無効、取消、撤回の区別 | ||
前回までの勉強会で、行政行為の効力の発生、そして、その効力の内容について学んだわね。 この理解を前提に、今回からは、行政行為の無効、行政行為の消滅について学ぶことにするわね。 そして今日は、まず行政行為の無効、取消、撤回について。 無効、取消、撤回。 それぞれの異同について理解することが今日の勉強会の内容になるわ。 |
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行政行為の効力の内容って言われても、あたし、公定力しか憶えてないなぁ。 | ||
・・・。 (真面目に聞いていないからです。) |
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忘れたら、また戻って思い出せるようにすればいいだけじゃない。 じゃあ、今日のテーマ。 無効、取消、撤回の区別についてまず説明するわね。 下の図を見てくれる? 縦に引いた黒い線は、行政行為の行為時点を示しているわ。 黄色の矢印は、効力の無い状態を示しているわ。 そして、水色の矢印は、効力の有る状態を示している、そう思ってくれる? |
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上から順番に、無効、取消、撤回の順序ね。 まずは無効。 これは、行為時点から効力がないってことになるわ。 次に取消。 取り消される行政行為は、瑕疵のある行政行為なの。 でも、処分の効力は取り消される時点まではあるわ。 これは、サルの大好きな公定力が働くためよね。 但し、取り消されると、取消の効力である遡及効が働くわ。 したがって、行為時に遡って効力がないものとなるわけ。 但し、利益行為については遡らない場合もあるわね。 この点は、処分の性格がどのようなものかということで判断しないといけないわ。 最後に撤回。 撤回されるまでは処分の効力は有効なものとされるわ。 取消との違いとして、撤回される行政行為は、あくまでも適法に成立したものであるんだけれど、その後の公益上の理由などから生じる後発的な事情の変化によって、当該行政行為の維持が必ずしも適当でなくなった場合において撤回がなされるというものなのね。 そして、撤回の場合は、撤回された時点から、将来に向かって、その処分の効力がないものとなる、という違いがあるわ。 まずは、それぞれの区別を理解するようにしてね。 |
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まぁ、特に問題ないかな。 うん、ワカル、ワカル。 |
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じゃあ、簡単な質問しちゃおうかしら。 質問! 運転免許証をとったサルが、飲酒運転をしたために、免許取消処分を受けました。 運転免許証の交付も行政行為ですが、免許取消処分もまた行政行為ですよね。 さて、この免許取消処分は、今勉強した無効・取消・撤回のうち、どれにあたるでしょう? |
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バカなの? 取消って自分で言っちゃってるじゃないの。 つまり、取消だね。 |
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え? 私は、撤回かと思ったのですが。 |
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そうだよねぇ? 撤回だよねぇ? おバカさんは居るものよねぇ? こぉ〜んな簡単な質問さえ間違えるなんて、どうやって教えても無駄になっちゃうわよねぇ? |
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え? マヂで? マヂで、間違えてるの? な、なんで取消って言ってるのに取消じゃないわけ? |
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行政講学上の分類と、実際に法律で使われている用語とが違うことは、ままあることよ。 そのことについては、以前の勉強会でも話したはずじゃない。 (行政法11参照) じゃあ、一応丁寧に説明するわね。 まず、撤回の意義から再確認するわね。 撤回される行政行為は、撤回されるまでは処分の効力は有効なものとされるって説明したわよね。 そして、取消との違いとして、撤回される行政行為は、あくまでも適法に成立したものであるんだけれど、その後の公益上の理由などから生じる後発的な事情の変化によって、当該行政行為の維持が必ずしも適当でなくなった場合において撤回がなされるというものなのね。 そして、撤回の場合は、撤回された時点から、将来に向かって、その処分の効力がないものとなる、という違いがあるって言ったわよね。 これを、運転免許取消という行政処分に当てはめてみるといいわ。 サルに、運転免許を与えた時点(行政行為の行為時点)においては、この行政行為には、違法な点はなく、あくまでも適法に成立しているわよね。 まず、ここが取消との大きな違いになるわよね。 そして、サルの飲酒運転という、その後に発生した後発的な事情によって、運転免許証の交付という行政行為の維持が適当ではなくなったと判断した結果、その行政行為の効力の維持をなくそうとしてなされる行政行為であるわけなんだから、これは、つまり撤回っていうことになるわけ。 そして、撤回の効力には、取消と違って遡及効は働かないから、撤回された時点から、将来に向かって、その効力が働くことになるわけよね。 遡及効が働くと、行為時に遡って無効になってしまうから、サルは無免許運転ってことになっちゃうんだけど、撤回の効力は遡及しないから、そういうことにはならないってこと。 OK? |
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ま、勿論ワカッテいたんだけどね。 (なるほど、なるほど。 引っ掛かっちゃったなぁ。) |
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ですよね。 典型的な話ですものね。 藤さんが間違われるわけがないじゃないですか。 |
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じゃあ、素直に答えてくれれば良かったんじゃない? | ||
ナカたんのためじゃないの。 そうやって、自分はワカッテいるから構わないっていう姿勢は、よくないよねぇ。 |
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わ、わ、私は撤回だと思っていたです! | ||
竹中さん。 藤さんは、あやふやなまま竹中さんが知識を修められてはいけない、っと敢えて、間違えた振りまでして下さっているんですよ? |
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あ・・確かに、明智先輩の説明を聞いて、すごくよくワカッタです。 | ||
まぁまぁ。 いやでも、無効と取消については民法総則でも勉強した覚えがあるけれど、撤回は初めてだったよね。 |
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そう言えば、藤さんの薦めて下さった、日本酒の澪(スパークリング清酒・澪)、時々買っていますよ。 私、お酒は強くないんですけど、澪なら美味しく頂けるんで、お気に入りになっちゃいました。 |
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あぁ〜。無効と取消って、あの居酒屋で話していたんだっけ。 | ||
嘘つきなさいよ! あんたとつかさちゃん、あの夜は、勉強会完全にスルーしていたじゃないのよ! |
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「話していたっけ」って言ってるんだから、別に、あたしが「話していた」なんて一言も言ってないよ、あたし。 言いがかりは止めて欲しいなぁ。 |
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ですよねぇ。 光ちゃんって、ちょっと思い込みの激しいところありますよね。 |
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・・・。 (黒田先輩の、藤先輩に対する思い込みに勝る思い込みはないと思うです!) |
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それは、どうもすみませんでしたね! 無効原因や、取消原因、撤回原因になる行政行為の瑕疵には、様々な種類があるのね。 ザックリ分けると @内容 A手続き B形式 C主体 という瑕疵の種類があるといえるわ。 @内容というのは、事実誤認や、要件規定の違反。または、また後から学ぶ重要論点である裁量逸脱などね。 A手続きというのは、処分理由が記されていないとか、事前に聴聞の機会を与えるべきだったのに与えていないことなどね。 B形式というのは、書面ですべきものを口頭でしてしまったなどね。 C主体というのは、権限を持たない行政機関が行政行為を行ったことなどがあたるわね。 これらの違法が行政行為の瑕疵とされるってことなの。 |
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ほむほむ・・・。 色々な瑕疵があるってことね。 まぁ、人のすることだからね、そりゃミスもあるわねぇ。 |
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うーん、短いけれど今日は、ここまでにしておこうかなぁ。 無効の行政行為の区別の基準は、しっかり判例検討しながらやりたいし、その前に見ておきたい判例もあるからね。 |
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もう、おしまいなんですか? |
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この流れで、判例検討っていうのも厳しいかなぁ、って思ってね。 前提となる理解を、しっかり理解した上で、改めて判例検討した方がいいと思ったんだけど。 |
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終わろう、終わろう! あたし、いつだって早く終わる分には文句ないから大丈夫っ! |
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・・・。 (ホント、藤先輩はダメな意味で極端です。) |
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ウキっ!! |