所有権の取得原因については以前の勉強会で学んだわよね。 ザックリ分けると、承継取得と原始取得があるって話だったわよね。 |
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はいはい。 承継取得ね。 承継取得には、売買とか贈与の特定承継と、相続なんかの包括承継とがあるんだったよね。 んで、原始取得には、あたしの心の砦の時効取得たんがいるわけだお! |
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あら、らしくない。 綺麗な整理が出来ているじゃない。 そうよね。 原始取得には、今、サルが言ってくれた時効取得(162条)。 その他に勉強したものだと即時取得(192条)、無主物の先占(239条)などもあったわよね。 原始取得には他にも、遺失物拾得(240条)、埋蔵物発見(241条)などがあるんだけど、ここは条文を見ておいてくれればいいわ。 原始取得で問題となるのは、今日勉強しようとしている添付(テンプ)なのよね。 |
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・・・個人的には、遺失物拾得とか、埋蔵物発見に興味があるんだけどなぁ。 | ||
気持ちは嬉しいけれど、その2つについては、まぁ、条文を見て、各自整理しておいてくれればって思っているわ。 それよりも今日の論点に興味を持ってよっ! 添付っていう言葉自体は、現在の民法では使われていないのね。 いわゆるボアソナード民法(旧民法)では、規定が置かれていたんだけれど、今の民法では、その規定も改められているからね。 ただ、講学上の概念としては、今も『添付』という言葉が使われているのよね。 この添付というのは、付合、混和、加工の総称になるわ。 |
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あああぁっ!! 混和(コンワ)っ!! ココで来るんだっ!! いやぁ、随分以前に「なんだったっけ?」って話したよね。 どっかの金持ちが、すっげぇサムいギャグ言っていた例のアレね! (民法総則24回勉強会 物B 主物と従物参照) |
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・・・。 (藤先輩の言い方はともかくとして、確かにあのギャグはヒドかったです。 今、思い返しても寒気がするくらいでした・・・。 ) |
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え? どんなギャグだったの? |
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私も気になりますね。 よろしければ是非聴きたいです。 |
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え? 聞きたいの? 『混和についての話なんて、聞こえてコンワっ!』 って洒落なんだけど・・・ |
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面白ぉ〜いっ!! | ||
でしょぉ〜? もう、サルはオツムがアレだもんだから、私の高尚な冗談が理解できないみたいだし、ナカちゃんも、ちょっと笑いのセンスが欠けているところあるみたいで、2人には通じなかったのよねぇ。 笑いのワカル人が居て嬉しいわぁ。 |
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・・・。 (い、いくら尊敬する明智先輩の言葉とは言え、流石に頷けないです!) |
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はいはい。ワカッタ、ワカッタ。 そんな、しょうもない話はいいから、早く添付について教えてよね! |
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もう、ナニがしょうもない話よっ! いつもの自分を棚上げして、よく言うわよねっ!! 添付には、付合と混和と加工とがあるって言ったわよね。 添付というのは、いずれも、所有者が異なる2つ以上の物が結合して、1つの物になった、その新しい「1個の物」の所有権がどうなるのか、そして、添付によって1つの物となった結果、一物一権主義の原則から所有権を失った当事者の不公平をどう扱うのか、という制度なの。 このうち、付合については、不動産の付合(242条)、動産の付合(243条)とがあるんだけど、少し難しい話も多いし、何より、今年(2015年)の新司法試験でも問われていた論点ってことで、しっかり抑えておきたいから、次回の勉強会に廻すことにするわ。 今日は、ひとまず混和と加工の2つを抑えておくことにしましょうか。 |
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あ、気になっていた混和は、今日の勉強会で聴けるんだ。 ソレは素直に嬉しいかな。 |
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それじゃ、あのときのサルの例えを、そのまま拝借しちゃうわね。 次のような場合を考えてみてくれるかしら? 質問! 私の所有するコーヒー。 そこに、サルが所有する牛乳を混ぜて、コーヒー牛乳を作りました。 さて、このコーヒー牛乳の所有権は、どうなるでしょう? |
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はいはいはいっ!! そのコーヒー牛乳は、あたしの物だおっ!! っていうか、コーヒーと牛乳を混ぜちゃったら、もう戻せないからね! だったら、言った者勝ちじゃね? だから、そのコーヒー牛乳は、あたしの物っ! 間違いないっ!! どうどう? |
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・・・法律の勉強なのに、ナニ、その発想は・・・。 ナカちゃん、混和について定めた245条と、245条が準用する244条を六法で見てくれる? あ、ついでに243条を見てもらっちゃおうかな。 条文多くて、大変だけど御願いね。 |
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民法第245条 『(混和) 第245条 前二条の規定は、所有者を異にする物が混和して識別することができなくなった場合について準用する。』 民法第244条 『(動産の付合) 第244条 付合した動産について主従の区別をすることができないときは、各動産の所有者は、その付合の時における価格の割合に応じてその合成物を共有する。』 民法第243条 『(動産の付合) 第243条 所有者を異にする数個の動産が、付合により、損傷しなければ分離することができなくなったときは、その合成物の所有権は、主たる動産の所有者に帰属する。分離するのに過分の費用を要するときも、同様とする。』 |
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コーヒーと牛乳を混ぜてコーヒー牛乳を作ってしまったという場合においては、最早、元通りのコーヒーと牛乳とへは戻せないわよね。 そして例えばコレが、焼酎の水割り、とか言うのであれば、焼酎が主たる動産、水が従たる動産ってことになるわけなんだけど、コーヒー牛乳において、コーヒーと牛乳とでは主従の区別もつかないわけよね。 だから、ここでは、244条の規定によるべきよね。 つまり、私とサルとは、コーヒー牛乳を作った(混和した)時の価格の割合に応じて、混和によって生じたコーヒー牛乳を共有する、という結論になるわ。 因みに、コレが今、例えで出した焼酎の水割りというような場合には、243条の定めから、焼酎の所有者が、焼酎の水割りの所有者ということになるわけね。 |
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なるほどねぇ。 コーヒーと牛乳とは、それぞれ別個の物だし、所有者も違っていたわけだよね。 それが混和によって1つの物(コーヒー牛乳)へとなったわけだ・・・。 確かに、1つの物の上には、1つの所有権しか成立しない(一物一権主義)以上、ドッチが所有権を持つことになるのかって話になるわけだね。 ただ、その主従の区別がつかない物の場合は、共有ってことになるわけね。 ふむふむ。 あまり考えたことないけれど、法律的には、そう考えるわけね・・・ん!? 共有って、どういう状態? |
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・・・やるから。 ただ、もう少し後の勉強会でね・・・って付言はあるけれどね。 でも、一応、軽くは民法総則の勉強会でやってはいるんだけどなぁ。 (※ 民法総則21回勉強会 法人C 権利能力なき社団参照) |
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うーん、やったかなぁ・・・。 | ||
オネーちゃんも興味があるのなら、自分で基本書とかを読んで勉強すればいいんだよ! どうして全部、光おねーちゃんに聞こうってしてるの? |
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『チ、チイちゃん・・・ 何もそんなに青筋たてんでもええやねん』 |
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・・・ハラボテ委員長? また随分と懐かしいネタを持って来ているです・・・。 藤先輩の心の動揺が見てとれるようです・・・。 |
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流石、チイちゃんっ! いいこと言うわよね! じゃあ、混和については見たから、次は加工について抑えるわね。 次は、こんな場合について考えてみてくれる? 質問! サルは、珍しい材木を持っていたの。 サルは、その材木を名高い彫刻家のナカちゃんに提供して、その珍しい材木を使って彫像を作ってもらったわけ。 さて、この出来た彫像の所有権は、どうなるでしょうか? |
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え? え? ちょっと待って! その材木自体は、あたしの物だったわけでしょ? ソレを、チビっ子があたしに頼まれて彫像にしたわけでしょ? だったら、その彫像は、あたしの物じゃない? 流石に、普通そうだよね? |
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そうよね。 材料の材木は、サルの所有なんだから、ソレが彫像になったとしてもサルの所有は変わらないといえそうよね。 ただ質問のナカちゃんは、名高い彫刻家ということよね。 そのナカちゃんの彫った彫像となると、その価値は著しく増すことになりそうよね。 それでも、出来た彫像の所有権は、サルと言っていいのか? という問題なの。 もちろん、普通はサルからナカちゃんに彫像の制作代が支払われるであろうから、その場合は問題なく、サルの彫像って言っていいわけよね。 では、もしサルが、制作代をナカちゃんに支払わなかったら? そのような場合に出来た彫像の所有権の帰属を定めるのが民法246条なの。 六法で、民法246条を見てくれる? |
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民法第246条 『(加工) 第246条 1項 他人の動産に工作を加えた者(以下この条において「加工者」という。)があるときは、その加工物の所有権は、材料の所有者に帰属する。ただし、工作によって生じた価格が材料の価格を著しく超えるときは、加工者がその加工物の所有権を取得する。 2項 前項に規定する場合において、加工者が材料の一部を供したときは、その価格に工作によって生じた価格を加えたものが他人の材料の価格を超えるときに限り、加工者がその加工物の所有権を取得する。』 |
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うーん、246条1項を見ると、原則、材料を提供しているあたしが所有権を得るわけか・・・。 ただ、質問の名高い彫刻家の作品みたく、加工によって出来た加工物の価格が元の材料の価格を著しく超えるような場合は、加工した人に所有権が帰属するって結論になっちゃうわけね。 |
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そういうことね。 | ||
いやいや、でも待ってよ! あたしの材料として提供した材木は、珍しい材木だったんだよね? なのに、加工したチビッ子が、所有権持っていくってことになったら、材料の材木を出した、あたしが1人大損って話になっちゃうわけ? |
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そんなことには、ならないよ! だって、添付によって所有権を失った人には、逆に、添付によって所有権を取得した人に対して、償金請求権があるからね! えーっと、条文は248条だったよね? |
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そうです、そうです。 民法第248条 『(付合、混和又は加工に伴う償金の請求) 第248条 第242条から前条までの規定の適用によって損失を受けた者は、第703条及び第704条の規定に従い、その償金を請求することができる。』 |
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703条、704条は不当利得について定めた条文なんだけど、添付によって所有権を取得した者は、善意であれば現存利益(703条)を、悪意であれば、利益の現存の有無に関係なく、当初の利益に利息を付して返還義務を負い、さらには損害についての賠償義務まで負うわ(704条)。 だから、質問のサルの材木代については、この償金請求権によって保護されているわけね。 |
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なるほど、なるほど。 それなら、あたしの珍品の材木を持って行ってしまった悪いチビッ子には、相応のお金をお支払頂くことにしましょうかね、ウヒヒ。 |
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ナニを言うですかっ! そもそも、藤先輩が、私にちゃんと制作代金を支払ってくれていれば、こんな面倒なことにはなっていないです! 私は、依頼された御仕事をしただけですから、悪意認定される覚えはないです! |
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あ、そっか・・・。 そもそも、質問のあたしが制作代を支払わなかったから、こんな話になっていたんだっけ・・・。 まぁまぁ、『ナ、ナカたん・・・何もそんなに青筋たてんでもええやねん』 |
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すぐに悪いこと考えるから、そうやって非難される羽目になるのよ! | ||
添付の結果、生じた物についての所有権の帰属については、民法上の定めがあるわけですが、この定めと異なる当事者間の合意をすることは妨げられないですよね。 つまり、添付後に生じた物については、最早分離できない、分離を許さない、という分離復旧を認めないことについては強行規定ですが、その添付の結果、生じた物の所有権を、いずれに帰属させるかという点についての規定は任意規定とされていますよね。 ですから、藤さんが竹中さんに彫像の制作を依頼するにあたり、出来た彫像はいかなる理由があっても、藤さんの所有となる、という合意を交わすことは出来るということですよね。 |
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おお、そうこなくっちゃ! | ||
ただ、その場合についても、やはり制作代の支払は免れませんけどね。 おそらく竹中さんも、留置権(295条)等を行使して来られるものと思いますし。 |
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え? ナニ権っ? |
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まぁまぁ。留置権もいずれの勉強会でやることになるから。 でも、こうやって考えると、民法の勉強って深いわよねぇ。 今日の勉強にも、不当利得やら、任意規定・強行規定やら、共有やらと、色々と他の民法分野の話や、まだ勉強していない物権の話が絡んで来ているんだものね。 まだまだやることは盛り沢山よね。 |
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そうだね・・・。 混和についてワカッタと思ったけど、また色々ワカラナイものが出てきちゃったわけだもんね。いやぁ、厳しいなぁ。 |
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チイは、まだまだ一杯勉強できるって思うと、それだけで嬉しくなっちゃうけどなぁ。 | ||
そうよねっ! ポジティブに捉えて、一緒に頑張りましょうっ! |
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などという面倒くさい発言など聞こえてコンワっ!! なんてね、なんてね! |
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後ろ向きな発言な上に、なんの洒落にもなっていないんですけど・・・。 |