最判昭和33年3月28日
〜パチンコ球遊器通達変更事件〜
じゃあ、いつものように配役を言うわね。

私は、いつものようにナレーター

パチンコ球遊器の製造業者をサル
東京国税局の税務局長を、黒田さんって配役でお願いするわね。

ナレーター
パチンコ球遊器については、戦時中を除いて流布していたものの、ほとんど課税されていませんでした
ムフフフ。
パチンコ球遊器は、物品税の対象じゃないから、ありがたいのぉ。

パチンコ球遊器の製造業者

東京国税局の税務局長
えー、このたび、私は管下の税務官庁に次のような趣旨の通達を出そうと思います。 

まぁ、平たく言えば、パチンコは「遊戯具」であるから、物品税の課税対象に「遊戯具」が課税物品とされている以上、パチンコ球遊器に対しても、物品税を課税しなさい、というものですね。

えー、管下の税務官庁は、そのように課税するように。以上。
んん?
今まで、物品税なんかとらんかったやないかい!
それが、なんだ?
東京国税局の税務局長の通達があったからって言って課税するって言うんか?

パチンコ球遊器の製造業者

東京国税局の税務局長
物品税が、遊戯具に対して課税されている以上、パチンコ球遊器に対して課税されるのは当然じゃないですか? 
いやいやいや。
税金については、租税法律主義って言葉があるだろうが!
なんで、法律じゃのぉて、お前らの行政内部の通達によって課税しとるんだって話よ!
別に通達を根拠に課税しているわけではないです。
遊戯具であるパチンコ球遊器に、これまで課税してこなかったことは、課税漏れだったってだけの話ですよ。 
そんな言い分が通るとでも思っとるんか!
こんなもん通達課税以外の何物でもないわ!
違憲じゃ、違憲っ!
わしは、訴えるからな!
   




・・・はい。お疲れぇ。  
皆さんが、いつもいつも怖い、怖いって言うものですから、怖い顔にならないよう配慮しました。
パチンコと言えば、私、この前、生まれて初めてパチンコしました!
へぇー。
ナカちゃんがパチンコ行くなんて意外ねぇ。
なんで行こうなんて思ったの? 
  ・・・あ、ナカたん、それは・・・。
  藤先輩が誘って下さったんです。
・・・うぅ、羨ましい。
どうして、私には声かけて下さらなかったんですか?
サル、お金ないのに、よくパチンコ行こうなんて思ったわね。
しかも、ナカちゃんを誘うなんて、どういうつもりよ?
  えぇ〜。
説明しないとダメ?
ダメってわけじゃないけど、つかさちゃんは誘って貰えなかったことに不満げだし、理由は言うべきじゃない? 
麻雀打った際に、ナカたん太ぇなぁ、って思ったんだお。
んでもって、クロちゃんは極細っ!
だから、ナカたんの運に頼ってみようかな、って思ったの。
クロちゃんは、細いから戦力外っ!
  ・・・せ、せ、戦力外ですか・・・。
まぁ、ソレは思わなくはないところだけれど・・・。
で、勝ったの?
負けたの?  
よくワカラナイんですけど、すっごい一杯球が出ました!
画面が、キラキラ、ピカピカしてて面白かったです!
でも、すっごいうるさかったです。私、ちょっと帰りに頭が痛くなっちゃいました。
でも、その話を聞く限り、今の2人は随分と、お金持ちなんじゃないの?
良かったじゃない!  
お金は増えてないんですけど、藤先輩から、お菓子を一杯頂きました。
紙袋一杯のお菓子を、私の分だよって言って下さいました。
ん?   
  ん?
ん?  
・・・・。

(だから言って欲しくなかったのに・・・しっかり口止めしておくべきだったお。
 換金したお金は、しっかりあたしの懐に。
 ナカたんには、まぁ、パチンコの仕組みなんてワカりゃしないし、お菓子上げりゃいっか、って思ったのに。
 コレはツッコまれるかなぁ。)
えー、スゴぉい!
じゃあ、御2人は、しっかり勝ったんですね!
はい。
あんなに、お菓子一杯持って帰れるなんて、大勝ちです!
  そ、そ、そうだよね。
いやぁ、良かった、良かった。
・・・後から詳しく事情聴取の必要があるみたいだけどね。
ねぇ、木下さん?
ないない!
そんな必要、微塵もない!
でも、私も一度経験してみたかったです。
パチンコなんて遊び、1人じゃすることないですし。
いやぁ、クロちゃんは、やった分だけ負けるだけだから、一生行かなくっていいと思うかな。
  ・・・うぅぅぅ。
なんか脱線が、とんでもないことになっているから、そろそろ事案のポイントまとめるわね。

この事案の争点は、新たに変更された通達に基づく処分の有効性が、問題となっているのよね。

それじゃ、この争点に対する最高裁の立場を見るわね。
ウキっ!

(よし、判例検討に話題は戻ったお!
 ココは頑張って、判例検討の話題で終わらせてやんよ!)
  最高裁の判断は、次のものよ。

社会観念上普通に遊戯具とされているパチンコ球遊器が物品法上の「遊戯具」のうちに含まれないと解することは困難であり、原判決も、もとより、所論のように、単に立法論としてパチンコ球遊器を課税品目に加えることの妥当性を論じたのではなく、現行法の解釈として「遊戯具」中にパチンコ球遊器が含まれるとしたものであって、右判断は、正当である。

 なお、論旨は、通達課税による憲法違反を云為しているが、本件の課税がたまたま所論通達を機縁として行われたものであっても、
通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、本件課税処分は法の根拠に基づく処分と解するに妨げがなく、所論違憲の主張は、通達の内容が法の定めに合致しないことを前提とするものであって、採用し得ない。

 従って、本件賦課処分を当然無効であると断ずることはできないとした第一審判決を支持した原判決は正当であって論旨は理由がない。
要は、行政内部において、元の通達の解釈の誤りを正しただけであって、通達そのものが課税の根拠じゃないってことを言っているんですよね。
そうね。

あと、本件の争点の問題に対しては、
新たに変更された通達に基づく処分であるとしても、その通達の内容が法の正しい解釈に合致するものである以上、法に基づく処分であるといえ、違憲となるものではない、と判例は言っているわよね。
で、で、でも、コレ、実質的には、通達以前にはされていなかった課税が、通達によって課税されることになっとるんだから、通達課税だっていう原告側の主張も、あながち間違っていないと思えるなぁ。
ソレは言えますよね。
少なくとも、1941年の法律改正によって、遊戯具が、物品税の課税対象となっていたのに、その後、10年以上、パチンコ球遊器には、課税されてこなかったのが、1951年の通達によって、課税対象となったわけですものね。
確かに、10年以上の長きにわたって、パチンコ球遊器が非課税であったという事実から、この事実に対する国民の信頼をどう考えるべきか、という問題はあると言えるわよね。 

本判決は、この問題に対しては明らかにしていないので、なんとも言えないけれど、考えるべきところよね。

ただ、遊戯具に、パチンコ球遊器が含まれない、という解釈には、ちょっと無理があるわよね。
どう考えても、パチンコ球遊器は、遊戯具だと言えるわけなんだし、そう考えれば、通達前に課税されていなかったことは、単なる課税漏れだっていう国側の主張が無理筋だとは思えないわよね。

それならば、パチンコ球遊器を非課税だとする事実への信頼を保護すべき要請は、それ程高いものだとは、ちょっと考えにくいというのは、あるかなぁ。
  こくこく(相槌)
まぁ、社会観念上、普通、パチンコ球遊器は、遊戯具って言われても、違和感は微塵もないもんね。
珍しくいい指摘するじゃない。ちゃんと判例検討してて嬉しいわ。 
ウキっ!

(くっくっく。
 法律バカは、チョロいっすわ。コレで、めでたく無罪放免。
 また、あたしの金づるのナカたんには、パチンコで稼いで貰わないといけないかんね!)
 
藤先輩・・・。
申し訳ないのですが、私、楽しかったのですが、パチンコ屋さんは、音がスゴくて頭痛がして来てしまうので、もう行きたくないです。
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