

横浜壁面線指定取消事件ね。
最決昭和61年6月19日 百選U 148事件
  タンコブあったほーが光ちゃんは可愛いんだお。
ナニそれ?
フォローのつもり?
私が、そんなフォローに納得するとでも思っているの?

まぁ、そんな下らない話に付き合うのもバカバカしいから、判例のまとめをしちゃうわね。

この判例は、百選ではUに掲載されているものだから、ここでは事案や、その判旨については、あまり深入りせずに、ここで抑えるところだけにしておくわね。

本決定では、次のような判断が示されているわ。

行政不服審査法五七条一項は、同項所定の処分を書面でする場合に、その処分の相手方に対して不服申立に関する教示をしなければならないとしているものであるから、特定の個人又は団体を名あて人とするものでない処分についてはその適用がないものと解するのが相当である。

 
法四六条一項に基づく壁面線の指定は、特定の街区を対象として行ういわば対物的な処分であり、特定の個人又は団体を名あて人として行うものではないから、右指定については行政不服審査法五七条一項の適用はないものといわなければならない(利害関係人は、同条二項により教示を求めることができるものとされている。)。

 のみならず、
同法は、行政庁が同法五七条の規定による教示をしなかった場合の救済として、処分をした行政庁に不服申立書を提出すればそのときに正当な審査庁に不服申立がされたものとみなし、その限度で不服申立期間の徒過を救済することとしているものであって(五八条)、同法が不服申立期間の進行を止めるという救済方法を採用したものと解すべき根拠はない。

ってね。 
つまり、本決定では、対人処分人に対する処分)と、対物処分物に対する処分とが区別されているんですよね。

原告は、「自分には知らされなかった! 教示義務があるんだから、教示義務違反がある!」として訴えたのですけど・・・。

本決定では、
対人処分には、行政に教示義務があるけれど。
対物処分には、行政に教示義務はない、としている
んですよね。

そして、本件で問題となった行政行為は、対物処分であるとして、対物処分であるならば、行政には教示義務がない以上、そのような原告の主張は認められない、としているわけですね。 
 
事案聞かずに、判旨だけ聞いても、よくワカラナイんだけど・・・
まぁ、対人処分には、教示義務あり、対物処分には教示義務はないってとこだけ抑えとけばいいってこと?
まぁ、そうね。
また改めて検討する機会には、しっかり検討するから、今は、そのくらいでいいかな、ってね。  
  こくこく(相槌)
  じゃあ、みんなでカタラーナを食べに『ネージュ・ブロンシェ』行こうか。
ナニ、 さも決まっていることみたいに言ってくれてんのよ!  
え?
光ちゃん聞いてなかったの?
今日は、勉強会の後で行くって話を前回していたじゃないの!
ね? ね? クロちゃん?
  私はうかがっていません。
そんな楽しそうな話が、皆さんの間にはあったんですか?
ちょっ、ちょっ!
こら、メガネっ!!
空気読んで! 空気っ!
ホラ、やっぱりね。
相変わらず、いい加減なことばっかり言ってるんだから。
 
くぅぅ〜。
でもまぁ、せっかくこうして、みんなが居るんだし、カタラーナ食べに行くっていうのはありじゃない?
私、行きたいんですけど、講義の課題の検討が終わっていないので、ちょっと時間がないです。 
つかさちゃん来ないなら、またの機会にした方がいいわね。
じゃあ、今日はここまでだから、解散ってことで。  
・・・。
(くぅぅぅ。
 相変わらずクロちゃんは使えないなぁ・・・。
 なんて空気読めない子なんだお。エアーワイフだお。・・・空気嫁。
 ・・・つまんね。カタラーナ食えないし、二重の意味で、つまんね!)
・・・。
(色々な意味で、ヒドい駄洒落です・・・。)

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