行政行為の定義 伝統的分類 | ||||||||||||||||||||||||||||||
今回は、行政行為といわれる行為類型の特徴について勉強するわね。 まずは、行政行為の定義(講学上の定義)から! 行政行為とは「行政庁が、法律に基づき、権力的に、かつ具体的に、国民の権利義務の変動を及ぼす行為」をいうの。 |
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ふむふむ。 なるほどねぇ。 |
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頬杖ついて聞いてんじゃないわよ! 行政行為の定義である「@行政庁が、A法律に基づき、B権力的に、かつC具体的に、D国民の権利義務の変動を及ぼす行為」について、細分化して理解すると・・・。 @行政庁 とは、権利義務の主体を行政主体、行政機関としているってことよね。具体的には、国・公共団体・大臣・知事・長などになるわね。 A法律に基づき とは、通達や要綱に基づく行為とは区別するってことよね。 B権力的に とは、合意を必要とするような行政契約とは区別されるものであることを意味するわ。行政庁から国民への一方向性のものであるという意味ね。 C具体的に とは、特定の者に対して、行為の効果が具体的に及ぶものであることを意味するわ。つまり、不特定多数人を対象に、抽象的事項を規定する行政立法とは区別されるものであることになるわね。 D国民の権利義務の変動を及ぼす行為 とは、権利義務の変動を及ぼす法的効果をもつことを意味しているわ。つまり、権利義務の変動をもたらさない事実行為たる行政指導(=非権力的事実行為)と区別されるものであることになるわね。 |
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ちょっと頬杖ついてただけなのに、そんなに、まくし立てんでもええやん・・・。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
別に、そんなつもりは、ないわよ。 因みに、「行政行為」という文言自体は、制定法上は存在しないわね。だからこそ、「行政行為」という言葉の定義を、講学上の定義と説明したんだけどね。 「行政行為」については、制定法上(行政事件訴訟法3条等、行政手続法2条等、行政不服審査法1条、2条等)は、「行政庁の処分」、「公権力の行使」という文言をとっているわね。 |
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行政事件訴訟法3条1項、2項を確認してみます。 『(抗告訴訟) 第3条 1項 この法律において「抗告訴訟」とは、行政庁の公権力の行使に関する不服の訴訟をいう。 2項 この法律において「処分の取消しの訴え」とは、行政庁の処分その他公権力の行使に当たる行為(次項に規定する裁決、決定その他の行為を除く。以下単に「処分」という。)の取消しを求める訴訟をいう。』 確かに、「行政庁の処分」、「公権力の行使」という文言を使っています。これが行政行為を意味するということなんですね。 |
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竹中さん、いつも真面目ですね。 すぐに六法で確認されるのは、いいことだと思いますよ。 |
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あ、ありがとうございます。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
この行政行為の伝統的分類としては、下の表のような理解がなされているわ。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
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あのね・・・ 色つけて、わかりやすくしようとしてんのはワカルんだけど、かえって見辛い気がするお? |
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ホント文句しか言わないんだから! でもコレ色つけないと、分類がさらに分かり難くなっちゃうわよ? まぁ、私も色つけたら見やすいのかって聞かれると苦しいところあるんだけれど・・・。 分類された行政行為のそれぞれの内容について、ザクッと説明していくから、内容を把握するつもりで聞いてね。 一番最初の分類である法律行為的行政行為と、準法律行為的行政行為について、まず説明するわね。 法律行為的行政行為とは、法効果の内容が、行政庁の効果意思によって決められる行為をいうの。 これに対して、準法律行為的行政行為とは、効果意思はなく、いかなる法効果が発生するかが、根拠法によって定められているものをいうのよ。 |
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全部、口頭での御説明をなされるおつもりなんでしょうか? 随分と分類内容は多いのですが。 |
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まぁ、そうよね。 でも、内容を伝えずにいるのも・・・ねぇ? 法律行為的行政行為は、命令的行為と、形成的行為とに分類されるの。 命令的行為とは、国民が生まれながらにして持っている活動の自由に制限を課して、特定の義務を命じるか、特定の義務を解除する行為をいうの。 この命令的行為の内容としては、 下命 ・・・作為を要求する行為 禁止 ・・・不作為を要求する行為 許可 ・・・不作為義務の解除 免除 ・・・作為義務の解除 があるわ。 |
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流石に、それではザックリ過ぎて内容がわからないのではないでしょうか? 下命 ・・・私人に一定の行為をする義務(作為義務)を課す行為(例 是正命令・建築基準法9条) 禁止 ・・・私人に一定の行為をしてはならない義務(不作為義務)を課す行為(例 道路の通行禁止・道路交通法第4条) 許可 ・・・本来だれでも享受できる個人の自由を、公共の福祉の観点から一般的に禁止しておいて、個別の申請に基づいて、その禁止を解除する行為(例 営業許可・風営法第3条) 免除 ・・・既に法令又は行政行為によって課されている作為義務を、特定の場合に解除する行為(例 被災地住民に対する納税免除・地方税法367条) ですよね。これくらいは伝えてあげないと竹中さんも、理解できないのではないかと。 |
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お気遣いありがとございます。 補足していただいたお陰で、随分と分かった気がします。 |
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ううん、いいのよ。 竹中さん頑張っているから、私も教えれる範囲で、伝えてあげたいなって思って。 |
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・・・。 (あたしは、も少し説明してくんないとワカラナイんだけどなぁ。 ってか、種類が多過ぎなんだよ、常考っ!) |
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つかさちゃん、ありがとう。 それじゃ、ここからは二人三脚で説明するってことでお願いね。 形成的行為というのは、私人に対し、法的地位を設定する行為をいうのね。 その内容には、 特許(設権行為) ・・・特定の権利又は包括的な法律関係を設定する行為 認可 ・・・第三者の行為を補充して、その法律上の効果を完成させる行為 剥奪 ・・・与えた法律上の地位を奪う行為 代理 ・・・行政主体が第三者のなすべき行為を変わって行う行為 |
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特許と、認可については補足しますね。 特許 ・・・私人が生まれながらにしては有していない新たな権利その他の法律上の地位を特定人に付与する行為(例 電気事業の認可・電事法第3条) 認可 ・・・私人相互間の法律効果(協定)を補充して完成させる行政行為(例 建築協定・建基法70条) 剥奪、代理については、特に補足することはないです。 |
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こくこく(相槌) | ||||||||||||||||||||||||||||||
次は、準法律的行政行為についてね。 準法律行為的行政行為には、 確認 ・・・特定の事実や、法律関係の存否を確認する行為 公証 ・・・特定の事実や、法律関係の存否を公に証明する行為 通知 ・・・相手方に特定の事項を知らせる行為 受理 ・・・相手方の行為を有効な行為として受領する行為 があるの。 |
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補足を要すると思えるものは、確認くらいでしょうか。 確認 ・・・特定の事実又は法律関係の存否について公の権威をもって判断する行為で、法律上法律関係を確定する効果を認められる行為(例 当選人の決定・公選法100条6項) ですよね。 |
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つかさちゃん、ありがとう。 例示となる具体的行為を、根拠条文と一緒に示してくれるなんて、随分と丁寧で分かり易かったんじゃないかな。 ただ、今説明した分類が、伝統的分類と呼ばれるのには、わけがあるのよね。 今は、それぞれの行政行為が、行政手続法の対象となるかどうか、とか、行政事件訴訟法によって取消の対象となる行為としての性質をもつかどうか、といった観点から捉えるべきではないか、という批判がなされているからなの。 それでも、伝統的分類によって、行政行為の内容を抑えておくことの意味が失われたわけではないから説明したんだけどね。 あ、それともう一つ注意すべき点があるわ。 今の伝統的分類による内容の言葉は、あくまでも講学上の分類に基づくものなの。 つまり、どういうことかって言うと、講学上の「許可」にあたる仕組みをもっていても、実際の法律上は、「認可」という言葉を使っていることもあるっていうことなのよね。 だから、法律上の文言に囚われるのではなく、その個別法の内容から読み解いて、その内容が講学上の、いずれの内容にあたるのかは、その仕組みから丁寧に判断しないといけないってことよね。 このあたりは、次回、実際の判例から学ぶことにしましょ。 |
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・・・激ムズだお。 正直、ナニ言ってるのか、よくワカラナイ。 |
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藤先輩。 ワカラナイ時は、ワカルまで勉強しましょう! |
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竹中さん。 藤さんは、もっと難しいレベルでの悩みを抱えてみえるのよ。 確かに、それぞれの内容を抑えていても、実際の問題にあたると、なかなかその判断は難しいですものね。 |
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(絶対、ナカちゃんよりも低いレベルで悩んでいると思うんだけどなぁ。つかさちゃん、サルを過大評価するの止めないなぁ。) ちょっと、今回の勉強会は、私ばっかり話してて退屈しちゃったわよね。ごめんね。 次回は、判例検討だから、みんなも、もっと参加できるようにするからね。 |
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・・・。 (行政法の判例検討、判例引用長めだから、あたし苦手なんだよねぇ。 議論どころか勉強会自体参加したくないなぁ。でも、行政法勉強しないままだと、定期試験は絶望的だしなぁ。) |
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・・・。 (藤さんが苦渋に満ちた顔をされてみえるわ。 きっと、判例実務と、講学上の分類との違いについて考えてみえるんだわ。) |
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サル。 帰ったら、ちゃんと復習しておくのよ? |
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光ちゃん! 藤さんは、そんなことを言われなくっても十二分に努めてみえます! そんな物言いは、藤さんに失礼です。 |
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十二分どころか、十分でさえないと思うのは、私だけかなぁ? | ||||||||||||||||||||||||||||||
もちろんです! そんな失礼なことを思っているのは、光ちゃんだけです! |
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あうあうあうあう。 (私は、十分どころか殆どやっていないと思っているのですが・・・。 それは失礼なんでしょうか?) |
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あたし、結構(PSPを)やってるつもりなんだけど、(勉強)できるようにならないなぁ。 | ||||||||||||||||||||||||||||||
藤さん・・・ 壁に当たってみえるんですね。 私も同じ思いですから、一緒に乗り越えましょうね! |
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んみゅ? つかさちゃんもPSP持っとるの? だったら通信対戦で一緒に遊ぶ? |
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え? え? 一体なんの話ですか? |
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おっとっと。 失言、失言。 一緒に勉強頑張ろうね! |
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聞こえたわよ・・・(ボソッ) | ||||||||||||||||||||||||||||||
ウキっ!! |