前回から権利義務の客体となる「物」について学ぶこととしたわよね。 今日は、その「物」の種類について確認することにするわね。 「物」の種類には、「不動産」と「動産」という区分があるの。 民法86条をひいてみて。 |
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民法第86条 『(不動産及び動産) 第86条 1項 土地及びその定着物は、不動産とする。 2項 不動産以外の物は、すべて動産とする。 3項 無記名債権は、動産とみなす。』 |
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不動さんと、象さん? この不動さんっていうのは、山のフドウさんのこと? デビルマンの不動明さんのこと? |
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最早、古典レベルの漫画(『北斗の拳』、『デビルマン』)出してまで無理にボケなくっても・・・ | ||
空耳で遊んでるんじゃないわよ! あんた、前回のモノリスと言い、チャチャ入れしかしてないわよ? 不動産の定義については、条文のとおりよね。 不動産には、「土地」と「その定着物」とがあるわけ。 「土地」とは、地表と、その利用に相当な範囲での上空・地下を一体的に含めた物をいうものと定義されるわ。 「その利用に相当な範囲」っていうのは、土地所有権の範囲(限界)が、法令等によって制限されていることを意味するのね(民法207条)。 例えば、大深度地下利用法(「大深度地下の公共的使用に関する特別措置法」)などが、土地の利用の範囲を画する法令の一例として挙げられるわね。 |
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大深度地下利用法? なんかカッコいい名前の法律だね! |
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ドコに食い付いてんのよ! 大深度地下利用法っていうのは、首都圏等において、地下40m以上の空間を「大深度地下」として、道路・地下鉄・上下水道などの公共性の高い事業を進める場合には、原則として、土地所有者の同意や補償は必要としないことを定めた法律なのよね。 |
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帝愛グループの地下帝国は、きっと地下40m以上の深さにあるんだろうなぁ。 大深度利用法があるから、勝手に建設しちゃっていいってことだね。 |
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あの事業計画には、公共性は微塵もないです! だから、土地所有者の許可なく建設することは認められないです! |
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ナカたん・・・ アレ、漫画(『賭博黙示録カイジ』)の話だからね。 |
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藤先輩が、フッたんじゃないですか! どうして、そんな突き放した返しをするんですか!? |
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脱線しないでくださぁ〜い。 因みに、「土地」を構成する土や石などに対しても、「土地」の所有権は及ぶことになるんだけれど、例外的に地中の鉱物(鉱業法3条列挙の鉱物)は、その採掘・取得権が国家に留保されているから、法的には、これらの鉱物については、「土地」の所有権は及ばないことになるわね。 |
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鉱物には、土地の所有権が及ばないってことなんだ・・・ あ、でも、例えば徳川埋蔵金が、自分の土地から出てきたら、ソレには土地の所有権が及ぶって思っていいの? |
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どっから、そういう質問が出てきたのよ? 徳川埋蔵金なんて、M資金並みに胡散臭い代物じゃないのよ。 ホント、そんなことばっかり言ってるんだから。 その答えは、民法241条を見てくれるかな? はい、興味あるんでしょ? たまには、自分で六法ひきなさいよ。 |
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ヤバい! 六法ひくだけなのに、なんかワクワクする! 徳川埋蔵金の帰趨は、いかにっ!! 実はココだけの話、あたし、トレジャーハンターとして、一つ星(シングル)ハンターの称号もっとるんだおね! 民法第241条 『(埋蔵物の発見) 第241条 埋蔵物は、遺失物法 の定めるところに従い公告をした後六箇月以内にその所有者が判明しないときは、これを発見した者がその所有権を取得する。ただし、他人の所有する物の中から発見された埋蔵物については、これを発見した者及びその他人が等しい割合でその所有権を取得する。』 |
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徳川の埋蔵金だって判明しちゃったら、ソレはもう歴史的価値の高い文化財だから、文化財保護法の定めに服することになりそうだけどね。 まぁ、徳川埋蔵金の取り扱いについては、正直私も知らないんで、こうなるんじゃない? っていう明確な回答は出来ないけれど、一般的な埋蔵物に関しては、民法241条から、所有者が判明しなければ、発見者と、その埋蔵物出てきた土地の所有者とで折半するってことになっているわね。 でも、どうせ徳川埋蔵金なんてないわよ! |
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そんなこと言ってると、見付けても分けてあげないかんね!! ウフフフ。 夏休みは、徳川埋蔵金を探しに行こうかなぁ。 ナカたんも一緒に来る? |
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私、肉体労働はあまり得意じゃないので、見てるだけでもいいのなら、御一緒したいです。 | ||
見てるだけなら、徳川埋蔵金発見しても、ナカたんには見せるだけになるけどね! | ||
それでも一つ星ハンターさんのお仕事に立ち会えるなら嬉しいです! 藤先輩さえ、よろしければ連れてって下さい! |
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ナカたん・・・ 一つ星ハンター・・・って。 『HUNTER×HUNTER』は漫画の話だよ? |
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またヒドい返しです! 藤先輩には、禁反言を再復習してもらいたいです! 「自己の行為に矛盾した態度をとることは許されない」ということを思い知って下さい! |
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徳川埋蔵金なんて、どうせ見付かりっこないじゃないのよ。 暑い夏の盛りに、なんで山中に篭って地面掘りたがるかなぁ? まぁ、それじゃ次は、土地の「定着物」について勉強するわね。 土地の「定着物」とは、社会観念上、土地に付着しており、付着したままで、継続的に使用される「物」と定義されるわ。 原則として、土地の一部をなし、土地所有権に含まれると考えてくれていいわ。 具体的な例を挙げると、樹木、石垣なんかがそうね。 但し、原則があると言うことは・・・? |
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お約束の例外がある・・・ってことだよね? |
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わかってきたじゃないの。 例外は2つね。 「建物」と「立木」が例外となるわ。 まずは例外の1つ目の「建物」から説明するわね。 日本の不動産法の大きな特色とされているところでもあるんだけれど、建物は土地とは、別の不動産とされるのよね。 そうね・・・民法370条本文を確認してみましょうか。 |
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民法第370条本文 『(抵当権の効力の及ぶ範囲) 第370条(本文) 抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産(以下「抵当不動産」という。)に付加して一体となっている物に及ぶ。』 但書き以降は、読まなくっていいんですよね? |
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うん、ありがとうね。 民法370条は、物権で勉強する抵当権に関する条文なんだけれど、この条文において、建物が土地とは別の不動産であるということについて、間接的に規定しているのがワカルかな? ちなみに、この条文にいう『付加して一体となっている物』というのは、「定着物」を意味しているわけね。 |
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こくこく(相槌) | ||
因みに、建築中の建物が、独立の不動産となるのは、どの段階か? という論点があるのよね。 この論点に関しては、判例法理が確立しているところなので、その判例を確認することにしましょうか。 判例百選12事件が、そうなんだけどね。 判例は、木材を組み立てて、屋根を葺いただけでは建物とはいえない(大判大正15年2月22日)が、独立に風雨をしのげる程度、すなわち、まだ床・天井を備えていなくても、屋根を葺き、荒壁をつけた段階をもって、独立の不動産となるとしているのよね(大判昭和10年10月1日 百選T 12事件)。 |
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へぇ〜。 ってことは、屋根と壁があれば、独立の不動産となるってことなんだ。 |
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ちょっと理解が乱暴かなぁ。 本判決で示された基準は、あくまでも住宅用建物が、独立の不動産となる段階を明らかとしたものなのよね。 例えば、現実問題として、屋根だけあって壁のない立体駐車場が、不動産としての登記が認められていたりするのよね。 だから、屋根と壁があれば、独立の不動産となる・・・という理解ではダメよ? 建築中の住宅用建物については、屋根だけあっても建物として独立の不動産とは認められないけれど、屋根と壁があれば、建築中の建物であっても、独立の不動産として認められる、って抑えておかないとね。 |
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な、な、なるほどぉ。 | ||
新司法試験の択一問題でも問われている論点だからね。 試しに、やってみる? 質問! 判例によれば、建物は、屋根瓦を噴き荒壁を塗り床及び天井を張る等して初めて独立した不動産となる。 ○ か × か? |
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×だよね。 屋根と荒壁があればいいんでしょ? |
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そういうこと。 屋根だけではダメだけど、屋根と荒壁があれば、床と天井はできていなくても建物としてみることができるっていうことね。 珍しく理由も言えていたじゃないの。 いい感じじゃない。 じゃあ、例外の2つ目の「立木」についても、まとめるわね。 樹木(立木)は、土地の定着物の例として挙げていたよね? つまり、原則として、樹木(立木)は、独立の「物」ではないってことになるのよ。 但し、例外的に、一定の方式を備えると、土地とは別の不動産として、取引の対象となるのよね。 この一定の方式というのは、立木法による登記、または、明認方法と呼ばれる方法をとった場合をいうの。 |
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明認方法・・・ってナニ? | ||
明認方法というのは、民法上の明文があるわけでないんだけれど、慣習上、対抗要件として認められている公示方法なの。 具体的には、その対象となる樹木の周囲にロープを張ったり、立て札を立てたり、樹木の皮を削って取得者の名前を墨で書いたり・・・といった方法をとって、対象樹木の所有者を明らかにすることを言うのよ。 (※ 明認方法の画像リンク紹介) ちなみに、この明認方法は、立木だけではなくって、未分離の果実についても可能な方法なのよね。 あ、果実については、次回勉強するところだから、その際に、また改めて言うことにするわね。 |
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いやいや、果実くらいワカルって。 リンゴとか、ブドウとか・・・いわゆるフルーツでしょ? |
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民法上の「果実」の定義は、果物のことを意味するわけじゃないから。 大体、そんな定義内容のものだったら、いちいち後から勉強するなんて、私が言うわけないでしょ? あんたが、おかしなこと言い出すもんだから、なんか話ズレちゃってない? 一応まとめておくと、土地の定着物は、原則として土地の一部をなすものとして土地所有権に含まれるってことなのよね。 ただし、建物は、土地とは別の不動産というのが例外の1つ目。 立木については、登記ないしは明認方法をとった場合は、土地とは別の不動産となる、というのが例外の2つ目。 わかった? |
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こくこく(相槌) | ||
最後に、「動産」についてね。 民法86条2項には、『不動産以外の物は、すべて動産とする。』とされているわよね。 つまり、「不動産」さえ、しっかりどのような「物」かを抑えとけば、後は、「動産」って理解でいいわけよね。 ただし、特殊な動産も存在するから、その点については注意が必要よ。 例えば自動車、船舶、航空機。 これらは、土地でもなければ、その土地の定着物でもないわけだから、理論的には「動産」ってことになるわよね。 でも、これらの動産については、登録制度が存在するの。そして、登録によって、法律上、不動産と類似の扱いを受けることとなるの。 他には、民法86条3項で『無記名債権は、動産とみなす。』ってされているけど、無記名債権については、質問もなかったから、スルーしちゃって説明は、しなかったんだけど・・・。 要は、権利者である債権者を特定せず、当該証券の所持人をもって権利者とする債権をいうって理解しておいてね。 無記名債権の具体例としては、商品券、入場券なんかが挙げられるわね。 あとは、金銭が特殊な動産となるのよね。 金銭は、性質自体は、動産ってことになるんだけれど、通常、金銭は個性をもたないもので、価値基準として存在するものなのよね。 だから、そういう理由から、金銭には、動産規定の多く(民法178条、192条等)は適用されないんだ、ってことは抑えておいてね。 |
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どぉ〜さん、どぉ〜さん はぁーなしが、長いのねぇ〜 そぉ〜よ グダグダとぉ、なぁ〜がいのよぉ〜 |
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ヒドい替え歌です・・・。 | ||
ねぇ? ヒドい替え歌よねぇ? |
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ウキっ!! |