判断過程審査B 呉市学校施設使用不許可事件 手続審査

どうせ、きっとまた長ぇ判決文なんだろうなぁ。
ヤダなぁ・・・。
もし、あたしが裁判長だったら
「お前の負け!
 理由はお前が悪いから。
 異論は認めない。」
って3行で済ませるな、うん。
ん?
でも勝ったのなら、ともかく、負けたなら、納得いく理由が知りたいよなぁ。
そもそも、なんで、あたしが負けたの? ってのは気になるしなぁ。
ソレが一審だったら、次に戦うときのヒントが、そこにはあると思うし聞いておきたいよなぁ。
成程ね・・・。
だから、判決文の理由は長いわけか。
うんうん、なんかそう考えると、しっかり理由を言ってくれてて、いいヤツじゃん! って気にもなってくるね。 
お待たせして、すみません。
アレ? なんか晴れ晴れとした顔をされてみえませんか?
あ!
コレ、藤さんの分のインスタントコーヒーです。
よろしければ。 
あ、ありがとー!
クロちゃん、学校にインスタントコーヒー持ち込んでいるんだ。
結構、皆さん色々と自習室には持ち込んでみえますよ?
私は、食事は自宅で、ゆっくりととりたいって思っていますから、しませんけどカップラーメンとかも持ち込んで常備されてる方もみえますし。
あ、勿論、音や匂い自体は自習室では厳禁ですから、食事自体はロビーとかで済ませるんですけどね。
飲み物についてはOKなので、マイカップ持参でインスタントコーヒーを常備している方は多いと思いますよ? 
ほむほむ・・・。
ところで、このコーヒー、砂糖とミルクはないけれど、このまま飲めってことかな?
あぁぁ。
すみません!
私、コーヒーはいつもブラックなので砂糖とかは持ってなくって。  
了解、了解!
あたしも、集中キレ気味だったから、ブラックコーヒーの苦さで覚醒促すことにすんお!
それじゃ、判例検討の続きから・・・ですね。

前回、藤さんが言って下さったドッキング審査でしたっけ?
裁量濫用審査の、社会観念審査と判断過程審査の両者をドッキングしたような審査方法を用いた判例の検討でしたよね。

私の使っている教科書のサクハシ(『行政法 第4版』櫻井敬子 橋本博之 弘文堂)ですと、今から学ぶ、この審査方法については、次のような説明がなされていますね。

行政庁の判断課程における考慮要素・考慮事項に着目しつつ、それが適正な重み付けをもって考量されたかという観点からその合理性を判断しようという審査方法は、複雑・多様な利益調整の結果としてなされる行政裁量の審査方法として望ましいものと考えられる。』 

として、近時の最高裁判例として、今から検討する判例が挙げられているんです。
呉市・・・の、なんだったっけ?
あぁっ!!
呉市と言えば、戦艦大和だお!!
日本海軍が誇った超巨大戦艦・大和関係の判例だったっけ?
全然違いますよ・・・。
呉市学校施設使用不許可事件です。
最判平成18年2月7日 百選T 77事件

この判例も、先ほどの剣道実技拒否事件同様、行政法上の判例としてだけではなく、憲法上の判例としても有名判例なんですよね。
 集会の自由適用違憲などの憲法上の論点を扱う判例

というわけで、おそらく次回の勉強会では、光ちゃんはこの判例も検討するだろうってことで、予め予行練習をしておくって話をされていたじゃないですか。
そーだった、そーだった。
大和も武蔵も関係なかった。
呉(クレ)って聞いて、ついね。
じゃあ、予行練習も2つ目の判例になりますし、今度は藤さんに実際の勉強会を想定して、説明して頂くってことにさせて頂いていいですか?  
(おぉぉぉぉいっ!! 無茶ブリすんなっ!!!)

いやいやいやいやいやいやいやっ!!
あたしの実演は、次回の勉強会でちゃんとあるわけだから!!
今日は、予行練習方々、クロちゃんの理解を、あたしが確認してあげるっていう意図も、実はあったんだおね!! 
ふ、ふ、藤さんっ!!
そんな優しい眼差しを、私に向けていてくださったんですか!?  
え?
ま、まぁ、そうなんだよね、実は。

(ないよ? 微塵もないよ? 
 そんな目線あるなら、逆にあたしが欲しいわ!)
それじゃ、張り切って進行役を努めさせて頂きますね!  
あ、ナカたんにワカルような説明でお願いね!
むっちゃ、ワカリ易く説明したげてね!
(あたしのためにっ!!)
頑張りますっ!

呉市学校施設使用不許可事件の事案の説明からしますね。
最判平成18年2月7日 百選T 77事件

事案は、関連法令と共に説明させてもらいますね。

呉市では、学校施設を利用しようとする人は、使用日の5日前までに学校施設使用許可申請書を、その学校の校長に提出して、呉市教育委員会の許可を受けなければならないとされていたんですね。
学校施設使用規則

第2条
 学校施設を使用しようとする者は,使用日5日前までに学校施設使用許可申請書(以下「申請書」という。)を当該校長に提出し,呉市教育委員会(以下「委員会」という。)の許可を受けなければならない。ただし,委員会において急速を要すると認めた場合は,この期間を短縮することができる。
』 

これが根拠条文です。
広島県教職員組合は、県教育研究集会を開催するための場所として、呉市二河中学校の体育館等の施設を使用したいということで、呉市教育委員会に、その旨を申請しました。

ところが、この申請に対して、同市教育委員会は不許可処分を下します。
この不許可処分の根拠となったのが・・・。 
学校施設使用規則 
第4条
 学校施設は、次の各号の一に該当する場合に限り,その用途又は目的を妨げない限度において、使用を許可することができる。

1号 当該施設を使用する者のために売店,その他厚生施設を設置するとき。
2号 公の施設の普及宣伝その他の公共の目的のため,講演会又は研究会等の用に供するとき。
3号 国,他の地方公共団体その他公共団体又は公共的団体において公用若しくは公共用又は公共事業の用に供するとき。
4号 災害その他緊急事態の発生により応急施設として使用するとき。
5号 前各号に掲げるもののほか,委員会が必要やむを得ないと認めるとき。


第5条
 前条の規定にかかわらず,次の各号の一に該当するときは,施設の使用を許可しない。

1号 施設管理上支障があるとき。
2号 営利を目的とするとき。
3号 その他教育委員会が,学校教育に支障があると認めるとき。


のうちの5条3号でした。
学校施設使用規則5条3号は『その他教育委員会が,学校教育に支障があると認めるとき。』としていますよね。

呉市教育委員会は、広島県教職員組合が集会を行うと、右翼団体の妨害活動がなされて、そのため、使用許可が求められた二河中学校や、その周辺地域に混乱・支障をきたすことを予想して、この学校施設使用規則5条3号に該当することを、不許可処分の理由としたのです。

結果、学校施設の不許可処分のせいで、広島県教職員組合は、二河中学校を集会の場として使用することが出来なかったため、別の公共施設を使用しての集会の開催を余儀なくされました。

そこで、この呉市教育委員会の不許可処分が、組合の活動に対する重大な制約となったとして、国家賠償法1条1項に基づき、同市教育委員会を相手に、慰謝料等を含めた損害賠償を提起した、という事案なんです。
(・・・・・事案の段階で、既に長ぇお。)

えーっと、つまり。
『集会やるから学校使わせてよ!
 なんか問題ありそうだから不許可ね!
 ちょ! ソレって裁量濫用じゃね?』
 って話だよね。
そ、そ、そうですね。
ものすごくザックリ言えば、そういう話ですね。  
よし!
あたしは、この3行で事案説明するお!
藤さんは、事案をご存知ですから、それで足りるかも知れませんが、竹中さんは、この判例を知らなかったら、それだけでは、ちょっと事案の把握が出来ないと思いますよ? 

えーっと、それじゃ判決文ですね。
百選で引用している判決文も、比較的長いんですけれど、一応、検討ということで、ここでも長目に引用しておきますね。

『地方公共団体の設置する公立学校は,地方自治法244条にいう「公の施設」として設けられるものであるが,これを構成する物的要素としての学校施設は同法238条4項にいう行政財産である。

 したがって,公立学校施設をその設置目的である学校教育の目的に使用する場合には,同法244条の規律に服することになるが,これを設置目的外に使用するためには,同法238条の4第4項に基づく許可が必要である。

 教育財産は教育委員会が管理するとされているため(地方教育行政の組織及び運営に関する法律23条2号),上記の許可は本来教育委員会が行うこととなる。

 学校施設の確保に関する政令(昭和24年政令第34号。以下「学校施設令」という。)3条は,法律又は法律に基づく命令の規定に基づいて使用する場合及び管理者又は学校の長の同意を得て使用する場合を例外として,学校施設は,学校が学校教育の目的に使用する場合を除き,使用してはならないとし(1項),上記の同意を与えるには,他の法令の規定に従わなければならないとしている(2項)。

 同意を与えるための「他の法令の規定」として,上記の地方自治法238条の4第4項は,その用途又は目的を妨げない限度においてその使用を許可することができると定めており,その趣旨を学校施設の場合に敷えんした学校教育法85条は,学校教育上支障のない限り,学校の施設を社会教育その他公共のために,利用させることができると規定している。

 本件使用規則も,これらの法令の規定を受けて,市教委において使用許可の方法,基準等を定めたものである。

 地方自治法238条の4第4項,学校教育法85条の上記文言に加えて,学校施設は,一般公衆の共同使用に供することを主たる目的とする道路や公民館等の施設とは異なり,本来学校教育の目的に使用すべきものとして設置され,それ以外の目的に使用することを基本的に制限されている(学校施設令1条,3条)ことからすれば,学校施設の目的外使用を許可するか否かは,原則として,管理者の裁量にゆだねられているものと解するのが相当である。

 すなわち,学校教育上支障があれば使用を許可することができないことは明らかであるが,そのような支障がないからといって当然に許可しなくてはならないものではなく,行政財産である学校施設の目的及び用途と目的外使用の目的,態様等との関係に配慮した合理的な裁量判断により使用許可しないこともできるものである。

 学校教育上の支障とは,物理的支障に限らず,教育的配慮の観点から,児童,生徒に対し精神的悪影響を与え,学校の教育方針にもとることとなる場合も含まれ,現在の具体的な支障だけでなく,将来における教育上の支障が生ずるおそれが明白に認められる場合も含まれる。

 また,管理者の裁量判断は,許可申請に係る使用の日時,場所,目的及び態様,使用者の範囲,使用の必要性の程度,許可をするに当たっての支障又は許可をした場合の弊害若しくは影響の内容及び程度,代替施設確保の困難性など許可をしないことによる申請者側の不都合又は影響の内容及び程度等の諸般の事情を総合考慮してされるものであり,その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となるとすべきものと解するのが相当である。

〜中略〜教職員の職員団体は,教職員を構成員とするとはいえ,その勤務条件の維持改善を図ることを目的とするものであって,学校における教育活動を直接目的とするものではないから,職員団体にとって使用の必要性が大きいからといって,管理者において職員団体の活動のためにする学校施設の使用を受忍し,許容しなければならない義務を負うものではないし,使用を許さないことが学校施設につき管理者が有する裁量権の逸脱又は濫用であると認められるような場合を除いては,その使用不許可が違法となるものでもない

 また,従前,同一目的での使用許可申請を物理的支障のない限り許可してきたという運用があったとしても,そのことから直ちに,従前と異なる取扱いをすることが裁量権の濫用となるものではない。

 もっとも,従前の許可の運用は,使用目的の相当性やこれと異なる取扱いの動機の不当性を推認させることがあったり,比例原則ないし平等原則の観点から,裁量権濫用に当たるか否かの判断において考慮すべき要素となったりすることは否定できない。

(4)以上の見地に立って本件を検討するに,原審の適法に確定した前記事実関係等の下において,以下の点を指摘することができる。

ア 教育研究集会は,被上告人の労働運動としての側面も強く有するものの,その教育研究活動の一環として,教育現場において日々生起する教育実践上の問題点について,各教師ないし学校単位の研究や取組みの成果が発表,討議の上,集約される一方で,その結果が,教育現場に還元される場ともなっているというのであって,教員らによる自主的研修としての側面をも有しているところ,その側面に関する限りは,自主的で自律的な研修を奨励する教育公務員特例法19条,20条の趣旨にかなうものというべきである。被上告人が本件集会前の第48次教育研究集会まで1回を除いてすべて学校施設を会場として使用してきており,広島県においては本件集会を除いて学校施設の使用が許可されなかったことがなかったのも,教育研究集会の上記のような側面に着目した結果とみることができる。このことを理由として,本件集会を使用目的とする申請を拒否するには正当な理由の存在を上告人において立証しなければならないとする原審の説示部分は法令の解釈を誤ったものであり是認することができないものの,使用目的が相当なものであることが認められるなど,被上告人の教育研究集会のための学校施設使用許可に関する上記経緯が前記で述べたような趣旨で大きな考慮要素となることは否定できない。

イ 過去,教育研究集会の会場とされた学校に右翼団体の街宣車が来て街宣活動を行ったことがあったというのであるから,抽象的には街宣活動のおそれはあったといわざるを得ず,学校施設の使用を許可した場合,その学校施設周辺で騒じょう状態が生じたり,学校教育施設としてふさわしくない混乱が生じたりする具体的なおそれが認められるときには,それを考慮して不許可とすることも学校施設管理者の裁量判断としてあり得るところである。しかしながら,本件不許可処分の時点で,本件集会について具体的な妨害の動きがあったことは認められず(なお,記録によれば,本件集会については,実際には右翼団体等による妨害行動は行われなかったことがうかがわれる。),本件集会の予定された日は,休校日である土曜日と日曜日であり,生徒の登校は予定されていなかったことからすると,仮に妨害行動がされても,生徒に対する影響は間接的なものにとどまる可能性が高かったということができる。

ウ 被上告人の教育研究集会の要綱などの刊行物に学習指導要領や文部省の是正指導に対して批判的な内容の記載が存在することは認められるが,いずれも抽象的な表現にとどまり,本件集会において具体的にどのような討議がされるかは不明であるし,また,それらが本件集会において自主的研修の側面を排除し,又はこれを大きくしのぐほどに中心的な討議対象となるものとまでは認められないのであって,本件集会をもって人事院規則14−7所定の政治的行為に当たるものということはできず,また,これまでの教育研究集会の経緯からしても,上記の点から,本件集会を学校施設で開催することにより教育上の悪影響が生ずるとする評価を合理的なものということはできない

エ 教育研究集会の中でも学校教科項目の研究討議を行う分科会の場として,実験台,作業台等の教育設備や実験器具,体育用具等,多くの教科に関する教育用具及び備品が備わっている学校施設を利用することの必要性が高いことは明らかであり,学校施設を利用する場合と他の公共施設を利用する場合とで,本件集会の分科会活動にとっての利便性に大きな差違があることは否定できない。

オ 本件不許可処分は,校長が,職員会議を開いた上,支障がないとして,いったんは口頭で使用を許可する意思を表示したに,上記のとおり,右翼団体による妨害行動のおそれが具体的なものではなかったにもかかわらず,市教委が,過去の右翼団体の妨害行動を例に挙げて使用させない方向に指導し,自らも不許可処分をするに至ったというものであり,しかも,その処分は,県教委等の教育委員会と被上告人との緊張関係と対立の激化を背景として行われたものであった。

(5)上記の諸点その他の前記事実関係等を考慮すると,本件中学校及びその周辺の学校や地域に混乱を招き,児童生徒に教育上悪影響を与え,学校教育に支障を来すことが予想されるとの理由で行われた本件不許可処分は,重視すべきでない考慮要素を重視するなど,考慮した事項に対する評価が明らかに合理性を欠いており,他方,当然考慮すべき事項を十分考慮しておらず,その結果,社会通念に照らし著しく妥当性を欠いたものということができる

 そうすると,原審の採る立証責任論等は是認することができないものの,本件不許可処分が裁量権を逸脱したものであるとした原審の判断は,結論において是認することができる。
うぉぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!!
なげぇぇぇーーーーーーーーーーっ!!!!!
私も引用が長目かな・・・とは思ったんですけれど、どうせ判決文を読むなら、しっかり読む機会をもった方がいいかなって思いまして。

ソレに、検討判例行政裁量では、コレが最後ですしね。
小田急高架事件なども見ておきたいところですけれど、そちらはまた改めて別の機会に検討することになるでしょうから。
あぁ・・・あのね。
あたしは、いいんだよ、あたしは。
ただ、ナカたんはどうかなぁ?
こんな長い判決文聞いて、この判例がナニ言っているのかワカルかなぁ?
少し心配ですか?
ホント、藤さんって、いつも竹中さんの目線を大事にされてみえるんですね。

ドッキング審査では、この呉市学校施設使用不許可事件が、もっとも理想的だと思うんです。
ですから、この判例で述べられている規範部分については、ドッキング審査の問題であれば、もうフリーハンドで書けるくらいにしておいて、いいと思うんですよね。最高裁最新の規範といえるものですから、せっかくだから、この機会にモノにしておきたいですよね。

判決文でいいますと

その裁量権の行使が逸脱濫用に当たるか否かの司法審査においては,その判断が裁量権の行使としてされたことを前提とした上で,その判断要素の選択や判断過程に合理性を欠くところがないかを検討し,その判断が,重要な事実の基礎を欠くか,又は社会通念に照らし著しく妥当性を欠くものと認められる場合に限って,裁量権の逸脱又は濫用として違法となる

と述べている部分が、このドッキング審査における規範ですね。

裁量濫用の問題ですと、どうしても答案が時間切れで書き切れず、途中答案になってしまうおそれもあるじゃないですか。
ですから、普段からコンパクトに抑えておくこと、それと、しっかり書くべき規範部分については、もうフリーハンドでって話になっちゃいますよね。

あ、こんな話、藤さんには「釈迦に説法」ですよね。すみません。
いや、その心配なら大丈夫。
あたし、今、ナカたん!
チビっ子です!
チビっ子です!
お化けもダメです!!
ソレ、語尾は確かに竹中さんっぽいですけれど、話している内容は、全然竹中さんっぽくないじゃないですか。

判決文の流れは、次のものですよね。

最初に、目的外使用許可処分の性質について言及しています。
その上で、関連法令の条文を縷々拾って、あくまで学校施設は、教育目的なんだけれど、「例外的」に目的外使用許可もできる、と裁量を認めていますよね。
この条文操作は、実際の問題の際にもできるようになりたいところですよね。

そして、この裁量についてですが。
要件を満たしていても尚、目的外の使用は例外であることから、使用許可をしなくてもよい、という広い裁量があると認定しています。

その上で、本判決規範を述べています。
裁量行為という前提に立って、判断要素の選択や、判断過程の合理性を審査
そして、重要な事実の基礎を欠くか、又は、社会通念に照らして著しく妥当性を欠くか、
という規範ですよね。

そして、この規範に徴して、裁量権の逸脱・濫用といえるのかどうか、という当てはめをしているわけです。 
  あぁ、成程、成程。
あ、それじゃ・・・。
藤さんとして、竹中さんに質問させて頂いてもいいですか?

質問です。

判決文のイ〜オでは、それぞれ、どのような考慮がなされているでしょうか?
判断過程審査のLCとして検討した日光太郎杉事件で学んだ考慮事項を参考に答えて頂いていいですか? 
ナカたんです!
チビっ子です!!
日光太郎杉事件考慮事項なんて、憶えていないです! 
竹中さん、真面目ですから、きっと検討した判例の重要なポイントは、復習してみえると思いますよ?  
いや、物事は常に最悪を想定してシミュレーションすべきだと、あたしは思うんだよね。
車の運転でも、「だろう運転」じゃなくって、「かもしれない運転」が大事って聞くしね、あたし免許もってないけど。
だから、ここは敢えて、ナカたんがダメな子って設定で予行練習しておくべきだと判断したんだよね。
さ、さ、流石、藤さんです!
いつも、そんな危機管理意識をもって万事捉えてみえるんですね。
私も見習いたいです!
では、ここは藤さん役の私が説明するってことで、よろしいでしょうか?

日光太郎杉事件で述べられた規範

本来最も重視すべき諸要素、諸価値を不当、安易に軽視し、その結果当然尽すべき考慮を尽さず、または本来考慮に容れるべきでない事項を考慮に容れもしくは本来過大に評価すべきでない事項を過重に評価し、これらのことにより同控訴人のこの点に関する判断が左右されたものと認められる場合には、同控訴人の右判断は、とりもなおさず裁量判断の方法ないしその過程に誤りがあるものとして、違法となる

というものでしたよね。
つまり、この規範から導かれる考慮要素としては

@考慮不尽
A他事考慮
B過大評価
C過小評価


という考慮事項でした。
今、検討した判決文のイ〜オが、この考慮事項のそれぞれ、どれに該当するものか? って質問だったんですけれど・・・。 
  あたし、ナカたんです!
ちっともワカラナイから教えて欲しいです!
はい、竹中さん、わかりましたよ。
ちゃんと聞いてて下さいね?

判決文のイの部分については、右翼団体による妨害活動の被害を過度に評価しているといえますよね。
つまり、過大評価であるといえそうです。

次にの部分については、確かに研究集会の刊行物には、批判的な内容の記載はあったのですけれど、その内容はいずれも抽象的な表現だったことからすれば、この集会による悪影響・・・とまでしていることも、過大評価・・・ということになるのではないかと。
ちょっと、ここは怪しいでしょうか? 

の部分については、本来考慮すべきこと、ないしは、もっと評価すべきこと、といえそうですよね。
考慮不尽、過小評価、という考慮事項に該当しそうですよね。

の部分については、県教育委員会と教職員組合との緊張関係と対立の激化を背景としてなされたものであることから考えますと、これは他事考慮といえそうですよね。
でも、考慮不尽なんて言われても、そもそも考慮してもいないことを、どうやって指摘したらいいの? ってナカたんはナカたんは言ってみる。
藤さん・・・。
その質問は、もう竹中さんではなくって、藤さん自身から私への質問ですよね?

実際、考慮不尽においては、考慮すべきとされるものは、現実には考慮されていないんですよね。
ですから、答案を書く際に、一体この事案において、本来ナニが考慮すべきことだったのかを抜き出す、引き出せる、っていうのは、答案を分かつ分岐点ともなるところなんですよね。 
(・・・聞いてばっかりもアレかな、って思って適当な質問したら、地雷を踏んでもぉたみたいだお。)

そんなの、あたしもワカラナイです! ってナカたんはナカたんは言ってみる。 
そうですよね。
この考慮不尽の部分をどう抜き出すか、についての議論はまだ固まっていないですものね。
法の趣旨、処分の性質、かかわっている権利の内容などから、本来考慮すべきことがナニか、っていうのを導けるようになりたいですよね。
  うんうん。
クロちゃん、いい進行役だったお!
最後の答えも、まぁ合格点だお。
えぇぇぇっ!?
本当ですか?
嬉しいです! 
 
その理解なら大丈夫かな。うんうん。
(まぁ、これだけ予習しとけば、あたしの勉強会の担当も大丈夫だよね、きっと、うんうん。) 
あ、あと、一応。
手続審査、という論点もありますよね。

これは、手続ですから、

適正な基準を定立したか
公正な委員会で審議したか
意見書提出手続を適法に行ったか


といった点に着目して、個別法に、これらの手続についての定めがあれば、それにしたがって、なければ行政手続法に従って、裁判所が審査可能というくらいのまとめでいいと思います。 
  ほうほう。
コレで次回の勉強会は大丈夫だよね?
藤さんは、最初っから大丈夫だったじゃないですか。
ナニを今更、不安視されるものがあるって言うんですか。  
(まぁ、そういうことでいっか。)

いやぁ、でも今日はクロちゃんに色々お世話になっちゃったよね。
うん。
それじゃ、今日はあたしが晩御飯を御馳走したげるよ!
えええぇぇっ!?
お呼ばれしちゃっていいんですか?
 
しかも聞いて驚けっ!!
今夜のメニューは、あたしの新開発!
もやしあんかけチャーハンだお!
シャキシャキのもやしを、この季節だからこその冷めないようにとの配慮から、チャーハンに、たっぷりあんをかけて、あつあつのまま食べることの出来る優れモノ! 
お、お、美味しそうです!  
断言しよう! そして、ハードルも上げちゃおう!
もやしあんかけチャーハンは、ガチで美味いお!!
いつも食べまくっているご飯とモヤシ・・・そこに片栗粉を使っただけで、ここまで美味しい料理が出来るなんて、コレは最早、貧乏食生活の革命児と言ってもいい出色の一品!
ぶっちゃけ海原雄山だって、このチャーハンの前には土下座するレベルだからね! 
あの・・その方は存じ上げないんですけれど、すっごく楽しみです。  
まぁまぁ。
あたしからの、ささやかな御礼ってことだお。 
あの・・・藤さんの言われる御礼って言葉の意味も、量りかねるんですけれど。  
  あ、いいの、いいの。
じゃ、いこか。エヘへへ。
その頃・・・。    
くしゅんっ!
   くしゅんっ!!
 くしゅんっ!

お、おかしいです・・・。
今日は、なんだか、やたらクシャミがヒドいです・・・。
誰かが、私の噂でもしているのでしょうか? 

  くしゅんっ!
くしゅんっ!
      くしゅんっ!!

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