民法の基本原理を今日は抑えるわよ! 民法三原則とか民法の三大原理って呼ばれる近代民法の基本原理ね。民法の考え方の根底、基本部分だから、しっかり抑えておいてね。 その内容は、 1.権利能力の平等 2.所有権絶対の原則 3.私的自治の原則 の3本柱よ。 |
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3本柱って言うと、なんか野球の投手陣を連想しちゃわない? | ||
斎藤・桑田・槙原? | ||
・・・・古っ! しかも、巨人かお・・・ 流石、金満豚は、金満球団がお好きと見えるお・・・ |
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明智先輩には、申し訳ないのですが、私も巨人はキライです・・・ | ||
いつも口数少ないナカちゃんが、わざわざ口にするくらいだから、相当キライなのは伝わってきたわ・・・ 私の愛する巨人軍の話題で、一緒に盛り上がれないのは残念この上ないところだけど、まぁ、今は野球談議をするつもりはないから、民法の基本原理の内容について、それぞれまとめるわね。 まずは、1つ目の権利能力の平等からね。 これは、憲法のいう「法の下の平等」、つまり、人はみな生まれながらにして平等であるという理念を、民法(私法)上に表したものよ。 民法第3条1項を六法でひいてみて。 |
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民法第3条第1項。 『第3条第1項 私権の享有は、出生に始まる。』 |
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この条文は、権利主体となる時期がいつか、ということを示すと同時に、人は生まれさえすれば権利を享有できる、ということを明らかにしたものなのよ。 | ||
憲法で、立憲主義の下では、人は生まれながらにして自由かつ平等で、生来の権利(自然権)があるって勉強したもんね。 (憲法ってなに?A参照) 成程、成程。 |
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そうね。 他の勉強している法律と絡めて、多角的に抑えておくことは大事よ。 次に2つ目の所有権絶対の原則ね。 これは、財産の私的所有を認める原則よ。 民法第206条を六法でひいてみて。 |
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民法206条ですね・・・。 『(所有権の内容)第206条 所有者は、法令の制限内において、自由にその所有物の使用、収益及び処分をする権利を有する。』 |
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この条文は、所有者の自由な所有権(自由に自己の所有物を、使用、収益、処分できる権利をもつこと)を定めているのよ。 そして、その自由な所有権を保護するため、自己の所有権を侵害する者に対して、その侵害を排除できるという所有権の不可侵も、定めているものといえるわ。 つまり、この自由な所有権と所有権の不可侵が、所有権絶対の原則の内容といえるわね。 このあたりは、詳しくは民法の物権編で勉強することにするけどね。 |
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自分のモンなんだから好きにつかっていいじゃん! オレのモンに勝手に手ぇ出すなよ! ってことだね! |
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そこまで言っちゃうと、ちょっと違うよ・・・って話(公共の福祉による制限・権利濫用の禁止等)は、まぁ、後でするから、ザックリで今はいいかな・・・うーん、どうもサルは、安易に理解しようとするとこあるのが、引っ掛かるんだけどなぁ・・・。 じゃあ、最後に3つ目の私的自治の原則について説明するね。 この原則は、民法という法律においては、すっごく重要な原則なの。 私的自治の原則とは、個人は自己の意思に基づいて、自らの生活関係(法律関係)を自由に形成することができ、国家は、こうして形成された生活関係(法律関係)を尊重し、保護しなければならないとする理念をいうのよ。 この私的自治の原則から、取引活動の場面においては、契約自由の原則が具体化されることとなるの。 また、契約自由の原則の内容としては、@契約締結の自由、A内容決定の自由、B相手方選択の自由、C方式決定の自由、があげられるわ。 また、契約自由の原則のほかに、団体設立の自由の原則、遺言自由の原則も、私的自治の原則の具体化としてあげられるわね。 そして、自由な活動が認められるという反面として、自己の自由な活動によって他人に不当な損害を与えた場合には、その損害を賠償しなければならないとする過失責任の原則(過失責任主義、自己責任の原則)が導かれることとなるわけ。 |
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1つ目、2つ目で油断してたら、3つ目で、一気にきたお・・・ | ||
勝手に油断してた、あんたの自己責任でしょ? ただ、今述べた民法の基本原理は、「公平」という見地からの修正を受けることは忘れないでね。 例えば、人はみな生まれながらにして平等とはいうものの、現実的には、社会的立場の違いによって、平等ではないわよね。 |
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光ちゃんの愛する金満球団と、あたしの愛する広島カープみたいにね! | ||
ゴメン。その例えはよくワカラナイんだけど・・・ 例えば、労働関係や、消費生活関係においては、社会的立場の違いによって平等ではないと言えるわよね。 使用者と労働者は、その社会的立場から平等とは言えないじゃない。 そこで、労働基準法2条、3条等によって、より具体的・実質的に平等の実現を図る、といった修正を受けることになるのよ。 |
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黒田ぁぁーーっ!! 頼むから、アメリカから帰ってきてぇぇーーっ!!! あ、この黒田っていうのは、つかさちゃんのことじゃないお!? (黒田つかさ キャラクター紹介参照) |
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ちょっと、真面目に聞きなさいよ! それにどうせ黒田は帰ってこないわよ! 他にも、過失責任主義の原則の修正として、過失の立証が困難な場合には、過失の有無に関わりなく、損害を賠償すべきとする無過失責任主義がとられることもあるわ。 例えば、民法第717条第1項を六法でひいてみてよ。 |
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・・・・。 (コイツ、今サラっと黒田が帰ってこねぇって言い放ちおったお・・・ 全広島ファンの希望を砕くような発言・・・マヂ許さねぇお!) |
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民法717条ですね・・・。 『(土地の工作物等の占有者及び所有者の責任)第717条第1項 土地の工作物の設置又は保存に瑕疵があることによって他人に損害を生じたときは、その工作物の占有者は、被害者に対してその損害を賠償する責任を負う。ただし、占有者が損害の発生を防止するのに必要な注意をしたときは、所有者がその損害を賠償しなければならない。』 この但し書きの前までが、明智先輩が言われた無過失責任ってことですね? |
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ナカちゃん、そのとおりっ! サル、あんた今日、一回も六法ひいてないじゃないの! 全部、ナカちゃんが引いているわよ! 無過失責任は、例外的なものなので、当該責任を認めたものは非常に少ないからね。 無過失責任を定めた民法上の条文は? って聞かれたら、土地工作物責任って返しぐらいは出来るようにしといてね。 |
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毎年、鯉のぼりの季節までは広島強いんだけどなぁ・・・ | ||
ちょっとっ! そこの赤ヘルファンの人っ! 真面目にやんないと怒るわよ! |
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所詮、金満球団を応援するような人には、広島ファンの気持ちなんてわかりゃしねぇんだお・・・ | ||
ナニよ? 今日の勉強はひととおり終わったから、言いたいことあるなら聞くわよ? |
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わかって欲しいとも思ってないんだけどねっ!! |
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ふ、ふ、藤先輩・・・ |
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だったら、黙ってなさいよ! 最後に、今日の民法の基本原理について、それぞれの原理が対応・関連しているものを、まとめるとわかりやすいと思うから、それを伝えておくわね。 権利能力の平等は、すべての人のために。 所有権絶対の原則は、私有財産の拡張と保持のために。 私的自治の原則は、上記の活動のために。 それぞれある理念だって理解するといいと思うわ。 |
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こくこく(相槌) | ||
こくこく(相槌) | ||
あんた、ナカちゃんの真似だけしたってダメだからね! もう少し真面目にやりなさいよ! |