法人の概念

それじゃ、民法第1編第3章の「法人」について今日から勉強するわね!

まずは、肝心の「法人」の定義から。

法人とは「独立の権利義務の主体となる資格・地位を認められた団体をいう」のよ。
この、資格・地位は、法人格と呼ばれるわね。

ちなみに、その団体が人の集まりである場合は、その団体は社団法人となり、財産の集合である場合は、財団法人となるわ。
学校法人とか、宗教法人とか、NPO法人とかもあるんだけど、これも、社団法人か、財団法人のどっちかってことなの?
そうよ。
学校法人や、宗教法人等のいわゆる公益法人についての説明は後から、するけれど、公益性の問題とは、別個に社団法人か、財団法人か、という法人の種類は分類されているからね。

団体の構成内容からの分類が、社団法人か、財団法人か、という分け方となっていて。

団体の集合の目的、つまり、設立目的からの分類によって、公益法人か、営利法人か、その中間となる中間法人か、という分け方になっているのよね。

例えば一般に、宗教法人であれば、一定の目的の下に集合した人の団体を法人としているわけだから、社団法人であり、その集合の目的は、宗教という公益を目的としているわけだから公益法人ってことになるわね。

ちょっとサルの質問が、フライング気味だったから、説明が前後しちゃうことになったわね。
一応、しっかりと定義を述べておくと・・・

社団法人とは、「一定の目的の下に集合した人の団体を法人とするもの」と定義されるわ。
これに対して、財団法人とは「一定の目的の下に集合した財産の団体を法人とするもの」と定義されるわ。ちょっと分かりにくい表現かもしれないけど、つまり、一定の目的の下、財産の搬出・管理する団体と思ってくれればいいかな。
いやいや、光ちゃん、そこは、「そら、そーよ」で終わってくれていいから!
なんで、一気にまくしたてるかなぁ。どんでんを見習いなよ!
どんでん?
どんでんって誰のことよ? 
 
やれやれ・・・
どんでんも知らないなんて、それでも野球ファンなの?
巨人戦で槙原相手に、バックスクリーン3連発のトリを飾った名選手じゃないの!
最近まで、オリックスの監督してたよね。
そんな大昔の選手、私が知るわけないじゃない!  
ちょっと、ちょっと。
3本柱って言われて、斉藤・桑田・槙原って返したの、光ちゃんだよ?
その槙原からのHR打った選手なら知っててもいいんじゃないの?
ナニ、そのダブスタ・・・
巨人の選手は、野球ファンなら誰しもが知っている・・・いや、知らなければいけない共通認識だからね。
そこは同列に語って欲しくはないわね。  
あうあうあうあう。
なんだか、また、おかしなことを言い出したです・・・
ナカたん、ソッとしといてあげて。
あの子、ちょっとイタい子だから。
まぁ、巨人の偉大な選手への敬慕の気持ちは十分伝わってきたから、野球談議は、そこまでにして・・・。

法人制度の機能について、まとめるわね。

法人格付与の最も重要な意義
言い換えるなら、法人になることの一番大きな意味は、権利・義務の帰属点が作られるということなのね。

どういうことかって言うと、法人が契約の当事者になることができるということなの。
このことから、財産権の帰属も、法人に帰属することになるし、法人の所有する不動産を、法人名義で登録することも可能になるわ。法人の銀行預金も、法人名で口座を作れるわ。

つまり、法人は、自己の名において法律行為をすることができるということなの。

そして、法人格という別人格を法人に付与するということから、法人の財産と、その法人の構成員の財産との関係は遮断されることにもなるわ。
例えば、法人の代表者が、法人名義で取引をしたとしたら、その取引から生じた債務は、法人の債務となって、当然には、法人の構成員の債務となるわけじゃないってことなのね。
そして、例えば株式会社のような営利法人の場合だと、その構成員は出資額以上の責任を負わないという有限責任が確立しているのよ。
だから、どんでんを見習って、もっと短く説明してってば!
私、どんでんなんて知らないって言ってるじゃないのよ!

団体の設立は、民法の基本原理の一つである私的自治の原則から導かれる団体設立自由の原則によって認められているのよね。
この団体設立自由の原則という考え方は、個人が自らの意思に基づいて、自由に団体を組織することができ、その団体に対して、公権力からの干渉を受けないことをいう原則なの。

ただ、ここで注意して欲しいんだけど、団体の設立=法人の設立ではないということなのね。

例えば、私たち3人で「法律勉強会」という団体を設立することは可能なんだけど、この「法律勉強会」という団体に法人格が付与されるかどうかは別問題ということなの。

民法33条1項を、六法で見てみて。
民法第33条1項

『(法人の成立等) 第33条
1項 法人は、この法律その他の法律の規定によらなければ、成立しない。
わかるよね?
この条文は、法人格を与えるかどうかの判断は、国家がなすものであることを示しているの。
ある団体を、権利義務の帰属点として認めるか否かの判断は、国家が有しているってことなの。法律の規定にあてはまらないような団体には、本人格を付与しない、という考え方、これを、法人法定主義というわ。
では、どうしたら法人格を認めてもらえるのですか?
設立に関する立法例を説明するから聞いてくれるかな。

制限のキツいものから順番に。

許可主義
 ↓
認可主義
 ↓
認証主義(認可主義の一種)
 ↓
準則主義


とあるのよね。

まず、許可主義から説明するわね。
許可主義は、旧来の公益法人に対して課せられていたもので、これは、主務官庁の許可(裁量)に、法人格の付与の是非がかかっているものなの。当然、裁量が主務官庁に委ねられている以上、設立できるかどうかは主務官庁次第ってことになってしまうから、この制限が一番厳しいものというのは、わかるわよね。

認可主義は、法定の要件を具備して、主務官庁の認可を受けるというものなの。この認可をするか否かについては、主務官庁に裁量の余地はないんだけれど、法定の要件が抽象的だと、結果的に、許可主義に近い運用がなされてしまう可能性はあるところよね。
認可主義は、学校法人や、医療法人等に対してとられているわ。

次に、認証主義
これは、認可主義の一種とされているんだけれど、法定の要件の具備していることを、主務官庁が認証(確認)するというものなの。
認可主義との違いは、設立要件が明文化されていて、裁量の入る余地が少ないこと、そして、もっぱら書類審査での確認がなされていることね。
認証主義は、宗教法人やNPO法人に対してとられているわ。

最後に準則主義
これは、法定の要件を具備し、登記をすれば法人格を取得するというものなの。一番設立の容易な方法といえるわよね。
準則主義は、一般法人に対してとられているわね。
こくこく(相槌)
設立の立法例が、法人の分類ごとにあるっていうのがキツいよね。
また、法人もエラい色々種類あるせいで、面倒くさいよね。
そうね。

最初にサルの質問への答えとして話したんだけど、法人の種類は、その構成内容からの分類と、その設立目的からの分類とに分けられるのよね。

構成内容からの分類では、社団法人か、財団法人か。

設立目的からの分類では、
公益法人・・・学術・技芸・慈善・祭祀・宗教その他の公益を目的とするもの
営利法人・・・営利事業を目的とするもの
中間法人・・・公益も営利も目的としないもの

と分けられることとなるわね。
法人といっても、必ずしも営利目的ってわけじゃないってことかぁ。
あ、今、サルが言った「営利」については、定義があるから、ここはシッカリ抑えておいてほしいんだけど。

平成20年12月1日に施行された公益法人改革三法では、改正前にあった民法の法人の章が削除されて、それぞれ特別法(「一般社団法人及び一般財団法人に関する法律」等)に盛り込まれることとなったのよね。

この際に、営利については再定義されているんだけど。
新たな法人法制度の下でいう「営利」の定義なんだけどね。
営利」とは、「活動が、収益を目的としていることでなく、収益活動によって得た利益(剰余金)を、社員に分配することが予定されていることを意味する」のよ。

つまり、どんな事業をやっているか? で、営利性を判断するのではなくって、社員に剰余金を分配するか否かによって、営利性は判断されるということなの。

この定義から、逆に「非営利」とは、「利益(剰余金)の配当請求権も、解散の際の、残余財産分配請求権もないことを意味する」ってことになるわね。
こくこく(相槌)
まぁ、法人の設立や、法人の機関については、教科書読んでおいてってことにしちゃおっかな。
会社法でも、勉強することになるし、民法で、あまり法人の設立や機関について細かく説明することもないと思うしね。

一応、法人の消滅についてだけは説明しとくね。

法人は、解散によって、その本来の活動をやめ、清算が開始されることとなるわ。ただし、清算に必要な範囲では、なお法人格をもつことになるんだけどね。いわゆる清算法人と呼ばれるものね(一般法人法207条)。

解散事由には、一般社団法人・一般財団法人共通の解散事由から、それぞれに特有の解散事由、他には、解散命令を受けた場合と、種々の事由があるわね。
両者に共通の解散事由としては、定款で定めた解散事由の発生や、破産手続開始の決定がなされたこと等が例としてあげられるわ。
解散命令を受ける場合って言うのは、不法目的法人であると認められてしまった場合や、業務執行理事の違法行為が継続して行われている場合等がそうよね。

ともあれ、解散したら清算ってことで、解散した法人の財産関係は、清算手続きによって整理されることとなるわけ。
そして、この清算の結了によって、法人は完全に消滅することになるのよ。
  明智財閥は、消滅しないといいよね。
あんたに、そんな心配される覚えはないわよ!
ウチの経営状況は、今期も大幅増益で売上についても上方修正しているくらいです!!  
労働者からの搾取によって、利潤を独占しているというわけだよね。
溜め込んだ内部留保を還元してあげないの?
それでいいの?
給与ベースだって上げているわよ!
大学生の就職したい企業でも、いつも上位にランク付けされているくらいなんだからね! 
ソレは、きっと内情を知らない子が多いんだよ・・・
あんたがウチのナニを知ってるって言うのよ!
お父様や、お兄様の仕事を悪く言うと許さないわよ!?  
やれやれ・・・
穢れを知らないお嬢様には困ったもんだねぇ。
明智財閥と言ったら・・・おや、誰か来たようだ。
誰も来ていないじゃないのよ!
ナニ、わけワカラナイ一人芝居してんのよ!!  
  あうあうあうあう。
またケンカです・・・。

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