・・・・。 光ちゃん、光ちゃん・・・。 あたし達の予約したテーブル、ソコじゃないお。 だって、もう違う人が座っているじゃないの・・・。 |
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あら、柴田さん、もうみえてたのね。 相変わらず時間厳守なのは、流石、柴田さんって感じよね。 |
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やっぱり、予約の6人の、あと1人は柴田さんだったです。 | ||
え? え? 柴田おねーちゃんも来ているの!? ワーイ、ワーイッ!! |
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は!? じゃあ最初っから、あのゴリラ呼んでたわけ? |
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・・・あのゴリラって、どのゴリラか、説明して頂いてもいいかしら? | ||
ちょ、ちょっと、どんな空耳してるのよ! 言ってないよっ!! ホント言ってないから、絶対言わないでね!! |
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・・・相変わらず必死です。 |
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今日は、サルの好きな中華料理にしようと思ってね。 でも、中華なら大勢で食べた方が楽しいじゃない。 ソレで、サルにリベンジしたいって言ってた柴田さんにも声かけてみたのよね。 |
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マヂ勝手なことしてんじゃねぇお、とブン殴ってやりてぇくらいの心遣いだお。 | ||
え? 今なんて? | ||
ん〜ん。 なんも言ってないお。ホント、ホント。 |
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あ、御嬢様と皆様。 お待ちしてました。 今日は、皆様のご歓談の席に私までお招き下さり、誠に有難うございます。 ささ、コチラの御席にどうぞ。 |
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柴田さんも今日はオフなんですから、私達に気を遣わなくっていいですから。 | ||
は、はぁ・・・。 | ||
柴田おねーちゃん、こんばんはっ! 今日は、中華でチイと勝負だね!! |
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小様、こんばんはです。 戦わずして逃げることは恥ずべきことですが、小様との勝負は、業務への支障を来たすことが判明しましたので、私の不戦敗にして下さい。 申し訳ございません。 今日の私めは、小様のお姉様である藤様へのリベンジを期して参った次第です。 |
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柴田さん、固いです、固いです。 もっとフランクで、いいですから。 |
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そ、そうでしょうか・・・。 フランクに・・・と申されましても、あまりそのような態度で人と接したことがないものですから・・・。 |
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こ、こ、こんばんはでありますっ!! い、いつも、ご、御学友の明智様とは仲良くさせて頂いておりますっ!! 木下・・・ふ、藤という者でありますっ!! |
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・・・藤先輩は、柴田さん以上にガチガチです。 | ||
サルはサルで、なんでそんなに緊張してんのよ! | ||
今日の勝負を、楽しみにしておりました。 この日のためにと、コンディションも整えてきましたし、前回のような惨敗だけはしないつもりです。 |
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しょ、勝負って、ご飯を食べる勝負ですよね? | ||
あ、私が勝手に、そのように設定しておりましたが、もちろん、空手や柔道の勝負をお望みでしたらば、この後、場所を変えて、藤様との勝負に応じる所存です! | ||
い、いいです、いいです!!! ご飯の勝負で大丈夫です!! (ってか、有段者が寝言こいてんじゃねぇお!! この脳筋めっ!! お前の世界の常識は、世間の非常識だって認識がねぇのかお!) |
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今日は負けませんからね!! | ||
お、お手柔らかに御願いします・・・。 | ||
なんか、オネーちゃん、元気がないよぉ。 | ||
柴田さんの固さが伝染っているのかしらね。 サルも、なんかぎこちない感じだものね。 柴田さん、とりあえず敬称はつけなくっていいと思いますよ? サルに「様」なんて・・・聞いてても違和感しかないもの。 |
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藤さんが負けるはずがないですよ! 私は、断然藤さんを応援してますからね! |
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柴田さん、私は柴田さんを応援するから! サルなんか、ガツンと倒しちゃってっ! |
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御嬢様の御期待に沿えるよう粉骨砕身努力致します! | ||
・・・。 (コレ、今気付いたんだけど、あたしが負ければ、もうこのゴリラも勝負仕掛けてこなくなるんじゃね? ってことは、あたしは負けとくべきじゃね? まま、ぶっちゃけ、こんなゴリラが傍におったら、飯も喉通らないから、論理必然的に食べれないって話だけどさ。) |
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なんかワクワクするね!! オネーちゃん、すっごい食べるから、柴田さんにだって負けないよ、きっと。 |
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でも柴田さんだって、今日のために体調整えてきているからね。 私は、柴田さんが勝つって思っているわ。 それじゃ、ドンドン食べたい物、注文していきましょうか。 |
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ヤバス!! コレ、マヂで美味いっ!! なんで中華は、こんなにも美味しいのっ!? この美味しさの謎こそが中国4千年の秘密だよね!? |
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・・・うう・・・も、もう無理です・・・。 | ||
え? ちょ、ちょ・・・も、もう食べないの!? (あたし負けるつもりだったってのに、ナニ、このゴリラ!! 全然食べてないじゃないのっ!! なになに? ダイエットでもしてんの!? ) |
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く、悔しいです・・・。 そんな言われ方をされるなんて屈辱以外の何物でもないです! |
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いえ、ち、違います・・・。 そんなつもりで言ったわけじゃなくって・・・あの、その・・・。 |
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いえ、私の負けです・・・。 勝負を挑んでおいて、ここまで負けるなんて思っていなかった自らの甘さに憤りさえ覚えます・・・。 |
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あ・・・いや・・・あの・・・。 (ぎゃぁあぁぁぁあああぁああぁっ!! 負けるつもりだったのに、あたしのバカバカバカぁぁぁっ!! ってか、なんで、コイツはコイツで、全然喰わないんだよぉ! バカバカバカバカバカぁぁぁぁっ!!! ) |
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流石、オネーちゃんだよぉ! あんなに食べる柴田さんに勝つなんて! スゴい、スゴぉぉーーいっ!! |
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柴田さん、残念だったわね。 | ||
明智家の御名に傷をつけるような真似をして申し訳ございません! いかような処分にも甘んじる所存でおります!! |
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な、ないから、ないから!! そんなことは微塵もないですからっ!!! サルが食べる量は尋常じゃないんだから、負けたって全然仕方ないんだから!! |
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で、ですが、勝負を挑んで負けておいて、なんの処置もなし、というのでは、流石に私めも立つ瀬がないです・・・。 | ||
うーん、困ったわねぇ。 それじゃ、柴田さんは、腕利きのボディーガードなんだから、今度のお休みの日は、サルのボディーガードをしてあげるってことで、どうかしら? |
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・・・。 (な、ナニを言い出したですか!?) |
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流石は御嬢様。 私ごときでは、思いもつかない名案かと。 |
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・・・。 (なわきゃ、ねぇーだろが!! 一般人のあたしに、警護の必要性なんて微粒子レベルでさえ存在しないじゃまいかっ!! ってか、ゴリラに付き纏われるなんて、どんな罰ゲームだお、ソレはっ!! ) |
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それでは、藤様・・・改め、藤さん・・・。 私の都合を優先して心苦しい限りなのですが、今度の仕事の非番の日には、藤さんの身辺警護をさせて頂きたく思います。 宜しくお願い致します。 |
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いいです、いいです!! | ||
もう、サルったら、なにを遠慮してんのよ! | ||
いや、ホントにいいです、お構いなく。 (バカっ!! 遠慮じゃないってのっ!! 露骨に嫌がってんだお!! 空気読め、空気っ!!) |
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うわぁぁ。 オネーちゃん、スゴぉーーいっ!! 警護されちゃうなんて、なんか偉い人みたいだよぉ!! |
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そ、ソレっ!!! あ、あたしなんて、そんな要人ってわけじゃないですし、柴田さんに警護してもらうなんて、ホントに分不相応だって思っていますから、ホントにホントに結構です。 |
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いえ、そんなお気遣いなく。 コレは、勝負に負けた私のケジメですから。 ナニもせぬままに済ませるべきではない、という気持ちからの申し出ですから、是非お受け下さい。 |
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藤さんは、いつも遠慮深いですから、御断わりになるのも分かりますけれど、柴田さんのお気持ちも汲んで上げたら、いかがでしょうか? | ||
遠慮深いってとこには同意しかねるけれど、柴田さんも、このままじゃ引き下がれないでしょうし、気持ちよく警護してもらえばいいじゃないのよ。 | ||
いえ、ホントにホントに・・・・。 (たぁぁぁすけぇてぇくぅぅぅっれぇぇぇぇっ!!) |
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・・・。 (藤先輩は、ホントに柴田さんが苦手です・・・。) |