今日は利息債権の勉強会の2回目ね。 | |||||||||||||||||
だおだお。 んでもって、最終回だかんね! ちゃんと終わるんだぞ! |
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誰かさんが、余計なチャチャを入れなかったら円滑な進行になるから、大丈夫なんじゃないかしら? | |||||||||||||||||
ちょっと待てお! あたしのことは、ともかく、クロちゃんのことを悪く言うのは、やめてくれお!! |
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え? わ、私のことを言ってみえたんですか!? ・・・ここ最近の勉強会では、良かれと思って、補足的な説明や、図解を入れるようにしていたのですが、やっぱり、光ちゃんには余計なことだった・・・ということなんでしょうか? す、すみません! |
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ふえっ!? | |||||||||||||||||
ち、ち、違うわよっ! 私の今の発言は、サルに対して向けられたものであって、つかさちゃんのことなんて思いもしなかったわよ!! |
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いえ、そんな見え透いたフォローはかえって辛いです。 そうですよね。 光ちゃんの説明に、私ごときが口を挟むことを悪いとも思わず続けてきたわけですものね・・・ |
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違うです、違うです! 明智先輩が、黒田先輩のことを・・・ |
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コラッ! チビッ子1号っ!! それ以上、クロちゃんを責めるような真似はやめてよね! クロちゃん。 あたしは、クロちゃんの説明は良かったと思うよ。 あたしも必要だなぁって感じるとこに適宜入れてくれていた説明には、クロちゃんの優しい人間性さえ感じさせられたよ。 |
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ふ、藤さん・・・そんな風に言って頂けるんですか? | |||||||||||||||||
あうあうあうあう。 (黒田先輩は、どんだけ「ちょろイン」属性なんですかっ!) |
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違うから! つかさちゃん、ホント、誤解だってば!! あぁ〜もうっ!! なんて言ったら伝わるのよぉっ!! |
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え? それじゃあ、ホントに私の説明は勉強会の進行を妨害するものではなかったって思っていいんですか? |
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そうだよ、そうだよぉ。 つかさおねーちゃんの説明は、すっごく助かるし、チイはいつも「ありがとう」って思っているよぉ。 |
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そうよね? 私も、すごくいい説明だなぁって勉強になることも多かったし、言葉足らずだったなぁって、つかさちゃんの説明を聞いて、自分の理解の至らない点を見つけることもあったもの。 それを、よくもよくも・・・。 サルぅ・・・あんたねぇ〜・・・ |
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おおっと、無駄話はそれくらいにしてもらおうか。 今日で、利息債権を終わらせるって言うたやないの! それともナニかお? まぁたお得意の「やるやる詐欺」だったのかお!? |
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く・・・痛いトコを・・・。 本当だったら、この許すまじき悪党に、裁きの鉄槌を喰らわせたいのは山々なんだけど・・・。 |
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明智先輩・・・お察しするです。 |
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(・・・サル。一先ず、処分はお預けにしておくわ。) えーっと、ソレじゃ今日の勉強会では、前回積み残した利息債権の論点について説明していくわね。 先ず「利息の天引」からね。 利息の天引とは、金銭消費貸借契約締結の際に、約定元本額について利息を計算し、その利息を、あらかじめ元本額から控除することをいうわ。 コレについても前回の重利(複利)のように、実際に事案に数字を入れて、どのようなものかを理解することにしましょうか。 |
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助かるです! | |||||||||||||||||
私はサルに頼まれて、200万円を貸すことにしたのね。 でも、相手はあのサルじゃない。 返してくれないことも十二分に考えられるわ。 ソコで、私は 『200万円を年利20%で貸すわ』 ってことにして、1年分の利息分である40万円を差し引いた残額の160万円をサルに渡したわけ。 コレが「利息の天引」ってことね。 私は、あらかじめ利息の40万円を差し引いた残額を交付しているわけよね。 この事案において、1年後の私は、サルに対して200万円の支払いを求めることができるわけ。 |
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え? でもソレやと、借りたあたしは200万円を貸してくれって頼んでいるのに、実際には160万円しか使えないってことになるんじゃないの? |
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そうね!! もっとも、現実の私は、あんたには頼まれたって1円だって貸さないけどね! |
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ひ、光ちゃん。 答えになっていないです。 今の藤さんの御質問ですが「利息の天引」がなされた場合、借主は藤さんが言われたように、実際に使えるお金は利息が控除された額になってしまいます。 借主にしてみれば、天引された利息分は使えないから不利といえます。 後払いであれば、そんなことはないわけですからね。 他方、貸主としては、始めから利息がとれるから安心ということになるでしょうね。 |
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むぅぅぅ。 そかそか。 「利息の天引」はキッツいわけだね。 |
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ただ、今、光ちゃんが出された事案には問題がありますよね。 何故なら「利息の天引」についても利息制限法の規制がありますよね。 |
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あ、そっか。 ちょっと興奮していたせいか、利息制限法のことを失念していたわ。 ゴメンね。 |
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あ、そうだったんですね。 ソレじゃ、少し興奮されてみえるみたいですし、今日は私から説明させてもらっていいでしょうか? |
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そうね、ソレじゃ、つかさちゃんにお願いしたいわ。 | |||||||||||||||||
わかりました。 えーっと、先ずは利息制限法について必要な範囲で説明することにしますね。 利息制限法は、借金をする債務者の窮状につけ込んだ法外な高利から、債務者を保護することを目的とした法律です。 この利息制限法の適用範囲については、先ず利息制限法1条を見てもらっていいでしょうか? |
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利息制限法第1条 (利息の制限) 『1項 金銭を目的とする消費貸借における利息の契約は、その利息が次の各号に掲げる場合に応じ当該各号に定める利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分について、無効とする。 1号 元本の額が十万円未満の場合 年二割 2号 元本の額が十万円以上百万円未満の場合 年一割八分 3号 元本の額が百万円以上の場合 年一割五分』 |
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利息制限法は 『金銭を目的とする消費貸借における利息の契約』 に適用されることとなります(利息制限法1条1項)。 そして、同法1条1項3号には 『元本の額が百万円以上の場合 年一割五分』 と定められていますよね。 では、次に利息制限法2条を見てもらっていいですか? |
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利息制限法第2条 (利息の天引き) 『利息の天引きをした場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条に規定する利率により計算した金額を超えるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。』 |
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「利息の天引」についても、利息制限法の規制があります。 利息制限法2条によれば、天引額が、債務者の受領額を計算上の元本として制限利率(利息制限法1条1項)『により計算した金額を超えるときは、その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす』と、ありますよね。 そうなりますと、先ほど、光ちゃんが述べられた事案における、光ちゃんから藤さんへの貸付金は200万円ということでしたから、制限利率は、年利15%(『元本の額が百万円以上の場合 年一割五分』)まで、ということになります。 |
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ふむふむ。 | |||||||||||||||||
ちょっと、ここからは計算が続いてしまうのですが・・・。 計算手順を、順序立ててみていきますね。 @光ちゃんの事案の「法律上の元本」は、あくまでも当初の200万円ということになります。 Aその上で、借主である藤さんの受領された金額160万円を「計算上の元本」として、制限利率(年利15%)により計算した利息の上限を設定します。 160万円 × 0.15 =24万円 と、なります。 つまり、藤さんは、本来であれば24万円の利息の支払いで済んだ、ということになります。 B次に天引された金額40万円と、この制限利息の24万円を比較します。 天引額>制限利息 ということから、利息制限法2条にいう 『利息の天引きをした場合において、天引額が債務者の受領額を元本として前条に規定する利率により計算した金額を超えるとき』 にあたることがわかります。 そして、その超過部分は 40万円 ー 24万円 = 16万円 ですよね。 Cこの超過部分16万円ですが、利息制限法2条は 『超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす。』 と、しています。 つまり、「法律上の元本」200万円に充当された(=元本の返済に充てられた)ものとみなされる、ということです。 従って、藤さんは期日に 200万円 − 16万円 =184万円 つまり、184万円を返済すればよい、ということになるわけです。 |
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丁寧な順序での計算ね。 | |||||||||||||||||
あ・・・あたし、数学弱いから・・・。 | |||||||||||||||||
オネ−ちゃん、これ算数だから大丈夫だよぉ。 | |||||||||||||||||
えーっと、利息の天引に関しての注意を述べておきますね。 計算のベースとなる「法律上の元本」は、あくまでも当初約定された元本額ということになります(光の事案だと200万円)。 そして、その元本額(200万円)についての利息の約定が、当事者間では有効に成立しているものとして扱われるわけです。 そして 『その超過部分は、元本の支払に充てたものとみなす』 すなわち、元本の返済に充てられたという処理がなされるわけですね。 |
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メモメモです! | |||||||||||||||||
この利息制限法の適用範囲は、最初にも言いましたように 『金銭を目的とする消費貸借における利息の契約』 に適用されるということでしたよね(利息制限法1条1項)。 ですから、リース契約におけるリース料債権や、クレジット契約による信販会社等の顧客に対する手数料請求権については、これらの発生原因たる契約が、金銭消費貸借にあたらないことから、利息制限法の適用はありません。 (リース契約におけるリース料債権について東京高判昭和57年4月27日、クレジット契約による信販会社等の顧客に対する手数料請求権 名古屋地判昭和60年2月8日) |
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つかさちゃん、詳しいわねぇ。 | |||||||||||||||||
基本書の受け売りですけどね。 あと一応、先ほどの利息制限法1条1項の利息と、オマケで遅延損害金の制限金利を、表にして整理しますと、次のものになりますね。 |
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※ 遅延損害金は利息の1.46倍になっています。 ※ 営業的金銭消費貸借上の債務不履行による賠償額の予定(遅延損害金)の上限は、年20%(7条1項)。 |
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ほうほう。 光ちゃんの事案の話だと、貸したお金が200万円ってことだったから、利息は年利15%までってことになるわけか。 もし、貸したお金が10万円未満だったら、事案の設定のように年利20%でもOKOKってことだったわけね。 |
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そういうことね。 | |||||||||||||||||
利息制限法関連ですと、いわゆるグレーゾーン金利や、みなし利息、そして過払い金問題等の論点もあるんですが、そこまではいいですよね? | |||||||||||||||||
そうね。 民法の勉強会ってことだし、そこまでは・・・ね。 |
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ですよね。 ソレじゃ、利息債権についての勉強会は、ここまでってことで、よろしいのではないでしょうか。 |
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ありがとうね、つかさちゃん。 そうだ。 何か、つかさちゃんの中に変な遠慮があるのは、誤解のあるせいかなって思うから、その誤解を解くために、今度、私の左馬之助と一緒に猫カフェに2人で行くっていうのは、どうかしら。 |
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ぜ・・・ぜっ、ぜ、ぜぇぜぜぜぜ・・・ぜっ、ぜぜ、是非っ!! | |||||||||||||||||
・・・『テラフォーマー』状態じゃまいか。 なんつう状態になっとんだお・・・。 『じじょうじじじょう・・・じじ・・・じじょ・・・じょ・・・』 |