瑕疵の治癒・転換 | ||
前回から、行政行為の無効、行政行為の消滅について学ぶことにしたわよね。 ちゃんと憶えている? 行政行為の無効、取消、撤回の違いについて。 |
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まぁね。 |
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・・・。 (ジトォォォ〜) |
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コラ! コッチ見ないのっ!! |
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あんたが生返事しているからじゃないのよ! 今日は、原則を抑える前ではあるんだけれど、例外の議論から先に勉強しようと思っているのね。 今日のテーマは、瑕疵の治癒と違法行為の転換って論点なの。 前回学んだ行政行為の瑕疵の種類にあったような法的におかしい行為(=瑕疵)があるのであれば、取り消されることが法治主義から言えば筋ってことになるわよね。 でも、例外的に、その瑕疵が治癒される場合や、転換される場合があるの。 今日学ぶのは、この例外の話なの。 |
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なんか言っていること、おかしくない? 行政行為に瑕疵があるって言っていながら、なんで、その瑕疵のある行政行為の効力を維持しようとしてんの? 取り消しちゃえばいいんじゃない? だって、それが筋だって、光ちゃんも言ってんじゃないの。 |
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だから、例外の話って言っているじゃないのよ。 瑕疵のある行政行為の効力が維持される場合とは、どのような場合か、また、どのような手法の下に維持が図られるのかを、判例を見ながら理解しようってことなの。 まぁ、実際に判例を見て検討した方が早そうかしら。 百選Tの89事件、更正処分理由付記不備事件を見てみましょ。 (最判昭和47年12月5日) |
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ふむふむ。 瑕疵の治癒は、安易には認められないものだってことは、よくワカッタお。 いやぁ、厳しいねぇ。 |
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法律による行政の原理という一般原則がある以上、瑕疵の治癒は、あくまでも例外だからね。 適法ではない行政行為の効力を維持することを認める瑕疵の治癒については、そうそう認めることはできない、ってことよね。 それじゃ、瑕疵の治癒については見たので、次は、瑕疵の転換(=違法行為の転換)という論点について判例を見ることにするわね。 |
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あ、ちょい待って、待って。 さっきは、判例検討の中で、瑕疵の治癒についての説明があったんだけど、どうせなら、判例検討する前に、聞いておきたかったんだよね。 だからさ。 瑕疵の転換というのは、どういうものか、先に聞かせてよ。 |
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成程ね。 まぁ、私としては実際に判例から、どのようなものかを理解してもらおうかと思っていたんだけど、そう言えば、さっきの判例検討では、結局、判決文見る前に、説明しちゃっていたものね。 うん、それじゃ、先に説明するわね。 瑕疵の転換(=違法行為の転換)というのは、ある行政行為が法令の要件を充足していないにもかかわらず、別の法律行為としてみた場合には、これを充足しているというような場合に、その別の行政行為として、その効力を維持しようとすることをいうの。 |
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ふむふむ。 それじゃ、その調子で検討判例の事案も、簡潔に説明してくれない? |
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検討判例は、百選T90事件の広島農地買収処分取消請求事件(最判昭和29年7月19日)なのね。 事案は、昭和22年と随分と古い話なんだけど。 赤坂村農地委員会が、原告の所有する農地を、自作農創設特別措置法3条1項1号に基づいて、買収する計画を樹立したのね。 原告は、この買収計画に対して、村農地委員会に異議を申立てるも否決され、その後、県農地委員会に訴願するも排斥という経緯を辿るわけね。 ところが・・・。 村農地委員会は、自創法付則2項、同法施行令43条に基づいて買収計画を立てていたんだけど、県農地委員会は、その法条ではなくって、同法施行令45条を適用しての買収は相当であるという理由で、原告の訴願を排斥していたわけ。 これを知った原告は、施行令43条と45条とでは、その要件および手続きが違っていて、原告は43条による違法を主張したのに、45条によれば適法であるなんて裁決では、審理手続きに違法があるって理由で、訴願裁決の取消を求めて、訴訟を提起した・・・って事案なの。 |
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成程ねぇ。 いや、簡潔にまとめられていて事案の内容が、よくワカッタかな。 |
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・・・。 (藤先輩らしからぬ発言です!) |
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この事案の争点は、ある行政処分の根拠条文を変更した・・・この変更が許されるのか? ってことですよね。 今日の勉強会のテーマの1つである瑕疵の転換が認められるのか、ということ理解でもいいと思います。 |
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そういうことになるわね。 じゃあ、早速、最高裁の判決文を見てみましょうか。 『改正前の自作農創設特別措置法附則2項によれば、3条1項の規定による農地の買収については、市町村農地委員会は相当と認めるときは、「命令」の定めるところにより、昭和20年11月23日現在における事実に基づいて6条の規定による農地買収計画を定めることができるものである。 そして、右「命令」である同法施行令43条は、右期日現在における小作農が農地買収計画を定めるべきことを請求したときは、市町村農地委員会は、当該小作地につき附則2項の規定により同日現在の事実に基づいて買収計画を定めなければならないと規定し、また、同令45条1項は、同条所定の農地については、市町村農地委員会は、同法附則2項の規定により同日現在の事実に基づいて農地買収計画を定めることの可否につき審議しなければならないと規定しているだけであるから、同令43条による場合と同令45条による場合とによって、市町村農地委員会が買収計画を相当と認める理由を異にするものとは認められない。 従って原判決が同令43条により定めたと認定した赤坂村農地委員会の本件買収計画を被上告委員会が同令45条を適用して相当と認め上告人の訴願を容れない旨の裁決をしたことは違法であるとはいえない。』 としているわね。 |
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うーんと・・・つまり、43条も45条も内容的には、ほとんど同じなんだから、どっち使ってもいいでしょ、ってことで、適用条文の変更を認めているってこと? | ||
ちょっと言い方が乱暴な気はするけれど、まぁ、そういうことね。 ただ、違法行為の転換も、瑕疵の治癒同様、非常に例外的な取り扱いといえるものであって、原則としては認めるべきではない、という理解が大前提になることは忘れないでね。 そして、認めるのか、認めないのか、という肯否に際しては、違法行為の転換を認めることによって得られる行政効率という行政側の利益と、争われている行政行為によって不利益を被る相手方(私人)との比較考量によって、その肯否を判断することが大事になってくるわね。 |
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ふむふむ・・・。 ってことは、本件では、内容的に殆ど変わらない条文なんだから、どっちの条文を適用しても相手方にとっては同じことだよってことで、違法行為の転換を認めているってことだね? |
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そういうことね。 | ||
・・・。 (なんか藤先輩が、藤先輩らしくないです。 スゴクいいことのはずなのに、違和感のせいか、妙に落ち着かないです。) |
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まぁ、綺麗に判例検討も終わったことだし、理解も出来ていそうな感じだから、まとめて終わりにするわね。 違法な行政行為は、原則として取り消されるべき。 まずは、これが大原則。 ただし、例外的に、違法な行政行為の効力を維持する考え方が、今日の勉強会で学んだ瑕疵の治癒と転換ってことね。 瑕疵の治癒と、瑕疵の転換の、それぞれの意義については説明したから、ここでは割愛するから、ちょっと理解できていないなぁ、って思ったら、ちゃんと復習しておいてね。 |
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そうだよね。 勉強は反復することが大事だもんね。 |
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? ? ? (ど、ど、どうなっているです?) |
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コラっ!! チビっ子!! いつまで気絶してんだお!! |
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? ? ? (え? 私が気絶?) |
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光ちゃぁ〜ん。 ナカたん、まだ気絶したまんまだよぉ? |
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最近、気絶しなかったのにね。 あんた、またナカちゃんが気絶するようなことしたんじゃないの? |
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別に、そんなことしてないよ。 なんでも、あたしのせいにするのは止めてよね! |
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・・・あ・・・。 (パチクリ!) |
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あ、ナカたん復活したお。 大丈夫? 大丈夫? |
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・・・成程です。 私は、藤先輩のアカデミー女優賞発言のショックで、どうやら気を失っていたみたいです。 |
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あれ? 気絶からの復活の後は、やたら元気なはずなのに、なんかいつもと様子が違うね。 |
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・・・藤先輩のせいです。 | ||
サルっ!! あんた、ナカちゃんにナニしたのよ! |
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・・・いや、頭突きはしたけど、ナカたん、頭突き入れたときは元気だったんだけどなぁ。 | ||
・・・。 (ジトォォォ〜) |
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コラっ! コッチ見んなっ!! |