司法権の限界@ | ||
前回の勉強会では、司法権とはどのようなものか、ということについて学んだわね。 今日の勉強会からは、しばらく回を跨いで、司法権の限界・・・つまり、司法権の及ぶ範囲について判例と共に学んでいくことにするわ。 |
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こくこく(相づち)。 |
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司法権の限界については、大別すると次の類型があるわ。 @憲法上の限界 A立法権に対する限界 B行政権に対する限界 C団体内部事項に関する行為に対する限界 が挙げられるわね。 今日の勉強会では、まず、このうち@とAについて抑えることにしましょ。 |
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憲法上の限界と言いますと、議員の資格争訟裁判や、弾劾裁判が該当しますよね。 | ||
そうね。 憲法55条、そして64条を確認してくれるかしら。 |
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日本国憲法第55条。 『第55条 【資格争訟の裁判】 両議院は、各々その議員の資格に関する争訟を裁判する。但し、議員の議席を失はせるには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。』 日本国憲法第64条。 『第64条 【弾劾裁判所】 1項 国会は、罷免の訴追を受けた裁判官を裁判するため、両議院の議員で組織する弾劾裁判所を設ける。 2項 弾劾に関する事項は、法律でこれを定める。』 |
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これらは、憲法の明文上、裁判所の審査権が及ばないとされているわ。 前者については議院自律権、後者については国会の権能が、それぞれあることを前提とし、裁判所の審査権の対象外としているわけね。 議院自律権、国会の権能については、それぞれ既に勉強会で学習済み(※ 国会(憲法第4章)参照)だから、ここでの説明は割愛するわ。 |
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・・・。 (ごっつ久し振りなのに「学習済み」という一言で済ませるとは・・・。 ぶっちゃけ、なんも憶えてね。 ) |
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次にA立法権に対する司法権の限界についてね。 ここにも、議院自律権は及ぶわ。 したがって、議院の定足数、議事手続など、国会両院の自律権に委ねられている事項については、議院自律権の尊重の見地から、司法審査は及ばないとするのが通説的理解になるわね。 このことを知る上で検討すべき判例としては、警察法改正無効事件があるわね。 (最判昭和37年3月7日 百選U 186事件) |
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少し複雑な事案ですが、判例検討されますか? | ||
中心的な争点のうちの1点が、その後の地方自治法の改正によって立法的解決が図られているからね。 ここでは、もう一つの争点に話をしぼって理解することにしましょうか。 この事件においては、裁判所の審査権が、国会両院における法律制定の議事手続の適否にまで及ぶのか? ということが争点になったの。 |
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え? だったら、もう答え出てね? 通説的理解では、議院自律権の尊重の見地から、司法審査は及ばないんでしょ? |
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ま、まぁ、そうなんですけれど・・・。 そのことを示している判例が、この警察法改正無効事件の判決文なんですよね。 『上告人が右警察法を無効と主張する理由は、同法を議決した参議院の議決は無効であって同法は法律としての効力を生ぜず、また、同法は、その内容において、憲法92条にいう地方自治の本旨に反し無効であるというのである。 しかしながら、同法は両院において議決を経たものとされ適法な手続きによって公布されている以上、裁判所は両院の自主性を尊重すべく同法制定の議事手続に関する所論のような事実を審理してその有効無効を判断すべきでない。 従って所論のような理由によって同法を無効とすることはできない。 次に、上告人は、同法はその内容において憲法92条に反するというのであるが、同法が市町村警察を廃し、その事務を都道府県警察に移したからといって、そのことが地方自治の本旨に反するものと解されないから、同法はその内容が憲法92条に反するものとして無効な法律といいえない』 と述べているんですね。 |
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つまり、両議院が議事手続をちゃんと法律に則ってしているんなら、議院自律権を尊重して、裁判所は、その点については判断しないよってことだよね。 | ||
そういうことですね。 相変わらずのザックリまとめが素敵です! |
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この警察法改正無効事件の判例の考えが現れている裁判例があるわね。 国民投票法事件が、そうね。 (東京高裁平成9年6月18日) 百選掲載判例じゃないから、裁判例を検討する形で事案と判決文を紹介するわね。 |
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百選掲載判例でもないのに、結構丁寧に見たね。 国民投票法事件。 |
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特に理由があってのものではないけれどね。 えーっと、A立法権に対する司法権の限界としては、議院自律権だけではなく、立法裁量についても司法審査は及ばない、と考えられているわね。 立法裁量については、行政法でも少し触れたと思うけれど、一般に、立法に関して、憲法上、立法府に委ねられた判断の自由をいうわ。 この立法裁量についても、立法府の判断を尊重するという見地から、司法審査の対象外ってことで捉えているってことになるわね。 あまり踏み込んで検討してしまうと、憲法上の論点から外れてしまうけれど、裁量ときたら、その裁量の統制が問題になるなって意識をもって問題を見る視点は大事よね。 まぁ、司法権の限界についての、@憲法上の限界、とA立法権に対する限界については、こんなところかしらね。 |
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なんか急に判例がいっぱい出てくる勉強会になったね。 | ||
ここでは抑えておくべき判例も少なくないからね。 次回も、次々回も、判例中心の勉強会になるわ。 特に次々回以降は、判例ばかり見ることになると思うわよ? |
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うわわっ!! すっごい楽しみだねっ!! |
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・・・光ちゃん、実は、あたし小児喘息の気があって・・・。 過度の勉強をすると、夜に咳がヒドくて寝ることさえ出来ないという事実が・・・。 |
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嘘だよっ! 光おねーちゃんっ! 昨日も夜遅くまで、オネーちゃん、なんかゴソゴソ遊んでいただけだよ!! |
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大丈夫です、チイちゃん。 誰も、藤先輩の言うことなんて真に受けていませんから。 |
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ええええぇぇぇぇっ!! そ、そ、それは一大事ですっ! 藤さんが、金銭的な問題だけではなく、身体的不利にもかかわらず勉学に努めてこられたなんて・・・。 わ、私、私は知りませんでした・・・。 |
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あ・・・。 1人みえたです・・・。 |
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・・・あんた、嘘までついて勉強会サボろうとするなんて恥ずかしくないわけ? | ||
いやいや。 話を途中で遮って、他人を嘘つき呼ばわりするのはヤメてよね。 あたしは 『実は、あたし小児喘息の気があって・・・。 過度の勉強をすると、夜に咳がヒドくて寝ることさえ出来ないという事実が・・・。』 とまでしか言ってないじゃないの。 |
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つまり? | ||
まぁ、そんな事実はないよ、って話だよね・・・。 | ||
だから? | ||
・・・えーっとまぁ、勉強会には出るよ・・・ってことになるのかな? やっぱり・・・。 |
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わざわざ言う必要はあったのかしら? | ||
・・・。 (うっさいんじゃぁぁっ!! こちとら愛する広島が元気なくって、元気でねぇーーんだお! ・・・と思いっきり言いたい今日この頃であった、まる。) |
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・・・。 (藤先輩は、去年の広島が首位争いのときも同じようなテンションでした。 「言い訳乙」としか言えないです・・・。) |