最高裁昭和60年11月21日判決 〜在宅投票制度廃止事件〜 |
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・・・コレ、判例再現する程、複雑な事案じゃないから、ココで口頭で説明して事案ワカルと思うんだけど・・・。 ソレでいいよね? |
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えー。 せっかくページ移動したんだし、少しだけでいいからやらせてよぉ。 |
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やりたかったの? じゃあ、サルは歩行困難者の原告の方の役ね。 私はナレーター。 ナカちゃんが国って配役で。 |
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ナレーター |
1952年。 国は、公職選挙法改正に伴い、在宅投票制度を廃止しました。 これは、在宅投票制度を悪用する事案が後を絶たないため、その対応としての廃止でした。 |
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儂のような歩けない人間にとって、投票所まで行って、投票せいなんて、土台無理な話やないか! 在宅投票制度がなくなったら、どないして投票せい言うんや! |
歩行困難者の原告 |
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ナレーター |
在宅投票制度の廃止によって、原告の方は、1968年〜1972年のまでの都合8回の国政・自治体の選挙への投票ができませんでした。 | |
儂は、もう一生投票できんのかい! なんで国は、在宅投票制度を復活させへんのや! 儂みたいな人間は、他にもおるやないか! それでええと思っとるんか! |
歩行困難者の原告 |
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国 |
あうあう・・・ | |
選挙権は、憲法15条1項によって認められた国民固有の権利じゃ! それを行使できんままにしとる国の行為は許されんやろが! |
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あうあう・・・ | ||
投票でけへんかった儂の精神的苦痛に対する慰謝料を、国家賠償法に基づいて請求するわ! | ||
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お疲れさまぁ。 ここまでが事案の整理ね。 |
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ナカたんは、訴えられる側としては機能しないことワカッテると思うのに、なんで起用するのかなぁ・・・と。 | ||
サルが、判例再現したがってたから原告の方の役がいいかなぁ、って思って。 事案整理において、私はナレーターした方がいいし、消去法的にナカちゃんが国役になっちゃったのよね・・・ |
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あうあう。 ごめんなさいです。 |
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ううん。 ナカちゃんが気に病むことないわよ。 悪いのは、ガラの悪いサルなんだからね。 |
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あ、デジャヴ? ・・・違うな、このやり取りは前にも確実にあったよね。 |
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まぁ、そんなことはさて置き。 事案のポイントをまとめましょ。 本件事案では、国家賠償法1条1項に基づく請求をしているわね。 そして、サル(原告の歩行困難者の方)は、在宅投票制度を復活させないことを問題としているわよね。 これは、つまり在宅投票制度を復活させない国会議員の行為は、立法不作為(立法者が憲法が予定するところのものをしない)であると訴えているわけよね。 本件の争点は、次の2点よね。 国会議員が投票在宅制度を復活しなかったことは、立法不作為と評価されるか? そして、本件立法不作為は、国賠法上の違法と評価されるか? ってことよね。 |
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うーん、在宅投票制度が廃止されたままでは、この歩行困難な方は投票が現実に行えないんだから、それは立法によって解決しないといけないんじゃないのかな? | ||
私も藤先輩と同じです。 選挙権を行使できないままにするような立法不作為は違憲なので、賠償すべきです。 |
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ん? ちょっと争点が2人とも把握できてないみたいよ? 立法不作為であると評価されるだけでは、国賠法上の違法とは言えないのよ? 立法不作為かどうか、と、その立法不作為が国賠法上の違法と言えるかどうかは、別の話なのよ。 国家賠償法1条1項については、まだ勉強していないから仕方ないかなぁ。 ここでまず六法で確認しておきましょ。 |
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国家賠償法1条1項ね・・・ 【公務員の不法行為と賠償責任、求償権】 第1条 『1項 国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が、その職務を行うについて、故意又は過失によつて違法に他人に損害を加えたときは、国又は公共団体が、これを賠償する責に任ずる。』 ん? この条文読むと、立法不作為で、精神的苦痛与えたら、賠償するって話になるんじゃないの? |
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国家賠償法1条1項にいう違法性とは、どのようなものかは、行政法でまた勉強することになるんだけど、判例の考え方を予習がてら見ておくことにしようね。 最高裁は、次のように判旨しているわ。 (※ 段落ちは、管理人編集) (※ 赤太文字算数字は、管理人挿入) 『1.国家賠償法1条1項は、国又は公共団体の公権力の行使に当る公務員が個別の国民に対して負担する職務上の法的義務に違背して当該国民に損害を加えたときに、国又は公共団体がこれを賠償する責に任ずることを規定するものである。 したがって、国会議員の立法行為(立法不作為を含む。以下、同じ)が同項の適用上違法となるかどうかは、国会議員の立法過程における行動が個別の国民に対して負う職務上の法的義務に違背したかどうかの問題であって、当該立法の内容の違憲性の問題とは区別されるべきであり、仮に当該立法の内容が憲法の規定に違反する廉があるとしても、その故に国会議員の立法行為が直ちに違法の評価を受けるものではない。』 ってしてるわよね。 本判決の1審では、『国会の立法行為も国家賠償法1条1項の適用を受け』としているし、2審でも『国会議員が憲法上一定の立法をなすべき義務があるに拘らず当該立法をしないときは、当該立法不作為については、国会議員の『その職務の行うについて』(国会賠償法1条1項)に当たる』と判示して、立法内容の違憲性と、国賠法上の違法性とを一元的に捉えているのよね。 これに対して、最高裁は、両者を区別する「違法性二元論」をとっているところが大きな違いなの(国家賠償法上の違法性については、「職務行為基準説」を採っているとされる)。 〜中略〜『2.国会議員は、立法に関しては、原則として、国民全体に対する関係で政治的責任を負うにとどまり、個別の国民の権利に対応した関係で法的義務を負うものではないというべきであって、国会議員の立法行為は、立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえて当該立法を行うというごとき、容易に想定し難いような例外的な場合でない限り、国家賠償法1条1項の規定の適用上、違法の評価を受けないものといわなければならない。』 最高裁の立場に立つと、「違法性」の認定が極めて限定されてしまっているのよね。しかも、違法の評価を受ける場合として挙げられているのが、『立法の内容が憲法の一義的な文言に違反しているにもかかわらず国会があえてこれを行うというような容易に想定し難いような例外的な場合』だからね。 |
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んみゅ? じゃあ、あたしがやった歩行困難な方の請求は認められなかったってこと? |
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本判決は全員一致で上告棄却だからね。 本判決に対しては、『国家賠償請求訴訟において法令の合憲性を争う手法を、実務上ほとんど閉ざしたものであり、実際にも多くの裁判例が、本判決に従って実体的な憲法判断を拒否している』という評価もなされているわね(『判例プラクティス憲法』信山社 410頁) 私としては、在宅投票制度について、全廃するのではなく、L.R.Aの基準(立法目的を達成するため規制の程度のより少ない手段が存在するかどうかを具体的、実質的に審査し、それをありうると解される場合には当該規制立法を違憲とする判断基準)の適用が求められたのではないかなぁ、とも思うところなんだけどね。 あ、L.R.Aの基準については、また憲法の別の分野で、しっかり勉強するつもりだから、今は、あくまでも私の独り言って感じで聞き流してくれていいからね。 |
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藤先輩、ごめんなさいです・・・ | ||
国の役をやったからっていって、ナカたんが謝るところじゃないよ。 | ||
でも、これでは立法不作為が認められて国賠請求ができる場合なんてあるのかな・・・って思っちゃいます。 | ||
そんなナカちゃんには、次の判例を是非見て欲しいわ。 本判決において、極限まで限定された立法行為が国家賠償法上違法と評価される場合を拡張した判例なのよね! |
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早く見たいです! | ||
・・・見たくねぇ(ボソッ | ||
聞こえたわよ? 心入れ替えて勉強するんじゃなかったの? そんな態度でいいの? |
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違うよ、光ちゃん。 こんな悲しい結末になるような判例は見たくないって意味で言った言葉だよ。 判例検討自体はすっごい前向きに取り組みたいって思っているよ! |
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うまいこと言って! ホントかしら? |
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もちのロンのド高目トップ捲くりの三倍満だよ! | ||
その変な返し、意味不明だからやめてくれる? | ||
オッケェっ! ラス半コール入りましたぁ! |
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あ、ちなみに「ラス半コール」は、フリー雀荘で遊ぶ際に、最後のゲームになるときは、次でやめて帰ることを御店の人に、予め告げることだね。 これやらないと、いきなり半荘終了後に席を立つことになって、一緒に遊んでみえる他の3名ないし2名の方が、卓が1人足りない状況になって御迷惑になっちゃうからね。 豆だけど、大事なことだよね! |
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黙っててよっ!! |