改正民法 第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。 |
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枝番の新設条文ですね。 意思能力とは自己の行為の結果を理解できる程度の判断能力(精神能力)をいい、その能力を欠いた状態でなされた法律行為は、有効になす能力を備えていないから無効ってことですよね。 |
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そうね。 現行条文には、意思能力に関する改正民法3条の2のような条文はないわね。 ただ、この点に関する判例は古くからあったわよね。 |
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百選掲載判例ですよね。 (勉強会・行為能力と意思能力@) (大判明治38年5月11日 百選T 5事件) |
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そうそう。 意思能力のない者の行った法律行為は無効となる、という判例よね。 |
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はい。 |
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でも、それとは別に以前の勉強会でも紹介した判例があるのよね。 つかさちゃんからの質問を受けて、私が調べてみた判例なんだけど・・・ (勉強会・意思表示H強迫) (最判昭和33年7月1日 百選T 5版補正版 20事件)。 |
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私も憶えていますよ。 表意者に意思決定の選択の自由を失う程度の畏怖(=恐怖によって、全く意思の自由を奪われた)が生じた場合であれば、96条の適用はなく、無効と解すべきってものでしたよね。 |
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そうそう。 あの判例。 もっとも大事なのは『意思決定の選択の自由を失う』ような状態でなされた法律行為は『無効』って部分になるわけだけど |
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改正民法第3条の2にいう『意思能力を有しなかったとき』というのは、激しい恐怖状態に陥っているような場合を想定しているのですか? | ||
ソレは違うわね。 ・・・ううん、違うっていうのは少し語弊があるわね。 そういった場合もイレギュラーな場合として、この条文が適用される一場面といえるでしょうけど、この新設条文が保護しようとしているのは、判断能力が低下して『意思能力を有しな』いような状態で法律行為をしてしまった御高齢者の方々といえるわ。 |
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成程。 高齢化社会の問題は、年金や自動車運転等だけではなく、民法においても対応が必要な問題となっているわけですね。 |
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たしかに、それらの問題も立法による対応が必要なのかも知れないけど・・・ 民法は、いちはやい対応をってことなのかもね。 |
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・・・私との思い出の判例を想起された新設条文だったから、私と一緒に検討して下さったんですね。 | ||
そうね。 | ||
ふふふ。 なんだか2人の間の思い出の判例があるのって嬉しいですね。 |
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私も、改正民法の最初の条文を見た際に、あっ! って思い出して、ちょっと嬉しい気持ちになったのよね。 | ||
これからも思い出の判例が増えるといいですよね。 是非これからも一緒に勉強させて下さいね。 |
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こちらこそ。 よろしくね、つかさちゃん。 |
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は、はい! ひ、光ちゃん! |
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最後に再確認! | ||
改正民法 第3条の2 法律行為の当事者が意思表示をした時に意思能力を有しなかったときは、その法律行為は、無効とする。 |