構成要件要素・A行為 実行行為 | ||
前回学んだ構成要件外該当性の、構成要件要素は、次の7つがあったわね。 @主体 A行為 B結果 C因果関係 D故意・過失 E一定の状況 F特別の主観的要件 今日はA行為について勉強するわ。 少し理解しないといけないこと多いから、2回に分けるから、そのつもりでね。 行為のことを、実行行為というの。 実行行為の意義が問題となるんだけど・・・ @構成要件に該当する行為 A構成要件的結果を発生させる現実的危険性の高い行為 と、形式的根拠と実質的根拠からのの2つの意義があるの。 @は罪刑法定主義から導き出されるもので、Aは法益保護主義に、その根拠が求められるものなの。 ただ、ドッチがより必要ってわけではないので、実行行為の意義は、この両者を結びつけて定義づけるべきね。 つまり、実行行為の意義は @構成要件に該当する行為で、かつ、A構成要件的結果を発生させる現実的危険性の高い行為 と定義できるわけね。 |
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ど、ど、どうしたの・・・光ちゃん・・・ いきなりマックスハイテンションなスタートきってきちゃってるけど・・・ |
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あんた、昨日あんだけ肉食べたんだから、元気あり余ってるでしょ? ロケットスタート見せなさいよ。 |
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そんなに食べたかなぁ・・・ |
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前菜にポーク。 メインディッシュにビーフ。 デザートにチキン。 どこの国のディナー様式よ! しかも、あのリブロース700gよ、どんだけ食べるのよ! |
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久し振りの肉が、あんまりにも美味しくって、つい・・・ | ||
だから、今日は少しぐらいやる気見せてくれてもいいんじゃない? | ||
あ、別に怒ってたわけじゃないんだね。 言っとくけど光ちゃん。 あたしは、いつでもやる気全開フルパワーだお! |
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だったら文句言わずに集中するっ! この実行行為というのは、全ての始まりなの。 そりゃ行為がなければ結果なんてあるわけないもんね。 つまり、実行行為性があれば、構成要件の一要素が肯定される。 実行行為性がなければ、既遂はもとより未遂も不成立になるの。 まだ、やっていないけれど、C因果関係がない場合は、既遂は不成立になるのは同じだけれど、未遂の可能性は残るからね。 |
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ん? 実行行為性があって、結果もあって因果関係がない場合って、どんな場合? |
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え? ・・・うーん、た、た、例えば、ナイフで相手を刺して、相手がちょっと怪我しちゃって救急車で搬送される最中に、その救急車に隕石落ちてきて死んじゃった・・・ みたいな場合があるんじゃない? これなら実行行為性はあるって言えるし、傷害の結果も生じているわ。 ただ、ちょっとした怪我だったんだから、死亡という結果との因果関係はないわよね。 このケースなら、殺人罪の既遂は不成立になるわね。 |
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・・・。 (例えのセンスが、ハイセンスすぐる・・・隕石って、他になかったのかお・・・) |
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ナニよ、その目は・・・。 別に因果関係なしの場合の説明して欲しかったんだから満足でしょ? ホラ、実行行為の議論に戻るわよ! 実行行為の主な機能は、次の2つよ。 @未遂犯の成立を基礎づける。 A正犯性を基礎づける。 それぞれの機能について、簡単な事案で説明するわね。 |
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うん。 (光ちゃん! 事案の説明でも、そのセンス見せてくれるって期待してんよ!) |
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相続人事例って呼ばれる教室で説明の際に用いられる事案なんだけどね。 お祖父ちゃんの遺産を目当てにしていた孫が、「お祖父ちゃんが山で雷にうたれて死んだら遺産がくるのになぁ。」って期待して、ピカピカに晴れた日に、お祖父ちゃんに山に行くように勧めたの。 そしたら、お祖父ちゃんが山に行って、実際に雷に撃たれて死んじゃったのね。 この場合、孫は殺人罪に問われると思う? |
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いやいやいや。 ないないない。 (ついでに落雷で死亡ってセンスも微妙にない・・・) |
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うん。そうよね。 この事案は、不可罰で一致しているわ。 確かに、山に行かせたからお祖父ちゃんは死亡したわけなんだから、A行為とB結果にC因果関係はあると言えるわよね。 ただし! 「山に行くように勧める」という行為自体には、人が死ぬ(山で落雷に撃たれて死ぬ)という可能性が低いため、実行行為性がないってことになるのよね。 これは、未遂犯の成立を基礎づける危険性がないということなの。 |
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あのさぁ。 コレが、ピカピカに晴れた日じゃなくって、天気曇っていて、なんか空もゴロゴロいってて、雷警報も出ているような状況だったら、結論は変わるの? |
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うん、そうね。 落雷の危険性が相当程度あるんだから、実行行為性が認められるという結論もあり得ると思うわ。 じゃあ、次はA正犯性を基礎づける場合を考える事案を言うわね。 ある人が、大嫌いな相手を殺そうと思い立って、その相手に宅配便で毒まんじゅうを送りつけたの。 毒まんじゅうは宅配業者によって、その大嫌いな相手の家に届けられ、相手は届いた毒まんじゅうを自分で食べて死んだ・・・って事案ね。 この毒まんじゅうを送った人は、宅配便を出しただけよね。 毒まんじゅうを実際に相手の家に届けたのは宅配業者だし、毒まんじゅうを食べたのは大嫌いな相手自身よね。 この場合にも、毒まんじゅうを送った人の行為に実行行為性はあると思う? |
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なんかミスリード誘うようなこと並べ立てているけど、流石に引っ掛からないよ。 だって、ドラマとかでよくある殺害手法じゃない。それは殺人罪にあたるよね。 |
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もう少し法律を学んでいる人っぽく返して欲しいところだけど、まぁ、結論的にはそうよね。 この毒まんじゅう事案において、ある人の行為に実行行為性が認められるのは、自分がやっていなくても、自らがやったのと同視できるような場合には、実行行為性を認めてもよい、って考えられるからなのよ。 この考えが、次回学ぶ間接正犯では、重要になるからね。 |
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ウキキキキ。 今日は冴えてるお! |
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実行行為の主な機能である@未遂犯の成立を基礎づけることとA正犯性を基礎づけることを、実行行為に認める考え方をとるのは、実行行為概念を中核とする行為無価値論の考え方ね。 行為無価値論と結果無価値論のところでも言ったと思うけど、最近の新司受験生は、行為無価値論(二元的行為無価値論)の立場の人が多いから、この機能についても、実行行為性で厚く論じることになるわね。 |
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あ、まだあたし立場決まってない・・・。 | ||
まぁ、書きやすいのは・・・ って言いたくはなるところだけど、それはサルが決めて欲しいかなぁ。 説得させる文章書こうって思ったら、まずはサル自身が自分の考えに自信もってないと書けないもんね。 |
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うん、あたしガンバルよ! | ||
今日は集中できてたじゃない。 やっぱりお肉のお蔭? |
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うんうん。 だから、今日は寿司行こ、寿司。 それも廻らないお寿司! |
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勉強は自分のためにするもんなんだから、ちょっと真面目にやったぐらいで見返り求めるんじゃないの! | ||
ちぇっ。 連日のフィーバーナイトは、流石に甘かったお・・・ 今日は家で大人しくモヤシ炒めでも食べるか・・・。 |