正当防衛C 個別的問題 | ||
正当防衛の成立要件を、一通り確認したわね。 というわけで、次は正当防衛の個別的問題を見ていくことにするわね。 まずは、御約束の条文の確認いっときましょうか。 六法で刑法36条を見てくれる? |
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刑法第36条。 『(正当防衛)第36条 1項 急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。 2項 防衛の程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。』 |
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はい。それじゃ、正当防衛の個別的問題を見ていくわね。 まずは、喧嘩(ケンカ)と正当防衛の関係についてね。 よく言うわよね。「喧嘩両成敗」って言葉。 ケンカなんて、ドッチもする方が悪いんだから、アイツが一発多く殴ったとか、先にケンカを売ってきたのはアイツだから・・・とか、ドッチもドッチって話よね。 大審院時代の判例は、この「喧嘩両成敗」の思想から、喧嘩闘争の場合には正当防衛の成立を否定していたわけ。 ただし、今の判例(および通説)は、喧嘩闘争であっても、その行為を全体的に観察すれば、正当防衛が成立する場合があるとして、正当防衛の成立を認めているわ。 (最大判昭和23年7月7日、最判昭和32年1月22日等) |
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うーん、喧嘩でも正当防衛ってこと? でも、自分から喧嘩売っておいて、後から、それは正当防衛だったなんて言い分が認められるのかなぁ? |
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・・・藤先輩らしからぬ発言です・・・。 藤先輩に、そんな真っ当な言葉は似合わないです。 |
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た、た、竹中さんっ! 藤さんを、いつも、どんな目で見ているんですか!? |
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いい質問投げかけてくれるじゃない。 今、サルが言ったことは、正当防衛の個別的問題としてあるわ。 いわゆる、挑発防衛・自招防衛(自招侵害)という問題ね。 防衛者が挑発などによって自ら不正侵害を招いて、正当防衛状況を作り出した場合を、挑発防衛あるいは自招防衛(自招侵害)というのね。 学説では、意図的な挑発の場合には正当防衛が否定され、故意的および過失的な挑発の場合には、状況により正当防衛が認められる考え方が有力なんだけれど、その理論構成については争いがあるところね。 |
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ストップっ! ストップっ!! 学説の争いについて話す前に、質問させてよっ!! 今、光ちゃんの言った「意図的な挑発」っていうのはワカルんだけど、「故意的および過失的な挑発」っていうのは、よくワカラナイんだけど。 |
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あんたが、いつもしていることを考えたらワカルんじゃないの? 意図的な挑発と区別される故意的な挑発というのは、未必的な故意をいうわけよ。 ワカリやすく言うと「こんなことしたら、こうなるかな?」くらいの気持ちでの挑発ってことよね。 あんた、いつも相手が怒るまで嫌がらせしているけれど、アレは、どちからかと言うと、故意的な挑発、ということになるんじゃないかしら。 |
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あたしがしてることって・・・。 一言余計だお。 |
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それじゃ、行為者自らが不正の侵害を招致した場合における正当防衛の成否についての学説を、まとめるわね。 社会的相当性説は、形式的に正当防衛の要件を満たしていても、防衛行為が社会的相当性を欠く場合には実質的に違法性が認められるので、正当防衛は成立しない、と考えるわ。 権利濫用説は、挑発防衛は、法秩序維持という正当防衛の趣旨に反するので、権利の濫用として違法性が阻却されない、と考えるわ。 「原因において違法な行為」の理論は、防衛行為の違法性は阻却されるが、原因となった自招行為に加害の意思があれば、その自招行為を違法行為として処罰しうる、と考えるの。 |
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・・・うーん。まぁ、学説は一杯ある・・・っと。 | ||
ふ、ふ、藤さん。 ソレはいつものお得意のザックリまとめにさえなっていないかと。 |
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藤先輩の日頃の行為を見ていると、この自招侵害と正当防衛を扱った判例もありそうなんですが、判例はないんですか? | ||
あたしが普段しとること・・・って。 さっきから、ちょいちょいディスられてんなぁ、あたし。 |
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判例は、自招侵害の場合に、正当防衛を肯定したものもあれば、否定したものもあるわ。 自招侵害だから、一切正当防衛の成立は認めない、なんてことになったら、普段から憎たらしいことばっかりしているサルなんて、それこそ生きていけなくなっちゃうもんね。 そういう意味では、自招侵害であっても、正当防衛の成立が認められるというのは、サルにとっても、ありがたいことじゃない? それじゃ、実際の判例の射程を考えることで、どのような場合に、自招侵害の場合でも正当防衛が成立するのかを考えてみることにしましょうか。 検討判例は、最決平成20年5月20日がいいかしら。 |
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正直、クロちゃんは怒らせるとヤバいってワカッタお。 そういう意味ではいい判例検討だったお。 |
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いつも、どんな目で、判例検討をしているですか! | ||
ふ、藤さんの御言葉ですけれど、私が藤さんに怒るなんてことは、天変地異レベルで、有り得ない話ですよ! | ||
むしろ、それこそ問題だと思うんだけどなぁ。 つかさちゃんも、サルに怒るときは怒るべきだと私は思うんだけど。 えーっと、第三者と正当防衛の成否という個別的問題もあるわね。 この正当防衛と第三者の法益が関係する場合には、大きく3つの場合があるんだけれど・・・。 例えで1つ挙げると、反撃行為の結果が、侵害者以外の第三者に生じた場合がそうよね。 イメージしやすいように言うと、例えば、日本刀で斬りつけてきたサルに対して、私が猟銃を撃ったところ、近くにいたナカちゃんに当たって怪我をさせてしまったような場合がそうね。 争いのあるところだし、実際、事例問題でもよく問われるのよね。 ただ、この場合、正当防衛が成立するか、誤想防衛が成立するか、はたまた緊急避難が成立するか、という問題になるんだけれど、誤想防衛や、緊急避難を勉強していないから、この問題は、また後の勉強会で改めて、ということにしようと思うわ。 いいわよね? |
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うんうん・・・。 (なんか色々まだ勉強しないといけないことあるんだなぁ。) |
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あ・・・今日やりたかった? | ||
いやいやいやいやいやっ!!! ないから!! それは微塵もないからっ!! |
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ナニも、そんなに過剰に否定しなくってもいいじゃない。 | ||
いや、違うんだよ、光ちゃん・・・。 なんかね。 近々、チイ(=小・サルの妹)がコッチに来るみたいなんだお。 で、ホラ、ウチあんまり裕福じゃないっていうか、ぶっちゃけ貧乏だからさ。あたしの下宿に、チイも来るみたいなんだお。 |
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ソレと今の拒絶は、どんな関係があるのよ。 | ||
えーっと、まぁ、掃除とか? 部屋の荷物整理とか? (まぁ、ぶっちゃけ管理人がチイのアイコンを作る時間がいるだけなんだけど。) |
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・・・。 (と、と、とんでもないメタです。 アイコン製作時間のために勉強会を回避なんて、本末転倒甚だしいこと、この上ないです! ナニが掃除ですか、ナニが部屋の整理ですか! 私のアイコンは完全放置なのに、新しいアイコンを作る時間があるのなら、私のアイコンこそ作って欲しいですっ! ) |
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※ アイコン製作時間はさておき。 第三者と正当防衛の成否は、誤想防衛、緊急避難の論点との関係もありますので、ソチラでの勉強会にまわすことにします。ですので、正当防衛についての勉強会は今回までになります。 |
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