刑法 検討事例問題(回答編) | ||
刑法の事例検討会・・・。 コレが一先ずの最終回になるのか、それとももう少し続くのか・・・ という分水嶺になりそうね。 でも、いずれにせよ最後まで悔いなく勉強することにしましょうか。 |
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うんうん。 |
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起案してきたです! 見て欲しいです! |
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そうね。 ソレじゃ、早速見せてもらおうかしら。 |
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起案(あくまでも、チイとナカちゃんの起案になります) | ||
第1.甲の罪責(A女に対する行為について) 1.(1)甲は運転する車の下にA女がいる状態で、時速約30kmという速度をもって約300m路上を引きずっている。 かかる行為に殺人罪(199条)の成否が問題となるところ、相当程度の重量を身体に加えながら、人体の中枢部である頭部を含めた身体全体をアスファルトにこすりつける行為は、殺人罪の保護法益たる生命侵害の現実的危険性を有するといえ、実行行為にあたる。 そして、A女の死亡という結果発生は、上記行為の危険が結果に現実化したといえるため因果関係も認められる。 従って、殺人罪の客観的構成要件を充足する。 (2)そして、甲はA女の呻き声を覚知し、さらにはA女の夫からの再三の停車の訴えにより、車体の下のA女の存在を認識しながら、このまま運転する車を進行すれば、A女が死に至るという認識をもって行為に及んでいることから、未必の故意があるといえ、殺意が認められる。 (3)よって、甲にはA女に対する殺人罪が成立する。 第2.甲の罪責(乳児Bに対する行為について) 1.(1)Bに対しても、殺人罪の成否が問題となるところ、A女同様、客観的構成要件は充足する。 (2)ア.しかし、甲は行為時にA女に背負われたBの存在を認識しておらず、A女に対しては殺人の故意を認めることは出来ても、認識していない客体であるBに対する殺人の故意がないとも考えられる。 イ.この点、故意責任の本質は規範に直面しつつ敢えて犯罪行為に出るという反規範的行動に対する非難にある。そして、規範の問題は、構成要件ごとに与えられているところ、同一構成要件内であれば具体的事実に錯誤があっても、同じ規範に直面したといえるから、故意は阻却されない(法定的符合説)。 ウ.甲は、A女に対する未必の故意をもって行為に及び、A女だけでなくBも死亡させているのであり、Bの存在については錯誤があるものの、殺人罪という同一構成要件内の錯誤であり、同じ規範に直面したといえることから、故意は阻却されない。 (3)しかし、そうなると甲は、A女、Bの2つの客体についての故意が認められて、複数の故意犯が成立することになるかが次に問題となる。 この点、1人を殺す意思であれば、常に1個の故意犯が成立するにすぎないとも考えられる(一故意説)。 しかし、法定的符合説からは、構成要件の範囲内で故意が抽象化されている以上、故意の個数を問題とすべきではないと考える。また、このように考えて、1個の故意に対して、複数の故意犯の成立を認めても、観念的競合として科刑上一罪で処理されることとなるため責任主義に反するものではないといえる。 従って、故意の個数は問題とすべきではない(数故意説)。 (4)よって、甲のBに対する行為には、殺人罪が成立する。 第3.罪数 甲には、A女に対する殺人罪(199条)とBに対する殺人罪が成立する。これらは、甲の1つの行為によるものであることから観念的競合(54条1項前段)となる。 以上。 |
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成程ね。 特に問題はないと思うわ。 いい検討をしていると思うわ。 |
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わーい、わーい!! | ||
そうね。 前回の検討会で、一つ言い忘れたことがあったから、ここで言わせてもらうわね。 罪数処理についてなんだけれど、罪数処理については先例の有無を特に気をつけるべきね。 理屈だとコッチになりそうなんだけど・・・ って思うことは、ままあるところなんだけれど、先例がある以上、ある程度割り切って、そう理解するしかないって部分もあるわ。 ソレじゃ全部暗記しとけばいいのか? って話になると、先例のないケースもあるわけなんだから、どのように考えるのかってことも理解しておく必要はあるわけよね。 もう少し罪数処理のある事例検討もしたかったんだけど、肝心の罪数処理についての勉強会を、まだしていないのよ・・・ねぇ・・・。 |
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・・・っていうか、刑法総論の勉強会自体、最近してないんだから、そりゃそうだろう。 常識的に考えて。 |
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ま、まぁ、そうよね。 | ||
まあまあ。 一応、幾つかの勉強会は最終回まで迎えたものもあるわけですから。 |
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クロちゃん、甘いお! もっと自分に厳しくならないと駄目だお!! |
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あんた、どの口でソレ言うのよ! | ||
でも私は、チイちゃんと一緒に起案したせいか、刑法の勉強に少し自信をもてるようになったです! チイちゃん、ありがとうです! |
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チイもナカちゃんと一緒だったから、楽しかったよぉ。 ナカちゃん、ありがとうだよぉ! |
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ふむ・・・。 あたしもソレじゃ、一言いわないといけないかな? クロちゃん! |
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は、はいっ!! | ||
クロちゃんと一緒だったから、ポケモン探しも楽しかったお。 クロちゃん、ありがとうだお! |
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藤さんっ!! 私こそです! 楽しい夏休みを過ごせました。 いつも学校の自習室と、部屋にいるばかりの毎日でしたから、私もすごく楽しかったです。 ・・・ちょっと暑かったな、とは思いましたけどね。 |
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大丈夫だお。 もう涼しくなるし、これからのポケモン探しは楽になるかんね!! |
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・・・い、いえ・・・。 藤さんと違って、私は勉強しないと厳しいですし、後期の講義も始まったことですし、ちょっとこれからのポケモン探しは申し訳ないのですが御遠慮させて頂きたいかな、と・・・。 |
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マ、マ、マヂっすかっ!? | ||
すみません。 藤さん! |
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クロちゃんのスマホが借りられないと、あたしの『ポケモンGO』ライフがぁぁぁぁ。 | ||
・・・藤先輩、藤先輩。 | ||
どったお、チビッ子? | ||
マヂざまぁぁぁぁ、です!! | ||
ほげげげげげげげげげっ!! | ||
ナカちゃん、かっこいーっ!! |