裁量論 概説 | ||
さぁ、今日からは行政法においても特に重要なテーマ。 行政裁量について学ぶわね。 どんな勉強をしていくのか・・・というと、行政行為の違法性の判断枠組みを理解する。 そして、行政裁量の概念・意義を学び、個別法の中で、裁量の有無を見分けられるようにするようにしましょう! |
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おお・・・。 なんか震える展開じゃない。 『ふるえるぞハート! 燃えつきるほどヒート!!』 って感じ? |
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なぜ、ここでJOJO? わけがワカラナイです。 |
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行政裁量自体の勉強会に入る前に、今日は、その前提となる考え方を、しっかり抑えておこうと思うわ。 家を建てる前の基礎工事みたいなものね。 ここを、しっかり抑えておくと、後々の理解の定着も違うかな、ってね。 一般的に国民の権利義務を変動する法行為である行政行為。 この行政行為については、法律に基づいてのみ行うことができ、法律が定めた法効果のみを生じる、ということについては勉強したわよね。 |
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やったっけ? |
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法律の留保ですよね。 | ||
(もう藤さんったら、竹中さんが答えやすいように、忘れたふりなんかされてっ! どれだけ優しいんですか!!) ですよね。 行政行為には、法律による授権と統制とが求められます。 それが、今、竹中さんが答えられた法律の留保という話でしたよね。 行政行為の根拠となる法律には、最低限、次の内容が必要です。 どの機関が(主体) どのような事実関係又は法律関係が存在する場合に(要件) どのような行政行為を(効果) 誰に対して行うか(相手方) そして、行政行為は、行政手続法等の一般的法律、判例による規範、憲法による拘束、条理法等による拘束を受けるものです。 また、行政法においては、行為そのものの法律適合性も問題となります。 |
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サルのことだから、どうせ復習もろくにしないから忘れているんじゃないかと思ったけれど案の定じゃないの。 そんなことじゃ、これから勉強する行政裁量は、理解できないわよ? 今、つかさちゃんが言ってくれた行為の適法性を判断する目線。 この目線が大事になってくるのね。 @権限の適法性 A手続の適法性 B形式の適法性 C目的の適法性 D要件判断の適法性 ・根拠法令とその解釈 ・事実認定 ・要件該当性判断 E行為内容の違法性 といった目線から適法性を判断することが大事ってことね。 |
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目線が多過ぎない? | ||
沢山あるけれど、裁量論において特に大事な目線は、DとEなのよね。 @の権限の適法性は、「誰が?」っていう話だから。 権限を授権されていない行政機関による行為、管轄が定められている場合の区域外の権限行使、決定に関与する資格のない者が関与してなされた行為・・・。 これらの行為は、当たり前にNGってことよね。 Aの手続の適法性は、個別法の手続き規定に反する行為かどうかっていう話ね。 本来ならば適正な手続きを経て行われるものであるところ、その手続きが踏まえられていないからNGってことよね。 Bの形式の適法性は、例えば、書面形式での行政行為が必要なところ口頭でなしてしまった・・・みたいな場合ね。 Cの目的の適法性は、法の定める目的以外の目的による行政行為かどうか、という目線から判断するってことね。 |
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こくこく(相槌) | ||
そして、裁量論において特に重要になってくる目線。 それがDとEなのよね。 D要件判断の適法性。 まずは根拠法令とその解釈が大事になるわ。 法律の委任による命令に基づく行為の場合、命令が違法である場合、その行為も違法となるわ。これは行政立法の違法と呼ばれるわね。 また、法令の定める事由以外を理由に行政行為は行えないわ。 具体的にいうなら、施設基準以外の基準をもって処分を行おうとすることは認められないってわけね。 この点については、以前既に検討した判例があるんだけど、覚えているかしら? |
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・・・う〜ん。 | ||
・・・ちょっと出てこないです。 | ||
(藤さんったら、また名演技ですっ! でも、竹中さん、今回はちょっと答えられないみたいですね。 僭越ですけれど、私が説明させて頂くってことにさせて頂きますね。 藤さん、ごめんなさい。) その判例は、ストロングライフ事件ですね。 (百選T 63事件 最判昭和56年2月26日) あの事件では、最高裁は、 『本件ストロングライフがその用途に従つて使用されることにより人体に対する危害が生ずるおそれがあることをもつてその輸入業の登録の拒否事由とすることは、毒物及び劇物の輸入業等の登録の許否を専ら設備に関する基準に適合するか否かにかからしめている同法の趣旨に反し、許されないものといわなければならない。』 としていましたよね。 法令の定めるところによれば、設備基準の適合性をもって登録の可否を判断すべきところ、ストロングライフの人体への危害を理由に、登録の可否を判断していることが問題であるとしているわけです。 これが、要件判断の適法性という目線のうちの根拠法令とその解釈を考えるってことになるんです。 |
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あぁ、やった、やった。 チビっ子が、目潰ししてきた、とんでもない判例だった。 |
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アレは藤先輩が頭突きをしようとされたからじゃないですか! まるで、私が先にやったみたいな言い方はよくないです! |
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そうよねぇ。 いつだって自分に都合のいいように言うんだから、イヤなサルだよねぇ。 D要件判断の適法性の目線には、まだあるわ。 事実認定、という目線ね。 これは、行政庁が法令の要件に該当するとした事実状態や、法状態が、裁判所において事実誤認とされれば違法、ということになるわね。 また要件該当性判断、という目線もあるわ。 これは、事実に間違いがなくても、その事実の法令上の要件への該当性判断を誤れば違法、ということになるわ。 このあたりは、これから学ぶ行政裁量の中で、抑えていくことにしましょ。 そして、最後にE行為内容の適法性、という目線ね。 まぁ、これは読んで字の如く・・・。 要件判断に違法がなくても、なされた行政行為の選択または内容に違法があれば、それ自体で違法、ということね。 重ねて言うけれど、裁量論で特に大事なのは、このDとEの目線だから、問題を解く際には、この目線を意識するようにしてね。 |
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こくこく(相槌) | ||
それじゃ、今日は行政裁量を学ぶ前提として、裁量論について抑えておくことにするわね。 法治主義の勉強会で、行政活動の全てを法が規定し、それを行政が執行するなんてことは、実際上はありえないってことについては勉強したわよね。 |
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はい。 それは、ちゃんと覚えているです。 |
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・・・。 (やったんだ・・・。 やったっけ? みんなで、あたしを騙している可能性が微レ存・・・。) |
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行政の行政活動の執行に際して、行政の専門的知識、政策的判断を尊重する場合もあるわけよね。 また、その際、執行者に一定の自己決定の余地を与えることもあるわ。 つまり、行政裁量とは、法令上、具体的に拘束されない行政機関の判断の余地のことをいうものと定義されるわ。 この行政裁量の定義は、しっかり覚えておいてね。 大事なことだから2回言っておこうかしら? 行政裁量の定義とは 法令上、具体的に拘束されない行政機関の判断の余地をいう! ってね。 特に、さっきから、やたら小首を傾げてばかりいるサル! あんたは、この定義、しっかり覚えておきなさいよ! |
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そんな定義くらい、藤さんなら、もうとっくに抑えていますから。 わざわざ名指しで、念押しされることもないと思いますよ? |
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つかさちゃんも相変わらずねぇ〜。 それじゃ、簡単な質問しちゃおうかな。 質問! 一般に、ある行為について住民側から行政が訴えられた場合に、その行為について裁量が有る方が、行政側にとって有利だと思う? それとも裁量が無いほうが行政側にとって有利だと思う? |
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フッ・・・笑止っ! (・・・50%で正解かぁ。 しかし、外すわけには、いかんから誤魔化しておく方が無難だお。) |
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そこまで言うなら、さっさと答えなさいよ。 | ||
そ、それは裁量が有った方が、有利だと思います。 | ||
あ・・・ナカちゃんが答えちゃった・・・。 まぁ、いっか。 そうね。一般には、行政側にとっては裁量が有り、の方が違法とされにくくなるため有利と言えるわね。 これは、裁量が認められると、当該行為については裁判所の判断(司法審査)が及びにくくなるためなのよね。 |
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だおだお。 (そうなのか・・・。 成程、成程。) |
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ホントにワカッてたのかしら? 次に、裁量が有る・・・として、行政行為の判断過程のどこに裁量が有るのか、ということを考えることが裁量論なのよね。 具体的には、裁判所による行政行為の審査において、その審査の範囲はどこまでか? ということから検討が必要になってくるんだけど。 この問題は、実際の試験の問題においても同じだからね。 この見極めができないと、そもそも問題を考える上での前提が間違えていることになっちゃうわけだから、大事なところよ? 行政行為の判断過程のどこに裁量があるのか? このポイントとしては、次のものが挙げられるわ。 @事実認定 A事実認定の構成要件への当てはめ(要件認定) B手続の選択 C行為の選択(効果) 例:処分を行うか、行うとしてどの処分を行うか D時の選択 等があるわ。 Aに裁量を認めるのか、それともCについても裁量を認めるのか・・・って感じね。 この行政行為と裁量について、行政裁量では学ぶわけね。 |
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覊束裁量(キソクサイリョウ)については、説明されないのでしょうか? (※ 文字化けしている可能性があります。キソクサイリョウのキは、こちらの漢字です。) |
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うーん、かつては裁量行為のうち自由裁量とされたら司法審査の対象外としていたわけだから、覊束裁量についての理解も大きな意味があったと思うんだけど、現在においては、まったくの自由裁量を認めることは適切ではない、とする考えから、覊束裁量と自由裁量の区別にも、あまり実益がないと思うのよね・・・。 もちろん、裁量の広い、狭い、はあると思うんだけれど、裁量行為にも何らかの形で司法審査は及ぶって考えるべきだと思うからね。 新司法試験の択一からも行政法がなくなったことだし、説明過多になっちゃうのも怖いかな、って思うから、今日はここまでにしておくつもりだったんだけど。 |
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光ちゃんがそのように考えてのことなら、私は構いません。 差し出がましいことを言って、すみませんでした。 |
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どうなのかしら・・・ 説明した方がいいのかしら? |
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ん? それやらないなら今日の勉強会は終わりなの? じゃあ、いらない、いらない。 |
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そういう目線からの判断で、やらない方がいいっていうのは、どうなのよ!? | ||
※ 覊束裁量についての説明は割愛させて頂きました。 必要であれば、追加・加筆させて頂きますが、ご要望が多ければ、ということにさせて頂きます。 |
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藤先輩は、いつも逃げることばかり考えているです! | ||
藤さんは誰よりも熟知してみえるでしょうから御不要でしょうが、私としては、正直せっかくの勉強会ですから、この機会にしっかり抑えておきたいと思ったのですが・・・。 | ||
ウキャっ! 旗色悪いお! 怒られるのはゴメンだお! トラフーリ! |
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スタコラサッサ! | ||
ナニ? ナニ言ってたの? 今。 |
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『ペルソナ』シリーズの逃走魔法です。 | ||
あんなことばかり覚えているから、肝心な法律用語が覚えられないんじゃないの? | ||
耳が痛いです・・・。 (管理人がw) |