行政的執行@ | |||||||||||
前回の勉強会では行政上の義務が履行されないとき、どのような形で、その義務を履行させるのか、という問題について、その手段として @行政的執行 A司法的執行 の2つの方法があることを学んだわよね。 そして、このうちA司法的執行について学んだわ。 今日からの勉強会では、回を割いて@行政的執行について学ぶことにするわね。 |
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行政上の義務履行確保手段について学ぶ前提として、前回、つかさちゃんが口にしてくれた代替的、非代替的という義務の分類から説明することにするわ。 | |||||||||||
あ、ソレは前回、私が質問した話ですね? | |||||||||||
そうね。 即時強制とは異なり、行政上の義務履行確保手段が問題になる場面では、「義務」が課されているところが相違点となるわ。 この「義務」賦課行為に着目して、その義務の分類が先ず問題となるのよね。 |
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義務に分類があるんですか? | |||||||||||
この義務の見極めは重要な論点よ? 先ず、下の一覧表を確認してくれるかしら。 義務の分類は、次のような表に整理することができるわ。 |
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ソレじゃ、先ずは代替的・非代替的という言葉から説明するわね。 「代替」・・・つまり、他人が替わることの出来る義務なのか否か、という観点から、代替的、非代替的という分類がなされるわ。 そして、それぞれの義務について、作為義務なのか、不作為義務なのか、という分類があることになるわ。 |
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非代替的義務を例に、それぞれの具体例を説明しますと、非代替的作為義務としては、例えば、感染症の予防接種を受ける義務等が挙げられますよね。 ここにいう作為とは、求められた行為をすることですが、感染症等の予防接種を受ける義務が藤さんにある場合に、私が替わりに受けたとしても義務履行がなされたとは言えませんよね。 同様に、非代替的不作為義務としては、例えば、食中毒を出したお店の営業停止義務等が挙げられます。 このような場合、食中毒を出してもいないお店を営業停止しても仕方がないわけですから、非代替的な義務ということがワカリますよね。 |
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成程、成程。 確かに、予防接種を受ける義務も、食中毒を出したお店の営業停止義務も、他人が替わることは出来ない義務だよね。 |
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そうね。 この見極めは、行政代執行法の適用の可否という問題において重要な視点になるから大事にしてね。 |
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あ、光ちゃん! 行政上の義務履行確保手段に、法律の根拠が必要とされるか、という論点もありますよね。 義務を課す根拠規定があれば、他に明文規定がなくとも行政的執行が可能なのか、それとも、義務を課す法とは別に、義務履行確保に関しても法律の根拠が必要とされるのか、という問題なのですが、この点については、それぞれ独立した行為と捉えられることから、それぞれ別に必要という理解が一般的とされていますよね。 |
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・・・。 (こ、このメガネ。いきなりカットインで、論点ブッパしてきよったお。) |
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そうね。 ソレじゃ、ここからは具体的な行政上の強制執行制度を見ていくことにしましょうか。 先ずは、行政代執行ね。 行政代執行とは、私人の側の代替的作為義務が履行されないときに、行政庁が、自ら義務者のなすべき行為をし、又は第三者をしてこれをなさしめ、これに要した費用を義務者から徴収する制度をいうわ。 この行政代執行が、どのような要件の下に認められるのか、については条文から導かれることとなるわ。 条文を確認しましょうか。 行政代執行法1条を見てくれる? |
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行政代執行法 『第1条 【適用】 行政上の義務の履行確保に関しては、別に法律で定めるものを除いては、この法律の定めるところによる。』 |
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行政法代執行1条にある『別に法律で定めるもの』というのは、国税徴収法等の個別法をいうわ。 | |||||||||||
この『別に法律で定めるもの』の中に条例が含まれるのか? という論点もありますね。 |
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ふむふむ。 含まれる・・・って考えると、条例で色々な義務履行確保手段を設けることが出来るってことになるよね。 でも、含まれない・・・ってなると、そういう手段を設けることは不可能ってことだよねぇ。 |
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そうですね。 この点、行政代執行法第2条で『法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む』として、わざわざ『条例』に言及していることから、含まれない、と解することも出来ますよね。 ただ、そうなると、条例では、あらゆる義務履行確保手段を設けられないのか? という問題が生じるわけです。 |
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え? でも最近は、義務履行確保の新たな手法として給付拒否とか、公表といった手段がとられているよね? |
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流石、チイちゃん。よく御存知ですね。 給付拒否や、公表については、また光ちゃんが勉強会で後に説明してくれると思いますが、確かに、近時新たな行政上の義務履行確保手段として、給付拒否や公表といった手段が条例によって定められていますね。 つまり、結論としては、条例による新たな義務履行確保手段を定めることは可能、ということになります。 この理由としては、地方自治や、行政代執行法が新たな手法である給付拒否や公表等を想定していないこと等が挙げられますね。 |
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細かい論点を補足説明してくれて、ありがとうね。 今、出て来た公表や給付拒否については、また後の勉強会で改めて時間を設けて説明しようと思っているわ。 ソレじゃ、次は行政代執行法2条を見てくれる? |
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行政代執行法 『第2条 【代執行】 法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)について義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難であり、且つその不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるときは、当該行政庁は、自ら義務者のなすべき行為をなし、又は第三者をしてこれをなさしめ、その費用を義務者から徴収することができる。』 |
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行政代執行法2条からは、行政代執行の要件が導かれるわ。 その要件は、次の4つね。 @『法律(法律の委任に基く命令、規則及び条例を含む。以下同じ。)により直接に命ぜられ、又は法律に基き行政庁により命ぜられた行為』であること A『(他人が代つてなすことのできる行為に限る。)』 (=代替的作為義務であること) B『義務者がこれを履行しない場合、他の手段によつてその履行を確保することが困難』な場合であること C『その不履行を放置することが著しく公益に反すると認められるとき』 という4要件ね。 |
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こくこく(相槌) |
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この行政代執行の手続きは、 義務賦課 ↓ 不履行 ↓ 戒告(文書)・(行政代執行法3条1項) ↓ 代執行令書による通知(行政代執行法3条2項) ↓ 代執行 ↓ 費用納付命令(行政代執行法5条) ↓ 強制徴収(行政代執行法6条) という流れでなされるわ。 このあたりの手続きとの関係では、取消訴訟の対象となるのか、国家賠償法による救済の可否といった問題もあるんだけれど、ソレはまた、それらの勉強会の際に考えることにしましょ。 |
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ほうほう。 なんか聞いてばっかで今日の勉強会終わろうとしてんね。 |
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そうね、ソレじゃ今日の勉強会の理解を確認する意味で、次のような場合において、行政上の代執行を行うことが可能か、否か、を、それぞれ考えてみることにしましょうか。 | |||||||||||
こマ?(=「これマジ?」の略) いやいやいや、そんな気遣いいらないから!! マヂで、マヂでっ!! |
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私はやってみたいです! 是非御願いしたいです! |
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じゃあ、やりたい人だけでやればええやないの!! | |||||||||||
オネーちゃんもやってもらったほーがいいよぉ。 ソレに楽しいことは、みんなでやったほーがいいしね。 |
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あっ! モヤシのタイムセールの時間だおっ!! あたしは食欲旺盛な妹の為にも、一刻も早くスーパーに行かねばならないのであった、まる ばいばいきーん!!! |
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あ・・・逃げたよぉ!! | |||||||||||
誰の為の勉強だと思っているのかしら・・・あのサルは。 | |||||||||||
ま・・・まぁ、藤さんにとっては今更な御質問になるからでしょうね。 せっかくですし、残った私達で検討会をするってことにしては、いかがでしょうか? |
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ですです! 私は是非、行政代執行法の適用の可否が理解できたのか確認したいです! やって欲しいです! |
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そうね。 ソレじゃ、サルはいないけれど、私達で検討会をしちゃいましょうか。 |
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ワーイ、ワーイ! | |||||||||||
(※ 次回更新は補講という位置付けでのプチ検討会を致します) |