あ、クロちゃん! 被告が出廷してきたお! |
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代理人のいないところを見ると、相手方は本人訴訟でのぞむみたいですね。 | ||
・・・い、一体、ナニが始まっているですか。 | ||
あ、傍聴人は、そっから入ってきちゃ駄目だかんね! | ||
ぼ、ぼ、傍聴人!? |
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さぁ、今日も勉強会始めましょうか。 | ||
いやいやいや、その前に、光ちゃんは、あたしにすべきことがあんでしょ! | ||
ナニか、あったかしら? | ||
聞いた? 今の聞いた? |
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ええ、この耳で、しかと。 | ||
「あたしの言うことなんて2回言う必要ないことばっかり」という暴言についての謝罪を求めるお! | ||
・・・基本的には、その通りだと思うです。 | ||
おおぉぉぉぉぉぉいっ!! 傍聴人は、勝手に発言こいてんじゃないお!! 退廷させんぞ!! |
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藤さん、お気持ちはワカリますが、藤さんは原告としてのお立場ですから、訴訟指揮権は、ないですよ。 | ||
あ、そかそか。 フッ、命拾いしたようだな、ソコのチビッ子。 |
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チビッ子呼ばわりはイヤです! 藤先輩の、いつも口にされる、その「チビッ子」発言こそ暴言だと思うです! |
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ナカちゃんの言うとおりよ。 あんたの方こそ、謝ったらどうなのよ。 |
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えぇーーい。 うっさい、うっさぁーーいっ! 本件と関係のない話題に振って誤魔化そうとしてんじゃないお! |
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・・・大声で私の正当な主張をカキ消そうとしてるです。 | ||
ナカちゃん、ごめんねぇ。 オネーちゃんの代わりに、チイが謝るよぉ。 |
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チイちゃんが謝ることではないです。 | ||
えーい、外野がゴチャゴチャと・・・だまらっしゃいっ!! えー、さてさて。 あたしも長年の付き合いのある親友を、こうして訴えることは甚だ不本意の極みなんだお。 従って、被告が真摯な謝意を示すのであれば訴訟は取り下げてやんよ。 |
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・・・被告って私のことを言ってんの? | ||
いかにも! | ||
・・・被告呼ばわりまでされた上に、そんな上から目線の発言までされた私が謝る謂れはないわね。 | ||
なんだかよくワカラナイけど、オネーちゃんが悪いと思うよぉ。 早く勉強会を始めようよぉ。 |
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ソコっ!! 次、関係ないこと言ったら、マヂで退廷させっかんなっ!! |
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あんたが帰りなさいよ。 勉強会で集まっているって言うのに、こんな茶番をいつまで続けるつもりでいるわけ? |
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・・・じゃあ、あたしに謝れお。 | ||
ソレは嫌よ。 | ||
ですです! 明智先輩はナニも悪くないんですから謝られるのは、おかしいです! |
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そうだよ、そうだよぉ。 | ||
仕方ない・・・。 クロちゃん、アレ出して。 まぁ、あたしも親友を訴えるのには抵抗があるからね。 |
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藤さん・・・お広い。 あ、光ちゃん、コレは藤さんからです。 |
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ナニこれ? | ||
今回の光ちゃんの不法行為について、あたしからの和解条項。 | ||
っ!!! な、な、なによ、コレっ!! 向こう10年間の食事代を全部支払うこと、って、どんだけ不当な要求してくれてんのよ!! え? ナニナニ・・・その食事については、全て木下藤の申し出に応じるものとする・・・って、バカかっ!! |
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ウワっ!! 今の心無い罵倒で、あたしの繊細な心が、深くふかぁぁぁぁあく傷ついたぁぁぁぁぁあ。 こ、こ、コレは和解条項に付け足しがいるレベル・・・。 |
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この和解条項案、つかさちゃんと一緒に作ったの? | ||
いかにも! | ||
つかさちゃんも、サルのバカ話に付き合わなくっていいわよ。 | ||
藤さんが傷ついている姿を見ると、悲しくて、悲しくて・・・。 その心の痛みを代わって差し上げることが出来ないというのであれば、せめて、藤さんのお気持ちに寄り添うことは出来ないかと思いまして・・・。 |
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・・・。 (その前に、向こう10年間の食事代なんて要求を妥当と思われた根拠は何だと思ったんでしょうか・・・。) |
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とは言え、和解は互譲の精神が大事だかんね。 あたしも和解の申し出をしている以上は、ある程度は譲歩するつもりはあるから。 |
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藤さん・・・お広い・・・。 | ||
生憎と、当方には和解に応じるつもりはございません! 裁判で決着をつけてもらって結構です! |
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仕方ない。 クロちゃん、アレ出して。 |
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光ちゃん、コレ、藤さんからです。 | ||
ナニ、次は・・・。 ・・・ちょ・・・なんで判決文が用意されてるのよ!! 口頭弁論もナニもしてないじゃないのよ!! しかも、この判決内容・・・さっきのサルの和解条項案そのまんまになっているじゃない!! |
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なんとも公平な裁判だお!! | ||
ふ、ふ、ふ、ふ・・・不当判決過ぎて、ナニも言えないです! | ||
この判決文も、やっぱり、つかさちゃんが? | ||
藤さんが、私に御願いされることなんて滅多にないことですから。 嬉しくって、つい・・・。 |
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・・・つかさちゃんも、いい加減、目を覚まして欲しいわ。 一体、いつまでモヤシ教の教祖様を信じちゃっているのよ。 |
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ですです。 | ||
あっ!! サルの下らないゴッコに付き合っていたら、こんな時間っ!! もうっ!! 今日は、すっごく大事な論点の勉強会の予定だったのに!! もう帰らないといけない時刻になっているじゃないのよ!! どうしてくれるのよ!? |
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うわっ!! まさかまさかの逆ギレ!!! |
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・・・。 (至極真っ当な反応だと思うです。) |
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まぁ別に帰っても構わないお。 判決文はホレ! こうして出てんだから、あたしはちゃんと執行して貰うかんね!! |
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・・・言っておくけれど。 私、この判決に対しては控訴するつもりでいるからね。 |
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そうだ! 明智先輩っ! その際には、明智先輩が他人に心ない発言をされることがないという証言をする証人として柴田さんに来て貰えばいいと思うです! |
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え? ・・・うんうん、そうよね! 柴田さんなら、その証人役にピッタリだもんね。 うん、ソレじゃ私は、控訴したときには、証人として柴田さんに来て貰うわ。 |
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ホゲゲゲゲゲッ!! こ、このチビッ子がぁぁぁぁぁっ!! な、な、なんという飛び道具を持ち出してくれるんだお・・・。 |
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いつもチビッ子、チビッ子言うからです! (他の皆さんは今ひとつピンと来てみえないみたいですが、私は、藤先輩が柴田さんを大の苦手にしてるのを知っているです!) |
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え? え? なんかよくワカラナイけど、オネーちゃんがたじろいでいるよぉ。 ナカちゃん、凄いよぉ! |
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え・・・えっと・・・まぁ、あたしと光ちゃんは大の親友じゃないの。 ま・・・まぁ、ソレを、訴訟だの、和解だのって言葉で解決しようとするのは違うよね、そうだよね。 |
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ふ、藤さん、急にそんなトーンダウンされて、どうされたんですか!? | ||
い、いや・・・その・・・やっぱり友達って間柄に、裁判沙汰って言うのは、違うんじゃないのかな・・・って、そ、そう思っただけ・・・。 ホ、ホ、ホントにそんだけ・・・。 |
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ナニよ、急にしおらしくなって。 まぁ、いいわ。 私も、こんな茶番が終わるって言うのなら結構なことだからね。 ソレじゃ、今日の勉強会の開催を邪魔したことを、みんなに謝って貰おうかしら。 |
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そ、そうですよね。 今日は、私と藤さんとで、皆様の勉強会のお邪魔をしてしまい申し訳ございませんでした。 |
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以下同上。 | ||
ちょっ!! なんで、サルに付き合わされただけの、つかさちゃんが丁寧に謝ったって言うのに、当の騒ぎの本人のサルが一言で済ませてんのよ!! |
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いえ、私も藤さんと同罪・・・違いますね。 和解条項や判決文まで書いてしまったのですから、それ以上の責任を感じています。 本当に、すみませんでした。 |
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だおだお。 | ||
ナニが「だおだお」よっ! あんた、どこまで迷惑かければ気が済むのよ!! 少しは反省したら、どうなのよ! |
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・・・藤先輩は、ホントに謝ることが嫌いな人です。 | ||
チイも妹として恥ずかしいよぉ。 | ||
いけないっ! もう時間だったんだ。 ソレじゃ、私はお先に失礼するわね! 次回は、ちゃんと勉強会をするから、そのつもりでね、ソレじゃまたね。 (ダダダダっ) |
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明智先輩、お疲れ様でした・・・ホントに。 | ||
あぁ・・・今日の勉強会がぁ。 | ||
・・・。 (くしょぉぉぉぉぉっ!! ゴリラ(=柴田さんのサルの中のあだ名)を持ち出すとは卑怯千万! チビッ子めぇ。 マヂ許さんおっ!! ) |
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藤さん! 私の力足らずで申し訳ありませんでした! |
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ん? いやいや、クロちゃんはよくやってくれたお。 依頼人のあたしの心に寄り添ってくれたじゃないの。 きっとクロちゃんは、ええ弁護士さんになれるお。 |
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え? そ、そうですか? 藤さんにそう言って頂けると、すっごく嬉しいです! (私の志望は、検察官なんだけど・・・弁護士にしようかしら!) |
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要求が通らなかったのは残念この上ないけど、あたしの為に尽力してくれたクロちゃんには、御礼として今夜の夕ご飯に招待しちゃうお! | ||
よろしいんですか? | ||
うんうん。 ぶっちゃけご飯しかないから、炒飯(殆ど具なし!)で、よければ・・・だけどね! |
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是非是非っ! ソレじゃ、私、サラダでも作りますね! スーパーに寄ってから伺わせて頂きます。 あっ! そうだ。 竹中さんやチイちゃんにも、今日は御迷惑を御掛けしてしまったわけですから、御詫びに御食事に御誘いするっていうのは、いかがでしょうか? もっとも、チイちゃんは一緒の家にいるわけですから、竹中さんだけ御誘いってことになりますけど。 |
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むむっ!? あの不届きなチビッ子を!? |
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え? 竹中さんが不届き? |
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いやいやいや、コッチの話。 そだね、そだね。 『罪を憎んで人を憎まず』って言うしね。 どうせご飯すんなら、みんな一緒の方が楽しいしね。 よーし、チビッ子共、今日はウチで、炒飯パーティーだお!! |
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ワーイ! 炒飯、炒飯っ!! |
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御呼ばれは嬉しいですが、「チビッ子共」は、やめて欲しいです! | ||
ソレじゃ「1号、2号」! ウチでご飯にすんお! |
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・・・ぐぬぬぬぬぬ。 「1号」、「2号」が、ナニ1号、2号なのかを知っているだけに腹立たしいです! 藤先輩は謝ることは嫌いなのに、他人の嫌がることは大好きだから、ホントに困ってしまうです!! |
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チイも妹としてホント恥ずかしいよぉ。 | ||
『退かぬ、媚びぬ、省みぬっ!』 ソレが帝王たる者の心構えだお!! |
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・・・。 (帝王でもないのに、どうして、そんな心構えが要るのか知りたいです!) |