地方自治の本旨 | ||
今日からは、日本国憲法第8章・地方自治について学ぶことにするわね。 それじゃ、8章の最初にある条文から見てみましょうか。 |
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日本国憲法第92条。 『日本国憲法第92条 【地方自治の基本原則】 地方公共団体の組織及び運営に関する事項は、地方自治の本旨に基いて、法律でこれを定める。』 |
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ここに『地方自治』とは、民主主義の基盤の育成、そして、中央政府への権力集中を防止する手段としての意味を有するものなのね。 この『地方自治』の法的性格を、どのように解するのか・・・という論点があるわ。 学説には、大きく次の3つの考え方があるのね。 @固有権説 A承認説 B制度的保障説 という3つの学説があるわ。 |
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通説はB制度的保障説だよね。 | ||
そうね。 |
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制度的保障? あぁ、例の沖の鳥島ね。 |
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結局、その変な名前で憶えちゃったのね、サルは。 一応それぞれの学説の考え方を説明しておくわね。 @固有権説とは、地方公共団体は国家から独立した存在であり、前国家的・前憲法的存在として固有の地方自治権を有する、として、そのため国家が地方公共団体の固有の権限を制限・侵害することは許されない、と説くのね。 A承認説は、地方自治は国が承認する限りで認められるものであるから、国は地方自治の廃止を含めて、地方自治の保障の範囲は法律によって定めることができる、と説くわ。 そして、現在の通説的立場にあるとされるB制度的保障説ね。 このB制度的保障説の考え方は、地方自治の保障は、地方公共団体の自然権的・固有権的基本権を保障したものではなく、地方自治という歴史的・伝統的・理念的な公法上の制度を保障したものである、と説くのね。 |
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成程、成程。 つまり、制度保障説がいうところの沖の鳥島を守る防波堤コンクリートが、公法上の制度であって、その防波堤コンクリートが守る核心的部分にあたるのが、憲法92条にいう『地方自治の本旨』ってことだね? |
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ま・・まぁ、そういう理解になるのではないかと。 | ||
イメージを握むためにって思って言った例え話なんだから、あんまり連呼して欲しくないけどね。 ただ、まぁそういう理解になるかしらね。 制度的保障説が、制度保障する核心部分とは、まさに憲法92条にいう『地方自治の本旨』ってことだからね。 |
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『地方自治の本旨』って一体なんですか? | ||
あ、そうよね。 ちょっと説明が前後しちゃったけれど、この憲法92条にいう『地方自治の本旨』の意味については説明が必要よね。 憲法92条にいう『地方自治の本旨』とは、 住民自治 と 団体自治 の2つによって構成されていると、一般に解されているわね。 住民自治とは、地方自治が住民の意思に基づいて行われるという民主主義的要素をいうのよね。 そして団体自治っていうのは、地方自治が国から独立した団体に委ねられ、団体自らの意思と責任の下でなされるという自由主義的・地方分権的要素をいうわ。 住民自治を具体化したものが憲法93条。 団体自治を具体化したものが憲法94条といえるわね。 条文を確認しておきましょうか。 先ずは、憲法93条からね。 |
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日本国憲法第93条。 『日本国憲法第93条 【地方公共団体の機関、その直接選挙】 1項 地方公共団体には、法律の定めるところにより、その議事機関として議会を設置する。 2項 地方公共団体の長、その議会の議員及び法律の定めるその他の吏員は、その地方公共団体の住民が、直接これを選挙する。』 |
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この憲法93条が、住民自治を述べているわ。 地方公共団体における議会、そして、その議会の議員らは住民による選挙によって選任されるという民主主義的要素が、この条文では具体化されているわけね。 次に、憲法94条を見てくれるかしら。 |
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日本国憲法第94条。 『日本国憲法第94条 【地方公共団体の権能】 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。』 |
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憲法94条は、地方公共団体の自治権を規定しているわ。 地方公共団体が、国から独立して、自らの意思と責任の下に『その財産を管理、事務を処理し、及び行政を執行する権能』が認められ、そして『法律の範囲内で条例』を『制定する』ことで、地方公共団体独自の自治をすることで、中央政府への権力集中を防止しているわけね。 |
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こくこく(相づち)。 | ||
この『地方自治の本旨』を理解する上で、見ておくべき裁判例としては 大牟田市(おおむたし)電気税訴訟第一審判決 (福岡地判昭和55年6月5日) かしらね。 |
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百選判例でもなければ、最高裁判決でもないのに、検討判例にしたんだね。 | ||
かつての百選には掲載されていたんだけどね。 大牟田市電気税訴訟事件は。 |
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そかそか。 新しい判例が差し替えで入ってくるってことは、戦力外になる判例もあるってことなんだね。 まぁ、選手の引退、戦力外は寂しいけれど、世の常だからなぁ。 あたしの大好きな横山竜士も、今は広島には居ないわけだしねぇ。 |
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誰、それ? | ||
おおぉぉぉぉぉぉいっ!!! 広島一筋18年の中継ぎエースを知らないなんて許されねぇお!! 仕方ない・・・今から、横山竜士について教えてやるとすんか。 |
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チイ、その話は、もう何十回も聞いてるから帰るね。 | ||
あ、チイちゃん! 私も一緒に帰るです! |
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帰ろう、帰ろう! | ||
ですです! | ||
ですって。 | ||
・・・こ、こ、このチビッ子同盟がぁぁぁぁ!! ふん捕まえて、フルボッコにしてやんおっ!! |
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ちょっとっ! そんなことしたら、柴田さんにお仕置きを御願いしちゃうわよ? |
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・・・な、なぁんてね。 冗談じゃまいか・・・アハハハハ(乾いた笑い)。 |