行政規則 通達 |
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今回は、行政の行為形式の行政立法から、行政規則を学ぶわね。 行政規則というのは、本来は、行政の内部の規則だから、国民の権利義務には直接関係しない、つまり、外部効果を有しない行政が定める規範をいうのよ。 行政の内部的な定めに過ぎないものなので、法律による行政の原理は妥当しないものなの。 まぁ、簡単に言うと、行政規則は、法律の根拠なく行政機関が自由に定めることができるし、行政規則を巡る紛争は裁判所に取り上げられることはない、ということね。 |
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んみゅ? 国民に関係がないって言うのなら、わざわざ勉強せんでもいいんじゃないの? |
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そうなのよね。 行政規則は、理論的には今、私が言ったような定義付けがなされるものだから、確かに、かつては行政法学の対象からは外れてきたのよね。 でも、現実には行政規則が内部基準として策定されているにも関わらず、実際には国民に対して事実上極めて大きな機能を果たしてしまっているし、外部化現象も見られるようになってきているのよね。 このような現実的な影響が及ぶ以上、これらのトラブルに対して、どのような救済を図るべきか・・・が問題なのよ。 |
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行政規則の種類には、 通達、裁量基準、解釈基準、給付基準、行政指導基準等がありますよね。 |
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そうね。 まず、通達から抑えておこうか。 通達というのは、上級の行政機関が、下級機関の権限行使を指図するために、組織法上の監督権に基づいて発する命令をいうものなの。 この意義を見る限りは、あくまでも行政組織内部での規範なんだから、「なんだ、それなら国民には関係ないじゃん」って思えるわよね。 じゃあ、実際はどうなの? って現実を知る意味で、判例検討をすることにしましょ。 検討判例は、パチンコ球遊器通達変更事件ね。 (最判昭和33年3月28日 百選T 56事件) |
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成程ね・・・。 通達は、行政規則だから、国民の権利義務とは関係ないはずなのに、検討した判例では、通達が、契機になって現実の課税という処分になっているようにも見えるよね。 (あぁ〜あ。このパチンコの判例検討がなければ、ナカたんを、うまいこと口車に乗せて、またホールに連れ込んで打たせて一儲け出来たってのに、余計な判例出してくれちゃってぇ。) |
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・・・。 (また藤先輩から、よからぬ考えを感じるです。これは気のせいなんかじゃないです。) |
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そうよね。 通達は、国民の権利義務に直接関係しない、外部効果を有しないもののはずなのに、現実には大きな影響を与えるものとなって、外部化現象も見られるのよね。 となると、次に問題となるのは、通達の取り消しを求めることは出来るのか? っていうことよね。 行政の内部的な定めであるはずのものが、国民の権利義務にまで影響を与えるというのであれば、その通達を取り消すことだって考えないと・・・っていう話になるものね。 検討判例は、墓地埋葬法通達変更事件にしましょ。 (最判昭和43年12月24日 百選T 57事件) |
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原則、通達は取消訴訟の対象とならないってことなんだね。 それで、それで? 光ちゃんが、判例検討から戻ったら話すって言ってくれたのは、原則に対する例外ってこと? |
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いい読みしてくれるじゃない! 勿論。 原則・・・と来たら、つきものの例外よね。 通達は取消訴訟の対象となるか? という命題に対して、原則としてならない、というのが、さっき検討した判例から導かれる回答になるわね。 でも、例外として、通達に処分性を認めて、取消訴訟の対象となると判断した判例もあるのよね! ソレが、計量法通達事件(東京地判昭和46年11月8日)なの。 地裁判決ではあるものの、この裁判例では、例外的に、通達に処分性が認められるための3要件が示されているのよ。 @通達内容の国民の権利義務との重大な関連性 A影響が外部にもあり、国民の具体的な権利義務ないし、法律上の利益に変動を来していること Bそれ自体を争わせること以外の権利救済手段の欠如 だから、さっきみたいに、サルがお寺の方の立場になれば、通達に処分性を認めて、取消訴訟で争わせるべき、と考えるのであれば、この3要件は抑えておいて、当該事案のような問題に出会った際には、規範として書けるようにしておくといいわよね。 |
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まんどくせ。 ・・・そんな規範覚えるくらいなら、原則通り認めねぇお。 |
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なんて返ししてくれるのよ。 原則論で納得しないのなら、例外が適用される要件は、しっかり抑えておきなさいよ! |
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光ちゃん。 藤さんの冗談じゃないですか。 いちいち真に受けて返さないで下さいよ。 |
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(絶対違うと思うんだけどなぁ・・・むぅ。) 行政規則としては、通達の他にも、裁量基準や、給付基準等もあるわ。 裁量基準の意義を言うと・・・。 いかなる場合に、いかなる処分を行うかの判断は、行政法規が当該行政庁の判断に委ねているものであるから、そこには一定の判断の余地が認められているわけ。 その裁量権の行使の仕方を定めるものが裁量基準ってことね。 裁量基準は、法律により行政庁に与えられた裁量の範囲内で定められたものであり、かつ、その内容も合理的なものである場合には、そのような裁量基準に従ってなされた処分は適法なものとなるわ。 ここからの派生論点として、裁量基準から逸脱した処分は違法となるのか? という問題があるわね。 この点、裁量を行使する権限をもつ行政庁が、裁量基準から離れた決定をすることも認められているのよね。 これは、裁量基準を、あまりに厳格に適用することとなると、裁量基準に法規命令と同じ効果を認めることとなってしまい不合理と言えるからと説かれるわね。 また、裁量基準から逸脱した処分が、法に反するものでないことが要件となるわ。 違法の問題が生じる場合としては、平等原則違反となる場合等が例外的に挙げられるわね。 平等原則については、また行政裁量のところで、しっかり学ぶことにするわね。 |
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こくこく(相槌) |
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なんか通達ってスッキリしないね。 なんか理論と、現実とが違うよなぁ、って感じするね。 |
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だから、最初にそう言っているじゃないのよ。 現実には行政規則が内部基準として策定されているにも関わらず、実際には国民に対して事実上極めて大きな機能を果たしてしまっているし、外部化現象も見られるようになってきているから、これらのトラブルに対して、どのような救済を図るべきか・・・を学ぶ必要があるって言ったでしょ? |
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あぁ、そう言えば、そんなこと言っていたね。 | ||
ホント、いつも聞いててくれてるのかなぁ? 心配になっちゃうじゃないのよ。 |
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頑張って復習してくるです! | ||
ナカたん、ファイトっ! | ||
あんた、その台詞、自分に言いなさいよ!! |