内閣の組織と権能B 国務大臣 内閣
えーっと・・・コレで買出しは全部ですよね?
あ、それじゃ私は、国務大臣内閣の論点は、基本、六法の内容だけなので、お汁粉作ることにしますから、皆さんは勉強会の続きをして、お待ち下さい。
  いやいやいやいやっ!!
そんなの申し訳なさ過ぎじゃないの!
あたしも一緒に手伝うから!
白々しい・・・。
サルは、勉強会の続きに参加したくないだけでしょ?
つかさちゃんが、そう言ってくれているんだから素直に厚意に甘えておきなさいよ。  
でも、みんなで一緒にやれば早いようにも思えます。
一緒に作って、その後、勉強会の続きってことでも、いいのではないでしょうか?
竹中さん、ありがとうね。
ただ、藤さん家の台所は広くないから、みんなでやるって言ってもスペースがないのよね。 
だから、ここは私に任せて、勉強会の続きをしてくれてた方が、私も助かるっていうのは、あるから大丈夫よ。 
そうですか。
それじゃ、黒田先輩にお任せさせて頂くです。
ありがとうです。
それじゃ、つかさちゃんが頑張ってくれている間に、私達も頑張っておきましょう!

内閣の組織と権能について、内閣総理大臣の地位と権限については前回抑えたから・・・。
あとは、その残り。
つまり、内閣の構成員である国務大臣と、この構成員らによる内閣についての話ね。

まぁ、つかさちゃんが指摘してくれたように、論点らしい論点があるわけじゃなくって、基本、暗記することばかりなのよね。

じゃあ、何度も見ている条文ではあるけれど、国務大臣を理解するにあたって、六法で憲法66条を見てくれる?
日本国憲法第66条

第66条 【内閣の組織・国会に対する連帯責任】
1項 内閣は、法律の定めるところにより、その首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する。

2項 内閣総理大臣その他の国務大臣は、文民でなければならない。

3項 内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。
ナカちゃん、ありがとうね。

国務大臣とは、内閣の構成員を指し、内閣総理大臣とその他の大臣の両者を含むということを、憲法66条は定めているわ。 
なるほど、なるほど・・・。
つまり、内閣総理大臣もまた国務大臣ってことね。
そうね。
内閣総理大臣は、内閣において首長としての地位にある、その点においては国務大臣とは異なる地位にはあるものの、国務大臣であることには違いはないわ。

あ、でも、ここで憲法68条を見てくれる? 
日本国憲法第68条

第68条 【国務大臣の任命及び罷免】
1項 内閣総理大臣は、国務大臣を任命する。但し、その過半数は、国会議員の中から選ばれなければならない。

2項 内閣総理大臣は、任意に国務大臣を罷免することができる。
憲法68条にいうように狭義で、内閣総理大臣以外の大臣の呼称として国務大臣が用いられることもあるからね。

まぁ、国務大臣についての話は、これくらいでいいかな。
  んみゅ?
もうオワリなの?
そうね。
国務大臣については、特に論点もないところだからね。

次は憲法66条1項にいう『法律の定めるところにより』内閣の『首長たる内閣総理大臣及びその他の国務大臣でこれを組織する』内閣についてね。

内閣について抑えるべき点は、次のつ。

1)内閣の権限
2)内閣の責任
3)総辞職


点ね。

あ、お茶も出さずに申し訳ありませんでした。
置いておきますので、どうぞ。
お汁粉作って貰っているんだから、そんな気を遣ってくれなくって、いいのに。
ありがとう、頂くわね。 
・・・あたしん家に、お茶なんてあったっけ?
私が、お餅を食べるならって思って、家に寄って持って来たお茶です。
  なるほど・・・。
いやぁ、クロちゃんってさぁ。
何気に女子力高いよね。
  そ、そんなことないですよ!
でも褒めて頂けて嬉しいです!
まぁ、女子力高いって言っても、あたしには、ちょっと劣るけどね。
あんたより女子力低かったら、それはもう「女性」というカテゴリーにさえ入らないと思うけどね。  
お邪魔して、すみませんでした。
それじゃ、私は戻りますので、続きをどうぞ。
はぁーい。

それじゃ、まずは1)内閣の権限についてね。

これはもう条文を読んで、理解、暗記するってことに尽きるわね。

縷々挙げていくから、後は各自でしっかり条文を読んで憶えておくってことで。

@憲法73条において列挙されたもの
A天皇の国事行為に対する助言と承認憲法7条
B衆議院の解散※ 議院内閣制のところで改めて述べます)
C裁判官の指名、任命憲法6条2項、79条1項、80条1項
D国会の臨時会召集の決定憲法53条
E参議院に緊急集会を求めること憲法54条2項但書き
F予備費の支出憲法87条
G決算の国会提出憲法90条1項
H国会および国民への財政状況の報告憲法91条

が、内閣の権限として挙げられるわね。
この点については、しっかり六法で確認しておいてね。 
  書き書き・・・。
・・・。
(とにかく一杯あるんだと言うことだけ理解した。)
次は、2)内閣の責任についてね。

憲法66条3項
内閣は、行政権の行使について、国会に対し連帯して責任を負ふ。 
と定めていたわよね。

この条文を、分解すると・・・

@内閣が連帯して
A国会に対し
B行政権の行使について責任を負う


ことを明記していることになるわよね。
その意味するところは、それぞれ

@内閣としての一体性
A民主的責任政治原則
B責任範囲が行政権全般に及ぶ


ということになるわけ。

ちなみに、ここにいう『責任』とは、法的責任ではなく、政治責任を意味すると解されているわ。
  あぁ〜。
このお茶、うまいっ!
ちゃんと聞いているの?

なんか一方的に話しているばっかりだと、あんたが露骨に聞き流しているみたいだから、ここで質問でも出すことにするわね。

質問

『閣議決定は全員一致によるが、それは憲法66条第3項を根拠にするものであり、多数決による意思決定は憲法上認められない。
 そのことは、内閣総理大臣が任意に国務大臣を罷免できるとする憲法68条第2項の規定からも明らかである。
 したがって、閣議決定は要式行為ではないが、大臣全員の署名が必要とされる。』
(平成17年 旧司法試験択一問題より)

はい、正解は○ですか? ×ですか? 
うへぇ・・・難しいなぁ・・・。
確か、前回の勉強会では、閣議決定は、内閣の一体性から原則として全員一致って言ってたよね?
・・・ただ、「原則として」ってことだから、必ずしも多数決による意思決定がダメってことではないとも考えられるよね・・・。
うーん、私としては、ソコじゃなくって、『大臣全員の署名が必要とされる』という一文が誤っているように思います。
六法を読んでいて、そんなことをいっている条文はなかったように思うのですが。 
うんうん。ドッチもちゃんと合ってるわよ。
つまり、正解は×ってことになるわけなんだけど。

その理由は、今、サルが言ってくれたところもあるわよね。
閣議決定が全員一致が原則というのは通説慣例によるものなんだけど、このことは、問題文にあるように、全員の一致が得られないときには、内閣総理大臣が、その賛成しない国務大臣を罷免する憲法68条2項などして打開を図ることもできるからよね。

ただ、そのことが多数決による意思決定が憲法上認められない、とする帰結を導くものではないわ。
一応、少数説ではあるものの、多数決による意思決定も、合議体である以上、内閣にも認められる、とする学説もあるし、少なくとも憲法には、多数決による意思決定が認められないとまでいえる根拠はないからね。

そして、明確に間違えであるといえるところは、ナカちゃんの指摘してくれたところよね。
「閣議決定が要式行為ではない」とする一文は間違ってはいないけれど、その後の「大臣全員の署名が必要とされる」という一文は誤りよね。
閣議決定に大臣全員の署名は必要ではないわ。

したがって、正解は×ってことになるわね。
いい検討できていたと思うわ。 
ふむふむ。
お茶がうまいっ!
クロちゃぁ〜ん、お茶のオカワリもらってもいい?
はいはい、ただいま。   
せっかく褒めてあげたのに聞いてやしない・・・。

択一の一番の良問は、過去問とも言われるわ。
苦手な論点があるなら、その論点の過去問を何度も解くことで、その論点の知識を自分のものにすることが出来るというわけね。

今の理解を前提として、もう1問、質問させてもらおうかしら。
今度は、さっきより、すんなり解けると思うわよ?

質問

『閣議の決定は、慣例上全員一致でなければならないとされているから、一部の大臣が閣議の決定に参加せず、あくまでもその決定に反対であった場合には、内閣は総辞職しなければならない。』
(平成18年 新司法試験択一問題より)

正解は○、それとも×? 
×です!
全員の一致が得られないときには、内閣総理大臣が、その賛成しない国務大臣を罷免する憲法68条2項などして打開を図ることもできるのですから、一部の大臣の賛成が得られないのであれば、その大臣を罷免する等の対応をすれば、内閣総辞職という選択も回避可能だと思うです!
正解っ!
うんうん、そういうことよね。
出題年度を見てもらえればワカルように、違う年でも似たような論点からの出題はあるから、苦手な論点は、まず過去問を潰すっていうのは大事なことよ。
今、初めて、迷わずに正解を選べた気がしました。
嬉しいです!
  アチチチっ!
ふぅ〜、ふぅ〜っ! 
・・・舌、火傷しちゃえばいいのに。

それじゃ、最後に3)総辞職についてね。

まぁ、ここも特に論点があるわけではないから。
六法で、憲法69条、70条を見てくれる? 
日本国憲法第69条

第69条 【内閣不信任決議の効果】
 内閣は、衆議院で不信任の決議案を可決し、又は信任の決議案を否決したときは、十日以内に衆議院が解散されない限り、総辞職をしなければならない。



日本国憲法第70条

第70条 【内閣総理大臣の欠缺(ケンケツ)・新国会の召集と内閣の総辞職】
 内閣総理大臣が欠けたとき、又は衆議院議員総選挙の後に初めて国会の召集があったときは、内閣は、総辞職をしなければならない。
まぁ、ここは条文のまんまかな。

あと、これらの条文の他に、内閣が自らの意思で行う総辞職もあるわね、
ただし、総辞職した内閣は、新たに内閣総理大臣が任命されるまで、引き続き、その職務を行うこととされているわ。

六法で、憲法71条を見てくれる?
日本国憲法第71条

第71条 【総辞職後の内閣
 前二条の場合には、内閣は、あらたに内閣総理大臣が任命されるまで引き続きその職務を行ふ。
まぁ、実際には総辞職後の内閣は、次の内閣の組閣が事実上終わるのを待って、新たな総理大臣の任命についての助言と承認をなし、総理大臣の任命とその他の国務大臣の任命・認証がほぼ同時に行われるよう配慮するのが例となっているみたいだけどね。 
政治的時間的空白が生じないようにする、ということですな。
助さん、格さん。
(ズズズズぅ〜)
  ・・・。
(あ、ちりめん問屋のご隠居です。) 
あ・・・勉強会終わったみたいですね!
コッチも、丁度準備できました。
少し場所がいるので、机の上の六法等は片付けてもらっていいですか? 
  黒田先輩、お疲れ様です!
準備手伝います!
  助さん、格さん、やっておしまいなさい。 
ソコのうっかり八兵衛も動きなさいよ!
ナニ、座ってお茶すすっているのよ!  


はぁーい、お汁粉です。
  うひょひょひょっ!!
お汁粉、キターーーっ!!

さらに、コチラは黄粉餅です。
ヤバス!! ヤバス!!
この季節ならではのスイーツ最高すぐるっ!

あと、甘いものばかり・・・という方もみえるかなって思いましたので、コチラは醤油を塗った焼き餅ですけど・・・。 
大事なことだから確認しときたいんだけど、コレ、お汁粉のオカワリはあるんだよね?
はい、藤さんのことですから、そう仰られると思って、用意しておきました。  
重ねて大事なことだから確認しときたいんだけど、コレ、黄粉餅のオカワリもあるんだよね?
えーっと、ソチラは、まだお餅がありますから焼きさえすれば御用意できるかと。  
  うひょひょひょひょ!!
お餅がいっぱい、いっぱぁーい!
あたし幸せだおぉぉぉ!
  黒田先輩!
このお汁粉、とっても美味しいです! 
つかさちゃん、ホントなんでも上手よねぇ。
私も1人暮らししたら、こうやって料理とかも得意になれるのかなぁ?  
光ちゃんが褒めて下さったのは嬉しいんですけれど、私、お菓子つくりは得意なんですけれど、料理は実はあんまり・・・なんですよね。 
またまた謙遜しちゃってぇ。
これだけ作れるなんてスゴいわよ。
私なんて、卵焼きくらいしか出来ないもの。  
女子力・・・たったの5か・・・ゴミめ・・・
  藤先輩、今日は誘って下さって、ありがとうです!
  ん?
あぁ、ナカたんにも、いつもお世話になってっからね。
大晦日の夜に、お餅が一杯届いたから、みんなを誘って食べようって話を2人でしたんですよね。  
  あ・・・ソレは言わんでも・・・
  誘ってくれたのは、お餅に食べ飽きたからじゃなかったんですか?
あ・・・言わない方が良かったのですか? 
えーっとまぁ、藤さん、照れ屋なところがあって、少し持って回った誘われ方をされてみえましたけど、お餅が届いた夜には、みんなを誘って食べたいって話してみえましたよ・・・。 
  まぁまぁ。
なんでも、みんなで食べたほーが美味しいしね!
エヘへへへへ。
・・・。
(この人は、余計なことや、他人の嫌がることや、言って欲しくないことは人の2倍も3倍も話すのに、そういうことは言わないなんて・・・。)
(・・・でも、そんな藤先輩が私は大好きです!)
 
黄粉餅まだ食べたいから、焼いて来て欲しいお!
モグモグ、ングング・・・。

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