今日の勉強会では共有について学ぶわね。 共同所有形態には「総有」、「合有」、「共有」という3つの共有形態があることを前回は学んだわけなんだけど、民法が物権編249条以下に定めているのは、このうち「共有」についてなのね。 その「共有」とは、どのようなものか、また「共有」において問題になることは、という点について、今日の勉強会では学ぶことにするわ。 |
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乱世の「共有」と言えば、松永久秀が有名だおね。 ぶっちゃけ、あたし大好きなんだおね。 |
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『節子、それ「共有」やない。「梟雄」や。』です! (※ 「梟雄」=残忍で強く荒々しい様、悪者の首領のこと) |
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コラっ! チビッ子っ! 誰が節子だお! 『火垂るの墓』の台詞を真似するのはヤメてよ! あたし、節子のことを思い出すと、切なくて、たまらなくなっちゃうんだからっ! |
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・・・松永久秀が大好きな人の言葉とは思えないです。 | ||
・・・藤さんは、松永久秀が大好き・・・メモメモっと。 | ||
はいはい。 のっけから脱線しないでくれるかしら? 共有については・・・そうね、まずは六法で民法249条を見てくれる? |
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民法第249条 『(共有物の使用) 第249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。』 |
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そうね。 共有とは、数人が1つの物を共同所有していることをいうわ。 ただし、それぞれが持分を有して、かつ、その持分が顕在化しているものをいうの。 個人主義を基調とする現代社会においては、財産は原則として、各権利主体が単独で所有すべきだとされているわ。 そのため、共有というのは、例外的・暫定的な状態として位置づけられているのよね。 |
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なるほど、なるほど。 まぁ、あたしも、みんなで持っているってよりは、独り占めできたほーが嬉しいしね。 |
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・・・その理解はナニか違う気がするです。 | ||
それじゃ、共有で問題になることについて、まとめるわね。 大きくは次の3つになるかしら。 @共有者相互間の関係(内部関係) A共有者相互間と非共有者の関係(外部関係) B共有状態の解消(共有物の分割問題) の3つね。 これらの内容を見ていくことにするわ。 それじゃ、まずは@共有者相互間の関係(内部関係)について説明することにするわ。 下の図を見てくれるかしら? |
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私と、つかさちゃんと、チイちゃんの3人で、1個の物、この図だと、家(不動産)を共有しているということにするわね。 この場合、私達3人の各共有者には持分(※背景黄色の枠が持分をイメージしています)があるわ。 そして、その持分は平等と推定されるの。 六法で250条を見てくれる? |
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民法第250条 『(共有持分の割合の推定) 第250条 各共有者の持分は、相等しいものと推定する。』 |
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もちろん、持分の割合については、共有者間相互で自由に定めることができるものだけれどね。 不動産の場合なら、この持分についても登記されるわ。 今回の説明では、私達3人の持分が、それぞれ3分の1ってことにしておくわね。 そして、 『(共有物の使用) 第249条 各共有者は、共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる。』 と定められていることから、私も、つかさちゃんも、チイちゃんも、それぞれ共有している家を使用することが出来るわけね。 |
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あ、質問、質問っ! 『共有物の全部について、その持分に応じた使用をすることができる』ってあるけれど、この事案だと、光ちゃん達は、それぞれ3分の1ずつの持分ってことは、家の中を3等分して使用するってことになるわけ? トイレとか、お風呂とかは、どうなるの? |
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そんな心配はいらないわ。 共有している私達3人は、その建物の全体を使用することができるわ。 極端な話、3階建てで、それぞれの階にトイレやお風呂があるというフロア分けがなされていたとしても、各自がそのワンフロアだけを使用できる、っていうわけではないの。 |
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ふーん、そうなんだ。 | ||
共有においては、各共有者の持分処分は自由なのね。 例えば、下の図を見てくれる? |
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このように他の共有者に持分を譲渡することも出来るわ。 私が自分の持分を、他の共有者である、つかさちゃんに譲渡すれば、つかさちゃんが3分の2、チイちゃんが3分の1の持分という共有に変わるわけ。 さらに、下の図を見てくれる? |
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コレは、私が自分の持分を、第三者であるナカちゃんに譲渡した場合ね。 この場合は、共有している家は、つかさちゃんとチイちゃんとナカちゃんの共有になるわ。持分は、それぞれ3分の1ってことでね。 私は、自分の持分を譲渡するにあたり、他の共有者である、つかさちゃんやチイちゃんの意見を聞く必要はないわ。コレが持分処分が自由であるということなのよね。 「合有」や「総有」では、このような持分処分は自由ではないという違いがあるわけね。 |
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一緒に所有しているのに、他の共有者に相談せんでもいいんだ。なんか意外だね。 | ||
自分の持分については、自由な処分が認められているわ。 コレは、所有権絶対の原則から導かれる帰結よね。 まだ勉強していないけれど、自己の持分についての抵当権の設定なども自由よ。 ただし、あくまでも自己の持分についてのみであって、他の共有者の持分についてまでは処分できるわけじゃないからね! ちなみに・・・この持分については放棄することも自由よ。 六法で255条を見てくれる? |
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民法第255条 『(持分の放棄及び共有者の死亡) 第255条 共有者の一人が、その持分を放棄したとき、又は死亡して相続人がないときは、その持分は、他の共有者に帰属する。』 |
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ってことね。 じゃあ、次はA共有者相互間と非共有者の関係(外部関係)についてね。 ココは少し間違えやすいところだから、しっかり抑えておいて欲しいんだけど。 第三者が共有物の使用を妨害するとき、または、第三者が共有物の占有を奪ったときは、各共有者は単独でも、共有物の全体について、これを排除することができるのね。 この主張の根拠となる条文は、民法252条但書きに求められるわ。 ちょっと六法で確認してくれるかしら? |
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民法第252条 『共有物の管理) 第252条 共有物の管理に関する事項は、前条の場合を除き、各共有者の持分の価格に従い、その過半数で決する。ただし、保存行為は、各共有者がすることができる。』 |
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妨害排除請求や、返還請求などは、保存行為(=共有物の現状維持行為)にあたるわけよね。 だから、252条但書から、各共有者が単独でなし得るといえるの。 (大判大正7年4月19日、大判大正10年6月13日) これに対して、共有者が共有関係を対外的に主張する場合には、原則として、共有者全員が、その共有関係を主張しなければならないわ。 (大判大正5年6月13日) これは、まだ勉強していないけれど、民事訴訟法で学ぶ「合一確定の必要性」からね。 |
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はいはい。 アレね、アレ。 |
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第三者に対して、共有者が共有物の所有権の確認を求める場合や、第三者に対して、第三者所有の隣接地との境界の確認を求める場合などが、そうですよね。 | ||
はいはい。 そう、そう。ソレね。 |
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・・・ジトォ〜。 | ||
コ、コラっ! コッチ見るなっ!! |
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民事訴訟法で勉強するんだから、今はわからなくってもいいのに、なんで知ったかしたがるのかしら・・・困ったサルねぇ。 はい、それじゃ最後にB共有状態の解消(共有物の分割問題)について、まとめるわね。 先に条文を確認しておきましょうか。 六法で、民法256条を見てくれる? |
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民法第256条 『(共有物の分割請求) 第256条 1項 各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる。ただし、五年を超えない期間内は分割をしない旨の契約をすることを妨げない。 2項 前項ただし書の契約は、更新することができる。ただし、その期間は、更新の時から五年を超えることができない。』 |
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256条1項にあるように『各共有者は、いつでも共有物の分割を』他の共有者に対して『請求することができる』わ。 共有物の分割の方法には、共有者による協議による分割と、裁判による分割とがあるわ。 原則は、協議による分割になるわね。 協議による分割の場合は、分割の内容、方法については、共有者間に協議が整う限り、どういう方法をとっても構わないわ。 |
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どういう方法でもいいって、例えば、どんな方法があるの? | ||
主な方法としては、概ね次の3つの方法ね。 まずは、現物分割。 コレはワカリやすいと思うんだけれど、共有物が分割可能な物である場合よね。 例えば、お米30kgとかよね。 この場合は、持分に応じて、現物を分ければいいわけよね。 次は、共有物を売り払って、その代金を共有者で分けるというやり方よね。 共有物が分割不可能な物である場合には、こういった方法をとる以外に分割することができないことになるわ。 例えば、1つの建物とかの場合よね。 最後に3つ目の分割の方法としては、共有者の1人が、他の共有者に、その代償金を支払う、という方法があるわ。 |
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むむ!? 3つ目は、ちょっとワカリにくいんだけど、どういうこと? |
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例えば、さっきの話を使うと、私と、つかさちゃんと、チイちゃんとで、1戸の建物を共有していたわけよね。 あの話では、各共有者の持分は、それぞれ3分の1だったわよね。共有物の建物の値段は、決めていなかったけれど、仮に、この建物の価格を3千万円としましょうか。 この場合において、私が、つかさちゃん、チイちゃんに、各々1千万ずつ支払って、建物を私の単独所有にする、という方法が、そうね。 |
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成程、成程。 そういう方法もあるわけね。 うんうん。 聞けば、わかるものばっかだね。 |
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そうね。 共有者間に協議が整う限り、どういう方法でも構わないっていうのは、こういうことね。 でも、協議が整わない場合も考えられるわよね。 その場合は、裁判所に分割を請求することができるわ。 六法で、258条を見てくれる? |
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民法第258条 『(裁判による共有物の分割) 第258条 1項 共有物の分割について共有者間に協議が調わないときは、その分割を裁判所に請求することができる。 2項 前項の場合において、共有物の現物を分割することができないとき、又は分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは、裁判所は、その競売を命ずることができる。』 |
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今の話は、258条1項の話よね。 裁判による分割は、原則、現物分割となるわ。 但し、それが不可能なとき、および『分割によってその価格を著しく減少させるおそれがあるときは』、裁判所は競売を命じ、その代金を共有者に分けることとしているわ(258条2項)。 |
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この競売については、民事執行法195条により、担保権の実行としての競売の手続きによりますね。 また、「合有」や「総有」は、この分割においても制限を受けますね。 |
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つかさちゃん、フォローありがとうね。 うん、まぁ、こんなところかしらね。 |
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ふむふむ。 今日の勉強会は、まぁ、そうだよね〜って話ばっかりだった気がするお。 なんか聴いてて、心踊り、胸騒ぐ的な話はないものかお。 |
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法律の勉強では、知らないことを知る喜びがあるじゃないの。 ソレは、サルにとっては、心踊り、胸騒ぐものではないの? |
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うーん、でも、取得時効たんの話を聴いたときは、 『その時矢木に電流走る』・・・って言葉が、あたしの脳裏を駆け巡ったんだよなぁ。 |
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誰それ? |
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『闘牌伝説アカギ』に出て来た麻雀の代打ちやっている人。 イカサマまで使う姑息な雀士。 でも、ヘたれキャラとして愛されているんだお。 |
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あんた、自分の打ち筋を棚上げして、漫画のキャラクターとはいえ、よく他人を姑息なんて言えるものよね・・・。 | ||
ん? どういう意味? |
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三味線まで使うような卑怯な打ち回しをしている人が、どの口で、他人の打ち筋を「姑息」なんて言えるのかって聞いてんのよ! | ||
ちょ、ちょっ!! 知らない人が聞いたら誤解するようなこと言わないでよっ! アレは格下の光ちゃん達が、あたしと一応は戦えるようにと、聴牌形とかを教えてあげただけじゃないの。 まぁ、言うなれば、あたしの厚意だよね、厚意。 ソレを言うに事欠いて、三味線とか・・・マヂないわぁ。 |
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・・・じゃあ、次は是非、互角の勝負がしたいので、一切教えて下さらなくって結構ですっ!! | ||
・・・。 (コイツ・・・次回対戦が、あるとでも思っているのかお?) |
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(※ 麻雀対戦回は、需要がないのに作るのが面倒という理由から、今年のGW企画で、光ちゃんのリベンジマッチをやろうかと思ったものの頓挫しますた。 丁度、折りしも黒田の1軍登録抹消が重なったのも大きかったですね(2015.5.3) 全くの余談になりますが、アホの管理人は無類の麻雀好きだったりします。) |