補助

行為能力制度の、それぞれの類型ごとに、その内容を勉強しましょう、の最終回!

補助について勉強しまぁーす!
  ぱちぱちぱち
(拍手)
3回目だよ・・・
似たような話が3回・・・
人気映画でもリメイクは、意外と不人気だったりするって言うのに、どんだけやるつもりって思うのが普通の神経の・・・
はいはいはい。
あんたこそ、どんだけ文句言うつもりなのよ!

まずは、補助の定義についてからね。
『精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分である者』(民法15条)が、補助開始の審判を受けた場合に、その者を、被補助人というのよ。 

はいはい。それじゃ、そこの仏頂面している方、六法で、民法15条を確認してください。
仏頂面って、ナカたんの顔だって大概そうじゃないの?
まぁ、あたしが読むけどさ。
民法第15条

『(補助開始の審判) 第15条
1項 精神上の障害により事理を弁識する能力が不十分である者については、家庭裁判所は、本人、配偶者、四親等内の親族、後見人、後見監督人、保佐人、保佐監督人又は検察官の請求により、補助開始の審判をすることができる。ただし、第7条又は第11条本文に規定する原因がある者については、この限りでない。

2項 本人以外の者の請求により補助開始の審判をするには、本人の同意がなければならない。

3項 補助開始の審判は、第17条第1項の審判又は第876条の9第1項 の審判とともにしなければならない。


・・・コレ、長くない?
成年後見や、保佐には無かったのに、補助の条文は項立てされてるよ?
事理を弁識する能力を「欠く常況」にある者は、成年被後見人で、「著しく不十分」である者は、被保佐人だったわよね。
この能力が「不十分」である者が、被補助人なのよね。

つまり、意思能力が平均より低い人が、補助開始の審判を受けた場合に、被補助人となるのよ。

ただし、被補助人になれる人というのは、意思能力が平均より低いという程度の精神上の障害なので、一定程度の判断能力があるのよ。
だから、自己決定権の尊重の観点から、他の成年後見制度と比べて違いがあるということなの。

例えば、2項補助開始の審判にも、本人以外の者の請求によってなされるのであれば、本人の同意が必要となる、といった具合にね。
ウチの爺ちゃんに必要だったのは、補助だったのかな、保佐だったのかなぁ。
あ、まだ被補助人の行為能力を聞いてないから、判断するのは早いね!
文句の割には、珍しく前向きに聞いているじゃない。
でも、被補助人の行為能力を説明する前に、補助要件効果についての確認からね。

要件については、
実質的要件は、精神上の障害により、事理を弁識する能力が不十分であること
形式的要件は、本人、配偶者、その他一定範囲の者からの請求があること

まぁ、殆ど同じと言われれば、そうなんだけど、法律の勉強する際には、要件・効果は大事にしないとね。

効果については、保護者の選任よね。
家庭裁判所は、補助開始の審判をするときは、本人(被補助者)のために、保護者である補助人を選任するの(民法第16条)。
補助人は、同意権、代理権、または、その両方の3つのうちの、いずれかの権限を与えられることとなるわ。
こくこく(相槌)
それじゃ、次はサルが聞きたがっていた被補助人の行為能力についてね。

日用品の購入その他日常生活に関する行為」は、被補助人は、当然、単独で有効になしえるわ。

問題は、その他の行為についてね。
その他の行為についても、被補助人は、基本的には、単独で有効になしうるのよね。

逆に単独でなしえない行為は、民法が財産管理上、重要と考えて列挙している9種類の行為のうちのどれか一部なの(民法13条1項及び17条1項)。
被補助人が、単独では有効になしえない行為を、補助人の同意なしにやってしまったら、どうなるんですか
その行為については、補助人だけではなく、本人(被補助人)自身も、取り消すことができるわ(民法17条4項、120条1項)。

ちなみに、補助人に、同意権、代理権、その両方の3つの中から、代理権のみが与えられた場合には、被補助人の行為能力には制限がないこととなるわ。
ただし、この場合には、行為能力に制限のない者に対して、法定代理人がつくことになるのよね。これは、従来の制度にはなかった制度なの。
聞く限りだと、爺ちゃんは、補助で十分間に合っていたのかなぁ?
正直、ウチには「財産管理上重要な財産」なんて特になかったし、爺ちゃんも、言う程ボケてたわけじゃないしね。
でも、サルのお爺様は、サルの妹の小(チイ)ちゃんと、鶏を間違えてみえたんでしょ?
ソレは、事理弁識能力が、不十分という程度ではないと思うわよ?  
アレ?
光ちゃん、チイが、なんでチイって名前になったか知らなかったんだ。 
知らないけど? 
 
チイの名前は、爺ちゃんが付けたんだよ。
まぁ、爺ちゃんは「小子」って書いて「コッコ」って読ませる名前にしたかったんだけどね。
父ちゃんが、鶏(木下家では、コッコと呼んでいる)と同じ名前じゃ、この子が不憫だって言って、役所で勝手に下の字を外したんだよね。
ソレで、「小」って字になって、「コ」だと意味ワカンナイってことで、「チイ」って名前にしたんだよ。
だけど、爺ちゃんは納得いかなかったみたいで、いつもチイを、コッコって呼んでいたんだよねぇ。
ん?
それじゃ、サルのお爺様は、チイちゃんと、鶏を間違えていたわけじゃないってことになるんじゃないの?  
まぁ、最初はそうだったんだけど、年食ってからは軽くボケが入ってきて、リアルに間違えていたんだよね・・・
あたし達も、判別つかなくって困ったよねぇ、アレは・・・。
  チイちゃんの名前に、そんな過去があったなんて知らなかったわよ。  
コッコ(鶏)を驚かせると、卵が悪くなるって爺ちゃんに怒られるもんで、代わりにチイを驚かせていたんだけど、爺ちゃんは、その時も、コッコ(チイ)を驚かせるなって怒ったからなぁ。
もうわけワカラナイよね。
いや、ソレはあんたが悪いだけじゃないの。
ドッチも驚かせないのが大前提なのに、ナニ、お爺様が紛らわしいことするんだよねって話にしてんのよ。

あ、チイちゃんの話題で、随分脱線しちゃったわね。
ナカちゃん、ごめんね?

えーっと、それじゃ、被補助人の保護者からで、いいかな。
被補助人の保護者は、補助人ね。
これは、民法16条に定められているわ。

補助人の役割・権限については、他の成年後見制度同様、身上について、と財産について、と分けて考えてね。

身上については、根拠条文こそ異なれど内容的には、同じ身上配慮義務善管注意義務とがあるわね(民法876条の10第1項による644条の準用。その他、876条の10第1項による876条の5第1項の準用)。

財産については、同意権か代理権、または、その両方のいずれかの権限が補助人には与えられるって言ったよね。

被補助人は、被保佐人同様、同意権を与えられた補助人が、当該行為についての同意をしないときは、家庭裁判所に対して、補助人の同意に変わる許可を与えるよう請求することができるの(民法17条3項)。
被保佐人に認められた請求であるから、それ以上の判断能力をもつ被補助人には、当然、自己決定権の尊重の観点から認められることとなるわけよね。
  こくこく(相槌)
同意権、代理権については、いずれか(両方与えられる場合もあるが)しか補助人には与えられないことから、保佐で学んだ代理権の付与の審判876条の9第1項)だけじゃなくって、補助には、同意権の付与の審判17条1項)もあるのよ。

ここで大事なことは、補助人に代理権の付与された行為を、被補助人が単独で行った場合でも、その行為が同意を得べき行為でないのであれば、その行為は完全に有効な行為となることね。

勿論、同意権、代理権については、その範囲を変更することもできるからね(前者は民法18条2項、後者は876条の9第2項)。

さらに、同意権、代理権のいずれか一方、もしくは両方の権限が、補助人に付与されている場合に、その全ての権限を付与する審判を取り消す場合は、家庭裁判所は、補助開始の審判自体を取り消さなければならないことになるわ(18条3項)。

まぁ、そりゃ補助人になんの権限もなくっていいというのであれば、最早、補助の制度は不要ということになるからね。
  でも、アレだね・・・
ホント淡々と説明だけで進んでいるよね?
この前は、難しい論点が・・・なんて言ってた癖に!
最初っから制度の説明しか、していないわよ。
あんたが、今日はちゃんと聞いているだけの話なのよ。

利益相反行為については、補助人は、臨時補助人の選任をすることが、民法876条の7第3項本文によって定められているわ。

監督者については、家庭裁判所は必要があれば、請求または職権により、補助監督人を選任することができることが、民法876条の8第1項に定められているわ。

補助開始審判の取消しについては、本人の能力が回復すれば、本人、配偶者、その他一定範囲の者の請求により、家庭裁判所がこれを取り消すことが民法18条1項に、それぞれ定められているから、後から見ておいてね。

今日は説明の手抜きなんて、言われなくって済みそうね。
こくこく(相槌)
補助は、これくらいかな。
3つの制度を終えたから、それぞれの制度を一覧表にしてザックリ把握できるようにしてみるね。 
 本人の意思能力 適用制度  単独で行える行為  保護者の権利 
欠く常況にある 成年後見  日常生活に関する行為  代理権
 著しく不十分 保佐 財産管理上重要でない行為 同意権
代理権
 不十分 補助 場合によって異なる
(全て行える場合もある)
同意権
代理権
被補助人が全ての行為を行える場合は、極めて例外的な場合であるが、補助人に代理権のみの場合。
  ハナっから、この表だけで良かったんじゃね?
よくもまぁ、そんなヒドいこと言えるわね。
まぁ、私も思わなくもなかったので、正直痛いところではあるんだけど。 
私は、ありがたかったです。
細かく条文も確認できたので、それぞれの制度の違いが、少し理解できたように思えます。
そう言ってくれると、やった甲斐があったなぁ、って思えるかな。
ありがとうね、ナカちゃん。 
  御礼を言うのは私の方です。
ありがとうございました。
光ちゃん、ナカたんの言葉を、よく聞かないと。
ナカたんは、こう言ったんだよ?
「それぞれの制度の違いが『少し』理解できた『ように思えます』」ってね。
なぁーにが言いたいのよ?
いや、だからさ。
理解できたとしても、それは「少し」に過ぎないわけだし。
その理解さえも、「思えます」という主観の強いものであって、断言しているわけではないってこと。
それで?
ぶっちゃけ。
「大して分かってないけど、大人の発言として御礼は言いますね」って意味ってことっ!
きょ、きょ、曲解ですっ!
私は、ホントに制度の違いについていい説明だったと思いましたし、よく分かったんです!
ホントです!
可愛そうね。
そんなに捻くれた物の見方しか出来なくなってしまうような人生しか歩んで来られなかったんだよね・・・ 
  な、な、なによ?
食生活に問題があるのかしら?
万年Bクラスチームの応援をしているためフラストレーションが溜まっているせいなのかしら?
それとも勉強が出来ないコンプレックスのせいかしら? 
や、やめてよっ!
モヤシは好きで食べてるんだし、広島だって去年は、15年ぶりにAクラス入り果たしてるよ!
べ、べ、勉強は出来ないけど、ソレは頑張るからコレからでしょ!
ケアしてないから髪は枝毛ばかりだし、お肌も今のままじゃ、この先荒れる一方だろうし、着ている服はボーイッシュと言えば聞こえはいいけど、がさつで粗野な服ばかりだしねぇ。 
ソレは仕方ないじゃん。
美容院行くお金なんか無いんだし、服だって学校に来るだけなら、洗濯さえしてればいいと思ってるんだし・・・
いいのよ?
もっと明るく素直に生きても。
そんなに斜に構えて生きなくってもいいのよ? 
くうぅぅぅぅぅ。
斜め上どころか、遥か真上から急転直下に見下ろしてくれちゃってからにぃぃぃっ!
ナニさっ!
光ちゃんのバカ、バカっ!!
ウフフフ。  
・・・。
(たまには団欒で終わって欲しいです。
 私、いつもお2人がケンカされるせいで、なんだか胃が痛くなってきたです・・・)

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