要件裁量 効果裁量
さぁ、それじゃ今日からはいよいよ行政裁量の内容について踏み込んでいくわよ!

行政裁量には、

要件裁量、
効果裁量、
事実認定、
手続きの裁量、
時の裁量

など
があるの。

今日はこのうち、要件裁量効果裁量について。
その内容と、両者の区別とをできるようにすることがテーマね。

要件裁量と効果裁量とを理解し、両者の区別をできるようにすることは、行政法の勉強において重要なところだから、頑張りましょうね!
  こくこく(相槌)
行政裁量における裁量の意義については、前回学んだわよね。

法律によって行政権に委ねられた判断の余地のことをいうってことだったわよね。

この判断の余地が、どこにあるのか
っていう観点からの区別が、要件裁量や、効果裁量や、時の裁量って話なの。

例えば、要件裁量
これは、要件該当性の判断に行政裁量を認めるってことになるわ。

例えば、効果裁量
これは、行政行為をするか、しないか、するとして、どの処分をするかについての判断の余地を行政裁量に認めるってことになるわね。 
  むむむ・・・
ワカルような、ワカラナイような。
ナニが要件で、ナニが効果か
まず、それを把握して・・・。
要件、効果、それぞれに裁量はあるといえるか

って検討していけばいいのよ。
そんなに難しいことではないわ。
これが、要件裁量と効果裁量の区別ってことなのね。 
  うーん、って言われてもなぁ。
じゃあ、行為主体が行政庁ではないから、行政裁量ってわけではないけれど、今から私が言うルールについて、それぞれ要件効果を考えてみてよ。
そして、要件と効果、それぞれに裁量があるといえるか
を考えてみて?

質問

サルが変なことをしたら、殴ってもいい。

はい、じゃあ、このルールにおける要件と効果は?
そして、それぞれに裁量はあるといえる? ないといえる? 
変なことしたら』というのが、要件ですよね。
この要件を充足したら『殴る』という効果が認められるといえます。
つまり、要件は『変なことをすること』。
その効果は、『殴る』ということになります。
裁量は・・・ある・・・のでしょうか?
特定個人を狙い撃ちにしている時点で、行政庁の処分としては甚だ不法なものですよね。
どうして、このような質問をされたのか意図されるところが全く分からないのですが・・・。

裁量はあると言えますね。
先ず、そもそも『変なこと』という要件が、明確ではありません
ナニをもって『変なこと』とするのか、一義的ではなく抽象的です。
したがって、そこには一定の裁量があると言えるでしょう。
ただ、『漠然性故に無効』という批判も考えられますけれど・・・。

また、『殴ってもいい』とありますから、殴らないという処分の選択も可能ということになります。
したがって、この点についても処分を行う側に、選択の余地、すなわち裁量があると言えそうです。
行為主体は、行政庁ではないってしたけれど、確かにちょっと不適切な質問だったわね・・・。
今、パッと思いついただけの質問だから、色々と問題はあったわね。
ゴメンね、その点については反省するわ。

ただ、要件効果
そして、裁量の有無については、そういうことよね。

じゃあ、次は、しっかりとした質問にさせて貰うわ。
今の理解を叩き台にして、次の問題は、しっかりと考えてみて?
悪意しか感じない質問しておいて、ゴメンねの一言で済まそうとしているところが怖いよ!
なんか頭にパッと浮かんじゃったのよね・・・。
まぁ、そんなことは置いておいて・・・と。

質問

次の法律において、なにが要件で、なにが効果か?
そして、要件と効果、それぞれに裁量はあるといえるか?

を考えてみてくれる?

国家公務員法82条
(懲戒の場合) 第82条
 職員が、次の各号のいずれかに該当する場合においては、これに対し懲戒処分として、免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる。

1号 この法律若しくは国家公務員倫理法又はこれらの法律に基づく命令(国家公務員倫理法第5条第3項の規定に基づく訓令及び同条第4項の規定に基づく規則を含む。)に違反した場合

2号 職務上の義務に違反し、又は職務を怠つた場合

3号 国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあつた場合

 
むむむ・・・一転、真面目な質問に・・・。

要件は、『次の各号のいずれかに該当する場合』ってところだね。
効果は、『免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる』ってところになるよね。

裁量の有無については、ナカたんに任せるね。
こ、こ、今度は頑張るです!

裁量は・・・えーっと・・・。
要件については、裁量がないと思います。
効果については、『免職、停職、減給又は戒告の処分をすることができる』ってありますから、しないこともできるといえますよね。
ですから、裁量があると言えるです! 
残念ですけれど、ちょっと色々と足りていないですね。

要件についてですが、竹中さんは裁量がないと判断されましたが、果たしてそうと言えるのでしょうか?

藤さんが『次の各号のいずれかに該当する場合』とされた、各号について見てみると、確かに1号2号については行政に裁量の余地はないように思えます。
でも、3号にいう『国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行のあった場合』という要件については、この要件が明確なものといえるでしょうか?

どのような行為が、『国民全体の奉仕者たるにふさわしくない非行』といえるのかは、この表現が概括的、抽象的なものである以上、或る行為が、この要件を充足するものなのか否かについては、行政に一定の裁量が与えられていると読み取れるといえます。
したがって、この要件については、行政に裁量が認められると考えるべきでしょうね。

次に効果についてですが。
できる』という文言から、しないこともできる、という選択の余地を認めて、効果裁量はあると判断したことは、その通りだと思います。
ただ、するか、しないか、という裁量だけではなく、するとして、免職、停職又は戒告とあるのですから、どの処分を選択するのかについても行政に裁量が認められる、と言って欲しかったですね。

ナニが要件で、ナニが効果か
そして、要件、効果のそれぞれに裁量があるといえるか
この分析は、簡単そうですが、なかなか難しいんですよね。
  む、む、難しいんですね。
でも頑張るです! 
  その意気、その意気っ!
ナカたん、頑張りなよ!
大丈夫ですよ、竹中さん。
最初っから出来るのなら学ぶ必要はないんですから!
間違えたら、私達がちゃんと指摘できるところはしますから!
ですよね? 藤さん!
うんうん。
指摘できるところは、指摘してあげっからさ!
(あたしに、指摘できるところがあるとは思えないけど、ソレは別問題だからね!) 
  はい!
よろしくお願いします! 
要件裁量は、要件該当性の判断に行政裁量を認めるってこと。
効果裁量は、行政行為をするか、しないか、するとして、どの処分をするかについての判断の余地を行政裁量に認めるってこと。

実際の条文から、ナニが要件で、ナニが効果かを抜き出し、それぞれに裁量の有無があるかを検討できるようにすることが、まずは大事よね。

それじゃ、次は、要件裁量を扱った判例を見てみることにしましょうか。
  うわぁ。
判例きたよ、これ。
あまりにも著名な重要判例だからね。
流石に、コレは検討しないわけにはいかないわ。
百選T 80事件マクリーン事件ね。
最大判昭和53年10月4日) 

行政裁量における要件裁量が、判例の中でどのように扱われているか見てみましょうか。
いやぁ、長いわ、難しいわ、大変な判例だったねぇ。
そりゃ、マクレーンも1年限りでカープを去るはずだよね。
・・・。
(ナニを言っているのか、チンプンカンプンです。) 
ワケのワカラナイ相槌しないでくれる?
そんな話、誰もしていないじゃないのよ。

要件裁量を扱った判例を見たから、今日の勉強会のもう一つのテーマである効果裁量について扱った判例も見てみることにしましょうか。

こちらも、有名な判例なのよね。
百選T 83事件神戸税関事件ね。
最判昭和52年12月20日) 
ふぃぃぃ。
今日の検討判例は、ドッチもヘビーだったねぇ。
いや、判決文の量だけじゃなくって、内容的にもさぁ。
そうね。
マクリーン事件も、神戸税関事件も、原告側にとっては厳しい結果に終わっているわけだもんね。  
  なんだか気持ちまでヘビーになってしまったです。
あたし、アニメでも鬱回は苦手だからなぁ。
鬱回が2週、3週続くような展開だと、下手したらキッちゃうこともあるくらいなんだよねぇ。
あぁあぁぁあぁぁぁあぁ。
私も苦手です。
藤先輩のお気持ちは痛いくらいワカルです。
ワカラナイわよぉ?
2人に今芽生えている連帯意識は、私には、ちっともワカラナイわよぉ?  
まぁ、所詮、他人の痛みがワカラナイからこその巨人ファンってことじゃないの?
ちょっとっ!!
アニメや漫画を見ていない私が、アニメの話題がワカラナイからって言って、そのことと巨人ファンであることを無理矢理結びつけてのバッシングは、やめてくれない!?  
・・・。
(明智先輩、ゴメンなさいです!
 今、私、藤先輩の言った言葉に、凄く共感を覚えてしまったです!
 ホントにゴメンなさいです!)

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