不動産登記

  ネージュ・ブロンシュって、いいお店だよね!
チイ、このお店大好きだよ!
いいお店もナニも、チイの知っている喫茶店なんて、実家の最寄の駅の前にあった、あの一軒くらいじゃないの、どうせ。 
丸山のオジさんが半分趣味でやっているようなお店でしょ、アレ。
比較対象にすら、ならなくね?
ち、ち、違うよ・・・。
高校の傍にあった喫茶店と、通学途中のバス停の傍の喫茶店も知ってるよ。
・・・入ったことはないけど。 
いや、ソレ知ってるうちに入らないから。
別にいいじゃないのよ。
チイちゃんが、ネージュ・ブロンシュをいいお店だって思っていることには違いないんだし。
サルは、ナニが気に入らないのよ。 
  だよね! だよね!
チイは、ネージュ・ブロンシュ大好きだよ!
前回、お邪魔したときは、ちょっとお店の人にも御迷惑を掛けてしまったところあったから、今回は前もって予約入れておいたのよね。
ご相談させてもらったら、それならビュッフェ形式っぽくさせて頂くってことを御提案して下さったから、そうすることにしたわ。 
  え?
ナニ方式だって?
ビュッフェ形式よ。
要は、お店の方が最初に、ケーキやシュークリーム、パイ等を予め出しておいて下さっているから、ソコから好きなだけ食べて下さいってこと!
あ、料金は既に支払い済みだから、余ったら御土産にしてくれていいわよ。 
成程です!
実は少し心配していたのですが、しっかりお店の方とも相談済みだったなんて、流石、明智先輩です!
なんだか、よくワカラナイけれど、好きなだけ食べていいってことなんだよね?
ウワーっ! 夢みたいだよっ!! 
くぅぅぅぅぅ。
この小動物おらんかったら、残りは御土産にもなるんだろうけど、コレは余ることはないな・・・うん、ないない。
あ、予約席はココみたいね。
 
わぁ〜。
ホントにビュッフェ形式なんですね。
とても食べ切れませんけど、コレだけお菓子が並んでいるのは見てるだけで幸せになっちゃいますね。 









ウワーーーッ!! ウワーーーっ!!! ウワーーーーっ!!!!  ウェブ アニメーター
チイちゃんが、そんなに喜んでくれるなんて。
ビュッフェ形式にして大正解だったかな。
でも、こんなに用意して頂けたなんて、お店の方も頑張って下さったみたいね。後から御礼言わなくっちゃ。 
ス、ス、スゴいです!
コレは、早速、写メをしないと、ですっ!!
(パシャ、パシャっ!) 
みんな満足しているみたいで、私も嬉しいわ。

それじゃ、各自好きなケーキを後は、めいめいに頂くってことにして、登記の勉強会を始めるわよ。  
  もぐもぐもぐもぐ。 
ちょっとっ! サル、あんたが聞きたいって言ってた登記制度の話するわよ?
ちゃんと聞いてなさいよ?

登記は色々あるんだけれど、ここでは主に不動産登記の話にするわね。

民法177条から、不動産の物権変動においては、移転登記をしておかないと、売買の当事者以外の第三者に対しては対抗できない、って話はしたわよね。
では、ここにいう登記とはナニかってことよね。

今日は、この登記についての勉強会になるわ。 
  もぐもぐもぐもぐ。
先に言っておくけれど、登記の話は、この後で聞かれても、もうしないからね!  聞いてる? 木下さん。

現在の不動産登記法は、2004年に出来た新法なのね。
それまでは、1899年に、民法のすぐ後に制定された不動産登記法が100年以上にわたって使われてきたの。
現在の不動産登記法は、不動産登記簿をデジタル化したこと(不動産登記法2条9号)に大きな特徴があるとされるわ。

これによって旧法では、当事者が登記所に出頭してすることとされていた登記申請もオンラインで出来るようになったのよね(同法18条)。
但し、基本的な仕組み自体は変わっていないわ。
  成程です。 
登記には、表示の登記(表題部)と呼ばれる部分と、権利の登記(権利部)と呼ばれる部分とがあるわ。

表示の登記というのは、登記される不動産を特定するための登記なの。
日本の登記は、物的編制主義といって、登記される不動産ごとに登記簿が編成されるのね。
コレは、ドイツの不動産登記制度にならったものといわれているわ。
ココでは、まず登記される不動産自体をあらわす必要があるの。

土地については、その所在、面積(地積)、用途(地目)などによって特定されるわ(不動産登記法34条)。
建物であれば、所在、建物番号、種類・構造などによって特定されるわ(同法44条)。

これらが登記簿の表題部という部分に記入されるわけ(同法2条7号)。
コレが表示の登記ね(同法2条3号)。 
  光おねーちゃん、詳しいぃーっ!
ケーキ、美味しいぃーっ!!
ウェブ アニメーター
あらあら・・・。チイちゃん、食べるの早いから、サルと違って、食べながらの勉強も出来ちゃうわけね。
色々スゴいわね、チイちゃんは。

じゃあ次は権利の登記についてね。
権利の登記権利に関する登記 不動産登記法2条4号、59条は、表題部にあらわされた不動産について、所有権、抵当権、その不動産をめぐる権利および、その権利の変動過程を登記するもので権利部に記入されるわ(同法2条8号)。

民法177条にいう登記とは、この権利に関する登記を意味するの。 
  私は、それくらいしか抑えていないので、光ちゃんは、やっぱりスゴいなって思います。
あ・・・言いづらいんだけど、私も昨日、説明するために改めて本を読んできただけだから、似たようなものよ。
民法の勉強上、必要な範囲でしか登記なんて知らないから、つかさちゃんと同じよ。

あ、続けるわね。

登記は、当事者の申請によって行われるのが原則になるわ。
官公庁が、一方当事者として登記を申請するときは、これを登記の嘱託っていうの。
ただ、表示の登記については、不動産の正確な表示を確保する必要から、登記官の職権によっても登記できることとされているわ(不動産登記法28条)。

また、表示の登記については、当事者は登記義務を負う場合があるわね。
例えば、土地を新たに生じたとき、または建物が新築されたときは、その所有権を取得した者は、1ヶ月以内に表題登記(同法2条20号)を申請しなければならないわ(同法36条、47条)。

権利の登記の場合には、当事者は申請する義務はないわ。
不動産の売買による所有権の移転があっても、それを登記するかどうかは、あくまでも当事者の自由なのね。
・・・ただし、登記をしないと、その売買によって所有権を得た者であっても、その所有権取得を第三者に対抗できない、という民法177条の定めがあるわけだけどね(対抗要件主義)。 
  もぐもぐもぐもぐ。 
聞いててくれてるの? 木下さん!
私、いま結構大事なこと言ったんだけど!!
もうっ!!

不動産登記(権利の登記)は、原則として当事者の申請によってなされるわ。
コレが売買であれば、売主と買主の共同申請となるわ(不動産登記法60条)。

不動産登記法60条は『登記権利者及び登記義務者』の共同申請としているけれど、売買による移転登記について言うと、登記権利者とは、その登記によって登記名義を受けることになる者、つまりは買主よね。
登記義務者というのは、その登記によって登記名義を失う者、つまりは売主ってことになるわけよね。

えーっと、少し登記制度自体の話から外れて、民法の勉強の話にもなっちゃうんだけど、この流れにのって話しちゃってもいいかしら?
  聞きたい、聞きたいっ!
モグモグモグモグ。
  御願いしたいです!
あ、私も聞きたいです。
(藤さん、体調お悪いのかしら・・・。
 今日は、あまり食が進んでいらっしゃらないみたいだけど・・・。) 
 ( チイがいるので相対的に、そう見えているだけです。)
1人、肝心な方が意思表示されてみえないようですけど・・・。

今からする話は、登記請求権の話なのね。

売買によって移転登記の必要性が生じた場合に、いずれか一方が登記申請に協力しない、つまり、共同申請に応じないとき、他方当事者はどうすればいいのか、って話なんだけど。
その問題は、多くは売主が登記に協力しない場合ですよね。 
まぁ、多くの場合はそうでしょうね。
じゃあ、そのような場合を想定して・・・。

買主は売主が登記に協力しないときは、移転登記によって自己名義の登記を得るには、どうすればよいのか、という問題で考えることにするわね。

買主にとっては、自分に登記名義が変わらないうちに、他人に登記がなされてしまうと権利を失ってしまうことになるわけだから、これは大問題よね。

この場合、売買契約によって売主は、買主に対して、売買の目的物の完全な所有権を取得させる義務を負っていて、移転登記の手続きに協力することも、その義務の一つなのよね。
だから、買主は売主に対して、移転登記に協力せよ、という権利を有していることになるわ。もちろん、この権利は裁判上主張できる権利なのよね。

買主は、移転登記に協力しない売主に対して、移転登記に協力せよ! という訴えを起こすことができ、この裁判において勝訴すると、買主は単独で移転登記の申請が出来ることになるわ(不動産登記法63条)。

このような登記権利者が、登記義務者に対して、登記申請に協力せよ、という権利を、登記請求権っていうの。
公示の原則の勉強会のときの事例の2つ目の場合の時ですが、物権的請求権としての登記請求権があったように思うのですが・・・? 
よく憶えていてくれたわね。

そうね。
登記請求権の生ずる場合には、その場合もあるわ。
つまり、あの事例を元にするなら、真実の所有権はナカちゃんにあったわけよね。でも、その登記名義が偽造登記という事情によってサルになっていた。
このような場合に、ナカちゃんがサルに対して登記名義を、自分のものにせよ! って請求する場合よね。

この場合は、売主・買主のような何らかの契約があるわけではないから、この登記請求権は、契約上の義務として位置付けることはできないわよね。
むしろ、この場合の請求権を根拠付けるのは、所有権ということになるわ。
つまり、この場合の登記請求権は、一種の物権的請求権ってことよね。

だから、あの場面での登記請求権を、チイちゃんは物権的請求権として、って言い方をしたんだと思うわ。 
  成程です、納得できたです! 
  オネーちゃん、コッチのケーキも美味しいよ!
食べてごらんよ!
  言われなくても・・・
もぐもぐもぐもぐもぐ。
ナニが言われなくても、なんだか・・・。

因みになんだけど、今、ナカちゃんが質問してくれたような場合に、事案のナカちゃんがとりうる方法は、幾つかあり得るわね。

登記簿上は、ナカちゃんからサルに移転登記がされているわけなんだけど、それは、偽造登記によるものである以上、実体的な権利の移転は伴っていないわけよね。

となると、ナカちゃんからサルへの移転登記が間違いなんだから、その登記を抹消すれば、ナカちゃんの名義が回復されるってことになるわけ。
この場合は、登記請求権の内容も抹消登記請求となるわ。
ただし、抹消登記に代えて、移転等を求めることもできるとされているわ。
  あっ!
じゃあじゃあ、チイからもいいかな?
え?
え?
まさかの追加オーダー?
 
ち、違うよぉ。
勉強の質問だよ!

さっき、光おねーちゃんと、つかさおねーちゃんが、共同申請に応じないとき、他方当事者はどうすればいいのか、って話をした際に、多くは、売主が協力に応じないときだって言ってたよね。

でも、逆の場合、つまり、買主が協力に応じないときなんて、あるのかなぁ? って思って。
そうね。
売主が早く買主名義にしたいって思っているのに、買主が一向に登記に協力しようとしないときっていうのも考えられるわね。

登記名義が売主のところに残ったままだと、固定資産税がかかったりするのよね。売主としては、もう土地は売ったんだから、さっさと名義も変えて欲しいのに、登記も無料じゃないからってことで、買主が応じてくれないっていう場合よね。 

こういう場合は、売主から買主に対して、早く登記を引き取れってことで登記請求権を行使することがあるわね。

だから、売買について言うのであれば、買主が登記権利者、売主が登記義務者って言い方をしたけれど、登記請求権については、必ずしも売主・買主いずれかを登記権利者、登記義務者ということはできないことになるわね。
へぇ〜。
固定資産税・・・っていうのが、あるんだね。
チイは、まだまだ一杯勉強しないといけないなぁ。
ソレは私も同じことだから。
一緒に頑張りましょ!

まぁ、登記については、これくらい理解していれば、とりあえず大丈夫よ。
お疲れ様でした。
さぁ、後はゆっくり食事を楽しみましょ。 
  ・・・ふぅぅ。
チイの猛攻に負けず、なんとかデッドラインは死守できたかな?



 
・・・あんた、今日ナニしに来たのよ、一体・・・。 
ケーキ喰いに来たに決まってんだろが!
こんだけケーキ食ってんのに、ソレがワカラナイって馬鹿なの? 死ぬの?
・・・・・。
(チイちゃんのいつぞやのことなんかより、もっと対策しなくてはならないのは、藤先輩のほーだったことを、失念してたです・・・。 ) 
 仮登記についての説明も加えようかと思いましたが、需要があまりないと思われたので割愛します。
  需要があるようでしたら、追記するつもりですので掲示板等でお知らせ下さい。 

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