前回は、人の住所、居所、仮住所についてまとめたわよね。 でも、中には自分の住所からいなくなって、そのままになってしまう人もいるわよね。 民法は、このような場合の善後策として、不在時期を2つに分けて、それぞれに制度を設けたの。 それが今から勉強する 不在者の財産管理制度 と 失踪宣告制度 なのよ。 ナカちゃん、この前は失踪宣告制度について聞きたいことあるって言ってたのに、私のせいでゴメンね。 今日は、バッチリ答えちゃうから、ワカラナイことあったら、どんどん聞いてね! |
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嬉しいです。 | ||
なんで、ドッチもいない(不在)のに、わざわざ分ける必要あるの? 一緒じゃダメなの? |
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不在者の財産管理制度と、失踪宣告制度の最大の相違点は、不在者の扱いなの。 不在者の財産管理制度は、不在者本人が、まだ生きているという推測を前提とした制度であるのに対して、失踪宣告制度は、不在者本人を死亡したものとする前提で扱う措置なのよね。 それぞれの制度の内容については、これからしっかり抑えましょ。 |
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ふむふむ。 帰ってくることを前提とした制度と、帰ってこないことを前提とした制度ってことね。 |
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そうね。 ザックリした理解するのだけは、サル得意だよね。 まぁ、善し悪しだとは思うんだけど。 じゃ、まずは不在者の財産管理制度について説明するね。 不在者の財産管理制度とは、住所(または居所)を去って、容易に帰ってくる見込みのない者について、本人がまだ生きていると推測して、残していった財産を管理し、本人の帰ってくるのを待つという制度なの。 条文を先に見ちゃおっか。 六法で、民法25条1項をひいてみて。 |
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民法第25条1項 『(不在者の財産の管理)第25条第1項 従来の住所又は居所を去った者(以下「不在者」という。)がその財産の管理人(以下この節において単に「管理人」という。)を置かなかったときは、家庭裁判所は、利害関係人又は検察官の請求により、その財産の管理について必要な処分を命ずることができる。本人の不在中に管理人の権限が消滅したときも、同様とする。』 |
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財産の管理人? 変な管理人さんがいるんだね。 |
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不在者の財産を管理する人ね。 不在者本人が、前もって、自分の財産について、「私が居なくなったときには、あなたを私の財産の管理人にしますね」ってしておけば問題ないんだけど、そうじゃなかった場合は、利害関係人(推定相続人や、債権者など)または検察官の請求により、家庭裁判所が不在者の財産の管理人の選任等(選任管理人という)を命じるのよ。 |
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管理人が、勝手に財産使ったりしないのかなぁ? あたしだったら、そんなお金預かったら、使い込んじゃいそうだけどなぁ。 |
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あんたを基準にモノを考えないでよね! そもそも、この不在者の財産管理制度の目的は、@不在者本人の財産の保存と、Aその財産に対する利害関係人の利益擁護のためなのよ。 だから、あんたみたいな人格不適合者には、誰も、そんな大役は任せないわよ! それに、選任管理人は、不在者の財産について何でも出来るってわけじゃないからね! 選任管理人は、原則として、民法103条所定の行為しかできないのよ。それを越える行為をする場合には、家庭裁判所の許可がいる(民法28条前段)んだから! それじゃ、民法103条と、民法28条を、それぞれ確認してみて。 |
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民法第103条は・・・。 『(権限の定めのない代理人の権限)第103条 権限の定めのない代理人は、次に掲げる行為のみをする権限を有する。 一 保存行為 二 代理の目的である物又は権利の性質を変えない範囲内において、その利用又は改良を目的とする行為』 民法第28条もですね。 『(管理人の権限)第28条 管理人は、第103条に規定する権限を超える行為を必要とするときは、家庭裁判所の許可を得て、その行為をすることができる。不在者の生死が明らかでない場合において、その管理人が不在者が定めた権限を超える行為を必要とするときも、同様とする。』 なるほどです。 |
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今読んだ2つの条文からワカルように、財産管理人は、「保存行為」、「利用又は改良行為」をなす権原は有しているんだけど、これらの権原を越える行為については、家庭裁判所(以下、略して「家裁」)の許可を得ないといけないのよね。 | ||
あ、あの明智先輩。 私、保存行為っていうのが、どこまでの行為を意味するのかが、よく解っていないんですけど。 |
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じゃあ、具体的な質問を出してあげるから、それぞれの行為が、財産管理人の権限内の行為(「保存行為」「利用又は改良行為」)かどうか考えてみてくれる? 択一でも聞かれるところだから、ちゃんと答えられるようにしておくといいわよ。 質問1 不在者所有の建物に雨漏りがあったので、リフォーム業者との間に修繕工事契約を締結して、修繕費用を支払った。 質問2 不在者の普通預金で株式を購入した。 質問3 不在者の借りていたお金(債務)の弁済期(返す期限)が到来したので、そのお金を不在者の普通預金から弁済(返)した。 どうかな? この中に、家裁の許可がいるものはあるかな? |
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うーーん。 2は、許可がいりそうな気がします。 あとは、保存行為じゃないでしょうか? |
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うん。理解できているんじゃないの? 1は保存行為(民法103条1号)だから、家裁の許可は不要(民法28条)ね。 3も同じく、弁済期の到来した債務の弁済は「財産の現状を維持する行為」といえるから保存行為(民法103条1号)だから、家裁の許可は不要(民法28条) ただ、2は株式は市場の変動により下落したりするものだから、保存行為とは言えないわよね。よって、処分行為にあたるから、家裁の許可が必要(民法28条)よね。 |
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なんだよぉ。 ナカたんだって、理由も言わずに答えだけしか言ってないのに、あたしの時とは態度が、あからさまに違うじゃない。 光ちゃんのアホボケカス・・・ |
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ん? なんか言った? あ、質問出して欲しかったの? じゃあ、サルにも出してあげるから答えてよ。 質問。 不在者財産管理人が、不在者の利用していた土地について、ある人から所有権確認請求訴訟を提起された場合、応訴するには家裁の許可はいりますか? |
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ちょ・・・ ちょ・・・ ちょっ!!! ナカたんへの質問とレベルが違うじゃんよ! |
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ドレも択一試験で聞かれた問題から出してるんだから、レベルの差なんかないわよ! 因みに答えは、当該訴訟への応訴は、「財産の現状を維持する行為」(保存行為)にあたるため、家裁の許可は不要でぇーす。 やーいやーい。 サルのアホボケカスぅぅぅぅっ!! |
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・・・すぐムキになるんだもんなぁ。 まだ民訴勉強してないってのに、ヒドいよ。 |
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教えてもらってる人に、悪口なんて言うからよ。 |
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・・・・大人げねぇ。 (同い年だけど・・・。) |