芦部憲法の第1章にあたるところは今日で終わりにするわよ! それじゃ、憲法規範の特質について、まとめてみるわね。 |
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憲法規範の特質 @ 自由の基礎法 『近代憲法は、何よりもまず、自由の基礎法である』 つまり、個人の尊重こそ、統治機関がよるべき基本価値。 A 制限規範 @の個人の自由を尊重するためには、憲法によって権力を制限する必要がある。 つまり、憲法は国家権力を制限する基礎法といえる。 B 最高法規 形式的根拠・・・憲法の硬性(憲法96条・「憲法ってなに?@」参照)) 実質的根拠・・・立憲的意味の憲法の基本価値は個人の尊厳、国民の自由の保障にある。 つまり、自由の基礎法としての憲法であることに実質的根拠は求められる。 |
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さ、サルっ! 早速、六法を使うわよ。 憲法が自由の基礎法であることを根拠づける条文を見つけてみて。 |
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・・・光ちゃん・・・。 目次見ても、よくワカラナイんだけど・・・答え言っちゃっていいよ・・・ |
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この条文は、とにかくよく使う条文だから、出来ればサルに見付けて貰いたかったんだけど・・・ 13条を読んでみて。 |
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13条だね・・・っ。 『第13条【個人の尊重・幸福追求権・公共の福祉】 すべて国民は、個人として尊重される。生命、自由及び幸福追求に対する国民の権利については、公共の福祉に反しない限り、立法その他の国政の上で、最大の尊重を必要とする。』 光ちゃん! あたし、コレ読んだ覚えあるよ! |
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すっごく有名な条文だからね。 そして、日本国憲法の中でも、すっごく大事な条文なのよ。 私たち、1人1人を、ひとりの個人として、ひとりの人間として尊重すべきことを憲法は13条でいっているの。 つまり、この条文にこそ、憲法の基本価値の選択が表現されているのよ。13条くらい、見付けて欲しかったなぁ。 |
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それじゃ、この条文はこれから憲法を勉強していく中で、何度かお世話になりそうだね。 あたしの六法の13条にマーカーしちゃおっと! あ、マーカー借りるね(くりくりっ)。 |
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次は、最高規範としての憲法について説明するわね。 形式的根拠については、硬性憲法であることから説明できるのよ。 憲法の改正手続きが、法律の改正よりも厳しい要件が課せられるのは、最高法規故に・・・ってことでね。 |
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硬性憲法については、前回勉強したから覚えているよ。 条文は、第9章に一つしかない条文、96条だったよね。 |
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そうね。 次は最高規範としての憲法の実質的根拠についてね。 まずは六法で、憲法97条を見てみて。 そして次に、憲法11条を見てみて。 この2つの条文はよく似ているよね。 それぞれ、どんな役割をもっていると思う? |
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97条は・・・。 『第97条【基本的人権の本質】 この憲法が日本国民に保障する基本的人権は、人類の多年にわたる自由獲得の努力の成果であって、これらの権利は、過去幾多の試練に堪え、現在及び将来の国民に対し、侵すことのできない永久の権利として信託されたものである。』 11条は・・・。 『第11条【基本的人権の享有】 国民は、すべての基本的人権の享有を妨げられない。この憲法が国民に保障する基本的人権は、侵すことのできない永久の権利として、現在及び将来の国民に与えられる。』 うん・・・なんか同じこと言っている気がする・・・。 役割は同じ? ・・・で合ってる? |
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それぞれの条文が書かれている章が、ヒントだったのよ。 97条は、第10章「最高法規」に。 11条は、第3章「国民の権利及び義務」にあるでしょ。 つまり、97条は憲法の最高法規性の実質的根拠を説いていて、11条は、その守るべき国民の権利としての人権を説いているのよ。 |
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結構いい顔して言ったのに、違うなんて・・・。 大事なことだから2回言いました的な感じだったから騙されちゃった・・・ |
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憲法が国の最高法規であることを図解で示すと・・・。 これは、国内法秩序を段階構造として示したものよ。 憲法を頂点にピラミッド構造で、それぞれの順序を表しているの。 |
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うーんと、つまり・・・ 憲法に反する法律はなく・・・ 法律に反する命令はなく・・・って感じで。 逆に言うと、処分の根拠は命令にあり・・・ 命令の根拠は法律にあり・・・って感じなわけだね? |
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呑みこみ早いわね。 じゃあ、ここで質問。 条約は、この図だと、何処に入ると思う? |
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処分や命令よりは絶対上っぽい・・・うーん、法律よりも上っぽいなぁ・・・。 憲法と法律の間? いやいや、他の国との合意なんだから、国内法である憲法の上なのかな? |
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条約は、憲法より下位で、法律より上位にあたるっていうのが通説的理解ね。 憲法優位説って呼ばれる考え方よ。 |
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わかったっ! じゃあ、これでおしまいだよね! |
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サル、逃げようとするんじゃない! 最後に、法の支配について、まとめないと。 |
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法の支配・・・すべての国家権力が正しい法に拘束され、そのことによって 国民の権利・自由を擁護することを目的とする原則。 法の支配の内容 @個人の人権尊重 A憲法の最高法規性の承認 B適正手続 C裁判所の役割への尊重=違憲立法審査権 法の支配と同義の意味の言葉として、 実質的法治国家。 実質的法治国家は、行政権・司法権のみならず、立法権も憲法に拘束される。 法律の内容は憲法に違反してはならず、また、その内容の適正を裁判所が判断する。 法の支配と著しく意味の異なる似た言葉として、 形式的法治国家。 形式的法治国家は、行政権は法律に基づかなければ、国民の権利を制限できない。 しかし、逆を返せば、法律によれば国民の権利を自由に制限できる。 ⇒そして、@法律の内容は問わない。 A行政が法律に適合しているかの判断は、行政権の一種である行政裁判所が行う。 法の支配にいう「法」とは、内容が合理的でなければならないという実質的要件がある。 形式的法治国家は法律の内容を問わないという点で、非常に危うい国家といえる。 (戦前のナチス政権下のドイツが、よく例示として挙げられる) |
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上のまとめを理解したかどうか確認する意味で、旧司の短答の肢から1問出すわね。 『法の支配の目的は、公権力の担い手を法で拘束し、恣意的な統治活動がなされることを防ぐ点にあるから、法律の内容がどのようなものであっても、行政権の行使は、議会の制定する法律に反してはならないとする法治主義と、その内容は同じであるということができる。』(平成18年問題) ○ か × か? |
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法の支配にいう「法」は内容が合理的なものじゃなきゃダメなんだから・・・法律の内容がどのようなものであってもいいとする法治主義は、形式的法治主義を意味することになるので・・・ 両者は意味が全然違う別物だから・・・ 答えは、○っ!! |
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・・・・・・・・・・・・・。 なんで、そうなるの? いや、理由は、サルの言うとおりよ。 ばっちり言えてるわ。 だから、正解は「×」でしょ!? |
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・・・・・・ウキッ。 | ||
落ち着いて答えることも大事よ。せっかく出来てたのに、もったいなーい。 | ||
うんとね・・・ もう脳味噌トコロテン状態。 さっきも自分でナニ言ってんのか、途中からよくワカラナくなっちゃってた・・・ |
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じゃあ、最後の近代立憲主義の変容については、わかりやすいように言葉でまとめて説明するから聞いててね。 立憲主義の思想の下で、個人は自由かつ平等であることが憲法によって保障され、そこでは個人の自由意志に基づく経済的活動が広く容認されることとなったの。 ここにいう個人の自由や平等は、人間はみな生まれながらにして自由かつ平等であるということなの。自由かつ平等であることは、生まれながらにしてもつ権利であることから、生来の権利という意味で「自然権」とも呼ばれるわ。 ただ、資本主義の発達は、富の偏在を招き、労働条件の劣悪化、独占的グループの登場という事態になってしまったのよ。 わかりやすい今の言葉で言うと、富の偏在は「格差問題」、労働条件の劣悪化は「ワーキングプア―」、「働く貧困層」って問題よね。 そうなると、憲法の保障する自由は、社会的・経済的弱者にとっては、「貧乏の自由」とか、「空腹の自由」に成り果ててしまうことになってしまうわけなの・・・。 |
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富の偏在は、あたしと光ちゃんの着ているモンとか昼食見れば、一目瞭然でワカルことだから、わざわざ例えてくれなくってもいいよ。 | ||
・・・なんかトゲのある言い方してくれるじゃない・・・。 でも、社会的・経済的弱者を救済しなくちゃ人間本来の自由と生存を確保できないわよね。 そこで、国家が従来、市民の自律に委ねられていた市民生活の領域に一定の限度まで積極的に介入して、社会的・経済的弱者の救済に向けて努力するという社会国家という考えが生まれることになるのよ。 でも、そうなると救済の役割を担う行政権が、その機能を果たす為により大きくなってしまい、行政の肥大化と呼ばれる問題がでてくることになったの。行政国家化ともいわれるわね。 |
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ワカッタ、ワカッタ。 ワカッタから、とりあえず富の偏在化を是正する意味で、今日はあたしに晩御飯おごってよ。 |
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なんで私人の私が、国家の役割を担わないといけないのよ! せっかく教えてあげているのに、そんな態度なら、もう教えてあげないんだからね! |
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ひ、ひ、光ちゃんって、美人だし、頭もいいし、勉強のできないあたしを助けてくれるなんて、天使みたいに優しい人だよね! しかも、お金もないあたしに晩御飯まで御馳走してくれるなんて、天使超えて、もう女神様だよね! |
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や、や、やだぁ〜。 そこまで褒められるほどじゃないわよ〜。 まぁ、自分でも少しは、そうかなぁ、って思うことがなくはないんだけどね〜。 じゃあ、フレンチでも一緒に行く? |
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流石、光ちゃんだよ。 それじゃ、気が変わらないうちにすぐ行こ! (・・・コイツ、ちょれぇーっ!) |