前回から勉強し始めた時効制度。 一応、復習がてら、ここで再度、時効の一般的要件について言うわね。 取得時効・消滅時効に共通の、時効の一般的要件は次の3つね。 @一定の事実状態の存在 Aその状態の一定期間の継続 B時効の援用(という意思表示) だったわよね。 ちゃんと覚えてくれてる? |
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借金してても、時効が完成して、援用すれば返さなくってよくなるってことだったよね? 覚えてる、覚えてるよ! ニシシシシ。 |
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・・・ダメだ、こいつ、なんとかしないと・・・です(ボソっ)。 | |||||||||||
ザックリした覚え方してるわね、相変わらず。 今日の勉強会では、このBの要件である「時効の援用」について勉強するわね。 時効の援用とは、時効によって利益を受ける者が、時効の利益を享受しようとして、時効の完成を主張することをいうわ。 時効によって利益を受ける者だけど、コレは、前回の質問のサルのように、例えば消滅時効によって債務を免れる者であったり、後で勉強する取得時効であれば、取得時効によって所有権を取得する者のことをいうわ。 ちょっと六法で、民法145条を確認してくれる? |
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民法第145条。 『(時効の援用) 第145条 時効は、当事者が援用しなければ、裁判所がこれによって裁判をすることができない。』 |
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この民法145条にいうところの『当事者』とは誰か、という論点があるわ。 ここにいう『当事者』というのは、さっき話した、時効によって直接に権利を取得し、または義務を免れる者をいう、というのが判例の立場ね。 (大判明治43年1月25日) 但し、近時の判例は、この「直接に利益を受ける者」の範囲を、比較的緩やかに解する傾向にあるとされるわね。 どのような認定がなされるのかは、取得時効と消滅時効の2つに分けて、それぞれの具体例を見て勉強することにしましょ。 民法145条にいう『当事者』というのは、時効によって直接に権利を取得し、または義務を免れる者をいう、と定義されるんだけれど、この定義において、この『直接』という文言が特に重要な意味をもつのよね。 そのあたりに注目して見ていくことにしましょ。 |
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こくこく(相槌) |
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じゃあ、まずは取得時効の場合からね。 一つ目の具体例は、いきなり質問ではキツいと思うから、答えを説明の中で言っちゃうわね。 まずは、下の図を見てみて。 |
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まずは、取得時効の場合で、建物の賃借人の場合ね。 建物の賃借人は、時効の援用をすることができる『当事者』と言えるか? という問題ね。 まずは、私(光ちゃん)の所有する土地上に、建物を所有する、つかさちゃんから、そのつかさちゃんの所有する建物を借りているサルっていう場面を想定してくれる? このような場合において、つかさちゃんが私の所有する土地に対する所有権の時効取得がし得る状態になったわけ。 そのような場面において、建物の賃借人であるサルが、時効を援用することができるのか? という問題なのね。 この事案のよう建物の賃借人については、判例は所有権の時効取得を援用できない、としているわ(最判昭和44年7月15日)。 でも、土地を賃借した者の場合における、その土地の所有権の時効の援用については、下級審判例は分かれているわね。 肯定するもの(東京地判平成元年6月30日)もあれば、否定するもの(東京高判昭和47年2月28日)もあるわ。 |
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ん? コレって、あたしが時効を援用しても、土地の所有権を取得するのはクロちゃんだよね? あたしは別に得するわけじゃないのに、なんで時効の援用しようとしてんの? |
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藤さんは、問題の事案では、不動産(建物)を私から借りているわけですので、私が土地の所有者になれば、これまでの関係が継続しやすいと思ったのではないでしょうか? | |||||||||||
成程ねぇ。 そういう考え方もあるわけか。 でも、『直接』関係あるのか? って言われると微妙な気もするなぁ。 |
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だからこそ、判例も建物の賃借人の場合には取得時効の援用を認めていないわけですよね。 | |||||||||||
成程、成程。 | |||||||||||
建物の賃借人と、土地の賃借人については、今説明したとおりね。 この2つの事案は、共に、賃借権という債権の話なのね。 次に、物権である地上権や、抵当権の設定を受けている者の場合を説明するわ。 まぁ、物権や債権については、まだ勉強していないから、ちょっとワカラナイかも知れないけれど、また後から勉強した際に、この話に戻すようにするつもりだから、そこは安心してくれていいわ。 先の事案の図で言うと、私の土地を時効取得し得る状態にある、つかさちゃんから地上権または抵当権の設定を受けたサルは、つかさちゃんが私の土地に対する所有権の時効取得を援用できるのよね。 コレが、通説・判例の見解ね。 (判例:大判昭和10年12月24日) |
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地上権? 抵当権? |
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だから、物権で勉強するから! って言うか、あんた、少しは自分で勉強するっていう姿勢はないわけ? |
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ぶっちゃけ、ねぇっ! | |||||||||||
藤さんのレベルまで行くと、後は反復されるだけですものね。 今更、新たに得られる知識なんて、新しい判例くらいなんですよね。 ホント、羨ましいです! |
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・・・。 (黒田先輩の目は節穴というレベルを超えて、最早幻覚が見えてしまっている領域です・・・。) |
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じゃあ、次は消滅時効の場合ね。 まずは、保証人・連帯保証人の場合。 保証人、連帯保証人は、主たる債務の消滅時効を援用することができるわ。 まだ、債権総則で勉強していないから、保証や連帯保証が、どのようなものかということの理解はないと思うけれど、基本、債務者と保証人、連帯保証人は一蓮托生の立場だから、時効の援用によって債務を免れるという『直接』の利益を有する者とされているということね。 主たる債務の消滅時効の援用を肯定する判例は 保証人については、大判大正4年7月13日 連帯保証人については、大判昭和7年6月21日 ね。 同様に、物上保証人も、被担保債権の消滅時効を援用できるわね。 物上保証人も、利害が直接的と言えるからね。 物上保証人については、最判昭和42年10月27日等があるわね。 |
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保証人? なんか、たまに聞く気がするなぁ。 連帯保証人って言うのは、なんかなるとヤバイって聞いたことある気がするけど、物上保証人ってのは、よくワカラナイなぁ。 まぁ、ぶっちゃけ、保証人も連帯保証人も物上保証人も、みんな消滅時効の援用ができるみたいだから、一緒くたに覚えとけばいっか。 |
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・・・・。 (恐ろしく雑な理解ですけれど、言われてみれば、確かに、その通りです・・・。 藤先輩は、たまに侮れないです。) |
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光ちゃん、光ちゃん。 私や、藤さんは、既に民法を一通りまわしているので問題ないですが、竹中さんは、まだ物権や債権の知識がないのに、このような説明をされても、よく理解できないのではないでしょうか? とりあえず、今日の勉強会では、援用できる者と、できない者とを、まとめられて、それぞれの勉強をした後で、再度確認する、ということにされてはいかがでしょうか? |
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わ、わ、私が勉強会に参加することで、皆さんの足を引っ張りたくはないです! 今はワカラなくっても、後から学んだ際には、ちゃんと復習するようにしますから、お気遣いなく勉強会を進めて下さい! |
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マヂで? いやぁ、ココはクロちゃんの厚意にのっておこうよ。 |
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あんたとナカちゃんの勉強に対する姿勢、折半に出来ればいいのにねぇ。 うーん、でも、つかさちゃんの指摘も納得できるところだし、ここは少し軽目の説明で終わらせておくことにするわね。 まとめだけで説明しないってわけにも、やっぱりいかないしね。 次は、担保不動産の第三取得者の場合なんだけど。 まぁ、簡単に言うと、抵当権等の担保権が設定されている土地とか建物を買ってしまった人って思ってくれればいいわ。 これら人についても、消滅時効の援用は認められるわ。 理由は簡単よね。 担保不動産の第三取得者は、その被担保債権が消滅すれば担保権も消滅して、なんの問題もないけれど、逆に担保権が実行されちゃうと、その買った建物なり土地なりの所有権を失うという立場にある以上、『直接』の利益を有する者といえるからよね。 |
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うわっ!!! 結局やるんかいっ!! |
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抵当権については、最判昭和48年12月14日があるわね。 ちょっと変わったところだと、売買予約の仮登記がなされた不動産の第三取得者については、比較的近時の判例があるわね。 最判平成4年3月19日は、大審院判例を変更したものなんだけど。 『民法145条にいう当事者として消滅時効を援用し得る者は、権利の消滅により直接利益を受ける者に限定されるところ、売買予約に基づく所有権移転請求権保全仮登記の経由された不動産につき所有権を取得してその旨の所有権移転登記を経由した者は、予約完結権が行使されると、いわゆる仮登記の順位保全効により、仮登記に基づく所有権移転の本登記手続につき承諾義務を負い、結局は所有権移転登記を抹消される関係にあり、その反面、予約完結権が消滅すれば所有権を全うすることができる地位にあるから、予約完結権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、その消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。』 と最高裁は述べているわ。 |
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オイっ! 『軽目』って言葉の定義について、ちょっと調べてこいやっ! |
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だって、判例があるわよ、って言うばっかりじゃ意味ないじゃないの! 少しは判例も見ておかないとダメでしょ! |
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こくこく(相槌) | |||||||||||
次は、詐害行為の受益者の場合なんだけど・・・。 詐害行為(民法424条)についての勉強もせずに、その受益者の話をしていいのか、って気持ちにはなるところだけど、まぁ、いずれ債権総論で勉強する話だから、また、その際に戻って復習するってことで。 詐害行為の受益者についても、取消権者の被保全債権の消滅時効の援用ができるとされているわね。 百選Tの5版掲載の42事件が、この判例を紹介しているわ。 最判平成10年6月22日ね。 『詐害行為の受益者は、詐害行為取消権の直接の相手方とされている上、これが行使されると債権者との間で詐害行為が取り消され、同行為によって得ていた利益を失う関係にあり、その反面、詐害行為取消権を行使する債権者の債権が消滅すれば右の利益喪失を免れる地位にあるから、右債権者の債権の消滅によって直接利益を受ける者に当たり、右債権について消滅時効を援用することができるものと解するのが相当である。』 としているわね。 |
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なんかよくワカラナイけど、とりあえず消滅時効の場合は、みんな時効の援用ができるってこと? | |||||||||||
いつ誰が、そんなこと言ったのよっ!! とりあえず、時効の援用をできる者の場合を、先に説明しただけでしょ! 滅茶苦茶なまとめをしないでくれる? そうね・・・ 例えば、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効に関する後順位抵当権者の場合を説明するけれど、この後順位抵当権者は、先順位抵当権者の被担保債権の消滅により直接利益を受ける者には該当せず、先順位抵当権者の被担保債権の消滅時効を援用できない、とされるわ。 (判例:最判平成11年10月21日) 抵当権については物権で勉強することになるんで、ここでは必要最小限度の説明にとどめるけれど、抵当権は、設定順位が先の者から優先弁済が受けられるのね。 抵当権者が複数存在して、抵当権の目的となっている目的物が債権総額を下回るような場合には、この抵当権の設定順位が重要になるわよね。 後順位抵当権者は、先順位抵当権者の債権を充足した後でしか、債権回収できないわけだからね。 後順位抵当権者の消滅時効の援用は認められるようにも思えるところだけれど、判例は、順位上昇という利益については、あくまでも間接的な利益として捉えているみたいね。 |
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ヤベェお・・・ 今ひとつ違いがよくワカラナイお。 ソレというのも肝心の言葉の意味が、よくワカラナイからだな、間違いないな。 |
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あと、債務者の一般債権者、または物上保証人の一般債権者の場合も、消滅時効の援用は認められないわね。 その理由は、債務者の一般債権者は、債務者の負う債務の消滅により債権回収の確実性が高まるという事実上の利益をもつにとどまり、時効消滅により直接に利益を受ける者とはいえないため、とされるわね。 物上保証人の一般債権者についても、同様の考えがあてはまるから、やっぱり債務者の消滅時効を援用できないこととなるわ。 但し、この原則的な考えには例外があるのよね。 債務者の援用権の不行使が、債権者を詐害するような場合には、債権者は自己の債権を保全するために、債務者の有している援用権を代位行使することが認められているわ。 |
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ダイイコウシ? | |||||||||||
民法423条1項の話ですね。 債権総論の分野で学ぶ話です。 |
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乗りかかった船だから、もう港に行っちゃおうかな・・・って思って。 最判昭和43年9月26日の判例なんだけど。 事案を、簡単に説明すると・・・ 私がサルに100万円を貸していたと仮定してくれる? このサルの借金に対して、ナカちゃんが物上保証人になっていたわけね。 その私のサルに対する債権について消滅時効が完成してしまったの。 先の説明のとおり、ナカちゃんはサルの物上保証人であることから、直接の利益を有する者(=『当事者』)であるから時効の援用ができるわよね。 でも、ナカちゃんは主債務の消滅時効について時効の援用をしなかったわけ。 ただ、ナカちゃんも決して十分な資力をもっているわけではなくって、ナカちゃん自身も、つかさちゃんに借金している立場だったのよね。 つかさちゃんは、ナカちゃんの債権者として、債権の弁済を求めているんだけれど、ナカちゃんの資力が不十分なため、その回収をできないままでいたのよね。 そこに、この消滅時効の完成という事態が生じたわけよね。 ナカちゃんの債権者のつかさちゃんとしては、払わなくて済むことになった債権について払う余力があるのならば、自分に返して欲しいって思うのは当たり前よね? なのに、ナカちゃんが消滅時効の援用をしてくれない・・・自分(=つかさちゃん)に返すお金もないのに、なんで、消滅時効の援用をしないんだ、って普通は思うわよね。 このような事案に対して、判例(最判昭和43年9月26日)は、次のような判断を示しているわ。 『金銭債権の債権者は、その債務者が、他の債権者に対して負担する債務、または、他人の債務のために物上保証人となっている場合に、その被担保債権について、その消滅時効を援用しうる地位にあるのにこれを援用しないときは、債務者の資力が自己の債権の弁済を受けるについて十分でない事情にあるかぎり、その債権を保全するのに必要な限度で、民法423条1項本文の規定により、債務者に代位して他の債権者に対する債務の消滅時効を援用することが許されるものと解する。』 としているわね。 あくまでも例外的なものである以上、援用権の代位行使については、かなり要件が厳しいものとなっていることがワカルわよね。 まぁ、このあたりの要件については、債権者代位権(民法423条)の勉強の際に、しっかり学ぶことになるから、ここでは判例の紹介と、例外的な場合のあることを抑えておいてくれればいいからね。 |
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こくこく(相槌) | |||||||||||
じゃあ、今日勉強会で確認した具体例について、一覧にして、まとめるわね。 下の図を見てくれる? |
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※2 援用権の代位行使の可能性あり |
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時効の援用についての論点は、もう少しあるから頑張っちゃいましょ! 援用の方法についてだけど、通説・判例である不確定効果説によれば、裁判外の意思表示でもよい、とされているわ。 これに対して、訴訟法説からは、援用は必ず裁判上行わなければならない、とされるところなんだけど、まぁ、実務においては不確定効果説が判例の立場である以上、現実にはとられないからね。 私は、そういう理解かな。 あ、裁判と言えば・・・民訴の話になっちゃうんだけど、裁判上の援用の時期について、ちょっと触れておくと。 裁判上の攻撃防御方法の提出は、第2審の口頭弁論の終結時までであることから、この時までに援用しなければならないこととなるわ。 したがって、上告審では、もはや援用できないってことね。 この論点については、判例もあるわよ(大判大正12年3月26日)。 |
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第2審の口頭弁論の終結時って、一体全体いつのことなんだお? ワカラナイ話されても、理解でけないじゃまいかっ! |
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口頭弁論の終結時くらい、ロー生なら、あんた以外はみんな知ってるわよ! しょうもない漫画やドラマのネタ話ばっかりしてるんだから、これくらいのことで騒がないでよね! そうそう。 コレは時効の援用について、すごく大事な論点になるんだけれど。 援用の効果は、相対効とされているわ。 明文の規定があるわけではないんだけれど、数人の援用者がある場合において、そのうちの1人の援用が、他の者に影響を及ぼさないことをいうのね。 どうして、援用の効果が相対効とされるのか、ということなんだけど。 援用というのは、時効の利益を積極的に享受しようという意思の表れよね。そうであれば、各個人の意思が尊重されるべきで、効果の享受を欲する者のみが享受でき、それを欲しない者には効果を及ぼすべきではない、と考えられるからなの。 時効が完成したからと言って、借りた者は返すんだ、って思う人も居るわけだし、あんたみたいに時効が完成したから諸手を挙げて返さなくっていいんだ! って喜ぶ人も居るわけでしょ? だから、時効の効果は、相対的なものとして捉えるべきとされているわけね。 |
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あたしみたい・・・は余計じゃない? 普通は、返さなくっていいモノは返したくないって思うと思うんだけどなぁ。 |
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じゃあ、今日は一杯話して、少し疲れちゃったから、最後は質問して、終わりにしましょうか。 時効の援用が問題となる場面で・・・ 消滅時効において、主債務者の援用権と、保証人の援用権とがある場面を想定して欲しいんだけど、その場面について、幾つか質問しようと思うから、考えてみてくれる? 質問! 主債務者が消滅時効を援用しなくても、保証人は独自に援用できるわけなんだけど、保証人が独自に消滅時効を援用した場合、どうなると思う? |
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えーっと・・・。 援用の効果は相対効なんですから、消滅時効を援用した保証人は、それにより債務を免れることになると思います。 でも、主債務者の人は、消滅時効の援用をしていない以上、主債務者の人の債務は、そのまま残っていると思います。 |
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ピンポン、ピンポンっ! | |||||||||||
でも、アレでしょ? 主債務者の人だって、保証人のない債務が残るって言っても、自分も保証人がした後で、さらに時効の援用しちゃえるわけでしょ? |
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そうよ。 なんか妙に嬉しそうに言うじゃないのよ。 |
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だって、あたし時効制度好きだもん。 借りたモンを返さなくってよくなる制度なんて最高じゃないの。 |
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表現が微妙なのよね・・・ あんたの表現だと、なんかスッゴい悪い制度みたいに聞こえるじゃないのよ。 それじゃも一つ質問っ! 逆に、主債務者の人が、消滅時効が完成して、時効の援用ができるんだけれど、「いや、私は借りたものは返しますよ」ってことで、時効の利益を放棄したとして・・・。 その場合、保証人は時効を援用できると思う? |
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余裕でできるでしょ。 だって、時効完成してんだよ? 払いたい人が払えばいいんだよ、そんなの。 あたしが保証人なら、すぐ時効の援用しちゃうからね! |
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あんたみたいな文無しは、そもそも保証人になんかなれないけどね。 ただ、答えとしては正解ね。 この場合は、保証人は債務を免れることになるから、主債務者の債務は、保証のない債務として残ることになるわね。 |
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援用権者については、正直今ひとつよくワカラなかったけど、質問は簡単だね。 | |||||||||||
言うじゃないの。 じゃあ、最後は難しい質問にしちゃおうかな。 質問! 主債務者の人が時効を援用した後に、保証人が時効の利益を放棄して、主債務者の人の債務を弁済しちゃったの。 保証については、まだ勉強していないから、ちょっとよくワカラナイかも知れないけれど、保証っていうのは、あくまでも主たる債務者の債務を保証しているわけで、保証人自身が借金したわけじゃないのよね。 それなのに、主債務者の借金を、保証人が弁済しちゃっているわけなんだけど、この場合、どうなると思う? |
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・・・えーっと・・・えーっと・・・。 少し自分に置き換えて考えてみるです。 藤先輩が借金をされるにあたって、私に保証人になって欲しいって頼んでこられたので、私が保証人になったとして・・・。 私は保証人として、お金を貸してくれた方にご迷惑をかけてはいけない、と思って、藤先輩の借金を肩代わりして返したわけですよね。 でも、そもそも、私が返したお金は、藤先輩の借金なわけですから、私は、藤先輩に肩代わりした借金について、私に返して下さいって言ってもいいと思います。 |
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いやいや、それはナイナイっ! だって、あたしは消滅時効を援用してんだよ? つまり、あたしにお金貸した人の債権は、消滅しちゃってんだよ? なのに返さなくっていいモノを、ナカちゃんが勝手に好きで返したんでしょ? それを、あたしに金を払えって、どこの強盗? |
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腹立たしい言い方してくれてるけど、正解はサルなのよね。 ナカちゃんの弁済は、非債弁済(=債務がないのに弁済として給付すること。債務がないため弁済したものを不当利得(民法703条)として返還出来るのが原則であるが、弁済者が給付当時に債務が存在しないことを知っていた場合は返還請求出来ない(民法705条)。)になるのよね。 債務がないのになした非債弁済である以上、サルに対して、肩代わりした借金の支払(=求償)を求めることも出来ないし、ナカちゃんが時効の利益を放棄して支払っている以上、債務の不存在も知っているわけなんだから、ナカちゃんがお金を返した人(=債権者)に対しての返還請求も認められないことになるわ。 |
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そ、そ、そんな・・・ 元々は、藤先輩の借金だって言うのに、おかしいです。 |
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だから、あたしの借金は、あたしが消滅時効を援用した時点で、なくなっちゃってるからさぁ。 返さなくっていいモノを、勝手に返すほーが、おかしいんだよねぇ。 |
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借りたモノを返すのは当然です! 私は、当たり前のことをしただけです! |
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でも法律はどうであれ、私は、竹中さんみたいな真面目な考え方は好きよ? | |||||||||||
あ・・・ちょっと救われました。 | |||||||||||
あたしも保証人になってくれるようなナカたんは好きだよ? | |||||||||||
・・・藤先輩は、なんか腹黒いことしそうですから、私は藤先輩の保証人にだけはなりたくないです! | |||||||||||
まぁ、気持ちはワカルかなぁ。 サルはお金に汚いからねぇ。 |
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金満球団のファンが偉そうに! 清貧球団広島のファンに土下座して謝れっ! |
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相変わらず漢字弱いのね。 『清貧』じゃなくって『赤貧』でしょ? 日本語の勉強し直した方がいいわよ? |
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・・・・。 (見てろよ・・・ M6点灯で調子こいてても、まだ安全圏ではないってこと教えてくれるわ! よしんば逃げ切ってペナント制覇してもCSでフルボッコにしてやっからよぉぉ! この背景色の赤は、燃える赤ヘル魂の色だお! 日本一の栄冠・・・ソレは広島にこそ相応しいっ!) (2014.9.20付) |
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藤先輩、お気持ちお察ししますが、広島期待の大型ルーキーの田中広輔選手が、昨日のお昼の練習中に打球受けて14針縫う大怪我で出場選手登録抹消されてますよ? | |||||||||||
・・・アカンやん。 田中、先月も6針縫合したばっかなんやで? あたしは、坂本なんか目じゃないくらいのショートになれるって期待しとんのに。 |
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あんた、野球に夢中になってて更新停滞したってのに、全然懲りてないじゃないのよ! 野球の話題禁止っ!! |
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まぁまぁ。 ペナント終われば、見れる試合もなくなるわけだしさぁ。 今見なくって、いつ野球見んのよって話だよね。 |
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・・・それくらい熱心に勉強してくれればいいのにねぇ。 |