えーっと・・・。 今日の勉強会は・・・っと。 |
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あ、光おねーちゃんっ!! この間は、ケーキご馳走様でした! チイね。 あんなに美味しいケーキ食べたの初めてだったよ! |
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え? う、うんうん。 チイちゃんも喜んでくれたみたいで何よりだったわ。 |
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ナニ、その表情は・・・。 |
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べ、べ、別にっ! チイちゃんが、あんなに無尽蔵に食べたことに驚いているわけじゃないからね! お店の方から、もうお出しするケーキがございません、なんて言葉を頂いたからって驚いているわけじゃないからね!! |
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「好きなだけ」って言葉が悪かったよねぇ。 チイは、底なしだからなぁ。 因みにだけど、あの後、家に帰って、晩御飯は晩御飯で、しっかり食べてるからね、あの小動物・・・。 |
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それホント!? | ||
あたし、チイと一緒に暮らしてて、チイが 「もう食べられないよー」 なんて言ったの聞いたことないもん。 父ちゃんも、母ちゃんも、そりゃチイにも腹いっぱい食べさせてあげたいって気持ちはあったみたいだけど、土台無理な話だって、最後は諦めたみたいだしね。 |
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だったら、最初に教えてくれれば良かったんじゃない? | ||
教えるわけないじゃん。 だって、光ちゃんが、チイが追加オーダーするたんびに目を白黒させてんの見てるの、ぶち面白かったんだもん。 |
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オネーちゃん! 今度はチイ、オネーちゃんと2人で、あのお店に行きたいよ! |
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行くわけがないだろう・・・。 常識的に考えて・・・。 (ガクガクブルブル) |
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可愛い妹の頼みじゃないのよぉ〜。 サルは、オネーちゃんなんでしょぉ? 連れていってあげたら、いいじゃないのよぉ〜。 |
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モヤシさえ食べれない食生活が、その後に到来すること必至じゃまいか。 おまっ! あたしの貧乏生活、ナメてんじゃねぇお! ゴラァァァっ!! |
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チイ? そういうことは、光ちゃんにお願いするんだよ。 あたし、チイが想像しているより、はるかにお金持ってないから。 |
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光おねーちゃんに、何度も御馳走になるのは申し訳ないよ! チイだって、お小遣い貯めてきたんだし、ケーキくらい自分のお金で買えるよ! |
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光ちゃん・・・。 ちょっと申し訳ないんだけれど、この世間知らずの金銭感覚ゼロのバカな妹に、この前のネージュ・ブロンシュで使ったお金教えてあげてくれない? |
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イヤよ。 チイちゃんが気にしたら悪いし。 別に、今度一緒に行くときは、私が適当なところでストップかけるようにすればいいだけの話じゃない。 |
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聞いた? チイ。 光ちゃん、懲りずに、またチイをネージュ・ブロンシュに連れてってくれるみたいだよ? |
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「懲りずに」の意味がワカラナイよ! オネーちゃん、時々、変な日本語つかうけど、チイに通じてないからね! |
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・・・・。 (このクソガキャぁ。 今の「懲りずに」は誤用でも、スラングでもなんでもねぇ。 適正使用だお!! ) |
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遅れて、すみませんです! | ||
お待たせしました。 ちょっとゼミに出ていたもので。 |
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気にしないで。 木下姉妹と、おしゃべりしていたから。 それじゃ、今日は実際に事例問題を解いてみようってことよね。 まずは、簡単な問題からやってみることにしましょうか。 とは言え、あんまりに簡単なのも、どうかと思うから、そのあたりは適度にってことになっちゃうかもだけど。 |
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楽しみです! | ||
さぁ、来いっ!! | ||
チッコイ2トップが元気だお。 | ||
あんたも、たまにはコレくらいやる気見せても罰当たらないわよ? えーっと、それじゃ短い事例問題を出すわね。 【問題】 『18歳のチイちゃん(=X)は、祖母から譲られた宝石を所有していた。 その後、チイちゃんは、ナカちゃん(=A)に対して、自分が未成年であることを告げず、また、両親の同意を得ることなく、この宝石を100万円で売却した。 ナカちゃんは、この宝石をつかさちゃん(=B)に120万円で転売した。 その後、チイちゃんは、上記売買契約を取消す旨の意思表示をした。 この場合において、チイちゃんは、つかさちゃんから宝石を取り戻すことが出来るか論ぜよ。』 「チイちゃん」をX。 「ナカちゃん」をA、 「つかさちゃん」をBと置換してくれてもいいわよ。 その方が事例問題っぽくはなるからね。 (※ ページ最後尾の答案構成では、登場人物を、全てアルファベット表記に置き換えますので御了承下さい。) さぁ、どこから検討しましょうか。 |
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私が答えてもいい? この事例問題において、論点となっているのは、 未成年者(=チイ)の取消の効果が、転得者(=つかさ)に及ぶのか? ってことだよね。 でも! 先ずは原則論からだったよね! ということは、18歳のチイは未成年者だよね(民法4条)。 そして、未成年者は 『未成年者が法律行為をするには、その法定代理人の同意を得なければならない。ただし、単に権利を得、又は義務を免れる法律行為については、この限りでない。』(民法5条1項) とあるんだから、宝石の売買という行為は、『単に権利を得、又は義務を免れる法律行為』ではない以上、法定代理人、事例では親権者がいるんだから両親の同意を得なければならないよね! なのに、その同意を得ていないんだから、 『前項の規定に反する法律行為は、取り消すことができる。』(民法5条2項) から、取り消すことができるよ! |
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そうよね。 ちゃんと、原則論を述べるにあたって条文を適示してくれているわね。 原則論を述べる際には、今のチイちゃんみたいに、条文も示すことが大事だからね。 ちょっと、細かい指摘になるけれど、法定代理人(親権者)についても、民法818条1項、824条って挙げてくれると尚、良かったと思うわ。 |
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そうだね! 光おねーちゃんの言うとおりだよ! チイも、次からは気をつけるね! |
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でも、この事例のチイは、自分が18歳であることを言わずに、ナカたんと取引してるわけでしょ? ソレは、どうなの? |
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あうあうあう。 わ、私にも答える機会が欲しいです! 未成年者が『詐術』を用いて、法律行為をした場合は、民法21条の適用が認められるです。 『(制限能力者の詐術) 第21条 制限行為能力者が行為能力者であることを信じさせるため詐術を用いたときは、その行為を取り消すことができない。』 問題は、チイちゃんが自分が未成年であることを言わなかったことが『詐術』にあたるか、ということだと思うです。 |
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ソレなら心配ないよ! 判例は 『詐術』とは、単に黙秘するだけじゃなくって『ふつうに人を欺くに足りる言動を用いて相手方の誤信を誘起し、または誤信を強めた場合をいう』 (最判昭和44年2月13日 百選T 6事件) ってしてるもん! ソレに、 『単に自己の能力者たることを述べ、若くは他人の誤信を知りながら自己の無能力者たることを黙秘したるに過ぎ』ない場合は『詐術』に該当しない、ともいってるよ。 (大判大正6年9月26日) だから、チイが18歳だってことを言わなかっただけなら『詐術』にはならないはずだよ! |
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そうね。 確かに、判例は『詐術』について、チイちゃんがいうように捉えているわ。 でも、ただ判例が言っているから『詐術』とは、こうです! だけじゃ、不十分ね。 どうして、そう考えるのか? という点についても言及しないと、説得力のある理由とは言えないわよ。 |
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どうして・・・なの? どうして・・・だろ? |
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チイは、勉強ばっかしてきて、世間知らずのアホだからだお。 | ||
ふ、藤さん・・・。 ヒントを出されるのなら、もう少し適切な表現にしてあげないと伝わらないですよ? |
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え? ヒント? ナニが? |
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あ、ワカッタです! 未成年者は、その判断において未だ未熟なところがあって、確定的な法律行為をなす判断をするに不十分なところがあるから、制限行為能力者として、法による保護があるです! だから、そのような未成年者が、単に自分が未成年者であることを言わなかっただけでは『詐術』には、あたらないといえると思うです! |
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そういうことよね! そもそも未成年者は、法律行為をなすのに、十分な判断能力を持っていないわけなんだから、自分が無能力者であることを告げる必要性にさえ気付かないことも当然に考えられる・・・という前提があるからこそ、判例も、単に自分が未成年者であることを告げなかっただけならば『詐術』には当たらない、と解しているわけよね。 うん。 説得力のある理由を述べてこそ、示す判例の見解も光るからね。 |
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そっかぁ。 チイは、世間知らずだもんね。 オネーちゃんの言うとおりだよ。 |
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そうだよ? チイは、ずっとド田舎で勉強ばっかしてきたせいで、世間知らずなんだから、これからもオネーちゃんの言うこと、きいていればいいんだよ? |
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誰のせいで、勉強漬けの日々だったと思っているですか・・・。 こんなお姉さんの言う事だけは聞いてはいけないです! |
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ナカちゃん! もっと聞こえるように大きな声で言っていいわよ! えーっと、それはさておき。 問題文だと、『告げず』としかないから、他の状況を考慮した場合分けを、簡単にしておくと尚いいわね。 この他の状況については、さっきチイちゃんが判例まで挙げて指摘してくれたから、説明は割愛するわね。 さて。 問題文を素直に読めば『告げず』とあるわけだから、民法21条の適用はないわよね。 そうなると、原則論からチイちゃんは、宝石の売買契約を取り消すことができることになるわ。 そうなると、法律関係はどうなるのかを次に検討してくれる? |
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取消の効果については民法121条だよね! 『(取消しの効果) 第121条 取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。ただし、制限行為能力者は、その行為によって現に利益を受けている限度において、返還の義務を負う。』 ここにいう取消の効果とは、遡及的無効をいうんだから、取消すことによって、売買契約は遡及的に無効となり、チイは、現存利益の範囲で返還義務を負うことになるはずだよ! そして、宝石の売買契約自体が、取消しによって遡及的に無効となる以上、無権利者となったナカちゃんは、宝石をチイに対して返さないといけないことになるよ! でも、ナカちゃんはチイが取消す前に、既に宝石を黒田さんに転売しているんだから、この宝石の所有権が誰にあるのか? つまり、宝石の所有権の帰属が問題になるんだよね! |
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ちょっと待って下さいませんか。 いえ、チイちゃんの検討自体は、よく出来ていると思うのですけれど、宝石の所有権の帰属を検討するための勉強は、まだしていないと思うのですが。 あ・・・あと、非常に個人的なことで申しづらいのですけれど、で・・・で、できれば私も「黒田さん」ではなくって、光ちゃんみたいに、つ、つ、「つかさおねーちゃん」って呼んでもらえたら・・・嬉しいな・・・なんて・・・あ、あの・・・で、できれば・・・でいいんですけれど。 |
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え? 黒田さんも、チイのおねーちゃんになってくれるの? |
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え? いいんですか? |
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チイこそ、いいの? | ||
私、一人っ子だったから、「おねーちゃん」って言葉の響きにスッゴイ憧れていたんですよね! 呼んでいただけるのでしたら、すっごく嬉しいです! |
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じゃあ、黒田さんは、今日からチイのおねーちゃんだね。 ヨロシクお願いします! |
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こ、こちらこそ! | ||
つかさちゃん、つかさちゃん。 せっかくの指摘の前半部分が、どっか行っちゃってるから。 そうね・・・。 ちょっと問題検討の前提を欠いていたわね。 それじゃ、この部分については私が説明させてもらうわね。 今、チイちゃんが検討するように指摘してくれた宝石の所有権の帰属についてなんだけれど、宝石は動産よね。 そして、この動産である宝石を、問題文のつかさちゃんは、売買という取引行為によって取得しているため、この宝石を即時取得(民法192条)できるかが問題になるのよね。 ただ、肝心の即時取得については物権で勉強するから、まだみんなが把握していなかったのよね。 ゴメンね。 (※ アホの管理人が、ココまで書いてて気付かなかったことを御詫び致します。) というわけで、予習方々、即時取得について理解することにしちゃいましょうか。 ナカちゃん、急遽、ここからは勉強と事例問題の検討ということになっちゃうけど許してね。 サル! あんたは、せっかくの機会だと思って、真面目に聞きなさいよ! それじゃ、まずは六法で民法192条を見てくれる? |
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民法第192条。 『(即時取得) 第192条 取引行為によって、平穏に、かつ、公然と動産の占有を始めた者は、善意であり、かつ、過失がないときは、即時にその動産について行使する権利を取得する。』 |
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即時取得の要件は、 @動産であること A有効な取引行為による取得であること B相手方に処分権限がないこと C平穏・公然・善意・無過失に占有を取得したこと D占有を始めたこと の5つの要件があるよ! 要件・効果パターンの勉強会では、要件は1つも残さず全部挙げることを学んだから、ちゃんと全部言ったよ! |
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即時取得の5要件を、スラスラ言えるなんて、チイちゃん、しっかり勉強してきているわね。 じゃあ、少し難しい質問になっちゃうかも知れないけれど、C要件が充足されるか否かについては、どう考えるべきか答えられる? |
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ろ、六法を見てもいい? | ||
もちろん。 | ||
民法第186条1項。 『(占有の態様等に関する推定) 第186条 1項 占有者は、所有の意思をもって、善意で、平穏に、かつ、公然と占有をするものと推定する。』 とあるから、つかさおねーちゃんは、宝石を占有している占有者なので、この186条1項によって、先ず平穏・公然・善意については法律上の推定が働くよね! そして、無過失については、この186条1項のような推定規定は存在しないんだけど、 民法第188条。 『(占有物について行使する権利の適法の推定) 第188条 占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するものと推定する。』 とあるから、つかさおねーちゃんに転売した前主であるナカちゃんが占有者として権利推定されるよ。 そのため、ナカちゃんから占有を取得した、つかさおねーちゃんの無過失が推定されることになるってことだよね! つまり、C要件については法律上の権利推定が働くために、相手方からの反証が必要となるから、特に要件充足についての検討は必要はなく、今述べた条文を適示することで足りるってことになるよ! |
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スゴいじゃない。 チイちゃん、流石、既習で入学してくるだけあって、しっかり抑えているわね。 飛び級合格は伊達じゃないわ。 じゃあ、ここまで聞いたから、もう最後まで答えてもらってもいいかしら? |
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要件・効果パターンにおける事実を拾って、あてはめるってヤツだよね。 うん、任せてっ!! @動産であること については、宝石は動産なんだから要件充足。 A有効な取引行為による取得であること については、コレさえ、つかさおねーちゃんは主張立証すればいいと思うよ! B相手方に処分権限がないことは、つかさおねーちゃんの取引の相手方であるナカちゃんが、チイの取消によって無権利者となっていることから要件充足しているよね。 C平穏・公然・善意・無過失に占有を取得したこと については、今、チイが言った186条1項、188条を適示して法律上の推定が働くことから要件充足するよね。 D占有を始めたこと についても、つかさおねーちゃんが宝石を占有しているんだから、要件充足してるから・・・。 従って、つかさおねーちゃんは、A有効な取引行為によって宝石を取得したことを主張立証できれば、宝石について即時取得が成立するよ! でも、チイだって、つかさおねーちゃんの平穏・公然・善意・無過失は、法律上の推定に過ぎないんだから、この事実を覆すに足りる証拠を示して反証することに成功すれば、つかさおねーちゃんから宝石を取り戻すことはできるよね! |
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そうです、そうです。 よく検討できています! ちゃんと、反証による取り戻しの可能性についてまで言及していますから、私としても足すところはないです! 流石は、藤さんの妹さんです!! |
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チイちゃん、スゴいです! 憧れちゃうです! |
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えへへへへ。 えへへへへ。 |
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まぁ、あたしの妹なんだから、これくらいは出来て当然だけどね。 | ||
・・・このサルだけはぁ。 じゃあ、今、検討したこの問題の起案を、藤さんにはお任せしちゃおうかしら。 チイちゃんのお姉さんなんですもの。 それくらいは朝飯前のことですものね。 |
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ところがどっこい。 今は、既に朝飯は済んで夕飯前。 よって、その要求は通らないお。 朝飯前なら、ホント余裕だっただけに、マヂ残念だお! |
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じゃあさ、じゃあさ! チイが、起案してきてもいいかな? |
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よーし。 可愛い妹の頼みだお。 姉として、ここはチイにやらせてあげようじゃないかお。 |
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やったぁーーっ!! | ||
と、と、とても同じ血が流れる姉妹とは思えないです・・・。 | ||
以下、チイによる今回の問題の起案(答案構成)です。 あくまでも、答案構成例であって、正解がこれだけというわけでは決してないです。 チイによる答案構成ということで御理解下さい。 |
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1.(1)Xは18歳の未成年者である(民法4条、以下、法律名は省略)。そのため、Xが有効な契約を締結するためには、法定代理人の同意が必要とされ(5条1項)、この同意を欠く場合には、契約を取消すことができるのが原則である(同2項)。 Xは、法定代理人である両親(824条、818条)の同意なく宝石を売却していることから、原則として、本件売買契約を取消すことができる。 (2)しかし、本件では、XはAに自己が未成年であることを告げずに契約をしている。これが21条の「詐術」に当たる場合、契約を取消すことが認められないことから問題となる。 (3)この点、制限行為能力者は、その判断において未だ未熟なところがあり、確定的な法律行為をなすのに不十分であるとされるため、法によって保護されている。そうである以上、単に自己が未成年者であることを告げなかったというだけでは「詐術」にはあたらないと解すべきである。 しかしながら、21条の趣旨は、制限行為能力者であっても、自ら詐術を働くに足る者についてまで保護することを定めたものではなく、能力者であると信じさせる目的をもって、普通に人を欺くに足る言動を用いて、相手方を誤信させた場合は21条にいう「詐術」に当たると解すべきである。 (4)よって、Xが未成年者であることを黙秘していたというだけでは「詐術」にあたらず、契約を取消すことができるが、Xの他の言動と相まって、相手方であるAを誤信させたというような場合には「詐術」にあたり、本件契約を取消すことはできない。 2.(1)次にXによる本件売買契約の取消しが認められるとした場合において、Bが宝石の所有権を取得することができるかが問題となる。 (2)XがXA間の契約を取消すと、この契約は初めから無効であったものとみなされる(121条本文)。 取消しの効果から、Xは契約時に遡って、宝石の所有者であったこととなり、そうなると、Bは無権利者であったAから宝石を買ったこととなるため、原則として、Bは宝石の所有権を取得しえないこととなる。 そして、Bが無権利者であるならば、Xは宝石の所有権に基づいて、Bに対して、宝石の返還を求めることができる。 (3)しかし、宝石が動産であること、そして、Bが宝石を売買という取引行為によって取得していることから、Bには宝石を即時取得することが考えられる(192条)。 Bは、Aから宝石の引渡しを受ける際に、Aが宝石の所有者でないことについて善意・無過失であり、かつ平穏・公然に引渡しを受けた場合には、即時取得により宝石の所有権を取得する。 この点、Bが宝石の引渡しを受けていた場合は、Bの平穏・公然・善意については法律上の推定が働く(186条1項)。また、Bの無過失については、明文規定はないものの前主であるAが占有者として権利推定を受ける(188条)ことから、Aから占有を取得したBについても無過失が推定されると解すべきである。 (4)よって、BがAから売買によって宝石の占有を取得したことを主張立証した場合には、Xは、Bの善意、無過失、平穏または公然による占有取得を反証によって覆さない限り、Bから宝石を取り戻すことはできない。 以上。 |