国権の最高機関 | ||
はい、それじゃ始めるわね。 今日の勉強は、国会の地位について学ぶことにするわ。 それじゃ、今日の勉強の中心となる条文の確認からね。 六法で、憲法41条を見てくれる? |
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憲法41条。 『第41条【国会の地位・立法権】 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。』 |
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うひゃぁ。 また短い条文だねぇ。 |
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でも、この条文の言葉の意味するところを理解するのは簡単じゃないわよ? 『国会は、国権の最高機関』って憲法41条は言っているけれど、この『国権』の意味が、まず問題となるわ。 この『国権』には2つの意味があるとされるの。 ひとつは、国家法人説において、法人格を有し、権利で主体である国家の意思力を指示して、『国権』の語が使用される場合ね。 |
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はいはい。 国家法人税ね。 やっぱり、あたし達、国民だけじゃなくって、国家も税金は払わないとね。 |
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国家法人説っ!! ナ二よ、その意味不明な税目はっ! 国が、ドコに税金納めればいいっていうのよ!! 国家法人説の説明はしていなかったかしら? 国家法人説というのは、国家理論の一つで、国家を法律学上、統治権をもつ法人としてみる考え方をいうの。 法人が、どのようなものかについては民法総則で勉強したから、ここでは説明しないわよ? |
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エロイムエッサイム〜 ってヤツだよね。 |
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・・・。 (『悪魔くん』の魔法陣? まほうじん・・・と、ほうじんって、こんな古い漫画持ち出してまで言うネタじゃないです。) |
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ちょっとナ二言ってるかワカラナイから先、進めるわね。 『国権』の、もうひとつの意味としては、立法権・司法権・行政権など、統治活動をなす諸々の権力を総称して『国権』の語が用いられる場合をいうの。 因みにだけど、せっかく行政法の勉強をしているわけだから、その関係で、公権力についてザックリ言っておくと・・・。 『公権力』−(『立法権』+『司法権』) = 『行政権』 ってことになるわね。 |
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こくこく(相槌) | ||
『国会は、国権の最高機関』って憲法41条は言っているけれど、この『最高機関』の意味が、次に問題となるのよね。 | ||
ん? ナニが問題なの? 最高って言ってるんだから、素直に、最高機関ってことで、いいんじゃないの? |
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この『最高機関』の意味について、学説は次のように分かれているわ。 通説的立場にあるのは、政治的美称説ね。 国会は、主権者である国民によって直接選任される点で、国民に連結しており、しかも立法権をはじめ重要な権能を憲法上与えられ、国政の中心的地位を占める機関である、ということを強調する政治的美称であって、法的な意味はもたない、という考え方ね。 |
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光ちゃん・・・理解が違っていたら言って欲しいんだけど。 あたし、これ聞くと、 国会が、国民と最も強い関連があるんだから、一応、国会が最高って言ってあげてるんだよ・・・って聞こえるんだけど、この理解でいいの? |
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まぁ、そうなるわね。 あくまでも、『国会は、国権の最高機関』って憲法41条が言っているのは、政治的美称であって、法的意味は持たないんだから、その理解でいいと思うわ。 一応、択一対策で、他の学説も抑えておいてね。 まずは、統括機関説。 この考え方は、諸国家機関による国家権力の発動を国家全体の目的を達成するために統括する機関が不可欠であり、明治憲法下では天皇が統括機関としての地位にあったが、現行憲法下では国会にその地位が与えられた、というものね。 次に、総合調整機能説。 国会の法律制定権の独占や行政・司法に関する権限を含む重要な国政に決定的に参加する権限の性質は、三権の間の総合的調整作用であり、また、いずれの国家機関に属するか明らかでない権限は国会に推定されるとする考え方ね。 最後に、最高責任地位説。 この考え方は、国会は並列関係にある三権の中で一番高い地位にあり、国政全般の動きに絶えず注意しつつ、その円滑な運営を図るべき立場にある、という意味で、国政全般について最高の責任を負う地位にあることをもって最高機関としている、と説かれるものね。 |
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うひゃぁ。 きたよ、きたよ、また一杯きちゃったよぉ。 |
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まぁ、一応抑えておく・・・ってくらいの位置づけでいいから、そんなに深刻な顔しなくっていいから。 はい。 ここで、もう一回、条文を確認するわね。 『第41条【国会の地位・立法権】 国会は、国権の最高機関であつて、国の唯一の立法機関である。』 ということで、憲法41条には、まだ続きがあるわよね。 『国会』は『国の唯一の立法機関』とされているわよね。 この『唯一』の意味が問題となるわけ。 この意味するところとしては、次の2つね。 @国会中心立法の原則 と A国会単独立法の原則 の2つなの。 @国会中心立法の原則というのは、国会が立法権を独占し、国会以外の機関による立法を認めないことをいうわ。 現行憲法は、立法権を国会に専属させ、行政機関による立法は、「憲法及び法律の規定を実施するため」の執行命令、および「法律の委任がある場合」の委任命令(憲法73条6号)だけに限定しているわ。 ただ、例外として、両議院の規則(憲法58条2項)、裁判所の規則(憲法77条1項)、地方公共団体の条例(憲法94条)があるのは要注意ね。 一応、例外を定めた条文については、ここで見ておきましょうか。 憲法58条2項、憲法77条1項、憲法94条を確認しましょ。 |
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憲法58条2項。 『第58条【議員規則】 2項 両議院は、各々その会議その他の手続及び内部の規律に関する規則を定め、又、院内の秩序をみだした議員を懲罰することができる。但し、議員を除名するには、出席議員の三分の二以上の多数による議決を必要とする。』 憲法77条1項。 『第77条【最高裁判所の規則制定権】 1項 最高裁判所は、訴訟に関する手続、弁護士、裁判所の内部規律及び司法事務処理に関する事項について、規則を定める権限を有する。』 憲法94条。 『第94条【地方公共団体の権能】 地方公共団体は、その財産を管理し、事務を処理し、及び行政を執行する権能を有し、法律の範囲内で条例を制定することができる。』 |
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で・・・。 この@国会中心立法の原則との関係で、さっき言ったように、委任命令は認められているんだけれど、その委任の範囲が問題となってくるのよね。 委任命令の限界、という言葉で言われる場合もあるわね。 ここは、大事な論点だから、しっかり判例を検討して見ていこうと思うから、検討自体は次回以降に廻す予定だけど、委任命令についての基本的な考え方は抑えておいて欲しいわね。 委任については、包括的・一般的な、いわゆる「白紙」委任は、立法権を国会に委ねている趣旨に反することから許されないの。 すなわち、法律による具体的な委任でなければならない、というのが大前提なのね。 この考え方を前提に、次回は判例は検討していこうと思うから、ここだけは、しっかり抑えておいてね。 |
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うへぇ〜。 まぁたグリーンマイル復活だなぁ。 これだから、憲法とか行政法の判例検討は嫌なんだよねぇ、あたし。 |
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一応、今日判例検討してもいいんだけど、一緒にやっちゃうと消化不良起こすかなって思って、次回にしてあげているのに、その言い方はないんじゃない? | ||
ま、まぁね・・・。 でもなぁ。 |
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あっ! そだっ!! 多分、あたし、長い判例検討していると集中力が途切れるのが、いけないんだと思うんだよね! だから、適度に糖分を頭に送ることで、この問題を緩和できるんじゃないかと思うわけよ! |
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だから、ネージュ・ブロンシュで、お菓子食べながら、判例検討したい・・・って、そういうこと? | ||
流石、幼馴染の親友っ! 皆まで言うなって感じじゃないの! まさに、そういうことっ!! |
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・・・。 (今までの傾向見ていると、ひたすらお菓子食べるのに夢中になって、ろくに話聞かないことの方が多い気がするんだけどなぁ。) |
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明智先輩、明智先輩・・・。 | ||
ん? ナカちゃん、ナニ? |
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ゴニョゴニョ・・・ ゴニョゴニョ・・・ |
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うんっ! ソレ、いいじゃないの! じゃあ、次回はそうしましょ! |
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ナニか、あたしに不利益が起きているよかぁ〜ん(予感)。 | ||
大丈夫、大丈夫。 そんなことないから。 それじゃ、次回は、ネージュ・ブロンシュのお菓子を食べながらの判例検討ってことにしましょ。 |
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ウキっ!! 流石、光ちゃんっ!! あたし、今から判例検討が楽しみになっちゃったお! |
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私も楽しみです。 |